鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第195回:1月21日~1月25日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


1月22日

■■ メディアヴィジョン、Windowsネイティブのパーティション管理ソフト
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0122/mvi.htm

●DOS(Disk Operating System)
 ドス

 ディスクの管理機能をサポートするOSの総称だが、一般にはMicrosoftが開発したMS-DOS(Microsoft Disk Operation System)とそのOEM品、互換品を指す。

 '81年に発売されたIBMの最初のパーソナルコンピュータ「IBM PC」のリリースに合わせ、委託を受けたMicrosoftが開発したディスクオペレーティングシステムで、一般的には「MS-DOS」、IBM版は特に「PC-DOS」と呼んでいる。システムは、デバイスの入出力を行なう「IO.SYS(IBMBIO.COM)」と、システムサービスを提供する「MSDOS.SYS(IBMDOS.COM)」の2つのカーネルプログラム。ユーザーインターフェイスを提供するコマンドラインプロセッサ「COMMAND.COM」の3モジュールが基本。これに周辺プログラムを加えた形で構成されており、現在主流のWindowsも3.x時代までは、実行にあたってこのDOSが提供するサービスを必要としていた。

・Version 1('81年~)
 SCP(Seattle Computer Products)から買い取った86-DOSをIBM PC用に仕立てた最初のバージョン。当時主流だった8bit用のOS「CP/M」がお手本になっており、CP/Mベースのアプリケーションが移植しやすいよう、CP/M互換の8.3のファイル名やFCB(File Control Block)を使ったファイルアクセス、機械的に変換可能なシステムコールなどを備える。翌年には、320KBの両面フロッピーディスク(2D)をサポートする1.1をリリース。このバージョンが、1.25としてIBM以外にもOEM供給され、国内では、NECが'83年からPC-9801用のMS-DOSを出荷している。

・Version 2('83年~)
 '83年リリースのIBM PC/XTに合わせ、新たにハードディスクドライブをサポート。 それまでの平面的なファイルシステムに、階層化ディレクトリが導入され、これを利用するためのファイルハンドルを使ったファイルアクセス方式が提供される(ドライブ番号とファイル名しか管理しないFCBでは階層化ディレクトリを扱えない)。インストーラブルなデバイスドライバの仕組みが導入され、CONFIG.SYSが登場したのもこのバージョンからだ。

 翌'84年に発売されたIBMの家庭向けパソコンPCJr.には、専用の2.1を搭載。この2.1と、国際版として開発していた2.01を合体する形で、同年、各国向けのOEM版2.11が登場する。日本国内でも、秋から2.11の販売が開始されるが、当時のMS-DOSは、アプリケーションにバンドルされる形での提供が一般的であり、90年代初頭までこの2.11がバンドルOSとして広く利用されていた。

・Version 3('84年~)
 PC/ATの発売に合わせてリリースされた3.0では、標準装備となった1.2MBのフロッピーディスクに対応。16bit FATが導入され、大容量ハードディスク(従来の15MBから32MBに拡大)を効率よく扱えるようになった。Ver.3最大の目玉は、ネットワークサポート(※1)なのだが3.0の時点では対応が間に合わず、完全に実装されるのは翌年リリースされた3.1からとなる。'86年には、IBMのニューモデルに、720KB(2DD)の3.5インチフロッピーディスクがラインナップされ、これをサポートする3.2をリリース。翌'87年には3.3がリリースされ、1.44MB(2HD)の3.5インチフロッピーディスクや、ハードディスク上に複数の論理ドライブを作成する拡張パーティション、国際化のためのコードページなどがサポートされる。

・Version 4('88年~)
 フルスクリーンのインターフェイス「DOSSHELL」を備えた4.0は、リリース直後にバグフィックスされた4.01が広く流通。国内では、IBMとエプソンしかリリースしていないが、'90年には、ソフトウェアだけで日本語環境を実現する「IBM DOSバージョンJ4.0/V」いわゆるDOS/Vが、このバージョンから生まれている。Ver4.xでは、セクタ方式が32bitに拡張され、32MBを越える論理ドライブ(当時はBIOS制限から最大2GBまで)が扱えるようになった。メモリマネージャも標準でサポートされ、FASTOPEN(FATなどのキャッシング機能を提供)などが対応している。

・Version 5('91年~)
 メモリマネージャが機能拡張され、従来のEMS(※2)に加えて、UMA、HMA、EMB(※3)をフルに活用。これらメモリに、システム自身やデバイスドライバをロードする機能が用意される。DOSSHELも大幅に拡張され、アプリケーションを切り替えるタスクスワップの機能が提供される。なお、5.0にはオフィシャルなリビジョンは無く、2000年問題に対応した5.0aが最終版である。

・Version 6('93年~)
 オマケ満載の互換OS「DR-DOS」に対抗すべく、様々なユーティリティを加えたバージョンで、ディスクの最適化、圧縮、修復、バックアップ、メモリの最適化といったツールが提供されている。6.0リリース直後に、ディスク圧縮の「DoubleSpace」にからむバグが露呈。これを修正した6.2をリリースするが、Stac Electronics(現在はPrevio)の特許侵害訴訟に敗訴し、翌年3月に急遽DoubleSpaceを外した6.21をリリース。6月には、Vertisoft Systems(Symantecに買収されたQuarterdeckに買収)のDoubleDiskをベースとした「DriveSpace」にリプレイスし、6.22としてリリースしている。なお、Stacとはその後和解しており、日本語MS-DOSは6.2を継続して販売。Microsoftのリテール版はこの6.2が最終版になており、6.22はOEM版でのみの提供と なっている。

 なお、DOSのファンクションコールでは、Windows 95が「7.00」、FAT32をサポートしたWindows 95 OSR2/98が「7.10」、XPを含むNT系は「5.0」というバージョンを返す。

※1 現在のWindowsのように、サーバーやクライアントの機能が組み込まれているわけではなく、リダイレクタ(ネットワークのリソースを扱えるようにするための基本的な仕組み)が用意されているに過ぎない。
※2 EMS(Expanded Memory Specification)は、小さなウィンドウ(ページフレーム)を介して、コンベンショナルメモリ以外のメモリを利用できるようにする仕組み。
※3 UMA(Upper Memory Area)は、640KB~1MBのメモリ空間。HMA(High Memory Area)は、1MBのすぐ上にある約64KBの領域。EMB(Extended Memory Block)は、さらにその上に続く拡張メモリ。

【参考】
□IBM PC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010823/key178.htm#IBMPC
□PC-DOS
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980617/key34.htm#PCDOS
□DOS/V
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990304/key67.htm#DOSV
□DR-DOS
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001019/key140.htm#Open_DOS
□FAT16、FAT32
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980610/key33.htm#FAT16
□FAT64
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981021/key51.htm#FAT64
□FAT32X
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980701/key36.htm#FAT32X
□UMA(Upper Memory Area)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980924/key47.htm#UMA


■■ NTT-ME、8Mbps対応のADSLモデム内蔵無線ルータ「MN7530」を発表(Broadband)
http://www.watch.impress.co.jp/broadband/news/2002/01/22/mn7530.htm

●LAN型接続
 ランがたせつぞく

 ISP(Internet Service Provider)などが提供するリモートアクセスの接続形態の1つで、ネットワーク単位で接続するタイプ。

 一般に使われているISPの個人向けサービスや、事業所のリモートアクセスなどでは、ISPや事業所のネットワークに、ユーザー側のマシンが1端末として直接接続するスタイルを採っている。このようなタイプを「端末型接続」といい、ネットワーク的には、接続先のネットワークにローカルで接続したのと同じ状態になる。LAN型接続は、ネットワーク対ネットワークとして接続するタイプで、ネットワーク型と呼ぶこともある。ISPのサービスでは、あらかじめIPアドレスのネットワーク部でルーティングが可能なサブネット単位で、4、8、16個……といったアドレスを配布。ホスト部のビットが全て「0」と全て「1」のアドレス(※1)を除いたものを、ルータと、必要に応じて各種サーバーに割り当てて運用する。

 ルータを使ってLANを接続する方法には、エンドユーザーの間で広く使われている、1つのIPアドレスを共有するタイプがあるが、この場合は、通常の端末型接続と同じ。 複数のマシンがインターネットを利用できるように、複数のアドレスを動的に割り当てるサービスも同様、接続形態は端末型である。

※1 オール0はそのネットワーク自身、オール1はそのネットワークの全てのマシンを表す特別なアドレス。

【参考】
□ルータ、ブリッジ、ハブ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001019/key140.htm#bridge
□ダイヤルアップルータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980930/key48.htm#dialup_router
□ローカルルータ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001207/key146.htm#local
□ローカルアドレス、グローバルアドレス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000406/key115.htm#IP
□マルチNAT
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010802/key176.htm#MULTINAT
□NAT
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971105/key5.htm#nat
□IPマスカレード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971007/key1.htm#ip_masquerade


1月23日

■■ NEC、オークションサイトを利用したPC販売を開始
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0123/nec.htm

●アウトレット(outlet)

 余剰在庫品、あるいはそれを格安に販売する店。

 アウトレットは、本来はマーケット(market)と同じ販路という意味で、一般的な小売店のことを指す。が、メーカーが自社の在庫を直接販売するファクトリーアウトレットに端を発し、メーカーや卸の直販品やその直販店を表す言葉となり、最近では、B級品やサンプル品のようなわけありの商品であることを意味したり、単なる安売りという意味で使われることも多い。


1月25日

■■ Platform Conferenceレポート
   2月にDDR333搭載チップセットの大攻勢に打って出るVIA
   ~KT333搭載マザーボードなどを展示
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0125/pfc01.htm

●ガーバー(gerber)

 プリント配線板(プリント基板)の描画データ。

 元々は、フォトプロッタの老舗Gerber Scientific, Inc.(旧Gerber Scientific Instrument Company)が自社のフォトプロッタの制御用に開発したもので、その後プロットデータの標準フォーマットとして広く普及。ペンプロッタのHP-GL(Hewlett-Packard Graphics Language)やページプリンタのPostScriptのような存在だが、プリント配線板の製造データをやりとりする際には、このガバーフォーマットが広く使われている。

 図面の出力に使われるオーソドックスなプロッタは、ペンの選択や上げ下げ、移動といった、我々が図面を引くのと同じように描画するタイプで、これをペンプロッタと呼んでいる(近年はインクジェットやレーザー方式のエンジンを使い、ラスタデータを出力する製品も多い)。フォトプロッタは、ペンの代わりに光を使い、フィルムや感光紙に出力するタイプである。Gerberは、1960年代に初めてこのフォトプロッタを製造したベンダーで、業界では、配線基板の版下データのやりとりに、古くからこの出力フォーマットを使用。EIA(Electronic Industries Alliance~米国電子工業会)の規格(RS-274)にも採用されており、図面データの業界標準フォーマットとしてすっかり定着している。

□Gerber Scientific, Inc.
http://www.gerberscientific.com/
【参考】
□PostScript
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980120/key14.htm#postscript

[Text by 鈴木直美]

(2002年2月4日)


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