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今、写真家が大容量高速SSD内蔵のノートに注目している理由。外付けUSB SSDとの違いを検証

マウスコンピューター「DAIV R6-I7G60SR-A

 PCを購入するにあたっては、用途に応じて重視すべきポイントが異なるが、特に写真家が注目しているのがストレージだ。昨今、ノートPCに接続できる外付けの大容量ポータブルストレージが多く販売されている。価格は1TBで1万円前後、2TBで2万円前後にて購入可能。ノートPC本体を購入する際に出費を抑えるため、あとからポータブルストレージを接続すればいいと考える方もいるかもしれない。

 確かにOS、ゲームやアプリケーションの起動であればランダムアクセス性能が有効に働くので、PCI Express Gen 4接続やPCI Gen 5接続の超高速SSDと、USB接続のSSDで体感的には大きな差が出ない。

 しかし、写真家の仕事では、大量の写真を撮影し、その後に1枚ずつチェックしていき、実際に使用するカットを選び出すという作業が発生する。このような仕事では、PCIe Gen 4/Gen 5接続の高速なシーケンシャルアクセス性能が最大限に生かされるのだ。

 そういった理由で、高速な大容量SSDを内蔵可能なクリエイター向けノートを選ぶ写真家が増えているのだが、もう1つのポイントは価格だ。とあるクリエイターに人気の製品の場合、標準の1TB SSDから2TBへの変更の差額は5万4千円もする。これだと、ちょっとしたレンズが買えてしまうので、どちらを取るか悩む写真家もいるだろう。

 そこでオススメしたいのが、プロフェッショナルの写真家向けに開発された、マウスコンピューターのDAIVブランドの16型ノートPC「DAIV R6-I7G60SR-A」だ。本製品は高速なPCIe Gen 4 x4のSSDを採用し、標準の1TBから2TBへの変更の差額は2万5,300円にとどまっている。

 今回、その実機を使い、本体内蔵超高速SSDと、一般的なUSB接続の外付けSSDを使用した際にどのくらいの性能差が出るのかを検証してみた。

内蔵超高速SSD vs 外付けSSD、性能差を徹底比較

 それでは本体内蔵超高速SSDとUSB SSDの性能差を、定番ストレージベンチマークで計測してみよう。今回借用した「DAIV R6-I7G60SR-A」の評価機に搭載されていたのはPCIe Gen 4 x4接続の2TB SSD。比較対象としては、USB 3.2 Gen 2接続のスティック型外付け2TB SSDを使用した。

PCIe Gen 4 x4接続2TB SSD「ALEG-850L-2000GCS-R」のシステム情報
USB 3.2 Gen 2接続のスティック型外付け2TB SSDのシステム情報
比較に使ったUSB SSD

 ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8」を実施してみると、PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDのシーケンシャルリード(1M Q8T1)は5,199.241MB/s、シーケンシャルライト(1M Q8T1)は4,485.361MB/s、USB 3.2 Gen 2接続外付け2TB SSDのシーケンシャルリード(1M Q8T1)は567.855MB/s、シーケンシャルライト(1M Q8T1)は484.804MB/sとなった。

 つまり、PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDはUSB 3.2 Gen 2接続外付け2TB SSDに対して、シーケンシャルリードで約9.15倍、シーケンシャルライトで約9.25倍のスコアを記録したことになる。

PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDのシーケンシャルリード(1M Q8T1)は5,199.241MB/s、シーケンシャルライト(1M Q8T1)は4,485.361MB/s
USB 3.2 Gen 2接続外付け2TB SSDのシーケンシャルリード(1M Q8T1)は567.855MB/s、シーケンシャルライト(1M Q8T1)は484.804MB/s
PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDはUSB 3.2 Gen 2接続外付け2TB SSDに対して、シーケンシャルリードで約9.15倍、シーケンシャルライトで9.25倍のスコアを記録

 次にベンチマークソフトではなく、実際の処理にかかる時間を比較してみよう。まずは100枚(計12GB)のRAWファイルを用意し、同一フォルダー内で全ファイルをコピー&ペーストするのにかかる時間を計測してみた。

 PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDはUSB 3.2 Gen 2接続外付け2TB SSDに対して、約8分の1となる7.3秒でコピー&ペーストを終えた。画像編集前に元ファイルをバックアップするときなどに、より速く作業に入れるわけだ。

PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDはUSB 3.2 Gen 2接続外付け2TB SSDに対して、約8分の1となる7.3秒でコピー&ペーストを終了

 次は、同じ100枚(計12GB)のRAWファイルをWindows 11の「フォト」アプリでプレビュー表示するのにかかる時間を計測したところ、PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDは219.13秒、USB 3.2 Gen 2接続外付け2TB SSDは240.31秒と、前者のほうが21.18秒速かった。

 ベンチマークソフトや、コピー&ペーストに比べると差は縮まっている。しかし、取り扱う写真の枚数が増えれば、積もり積もって大きな違いとなる。また、実際にプレビュー操作した感想としても、USB SSDだと数値以上にモッサリ感を体感した。PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDなら生産性が向上するのは間違いないと言えよう。

100枚(計12GB)のRAWファイルを「フォト」アプリでプレビュー表示するのにかかる時間は、PCIe Gen 4 x4接続2TB SSDのほうがUSB 3.2 Gen 2接続外付け2TB SSDよりも21.18秒速かった

 速度以外にも本体内蔵超高速SSDのメリットは大きい。外付けのUSB SSDや、SDメモリーカードに保管する運用だと、撮影現場に持っていくのを忘れてしまったり、ストレージを紛失してしまうという懸念がある。いずれも実際の写真家に聞いた話だ。筆者自身もモバイルストレージを持っていくのを忘れて、急遽、現地近くのコンビニで、当座をしのぐためにUSBメモリを購入したことがある。

 また昨今ではカメラをUSBケーブルやWi-Fi経由で接続した「テザー撮影」において、カメラ内ストレージと同時にノートPCのストレージに直接保存することも多い。となると読み書き速度だけでなく、容量も重要となるわけだ。

 今ではPCIe Gen 4 x4接続SSD搭載ノートPC自体は珍しくない。しかし、前述の通り、メーカーによっては2TBモデルはグッと高くなる。またDAIV R6-I7G60SR-Aには合計3基のPCIe Gen 4 x4接続対応スロットが用意されており、2TB+2TB+2TBのトリプルストレージ環境も構築可能。大容量ストレージを安価に装備したいという方に、「DAIV R6-I7G60SR-A」は魅力的な製品と言える。

写真編集に最適なハイスペックモバイルノートPC

 それではDAIV R6-I7G60SR-Aの購入を検討している人に製品を紹介していこう。本製品はクリエイター、特に写真家を対象にした16型モバイルノートPC。OSはWindows 11 Home、CPUはCore i7-13650HX(14コア[6P+8E]、20スレッド、最大4.90GHz)を採用。また、GPUにNVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載。ハイパフォーマンスノート向けのCPU、外部GPUを組み合わせることで、GPU支援を受けられるアプリで高い処理性能を発揮可能だ。

キーボード面はシルバーカラー
本体天面。クリエイター向けPCであることを示す「DAIV」のロゴが刻まれている
本体底面。内部には3つのファンが内蔵されており、CPU、GPU、メモリを集中的に冷却し、長時間ピークパワーを維持できるように設計されている

 メモリは標準で32GB(DDR5-4800)、ストレージは1TB(PCIe Gen 4 x4接続)SSDを搭載。カスタマイズ購入時にメモリは64GB、ストレージは前述の通り2TB+2TB+2TBのトリプル構成を選択できる。

 ディスプレイはWQXGA解像度(2,560×1,600ドット)で、クリエイター向けらしく色域はDCI-P3 100%と広い。その上、リフレッシュレートも最大240Hzが確保されている。ディスプレイ上部には200万画素のWebカメラを内蔵。スピーカーはDolby Atmos対応だ。仕事だけでなく、最新の3Dゲームや、映画やMV鑑賞など、オールラウンドに活用できるオーディオビジュアル機能を備えていると言えよう。

