鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第34回:6月8日~6月12日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


6月9日

■■COMPUTEX TAIPEI '98レポート Vol.5
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980609/cmptx5.htm

S/PDIF (Sony Philips Digital Interface Format)
エスピーディーアイエフ
 主に民生用のデジタルオーディオ機器に使われている、デジタルオーディオインターフェイス。国際的にはIECの「IEC 60958(旧IEC958)」、国内ではEIAJの「CP-1201(旧CP-340)」という標準規格になっている。

 物理的には、75Ωの同軸ケーブル(コネクタはRCAもしくはBNC)を使うタイプと、光ファイバーを使うタイプがあり、前者は同軸(coaxial)、後者はオプチカル(optical)またはTosLink(東芝の商標)と呼ばれている。通信は、送信側(再生側)主動の一方向――すなわち垂れ流しで、16bit~24bitのデジタルオーディオデータを、1本のケーブルで2チャンネル分転送することができる。サンプリング周波数は、32kHz、44.1kHz、48kHzが規定されており、サンプリング周波数に応じて転送速度を変えるスタイルをとっている。

 同種のインターフェイスには、業務用の機器に使われている「AES/EBU(Audio Engineering Society/European Broadcasting Union)」がある。使用するケーブルやコネクタ、信号の電機的特性などは異なるが、プロトコルの基本部分はS/PDIFと同じである。

□IEC(International Electrotechnical Commission~国際電気標準会議)
http://www.iec.ch/
□EIAJ(Electronic Industries Association of Japan~社団法人日本電子機械工業会)
http://www.eiaj.or.jp/


6月10日

■■日本アイ・ビー・エム、2000年問題に対応するPC DOS最新版
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980610/ibm.htm

PC DOS (Personal Computer Disc Operating System)
ピーシードス
 米MicrosoftがIBM PC(IBM Personal Computer)用に開発したOS。いわゆるMS-DOS(Microsoft Disk Operation System)のIBM版。

 米IBMは当初、既に8bitマシンの標準的なOSとなっていたDigital Reserch社のCP/M(Control Program for Microcomputers)を載せたいと思っていたようだが、諸般の事情でこれを断念し、Microsoftに開発を依頼(このあたりのいきさつはいくつかの説が語られている)。
 Microsoftは、SCP(Seattle Computer Products)が開発していた86-DOS(QDOS~Quick and Dirty Operation System~とも)を買い取ってIBM PC用のMS-DOSに仕立てあげ、'81年、IBM PCとともにデビュー。IBMはこれをIBM Personal Computer DOSと呼び、今もなおPC-DOSという名で出荷している。MS-DOSが各社にライセンスされるようになると、COMPAQ-DOSとかZ-DOS(Z=Zenith)というように、ライセンス先ごとに色々な名前で呼ばれはじめるが、最終的にはMicrosoftがMS-DOSという名を主張し、IBM以外は全てこれに統一された。

 「ディスクが扱えるOSなんだぞ」ということで、OSの頭に「D」を付けた「DOS」は、MS-DOSが登場する以前から使われていた呼び名だが、MS-DOSの普及と共に、MS-DOS系のOSがその大半を占めるようになり、今ではほとんどMS-DOS互換であることの代名詞になってしまっている。
 例えば、先のDigital Reserchは、「DR-DOS」という互換OSを開発。一時は日本語版もリリースされていたが、その後はNovellに売却されて「Novell DOS」に。さらにCalderaに売却された折りには「OpenDOS」と名を変え、現在は「Caldera DR-DOS」という名で頑張っている。最近では、フリーのMS-DOS互換OSである「FreeDOS」が話題になったこともあるし、ロシアのPhysTechSoft社が開発した「PTS-DOS」などというMS-DOS互換OSもある。ちなみに「DOS/V」というのもOSの俗称で、こちらは、IBMがそれまで出していたPC-DOSの日本語版とは別の手法で日本語化を実現したOSに、PC DOS J4.0/V(PC DOS/V)と付けたことに由来する。

