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この冬、フルHDを卒業するっ!WQHD解像度のハイレベルゲーミングモニタBenQ「MOBIUZ EX270QM」がPCもPS5も変える

~240Hz&HDRiでフルHD液晶以上の映像体験を楽しむ

 極端な半導体不足の解消、マイニングブームの沈静化によって長らく市場に品薄感のあったビデオカードが潤沢に流通するようになった。中でもアッパーミドルからミドルレンジクラスのビデオカードは流通量が増えるに従って価格も徐々に下がり、ガチのゲーマーはもちろん、カジュアルにゲームを楽しみたい層にとってもPCをパワーアップする好機となっている。

 ゲーミング環境の強化という点で、合わせて“ゲーミングモニター”の導入や更新を考えている人もいるだろう。ガチ勢なら「超高リフレッシュレート&高速応答」の一択だろうが、ゲームが快適にプレイできるのはもちろん、映像コンテンツを楽しんだり、仕事の効率や普段使いのしやすさも重視したいなど「汎用性」を求める人も多いハズ。

 そこで注目したいのが、BenQのゲーミングモニターシリーズ「MOBIUZ」から新たに発売された「MOBIUZ EX270QM」だ。ミドルレンジのビデオカードでも高フレームレートを出しやすく、普段使いもしっかり快適になるWQHD解像度、競技性の高いアクションシューターでのプレイフィール向上が期待できる高速リフレッシュレート、AAAタイトルのプレイや動画視聴でワンランク上の映像体験が堪能できる画質&映像表現と、まさに“オールレンジに強い”汎用性の高さがウリ。遊びも仕事も充実させてくれる1台となっている。

ポイントその1「扱いやすいゲーミング性能」。WQHD/240Hzならハードル低め!

 まずは“ゲーミング性能”から見ていこう。本機の27型サイズで、解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)、リフレッシュレートは240Hz、応答速度は1ms(GtG/MPRT)。WQHD以上の製品としてはトップクラスの高いスペックだ。特にリフレッシュレートは、WQHDで240Hzまで対応しているものはまだ少なく、「高リフレッシュレート液晶が欲しいけど、普段使いも視野に入れるとフルHD解像度では物足りない」という人なら、このスペックのバランスだけでも選択肢に入るのではないだろうか。

27型ゲーミングモニター「MOBIUZ EX270QM」。WQHD解像度の“ちょうどよさ”が魅力

 ハイエンドのゲーミングモニターでは、“フルHDで超々高速”という競技性の強い製品とは別に、“4K解像度でリフレッシュレート144Hz対応”という映像美にも滑らかさにも妥協したくない、という性格の製品も注目されている。ただ、4Kで高フレームレートを出すためにはかなりのハイスペックなPC環境が求められる。

 その点、WQHD/240HzならミドルレンジGPUでも達成しやすい。また、WQHDであれば、描画負荷の高いAAAタイトルでも快適にプレイするための目安である“平均60fps”を超えるフレームレートを出しやすく、液晶の性能を活かしやすいのも大きなポイントだ。

 そこで今回は、実際にCore i5-12600KとGeForce RTX 3060というミドルレンジ構成のPCを用意。ベンチマークテスト結果からこのクラスのPCに適した設定を探りつつ、テスト実行中の映像の動きやテストプレイの感触を確認してみた。

【検証環境】
CPUIntel Core i5-12600K(10コア16スレッド)
マザーボードIntel Z690搭載マザーボード
メモリDDR5-4800メモリ 32GB
(PC5-38400 DDR5 SDRAM 16GB×2)
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 3060搭載カード
SSDM.2 NVMe SSD(PCI Express 4.0 x4、1TB)
×2(システム用、データ用)
CPUクーラー簡易水冷クーラー(36cmクラス)
電源ATX電源(1,000W、80PLUS Gold)
OSWindows 11 Pro

 まずは、定番FPSの「レインボーシックス シージ」と「Apex Legends」見てみよう。どちらも解像度はWQHDにして、2種類の画質設定を試す。レインボーシックス シージはゲーム内のベンチマーク機能を使用、Apex LegendsはApex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

レインボーシックス シージのフレームレート計測結果
Apex Legendsのフレームレート計測結果

 レインボーシックス シージはWQHDなら最高画質でも平均288fps、最小でも249fpsと240Hzのリフレッシュレートを活かし切れるフレームレートを出せる。Apex Legendsも最高画質で平均196.3fpsと十分に高く、画質を中程度まで落とせば平均267.9fpsとこちらも240Hzを活かせるフレームレートに到達できる。

