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日本マイクロソフト、Office 365を日本のデータセンターから提供
(2014/11/13 15:30)
日本マイクロソフト株式会社は13日、日本市場におけるクラウド事業の強化として、現在法人向けに提供しているパブリッククラウドサービス「Office 365」および「Dynamics CRM Online」を国内のデータセンターから提供開始すると発表した。
同社は2月にクラウドサービスの「Azure」を国内のデータセンターから提供開始していたが、新たにOffice 365を2014年内、Dynamics CRM Onlineを2015年第1四半期までに国内のデータセンターから提供する。
これにより、日本の規制等で国内にデータを保管することが要件となる金融、医療、官公庁、地方自治体などのユーザーにも選択肢を提供できる。Microsoftにとって、特定地域に特化してクラウドサービスデータセンターを設置するのは、日本が初めてとなる。
13日に都内で開かれた記者会見では、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏が挨拶。「Microsoftは総力を上げて法人のクラウド事業に注力しており、生産性を提供するOffice 365、プラットフォームを提供するAzure、そしてビジネスアプリケーションを展開するDynamicsという“クラウド三兄弟”を推進している。この1年でビジネス規模はAzureが2.7倍、Officeが2.3倍、Dynamicsが2倍と拡大してきた。国内でのさらなる拡大に向けて、現在では課題があり、今日発表するものはそれを解決するものとなる」とした。
先述の通り、Azureに関しては日本国内におけるデータセンターを開設しているが、これは顧客のクラウドへの関心が高まる一方で、政府や自治体、金融業、医療などの分野において“国内にデータを置きたい”というニーズがある。さらに、今後拡大するIoTも見据えて、レイテンシを抑えるために国内でデータセンターを展開する必要があった。
「我々は3年前、社名を“日本マイクロソフト株式会社”に改めたが、これは日本の顧客に対して最適化したサービスを展開し、日本の企業に貢献するためだと説明した。Azureの国内データセンターの開設もその姿勢の表れであるが、今回のOffice 365およびDynamics DRMの展開でその意思をより強固なものにしたと言える」とした。
続いて、本社から来日したコーポレートバイスプレジデントのジョン・ケース氏が、同社が展開するクラウドサービスの特徴やビジネスにおける重要性をアピール。“クラウド三兄弟”により、企業はプライベート/パブリック/ハイブリッドのいずれの形態でもクラウドで展開できるほか、あらゆるデバイスがどこからでも信頼された状態でそのサービスに接続できるとした。
加えて、現在アメリカの多くの金融業界の企業がOffice 365を採用しており、4万以上の企業で425万以上のユーザーがDynamics CRMを利用。この背景にはMicrosoftに対する信頼感の高さ、長年ユーザーが使ってきたUIの馴染み深さと使いやすさ、管理のしやすさなどが挙げられるとした。
最後に樋口社長が壇上に戻り、日本で展開するデータセンターの優位性をアピール。東日本と西日本にそれぞれ複数の拠点が展開され、顧客に近いところに拠点が存在することや(ただし、具体的な数は非公開)、国内最高レベルの耐震性を持つ施設、これまで培ってきたソフトウェア技術を駆使した自動復旧ネットワークの信頼性、複数拠点展開における冗長性、日本に特化した品質やサービスの展開などをアピールした。
特にデータセンターの耐震性については、発表会場に実際の模型を持ち込み、地震が発生した時の揺れを想定したデモを行なう力の入れ具合であった。「建物の構造のみならず、データセンターの場所も検討に検討を重ねて決めた。他社は、東日本大震災前に作られたこともあり、海岸沿いにあることも多いが、我々は後発ということもあり、津波の影響など、大規模な震災による影響を想定しつつ場所を選定した」と語った。
樋口社長は、「我々はAzure、Office 365、Dynamicsという3つの、すべてを包括した……ナデラCEOの言葉を借りるなら、“最も完成したクラウド”を提供する唯一の企業である。国内データセンターの提供により、日本の社会全体を支えていきたい」と締めくくった。