ASUS JAPANシンシアの「華華(ふぁふぁ)通信」

「シンシアさん、台湾の男性は自宅まで送ってくれるのは本当ですか?」はいそうです。台湾人に取材してきました

 ニイーハオ! ASUS JAPANマーケティングディレクター兼PCマーケティング担当のシンシアです。皆さん、好久不見(お久しぶり)です。皆さんは元気にしていましたか? 今年はどんな年でしたか? 私は2016年度の仕事を終え、一息ついたところですが、達成感をいっぱい味わえた年でした。

 まず、私の近況をアップデートしますね。前回の華華通信で紹介したMさんが退職してから、マーケティング部に組織変更があり、卒業した人もいれば、新しく入ってきた新人もいます。ZenシリーズのZenvolution(禅×進化)のように、マーケティング部もMarkevolution(マーケボリューション)しましたよ。

 私自身は2年ほど兼任していた広報から離れ、今まで通りのシステムマーケティング部部長兼PCマーケティング担当を半年間やってきました。最新PC製品を触りながら、訴求ポイントを考え、皆様へのラブレター(販促ツール)をたくさん制作しました。日々の業務にずっと追われて、本当に大変な半年でしたが、いろいろ無事にやり遂げられたので、本当に心からほっとしています。

 そして、ZenFone、ZenPadなどのモバイル製品も日本でよい実績を作れて、さらに、ZenTourというファンイベントも日本全国で何回か実施ができ、本当に感謝と達成感でいっぱいです。実はASUSスマートフォン「ZenFoneシリーズ」はまだ日本に上陸してから、まだ2年が経ったばかりです。まだ2年かと思うぐらい、いろいろ濃くて大変でした。ここまで弊社のことや、弊社製品のことを知っていただき、使っていただけて、ASUS JAPAN及びマーケティング部一同で皆様に感謝&謝謝でいっぱいです。2017年にはもっと進化し、ユーザーに喜んでもらうようさらに頑張るので、期待しててくださいね!

台湾の男性は必ず女性を家まで送ってくれる

 さて、今回の話はECマーケティング担当のマリア(本名、ニックネームではありません)の、次の一言がきっかけで書くことを決めました。

 「シンシアさん、台湾の男性はデートが終わったら本当に自宅まで送ってくれるんですか」。

 ん? 何この当たり前な答えしか返せない質問……と心の中で思いながら、こう言いました。

 「質問の意図が分かりませんが、そうですよ」。

 「へーそうなんですね。噂では聞いていましたが、台湾人の男性はやさしいですね。実は今度、台湾人男性とデートするから、ちょっと楽しみです♡」。

 「ほぅほぅ、そういうことか。台湾人男性はやさしいから、デートを楽しんでね」。

 しかし、台湾男性はなぜ女性を家まで送ってくれるのか……? あまりにも当たり前すぎて、考えたこともありませんでした。

 台湾人男性はほぼ100%、デートが終わったら、家まで送ってくれます。彼氏じゃなくても、高校の時の親友(男性)は、毎日スクーターで家まで送ってくれました、雨の時ように、私専用の合羽も常備してくれていました。こんな風に男性が家まで送迎してくれるは、あまりにも当たり前すぎてて、「なぜ?」とは、何十年も生きててまったく考えたこともなかったのです。

LINEで台湾人男性に直撃取材!

 マリアの質問に回答したいので、LINEで同級生の男性陣に取材してまいりました。

シンシア:何で台湾人の男性のみなさんは彼女、あるいは女性友達を家に送るの?

友人たち(男):えー、日本人は送らないの?

