鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第194回:1月15日~1月18日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


1月16日

■■ NEC、8M対応のADSLモデムを内蔵した無線機能付きルータ「WDR85FH/GS」(Broadband)
http://www.watch.impress.co.jp/broadband/news/2002/01/15/nec1.htm

●Universal Plug and Play(UPnP)
 ユニバーサルプラグアンドプレイ

 Microsoftが'99年に提唱し、Universal Plug and Play Forumで標準化が行なわれている、ネットワークに接続されたデバイスのPlug and Playを行なう技術。

 USBなどに実装されているPlug and Playをネットワークデバイスで実現するためのもので、ネットワークデバイスの自動検出、情報交換、制御などを行なう。汎用的なTCP/IPベースのネットワーク技術を組み合わせて構成されており、デバイス情報や制御メッセージ、イベントメッセージなどは、全てXMLで記述。デバイスの検出には、SSDP(Simple Service Discovery Protocol)ベースの「UPnP Discovery Protocol」が、コントロールメッセージの転送にはSOAP(Simple Object Access Protocol)が、イベントの通知にはGENA(General Event Notification Architecture)が使われる。

 TCP/IPネットワーク(TCP/IPが動いていればメディアは何でもよい)に接続されるあらゆるデバイスに応用できるとしており、AV機器やイメージデバイス、セキュリティデバイスなどのについて、それぞれのコミッティで細かな実装仕様を策定している。

 システム側のサポートは、Windows 98でコア部分を提供。Windows XPではこれに加えて、Internet Gateway Working Committeeが策定したIGD(Internet Gateway Device)向けのプロトコルをサポート。これを利用することによって、対応ルータから情報を取得したり、必要に応じてルーターの設定を変更したりといったことが可能になる。例えば、外部からの接続を必要とするメッセージングソフトやネットワークゲームを使用する際に、アプリケーションが相手からの接続要求を受け入れて自分のところにパケットを転送するように、自動的にルータをセットアップするといったことが実現できる。

□UPnP Forum
http://www.UPnP.org/
【参考】
□USB(Universal Serial Bus)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000706/key126.htm#USB2
□XML(eXtensible Mark-up Language)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980610/key33.htm#XML
□TCP/IP
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980729/key40.htm#TCP/IP


■■ Palm用ATOK「日本語グラフィティ対応版」、3月8日発売(ケータイ)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/0,1360,7734,00.html

●グラフィティ(graffiti)

 Palmに採用されている手書き入力システム。

 Palmは、'95年にUS Roboticsに買収されたPalm Computingが'96年に発売したPDAで、当初はPilot(※1)と呼ばれていた。翌'97年にはUS Roboticsが3Comに買収され、Palm Computingは3Comの一部門となったが、2000年に独立し現在に至っている。Palmに使われているOS「Palm OS」は、他社にもライセンスされており、IBMのWorkpadやHandspringのVisor、ソニーのCLIEなどが採用。これらPalm OSベースのPDAの標準入力システムとして搭載されているのが、グラフィティである。

 グラフィティは、液晶パネルの下部にある「グラフィティエリア」と呼ばれる部分を使い、スタイラスペンを使って手書きで入力する手書き文字認識の入力システムである。グラフィティエリアは(というかパネル全体が)、ペンなどの接触を検出するタッチパネルになっており、システムはペンの移動を検出してユーザーが入力した文字を識別する。このグラフィティエリアは、左側が英字用、右側が数字用に分かれており、一筆書きの要領で文字を入力するのが大きな特徴。最小限のコストで正確な認識と、スピーディな入力が行なえるようになっている。

※1 初代のPilotには、16MHzのMotorola MC68328(Dragonball)が使われており、128KBのメモリを搭載した「Pilot 1000」と512KBの「Pilot 5000」が'96年3月に発売された。


1月16日

■■ 松下、デジタルカメラの撮影枚数を大幅に増やす単3電池
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0116/pana.htm

●ニッケルマンガン電池

 正極材の二酸化マンガンに、オキシ水酸化ニッケルを混合し、重負荷での放電特性を改善した一次電池。

 電池は、イオン化傾向(※1)の異なる2種類の金属(活物質という)を電解液に入れ、化学反応に伴うエネルギーを電気として取り出している。もっともオーソドックスな1次電池(充電できない使い捨ての電池)であるマンガン電池は、正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛、電解液には弱酸性の塩化亜鉛や塩化アンモニウムが用いられている。アルカリ電池(アルカリマンガン電池)は、このマンガン電池の電解液を導電性の高いアルカリ性の水酸化カリウムに変更。棒状の正極材を負極材で囲ったマンガン電池に対し、亜鉛粉末の負極を正極材で覆う逆の構造になっており、より大きな電流を長時間にわたって取り出すことができる。

