トピック
なぜRyzenノートを選んだほうがいいのか?CPUだけでなくトータルで強いRyzen AI 300について知っておくべきこと
~旧世代製品との比較検証も実施
- 提供:
- 日本AMD株式会社
2024年9月28日 06:30
画像や文書の生成、リアルタイム翻訳など、AIを活用した便利なアプリやサービスが増えている。それだけにAI処理に特化したプロセッサ「NPU」を内蔵するCPUに注目が集まっている。 しかし、最新のノートPC選びにおいて重要になるのは、CPU/GPU/NPUそれぞれの性能がバランスよく整っていること。
そうすることでオフィスワーク、クリエイティブワーク、ゲーム、AI処理など、どんな作業でも快適に行なえるようになる。 AIだけに特化していてもだめなわけで、それらを高いレベルでまとめ上げているのが、AMDから新たに登場した「AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサ」である。
CPU/GPU/NPUとも前世代から大幅に性能向上でどんな処理にも強い
AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサは、高性能なCPU/GPU/NPUを組み合わせた最新モバイル向けSoC(System on a Chip)だ。現在のところ、次の表のようなモデルが用意されている。
AMD Ryzen™ AI 9 HX 375 | AMD Ryzen™ AI 9 HX 370 | AMD Ryzen™ AI 9 365 | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Zen 5(4nm) | Zen 5(4nm) | Zen 5(4nm) |
Zen 5コア数 | 4 | 4 | 4 |
Zen 5cコア数 | 8 | 8 | 6 |
スレッド数 | 24 | 24 | 20 |
定格クロック | 2.0GHz | 2.0GHz | 2.0GHz |
最大ブーストクロック | 5.1GHz | 5.1GHz | 5.1GHz |
2次キャッシュ | 12MB | 12MB | 10MB |
3次キャッシュ | 24MB | 24MB | 24MB |
対応メモリ | DDR5-5600/LPDDR5X-7500 | DDR5-5600/LPDDR5X-7500 | DDR5-5600/LPDDR5X-7500 |
PCI-Express | Gen 4 16レーン | Gen 4 16レーン | Gen 4 16レーン |
TDP | 28W | 28W | 28W |
内蔵GPU | AMD Radeon™ 890M(16CU) | AMD Radeon™ 890M(16CU) | AMD Radeon™ 880M(12CU) |
NPU性能 | 55TOPS | 50TOPS | 50TOPS |
CPUの特徴
まずCPUについて説明しよう。 AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサは、最新世代のZen 5アーキテクチャが採用されており、Zen 5コアとZen 5cコアの組み合わせとなっているのが大きな特徴だ。
それぞれ3次キャッシュの容量が異なり、Zen 5は4コアで16MB共有、Zen 5cは8コアで8MB共有となる。キャッシュ容量の少ないZen 5cによってより多くのコア実装が可能になり、TDP 28Wのモバイル向けながら最大12コア24スレッドを実現。高いマルチスレッド(並行処理)性能を備えている。
GPUの特徴
GPUは、RDNA 3.5を採用するAMD Radeon™ 800M シリーズを実装。AMD Ryzen™ AI 9 HX 370 のCU(Compute Unit)数はAMDのCPU内蔵型としては最大級の16基を備えている。
モバイル向けのAMD Ryzen™ シリーズは、CPU内蔵型の中では高い3D性能で持っており、ポータブルゲーミングPCでの採用例が多いこともそれを裏付けている。今回のAMD Ryzen™ AI 300ではそれをさらに強化。より多くのゲームを快適にプレイできるようになった。
NPUの特徴
AI処理向けのNPUには、XDNA 2を採用。処理性能はAMD Ryzen™ 7040/8040 シリーズ世代搭載のXDNAが10TOPSまたは16TOPS(1秒間に10兆回の演算)だったのに対して、50TOPSと大幅に性能向上を果たした。
AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサは、40TOPS以上の性能を求めるMicrosoftの「Copilot+ PC」の要件を満たしているのが最大のポイントで、今後無料のWindowsアップデートにて画像生成やリアルタイム翻訳などNPUを活用したさまざまなアプリが提供される予定。
ちなみにCopilot+ PCとは、NPUによってローカル(PC上)で高速なAI処理が可能なPCに与えられる認証だ。
AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサを性能検証
続いて、AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサの性能差についてテストしてみよう。