16型WQXGA液晶ディスプレイ(2,560×1,600ドット、189ppi、16:10、240Hz、DCI-P3 100%、Dolby Vision対応、非光沢)を搭載

 インターフェイスは豊富に用意されており、背面にGigabit Ethernet、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DP Alt対応)、右側面にUSB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 2 Type-C(PD対応)、左側面にUSB 3.2 Gen 1、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5をサポートしている。

 背面のHDMIとUSB 3.2 Gen 2 Type-Cからは2台の外部ディスプレイに映像出力可能で、右側面のUSB 3.2 Gen 2 Type-Cでは100W以上を出力可能なUSB Power Delivery対応機器から給電できる。コンパクトなUSB Power Delivery対応機器を用意すれば、携帯する荷物を軽量化可能だ。

左側面
USB 3.2 Gen 1、3.5mmコンボジャックを装備
右側面
USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Type-C(PD対応)を装備
背面
Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DP Alt対応)を装備

 キーボードはテンキー付きのJIS配列。キー数は104キー、キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.3mm。バックライトは1ゾーン設定対応のRGB LEDタイプで、キー全体で色と明るさを変更可能だ。

 「¥」キー以外の文字キーはすべて等幅に揃えられており、Enterキーとテンキーの間隔はほかのキーより広げられている。キーボード面の剛性は高く、タッチパッドのクリック感も軽い。パームレストも広く、しっかりと手首を預けられるので、長時間の文字入力も快適なキーボードだ。

キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.3mm
バックライトも装備

 本体サイズは約361×259×27.5mm、重量は約2.37kg。設計容量51,528mWh、フル充電容量49,035mWhのバッテリを内蔵しており、駆動時間は動画再生時で約2.5時間、アイドル時で約3時間と謳われている(JEITA 3.0測定法)。

製品名DAIV R6-I7G60SR-A
OSWindows 11 Home
CPUCore i7-13650HX(14コア[6P+8E]、20スレッド、最大4.90GHz)
GPUGeForce RTX 4060 Laptop GPU
メモリ32GB DDR5-4800 SO-DIMM
ストレージ1TB PCIe Gen 4 x4接続SSD
ディスプレイ16型WQXGA液晶パネル(2,560×1,600ドット、189ppi、16:10、240Hz、DCI-P3 100%、Dolby Vision対応、非光沢)
通信機能Wi-Fi 6E、Bluetooth 5
インターフェイス背面: Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-C(DP Alt対応)
右側面: USB 3.2 Gen 2、USB 3.2 Gen 2 Type-C(PD対応)
左側面: USB 3.2 Gen 1、3.5mmコンボジャック
Webカメラ200万画素
バッテリ容量設計容量: 51,528mWh、フル充電容量: 49,035mWh
バッテリ駆動時間動画再生時: 約2.5時間、アイドル時: 約3時間
付属ソフトマカフィーリブセーフ(60日体験版)
サイズ約361×259×27.5mm
重量約2.37kg
本体カラーシルバー
価格27万9,800円より

3基の冷却ファンでCPU、GPUの性能を最大限に発揮

 最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。ユーティリティでパワーセッティングを「パフォーマンスモード」、ファンセッティングを「最大」に設定して、ベンチマークを実施している。

CPUはCore i7-13650HX
GPUはGeForce RTX 4060 Laptop GPU
「HWiNFO 64 Pro」で取得したシステムの概要
ベンチマークはパワーセッティングを「パフォーマンスモード」、ファンセッティングを「最大」に設定して実施している

 まずCPU性能については、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は20,100pts、CPU(Single Core)は1,860pts。「CINEBENCH 2024」のGPU(System Requirements)は10,779pts、CPU(Multi Core)は1,103pts、CPU(Single Core)は112pts。この結果から判断すると、本製品はCore i7-13650HXの性能を最大限に発揮できていると言える。

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は20,100pts、CPU(Single Core)は1,860pts。「CINEBENCH 2024」のGPU(System Requirements)は10,779pts、CPU(Multi Core)は1,103pts、CPU(Single Core)は112pts