シンシア:家の距離が離れているとか、車やバイクをそんなに持っていないとかあるんだろうけど、日本では家まで送ってもらう体験はあまりしたことはないね。今日、会社で同僚の女性に台湾人男性は家までに送るの? って聞かれて、ちょっと興味があるので、理由を教えてください。

友人たち(男):理由は自分でもよく分からないけど、自分の親はそうしてきたし、女の子を守らなきゃともずっと言われてきたし、あまりにも当たり前すぎて、考えたこともなかったよ。

シンシア:そうか、確かに。私のお父さんも小さい頃よく私を送迎していたね。今でも駅から歩いて5分の距離なのに、時間があえば、駅まで迎えにきてくれる。なるほど、家族の教えか。

 今でも台湾に帰ると、お父さんのバイクの後ろに座り、手をお父さんの腰に軽く添える時に、確かに自分がこの人の娘だと実感します。

シンシア:では、大兵(ダービン=兵士、友人のニックネーム、よく迷彩服を高校の時に着ていたので、私たちは彼のことを兵士と呼んでいました)、そう言えば、あなたが真冬に、当時アプローチしていた彼女に「おしるこ」を届けに行って、見事に彼女のハートを射止めたエピソードを聞いたことがあって、やるねと思っていたの。その時の心境を教えて。

大兵:それはその子が、お腹が痛いけど、仕事もしないといけないと言ってたんだ。僕にできることはお腹を温める甘いものを届けることしかないので、ただ、そうしただけで、気に入ってもらおうとは思っていなかったよ。

シンシア:そうか、台湾人男性は自然にできることをやってしまう。狙っているわけじゃないんだよね、確かに分かるわ。

 うっうっ、逆に日本でもし真冬におしるこやおでんを届けにきてくれる男性がいたら、今の私はどう思うのだろう……? 「何か下心があるのでは?」と思うでしょうね。嫌だ嫌だ日本に慣れすぎましたね(笑)。

 せっかくなので、その後、大兵の奥さんになった彼女、Genie(ジニー)にも取材してきました。

大兵

シンシア:大兵がおしるこを届けに来た時にどんな気持ちだったの?

Genie:この人、優しくしてくれる人だなあと思ったよ。おしるこは会う頻度を増やすのと、お互いのことを知るためのきっかけだなって思ってる。

シンシア:へー、届けたのが1回だけじゃなかったんだ。

Genie:男の人はもう1度会いたいと、こういう風になんか届けるのよ。女の子が食べてる間におしゃべりできるからね。

シンシア:(へーでも、台湾男性は狙ってはいなかったようだよ……。もしかしたら、聞いちゃいけなかったのかな)。

Genie:私の同僚は、大兵が今でも毎日駅まで送ってくれることを羨ましがってる。最近の旦那さんはあまりやらないからね。

シンシア:ほかの人は、送迎を全くしないってこと?

Genie:うん、全く送迎しないか、しても毎日じゃない。昔、大兵が私を駅まで送るだけじゃなく、迎えもあったけど、お互い仕事の終わる時間が違うのと、自分は歩いて運動したいから、迎えにこないでいいよって言ったの。会社に行く時は急いでいるから、送ってくれるのがありがたいし、みんなに羨ましがれる。でも、昨日は喧嘩したから、明日の朝は自分で行けって言われた(笑)。でも今朝、仲直りして、送ってくれたよ。彼は10時出社なのに、8時に私のために起きて、送って、そしていったん家に帰るの。台湾の男性は本当に優しい(體貼)よね。

シンシア:優しいよね。しかも下心がない。

※體貼とは、優しいとの意味も含めていますが、相手の身になって思いやりの気持ちや、気遣う気持ちも含まれています。

おしるこから始まった恋で結婚まで至った大兵とGenie
このイラストは大兵が描いたものです

 この友人との会話で、以前読んだある記事をを思い出しました。ドイツで行なわれた、学生の中国語スピーチコンテストで、ノシュヴァルヅァルト(黒い森)の近くに住むドイツの学生が、台湾に1年間ホームステイをした際のことをまとめたものです。彼女がまだ中国語を話せない時、よくホームステイ先の人に「小心(シャオシン=気を付けて)」、「危険(ウェイシエン=あぶない)」言われたそうです。スクーターで外に遊びに行くと、「外は危ないから気を付けて」と言われ、水泳にいく際も、水はあぶないから、気を付けて」というように。毎日のように言われたので、台湾人特有の挨拶の習慣だと思い、すぐその言葉を覚えたそうです。