□Caldera DR-DOS
http://www.caldera.com/dos/
□PhysTechSoft
http://www.phystechsoft.com/
□FreeDOS
http://www.freedos.org/


■■ヤマハ、128音同時発音可能なMIDI音源
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980610/yamaha.htm

XG
エックスジー、エックスジーフォーマット
 ヤマハが'94年に発表した電子楽器の音源仕様。
 音源モジュールの標準規格として策定された「General MIDI(本連載第19回「GM」参照)」との互換性を保ちながら、大幅に機能を強化した規格で、'94年にリリースされた「MU80」を皮切りに、同社の音源モジュールやシンセサイザーに採用されている。

 XGで拡張された主な機能には、次のようなものがある。

・音色の拡張
 GMでは128音色の配列と1つのパーカッションパートの配列が規定されていたが、XGではバンクセレクトというMIDIメッセージ(コマンド)を使って、より多くの音色を選択することができる。発音数もGMの24音に対し、XGでは32音に拡張され、オプションで16パート以上の再生もサポートする。

・内蔵エフェクト
 GMでは特に使い方が規定されていなかったエフェクト機能に、リバーブ、コーラス、バリエーションエフェクトを規定。オプションで、ディストーションとグラフィックイコライザーも設けられている。

・音色のコントロール
 GMでは必須扱いになっていなかったコントロールチェンジ(ツマミやペダル等の操作を伝えるメッセージ)が数多くサポートされ、ノンレジスタードパラメータ(NRPN:Non Registered Parameter Number~各社が自由な機能を割り当てられるMIDIメッセージ)を使い、音色の細かな制御をリアルタイムに行なえる。

・外部入力
 オプションで外部オーディオ入力をサポートし、演奏と一緒に出力できる(内蔵エフェクトの付加も可能)。

□ヤマハXGホームページ
http://www.yamaha.co.jp/xg/


6月12日

■■米シーラス・ロジック、PCIバスに対応したオーディオコントローラ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980612/cirrus.htm

PCI (Peripheral Component Interconnect)
ピーシーアイ
 米Intelが提唱し、現在はPCI SIG(PCI Special Interest Group)が管理している高速なバスアーキテクチャ。

 PCIの原案となる「Local Glueless Bus」がIntelから出されたのが'91年。その後、PCI SIGが設立され、'92年にほとんど見切り発車の形でVer.1.0をリリース。細部を詰めたVer.2.0が'93年にリリースされて、本格的な普及がはじまる。現在は、'94年に改訂された2.1が基本になっており、現行機種ではバス幅32bit、バスクロック33MHzのものが主流だが、仕様上は64bit、66MHzまで対応している('98年に入ってようやく66MHzに対応するチップセットがリリースされている)。最大転送レートは、現行の32bit/33MHzで133MB/秒。64bit/66MHzなら533MB/秒に達する。

 PCIバスは、複数のデバイスが時分割でポイントトゥポイントの転送を行なうスタイルで、ブリッジと呼ばれる回路を使って接続していくのが大きな特徴である。このブリッジが、クッションの役目を担うので、様々なアーキテクチャーを統合していくことができる。具体的には、ほとんどの機種がPCI-ISAブリッジを設けて、アーキテクチャの全く違う従来のISA(Industry Standard Architecture)バスもサポート。ノートPCでは、PCI-PCMCIAブリッジを設けて、いわゆるCardBusをサポート。CPUのローカルバスへは、HOST-PCIブリッジで接続するので、66MHzや100MHzなどの違いも全く問題ない……といった感じだ。ちなみに、1つのPCIバスに対しては、最大10個(電気的な特性を無視した実数は32)のデバイスが接続できる。拡張バススロットは、2デバイス分として数えられるため、通常4スロットが上限となる。これで足りなければ、PCI-PCIブリッジを使ってPCIバス自身を拡張できる。

 この他にも、デバイスのオートコンフィギュレーション機能やパワーマネージメント機能、バスマスタリング機能をサポートし、PC/AT互換機やMacintoshをはじめ、各社のワークステーションに採用されている。

□PCI SIG
http://www.pcisig.com/

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp