山田祥平のRe:config.sys

Echo Linkでオーディオの入り口を統合

 このままだともうリビングのオーディオセットで音楽を聴くことはなくなるんじゃないか。そんなおぼろげな危機感を感じて、なんらかのソリューションはないかと考えていた。もしかしたら、AmazonのEcho Linkがそれを解決してくれるかもしれない。そう思って試してみることにした。

リビングオーディオの復活

 MP3プレーヤーからはじまり、iPodやiPhone、スマートフォンなどにイヤフォンをつないで音楽を楽しむようになってずいぶんたった。リビングルームにいる時間は短くはないのだが、たいていTVが優先されてしまう。だから、音楽を聴くという行為の多くは、移動中のイヤフォンという状況が長く続いていたし、自分でもそれを受け入れてきた。

 リビングルームのスピーカーは、年代物のアンプにつながり、そのアンプにはCDプレーヤーとTV、そして、DAコンバータが接続されている。CDそのものは、買ってきてリッピングしたらほぼ用済みで押し入れの奥底にしまい込んでしまうので、CDプレーヤーが活躍することはほぼなくなってしまっていた。

 また、TV音声は、たまにDVDやBDをレンタルして映画などを楽しむようなときに、ちょっと迫力のある音で音声を楽しみたいがゆえにアンプに接続していたのだが、やっぱり映画は映画館だよねという感も強く、あまり使う機会がない。

 さらにDAコンバータには、有線LANに接続したAppleのAirMac Expressの光出力をつないでいて、PCやiPhoneからiTunesライブラリの音声を再生できるようにしてある。音楽コンテンツはiTunesで管理してきたので、状況としては、この出力をオーディオセットで楽しむというパターンが一番多かった。10年以上使っている環境だがとくに不満なく過ごしていた。

 そこにちょっとした変化をもたらしたのが、スマートスピーカーだ。スマートスピーカーに話しかけ、聴きたい雰囲気のプレイリストを再生させるのが気軽でよく使うようになった。ただ、どんなにHiFiだとしてもスマートスピーカーのオーディオではちょっと物足りないと思うようになった。

豊富な入出力端子が心強いEcho Link

 Echo Linkは、Amazonから発売されたばかりの製品で、Amazon Echoシリーズのコンパニオンデバイスとして、ネットワークを介してEchoの音楽出力をアンプにリダイレクト/キャストすることができる。

 同時発売のアンプ内蔵Echo Link Ampもあるが、今回試してみたのはアンプなしのEcho Linkだ。Alexaの応答はEchoデバイスが従来どおり発声するが、音楽だけをEcho Linkに託す仕組みになっている。音楽の再生がはじまってからEchoデバイスの電源プラグを抜いてしまっても音楽の再生は続くので、この場合はEchoデバイスが解釈後の命令をリダイレクトしているのだと想像できる。

 筐体はコンパクトで存在感もあまりない。なにしろ設置してしまったら、本体をさわることなどまずないので、これでいい。

 Echo Linkを有線LANに接続して電源アダプタをつなぐ。そしてAlexaアプリを使って、特定のEchoデバイスと同じグループに所属させ、優先スピーカーとしてEcho Linkを指定する。設定はそれだけだ。うちではリビングというグループにEcho DotとEcho Linkを所属させた。これで、そのEchoデバイスが音楽を再生するときには、スピーカーがEcho Dotの代わりに再生するようになる。

 また、Echo Linkの出力は光ケーブルでDAコンバータに接続し、そこからアンプにアナログでつないでスピーカー再生されるようにした。

 Echo Linkは豊富な出力端子が魅力だ。光、同軸デジタル、RCAピンと、どんな環境でも困らないだろう。ハードウェア自体はボリュームがあるだけで、電源スイッチすら用意されていない。音量はアンプ側でコントロールすることにして、Echo Linkのボリュームは最大にして使うことにしたが、音量コントロールはAlexaに頼める。