 ニッケルマンガン電池は、このアルカリ電池をさらに改良。正極に、ニカド電池やニッケル水素電池などの2次電池(充電して繰り返し使える電池)に使われているオキシ水酸化ニッケル(酸化した水酸化ニッケル[NiOOH])を混合。大きな電流を流した場合でも、より高い平坦な作動電圧が維持でき(※2)、デジタルカメラのような負荷の重い機器での寿命が、従来の約3倍に高められている。

※1 金属が陽イオンとなって溶液の中に溶け出そうとする傾向のことで、イオン化傾向の大きな金属を卑金属、小さな金属を貴金属という。活物質は、イオン化傾向の大きな方が溶液に溶け出し、残された電子によって-に帯電。他方はほとんど溶けずに+に帯電して電気が流れる。

※2 電池の電圧は、容量が少なくなるほど、放電電流が大きいほど低くなってしまい、充分なエネルギーが得られなくなってしまう。このため、近年は容量増加とともに、特に内部抵抗を低減して重負荷特性を改善することに力が注がれている。


1月18日

■■ NEC、デスクトップPC「VALUESTAR」シリーズを一新
   ~Windows XP Proモデルも登場示
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0118/nec2.htm

●3D Y/C分離(three dimension Y/C separate[3D YCS])

 テレビの映像信号を、輝度信号と色信号に分けること。

 テレビの映像信号は、輝度信号(Y)と色信号(C)を合成して送っており、これをコンポジット信号という。このコンポジット信号から、元の輝度信号と色信号を取り出す処理をY/C分離といい、1次元、2次元、3次元の3つの方法がある。

 コンポジット信号は、4.2MHzの周波数帯域を持つ輝度信号の内側に挿入する形で、3.58MHzのサブキャリアに乗せた色信号を多重化している。もっとも単純なY/C分離は、3.58MHzを通過させるバンドパスフィルタとカットするバンドエリミネートフィルタ(ノッチフィルタとも)を使い(※1)、3.58MHzとそれ以外を周波数領域で分けてしまう方法で、これを1次元Y/C分離という。単純な方法だが分離の精度が悪く、ドット妨害やクロスカラー(※2)が多く発生する。

 くし形フィルタ(コムフィルタとも)を用いるタイプを2次元Y/C分離という。くし型フィルタは、その名の通り、コンポジット信号から色信号をくしで鋤くように動作するフィルタである。映像は、水平に移動する走査線で描かれており、色信号を乗せたサブキャリアは、1ラインごとに位相が反転している。前後のラインは相関性が強いので、同じような中身である可能性が高い。ならば、上下の走査線を加算すれば色信号を、減算すれば輝度信号を除去できるはずだ……というのがこの2次元Y/C分離の原理である。ライン間に全く相関性が無いと大前提が崩れてしまうが、一般的な画面では、下のラインは上のラインの延長なので相関性が非常に強く、うまく分離することができる。さらに高い画質を得るために、上下だけでなく3ラインや4ラインを演算するものもある。

 垂直方向の相関性を利用した2次元Y/C分離に対し、時間軸方向の相関性を使って鋤いてしまうのが3次元Y/C分離である。例えば、完全に止まっている静止画であれば、前後のフレームの同じラインは、同じフレームの上下のラインよりも遥かに相関性が強い。というか論理上は同一なので、加減算で完全に分離できるはずなのである。実際、静止画や動きの遅い映像では、2次元よりも高い精度で分離でき高い画質が得られるが、動きが速いと破綻してしまうので、映像に応じてフレーム間とフィールド間(※3)を切り換えるといった工夫がなされている。

※1 輝度の高域が犠牲になるが、ハイパスフィルタとローパスフィルタで二分してしまうタイプもある。
※2 ドット妨害は、色の輪郭などに発生するドット状のノイズ。クロスカラーは、縞模様の様な細かい絵柄に、チラチラした色ノイズが出ること。
※3 テレビの1画面は、最初の走査で1ラインおきに描き、次の走査でその間を埋めて行くインタレース方式(飛び越し走査)を採用しており、2回の走査で描かれる完全な 1画面をフレーム、各走査で描かれた粗い画面をフィールドという。

【参考】
□コンポジット
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980603/key32.htm#composite
□コンポーネント
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980603/key32.htm#component
□YUV422
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990204/key63.htm#YUV422

[Text by 鈴木直美]

(2002年1月25日)


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2002 impress corporation All rights reserved.