 3Dグラフィックス性能は、「3DMark」のPort Royalが5,945、Time Spyが10,964、Fire Strikeが24,631、Wild Lifeが56,393。「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1,920×1,080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは28,997(非常に快適)、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(1,920×1,080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは23,770(非常に快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」(標準品質、1,920×1,080ドット、フルスクリーン)のスコアは14,992(非常に快適)を記録した。

 3DMarkの推定ゲームパフォーマンス(Estimated game performance)を見てみると、「Battlefield」が1440p Ultraにおいて95~100fps以上で動作すると表示されている。GeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載しているだけに、最新の3Dゲームもハイフレームレートでプレイできるだけの3Dグラフィックス性能を備えている。もちろんこのGPUの性能は、クリエイティブ系アプリでも恩恵を受けられる。

「3DMark」のPort Royalは5,945、Time Spyは10,964、Fire Strikeは246,31、Wild Lifeは56,393
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1,920×1,080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは28,997(非常に快適)、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(1,920×1,080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは23,770(非常に快適)
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」(標準品質、1,920×1,080ドット、フルスクリーン)のスコアは14,992(非常に快適)

 クリエイティブ系アプリの性能を示す「UL Procyon」のPhoto Editing Benchmark scoreは6,986、Image Retouching scoreは7,433。これはどちらも高いスコアであり、RAW画像の現像、多数のレイヤーを含む画像編集、4K動画の編集などを快適にこなすことが可能だ。

「UL Procyon」のPhoto Editing Benchmark scoreは6,986、Image Retouching scoreは7,433

 「PCMark 10」の総合スコアは7791、Essentialsは10,573、Productivityは9,969、Digital Content Creationは12,177を記録した。「PCMark 10」の指標と比較すると、「Gaming PC(2023)」と「Gaming laptop(2023)」の間に位置しており、2025年においても高い総合性能を備えていると言えよう。

「PCMark 10」の総合スコアは7,791、Essentialsは10,573、Productivityは9,969、Digital Content Creationは12,177

 バッテリ駆動時間については、パワーセッティングを「バランスモード」、ファンセッティングを「自動」、ディスプレイ輝度を50%に設定した状態で、「PCMark 10」のPCMark 10 Modern Office Battery Lifeを実行したところ、2時間42分という結果となった。長時間外出先で利用する際には、ACアダプタやモバイルバッテリなどを活用したほうがいいが、ちょっとした作業ならバッテリだけでもこなせる。

「PCMark 10」のPCMark 10 Modern Office Battery Lifeは2時間42分(パワーセッティングを「バランスモード」、ファンセッティングを「自動」、ディスプレイ輝度を50%に設定)

高速SSDと充実スペックで写真編集を快適にする「DAIV R6-I7G60SR-A」

 DAIV R6-I7G60SR-Aは、写真家にとって特にオススメのモバイルノートPCだ。PCIe Gen 4 x4接続SSDならではのハイパフォーマンスは、ベンチマークソフトと、実際のプレビュー表示においても確認できた。プロクリエイター向けとしては標準価格が抑えられており、安価に本体内に大容量ストレージを搭載できるのも大きなアドバンテージだ。

 また、高性能CPU、GPU、高画質&高速ディスプレイ、豊富なインターフェイスなどを備えており、クリエイティブワークだけでなく、3Dゲームや映像鑑賞などのエンターテイメント用途にも活用できる汎用性を備えているのもメリットだ。

 本製品は、写真編集作業の効率とクオリティーを向上させたいと考えている写真家にとって、魅力的な選択肢と言えるだろう。また、本製品のメモリやSSD容量を減らして安価にしたモデルや、GPUにGeForce RTX 4050 Laptop GPU、あるいはGeForce RTX 4070 Laptop GPUとCPUにCore i9-13900HXを搭載したモデルも用意されている。

DAIV R6-I7G50SR-Aの下位モデル上位モデル
DAIV R6-I9G70SR-Aの下位モデル上位モデル