AMD Ryzen™ AI 9 HX 370 に対して、AMD Ryzen™ AI 9 365 は、Zen 5cが2コア、内蔵GPUが4CU少なくなる。これがどこまで性能に影響するのか?AMD Ryzen™ AI 9 HX 370 はASUSの「ROG Zephyrus G16 (2024) GA605」、AMD Ryzen™ AI 9 365 はレノボの「Yoga Pro 7 Gen 9 14.5型(AMD)」を使用した。これらの機種はこの後で紹介するので、そちらもご覧いただきたい。
CGレンダリングでシンプルにCPUパワーを測定するCinebench 2024では、マルチコアでAMD Ryzen™ AI 9 365 が約18%スコアダウンと2コア少ない分がそのままスコアに出ている。どちらも動作クロックは同じということもあり、1コア単位の性能を見るシングルコアのスコアは変わらなかった。
続いて内蔵GPUを見てみよう。3Dベンチマークの「3DMark」、人気FPSの「Apex Legends」を試した。Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。
CUが少ないAMD Ryzen™ AI 9 365 だが、最大で5%程度と今回のテストでは性能差はそれほど大きくなかった。Apex LegendsでもフルHDかつ低画質設定だが、平均143.5fpsと高いフレームレートを記録しており、どちらのモデルも内蔵GPUとしては最高クラスのゲーミング性能を持っていると言ってよい。AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサは、ビジネスもAIもゲームもこなせる“汎用力”に優れたSoCだ。
有機EL&高解像度のモバイルノート
レノボ「Yoga Pro 7 Gen 9 14.5型(AMD)」
ここからは、実際にAMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサを搭載するノートPCを紹介していこう。まずは、レノボ「Yoga Pro 7 Gen 9 14.5型(AMD)」だ。
Yoga Pro 7 Gen 9 14.5型(AMD)は、AMD Ryzen™ AI 9 365 を採用する14.5型のノートPC。LPDDR5X-7500の高速メモリを32GB搭載、ストレージには1TBのNVMe SSD、高い色の再現性が求められるDCI-P3規格カバー率100%のOLED(有機EL)ディスプレイと高いスペックでまとめられている。
そのほかのスペックは、サイズが約325.5×226.49×16.6mmで重量が約1.54kg。ワイヤレス機能はWi-Fi 6EとBluetooth 5.3に対応する。
早速、AMD Ryzen™ AI 9 365 の実力をチェックしていきたい。比較対象としてCPUに旧世代のAMD Ryzen™ 5 7530U (6コア12スレッド)を搭載する同じくレノボの「IdeaPad Slim 5 Light Gen 8(AMD)」を用意した。こちらは1年半前に登場したモデルだ。
次のCinebench 2024の結果からCPUパワーの差は明らかだ。AMD Ryzen™ 5 7530U は2世代前のZen 3アーキテクチャを採用しており、コア数の違いに加えて世代差もある。シングルコアのスコアを見れば、AMD Ryzen™ AI 300 シリーズ プロセッサの基本性能がいかに優れているのか分かるところだ。
PCの基本性能を見る「PCMark 10」も見てみよう。
Web会議やWebブラウザを中心としたEssentialsや表計算、文書作成のProductivityはそれほどスコア差ではないが、CPU/GPUパワーが大きく関わる写真や映像編集のDigital Content Creationは2倍以上の差となった。負荷の高い処理ではAMD Ryzen™ AI 9 365 のほうが圧倒的に快適なのが分かる結果だ。
バッテリ駆動時間も確認しておこう。電源モードは「バランス」、輝度は50%、キーボードバックライトはオフにして「PCMark 10 Modern Office battery life」を実行した。バッテリ残量が99%から3%まで約10時間57分も駆動。AMD Ryzen™ AI 9 365 のTDPは28Wと特別低消費電力のSoCではないが、十分なバッテリ駆動を実現している。
スリムでシンプルカッコイイゲーミングノート
ASUS「ROG Zephyrus G16 (2024) GA605」
次にAMD Ryzen™ AI 9 HX 370 を採用するASUSのゲーミングノートPC「ROG Zephyrus G16 (2024) GA605」を紹介しよう。
GPUにGeForce RTX 4070 Laptop GPUを採用、メモリはLPDDR5X-7500が32GB、ストレージは1TBのNVMe SSD、ディスプレイは16型で2,560×1,600ドットのOLED(リフレッシュレート240Hz)というハイエンド構成。それで厚さ約14.9mmのスリムボディと、持ち運びやすいサイズを実現しているのが特徴だ。
そのほかのスペックは、サイズが約354×246×14.9~16.4mmで重量が約1.85kg。ワイヤレス機能はWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応する。