 この状態で、Echo Dotに「アレクサ、ニール・ヤングを聴かせて」と話しかけると、Amazon Music Unlimitedからニールヤングのプレイリストを見つけてシャッフル再生がはじまる。今まではEcho Dotの貧弱なスピーカーが再生したのだが、音楽再生はEcho Linkが引き受け、オーディオセットから音が出てくる。

 一方、出力端子同様に、入力端子についても光、同軸デジタル、RCAピンが用意されている。Echo Dotとはネットワークで接続するし、有線以外にもWi-Fiでの利用も可能なので、入力端子を必要とするケースは少ないだろうなと思っていた。

 ところが、この入力端子がすごかった。そこに入力したすべてのオーディオ信号を、セレクタなどでの切り替えなしに早いもの勝ちで出力するのだ。まさにインテリジェントなセレクタだ。

 たとえば、今回は、光入力としてこれまで使っていたAirMac Expressの光出力、RCAピンにGoogle Chromecast Audioのアナログ出力をつないだ。リビングルームには、Echo Dotのほかに、Google Homeも置いてあるので、どちらに話しかけてもEcho Linkやアンプの操作をすることなく、同じスピーカーから音楽が再生される。

 また、スマートスピーカーに頼むのではなく、スマートフォンのAmazon Musicアプリを操作し、再生先をEcho Linkに指定することもできる。もちろん、Google Chromecast Audioはスマートフォンのみならず、PCからのキャストも受け付けるので画期的に便利だ。それが明示的な切り替えなしにできるとは。

 こんなに便利なんだったら、本当は、Chromecast Audioもデジタルでつなぎたいところだが、あいにくその出力はアナログか光かどちらかだ。光入力はすでにAirMac Expressからのケーブルが占有している。アナログでは音の品位がちょっと乱暴なのでデジタルでつなぎたいが、余っている入力端子は同軸だけだ。同軸と光を変換するには電源が必要なコンバータが必要になるので、ちょっとためらっているが、こんなに便利に使えるのならそれもありだなと思いはじめている。あるいは、AirMac ExpressとChromecast Audioを交替させるか……。

インテリジェントなセレクターが音楽再生体験を変える

 いずれにしても、これで3つの音楽ソースを、セレクタなどでの切り替えなしに、シームレスにオーディオセットで楽しめるようになった。

 人間は基本的に莫迦なので、難があるとすれば、今、鳴り響いている音楽は誰に頼んでかけてもらったのかを忘れてしまうことだ。

 たとえば「OK Google、ビートルズをスピーカーで聴かせて」と頼むと「スピーカー」と名づけておいたChromecast Audioが再生をはじめ、それがEcho Linkを通じてアンプに入り、スピーカーの実体を鳴らす。そして、いい気分でビートルズを楽しんでいて、ちょっと再生を止めたいと思ったときに、Googleアシスタントに頼んだことを忘れて、「Alexa、止めて」と言ってもなにも起こらない。Googleに頼んだ再生は、Googleアシスタントに頼まないと止められないのだ。

 今なお、AmazonのMusic Unlimitedにするか、GoogleのYouTube Musicにするか、常用のサブスクリプションを決められないでいる上に、これらの配信サービスには含まれない曲や、過去に購入した高ビットレートのCDデータがすべて保管されているiTunesライブラリがあるわけで、本当は、音楽再生を頼むときの入り口も一本化してほしいものだが、現状でそれはなかなか難しい。CDからロスレスでリッピングしたデータと、定額配信のストリーミング音声では、音質が段違いだということも痛感する。

 サブスクリプションサービスについては、最終的にはすべてのサービスが同じ楽曲を提供するようになるだろうから高みの見物を決め込んでいるし、ビットレートも上がっていくだろう。手元にあるiTunesライブラリにある楽曲も、最終的にはそこに吸収されることになるだろう。ただ、そうなるまでにはまだ10年近くはかかるんじゃないか。

 Echo Linkは、少なくとも、現状で複数ソースに分散している音楽コンテンツの出口の一本化をはたしてくれる。その意味は大きい。本当は、どこにどんなソースがあるのかを判断してサービスすらも選んでくれて入り口も一本化してほしいのにと、怠惰なことを考えはじめている。