 ドイツでは両親はあまり子供に干渉しなく、自由であることが子供の権利だとされています。でも、彼女はドイツに戻ってから、寂しく感じるようになったそうです。誰かが自分のために言葉にして、自分のことを考えて、心配し、守ってあげたくて発する言葉を聞かないと、孤独で寂しいとすら思ったんだそうです。

※原文はこちら

 思い返すと、自分は小さい頃から、おばあちゃんや両親から、外は危ないから早く帰ってきてと言われ、友達は必ず送ってくれ、そして、街で止めたタクシーに乗ると、友人が必ずナンバープレートを覚えてくれたりしていました。それは、いつも誰かが自分のことを心配してくれているから出る言葉なんですね。そして、特に台湾人男性にはその精神がしみついていて、女性を守るのが当然だと信じ、言葉だけでは足りず、行動をしているのでしょう。

誰かを心配してかける言葉。そして、言葉だけでは足りずに、行動をする

 11月に台湾に出張で帰った時に、友人に頼まれ、彼女の自宅にものを取りにいきました。私の父(母はミャンマーで半年間冒険中)と夕飯を取ったあとに友人宅に向かったので、到着したのは21時過ぎでした。そして、その友人のお父さんから、「こんなに遅く、どうやってきたの? 駅から1人で歩くのは危ないでしょう」と言われました。でも、友人宅がある台北市内の大安公園の近くは、代々木公園みたいな感じで全然危なくないというのが私の感覚でした。だから、「東京でもよく飲みに行って、1人で終電間近で帰るから、全然大丈夫です」と答えると、「え!?そんなに遅く帰ったら、だめでしょう!」とのこと。

 あちゃ~、安心させるつもりが、逆に心配させたのかなあ。

 結局、しばらくおしゃべりして、22時頃に台北の実家にMRT(電車)で帰りました。駅を出たところで、知らない番号から電話がかかってきて、誰からだろうと思ったら、その友人のお父さんからでした。無事に着いたかどうかと心配で、わざわざ確認の電話をしてきてくれたんです。

 電車でわずか6駅で到着できるし、既にアラフォーな私のことをそこまで心配してくれた友人のお父さんの気持ちと言葉に、本当に心が暖まりました。

 台湾では、優しくて、一緒にいると心が暖かくなる男性を「暖男(ニウアンナン)」と呼びます。逆に、親や彼氏から優しくされるのを当たり前と思い、さらに要求する女性を「公主病(クオンジュビン=お姫様病、お姫様のようにずっと扱われないと気が済まない病気)」と呼びます。当たり前と考えられている行為であっても、感謝しないとダメです。今回、台湾男性の心情を調べて、本当にそう思いました。私は日本にもう長いから、台湾人のこのような暖かいやさしさを、忘れてしまいそうでした。

 マリアへ、「台湾の男性は自宅まで送ってくれるのは本当ですよ。女性を1人にするのが心配でしょうがないの。台湾の男性は、父親がいつも奥さんや子供を危険から守ってきたのを見て、それが当たり前だと思っているのよ」。

 このコラムを書いているのは2016年のクリスマスです。

 もうじき年が明けますが、皆様には素敵で健康で平穏で、そして時々刺激的な2017年をぜひ迎えてほしいと願っています。

 年末年始は、飲みに出かけることも増えるかと思います。夜遅く帰る際は、気を付けてお帰りくださいね。

 では、また来年もよろしくお願いいたします!

シンシア

台湾・台北市出身。2002年8月にASUS JAPAN入社。当社初の正社員です。自作パーツ担当を経て、現在はPCとモバイル(タブレット/スマートフォン)製品の全般マーケティングディレクター。人手不足のため、2016年7月からPCのプロダクトマーケティングも兼任中です。今まで担当した製品の中で一番印象に残ったのは「A8N-SLI Premium」。ビデオカードの2枚挿しの感動は今も忘れられません。テクノロジーへの感動はそこから始まったといえるでしょう。愛用機はZenFone Zoom(業務用)、ZenFone 3(プライベート用)、ZenBook 3、ASUS ZenPad S 8.0。趣味は海外ドラマ鑑賞とおしゃべり(情報交換)。