実力チェックに移ろう。独自ユーティリティのArmouy Crateで動作モードは最上位の「Turbo」、GPUモードも最上位の「Ultimate」に設定して実行している。まずは、3DMarkから。
GeForce RTX 4070 Laptop GPUのアベレージにほぼ到達しており、性能をしっかりと引き出せている。特にCPUのテストも含まれるFire Strikeでは、AMD Ryzen™ AI 9 HX 370 のパワーが生きて優秀なスコアになっている。
続いてゲームから「サイバーパンク2077」と「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」を試そう。サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を利用した。
サイバーパンク2077は、アップスケーラーとフレーム生成を組み合わせたGeForce RTX 40シリーズだけで使える描画負荷軽減技術の「DLSS 3」に対応していることもあって、レイトレーシングを効かせた高画質設定でもWQHDまで快適にプレイできるフレームレートを出している。
FF14も同様で、WQHDで平均83fps、スコアだと11,497で「とても快適」という評価だ。多くのゲームがWQHDまで快適に遊べる性能があると言ってよいだろう。
では、AMD Ryzen™ AI 9 HX 370 の内蔵GPU「AMD Radeon™ 890M」に切り換えるとどうなるのかも試しておきたい。Armouy CrateでGPUモードを切り換えることで、内蔵GPUでの動作も可能だ。
3DMarkを見てみよう。
GeForce RTX 4070 Laptop GPUの3分の1程度になる。これが性能の目安と言ってよいだろう。それでも内蔵GPUとしては高いスコアだ。実際のゲームではどうか。サイバーパンク2077とファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークを実行する。
サイバーパンク2077は画質プリセットが一番下の「低」ではあるが、フルHDでも平均65.6fpsと十分快適に遊べるフレームレートが出ている。
FF14もフルHDで平均54.9fps、スコアでは8,102で快適という評価だ。
もう1つ、Apex Legendsも試そう。
フルHDならば、最高画質設定でも平均78.2fpsとかなり高いフレームレートを出している。低画質に下げれば平均151fpsまで向上。240Hzの高リフレッシュレートをより生かせるようになる。内蔵GPUでここまでのフレームレートを出せるのはスゴイことだ。
55TOPSのNPU性能を発揮する
HP「OmniBook Ultra 14 AI PC」
最後はスリムかつパワフルな14型ノートPCのHP「OmniBook Ultra 14-fd」を紹介しよう。試用機はAMD Ryzen™ AI 9 HX 370 を採用していたが、NPU性能が55TOPSと5TOPS分高いAMD Ryzen™ AI 9 HX 375 搭載モデルも用意されている。
14型のタッチ対応ディスプレイで解像度は2,240×1,400ドットと高い。メモリはLPDDR5X-7500が32GB、ストレージは1TBのNVMe SSD、グラフィックス機能は内蔵のAMD Radeon™ 890Mを使用している。
そのほかのスペックは、サイズが約315×227×16.4mmで重量が約1.57kg。ワイヤレス機能はWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応する。
OmniBook Ultra 14-fdはNPUを活用したカメラ拡張機能の「Poly Camera Pro」を用意しているのがポイント。自動的に顔を追従するフレーミング、背景をぼかしたり、差し替えたりできる画像補正、輝度や彩度、コントラストなどの画像調整といった機能をNPUで処理できる。
Poly Camera ProはZoomなどのWeb会議アプリのカメラとして設定できるので、CPUやGPUに負荷をかけずにWebカメラの映像処理を行なえるのが強みだ(Zoomの背景ぼかし機能などはCPUパワーを使う)。
AMD Ryzen™ AI は、CPU/GPU/NPUを複合的に使用して高いAI処理性能を実現するものだが、それを画像生成で手軽に体験できるのが無料で公開されているAMD Ryzen/Radeon向けの「Amuse 2.1.0 Beta」だ。文字を打ち込んで画像を生成する「Generate」や用意した画像から別の画像を生成する「AI Filters」、手書きのイラストから画像を生成する「Design」といった機能が用意されている。主にGPUを使って処理するが、CPUやNPUの駆動も確認できた。
AMD Ryzen™ AI は多くのソフトメーカーが協力を表明しているが、すでに実装されているものもある。代表的なのが、Adobeの動画編集アプリ「Premiere Pro」だ。「シーン編集の検出」や縦横比変更時に映像のサイズを自動調整する「オートリフレームシーケンス」、ソースメディアからの「文字起こし」はAMD Ryzen™ AI に対応しており、スピーディーに処理を行なえる。