 実際にテストプレイしてみると、どちらのゲームもプレイフィールは軽く、映像の動きは標準的な60Hzの液晶に比べるとなめらか。競技性の高いアクションシューターでは、高速液晶&高リフレッシュレートは対戦プレイ時の武器になってくれる。

 次は描画負荷が最重量級ゲームの一つ「サイバーパンク2077」を試そう。ゲーム内のベンチマーク機能を使用してフレームレートを計測している。

サイバーパンク2077のフレームレート計測結果。DLSSを使うか否かで大きく結果が変わる

 ミドルレンジ構成でも、WQHDであれば、描画負荷を大幅に下げることが可能な技術であるDLSSを活用することで、最高画質設定の「レイトレーシング:ウルトラ」でも平均70.2fpsと快適にプレイできるフレームレートを出せる。レイトレーシングを使わない最高画質設定の「ウルトラ」なら、平均103.9fpsと滑らかな描画でプレイを楽しめる。映像美もキモのゲームなので、レイトレ、DLSS、後述するカラーモードやHDRiを活かして遊んでみたいところだ。

 本作のような、シングルプレイがメインで映像美も楽しみたいタイトルの場合、WQHDというフルHDを上回る高解像度かつ高画質設定の環境は満足度が高い。さすがに144fps超のフレームレートは厳しいが、平均で100fpsを超えてきているので、映像の動き自体もスムーズだ。

 また、画面ズレのテアリングや画面がカクつくスタッタリング対策の「可変リフレッシュレート」(VRR)にも対応している点もうれしいポイント。VRRには複数の規格が存在するが、本機は低フレームレート時でも滑らかに表示するLFC(Low Framerate Compensation)機能の搭載、低い入力レイテンシー、広色域と高輝度などさまざまな条件を満たす必要があるFreeSync Premium Proに認定とeスポーツ系もグラフィックス重視のオープンワールド系も快適に楽しめる環境が整っている。

 NVIDIAのVRR技術であるG-Sync Compatibleへの対応はうたわれていないが、筆者が試す限り、問題なく有効にでき、テアリングを抑えることができていた。

G-Sync Compatibleへの対応はうたわれていないが、問題なく動作した

 BenQのゲーミングモニターは、映像の印象/クオリティを決定付ける「カラーモード」のプリセットの作り込みのレベルが高く、実用的だ。ゲームのジャンル別にプリセットが用意されており、「FPS」では暗部を持ち上げるBlack eQualizerが自動的に有効になり、輝度もアップして全体を明るくする。「RPG」では画面の明暗を調整するLight Tunerが自動有効になり、明るさは控えめながらメリハリの効いた色調整となり、雰囲気アップ&長時間のプレイでも目が疲れにくくなる印象、「レーシングゲーム」ではLight Tunerと輝度を明るめに調整し、迫力と細部の見やすさをバランスよく調整する。ゲームのプレイフィールの向上、あるいは世界観の補強に役立つものなので、積極的に使ってみて損はないだろう。

 このほか、カラーモードではクリエイティブ系の作業を意識した、色域をsRGBにする「sRGB」、MacBookの色味に近くする「M-book」といったプリセットもある。本機の汎用性の高さを示す特徴の1つだ。

カラーモードを「FPS」にすると自動的に暗部を見やすくする「Black eQualizer」が有効になる
カラーモードの「RPG」ではLight Tunerを「-3」に設定し、メリハリを効かせながらもやや暗めの雰囲気重視の絵作りになる

ポイントその2「独自のHDRi技術」。マルチに使える広色域&DisplayHDR 600の美麗な画面

 映像の表現力も高さも本機の大きな強みだ。IPSパネルを採用し、上下左右とも178度の広い視野角を持つことに加え、PCで一般的に用いられるsRGBよりもさらに広い色域を持つデジタルシネマ向けのDCI-P3を98%カバーと、色の再現力も非常に高い。

 さらに、PC向けのHDR規格となる「DisplayHDR」においては、広い色域、最小ピーク輝度600cd/平方m、最大黒レベル輝度0.1cd/平方mと高い明暗の表現力などの高いハードルをクリアする必要がある「DisplayHDR 600」認証を取得。液晶が苦手とする黒の表現にも強く、より明暗のハッキリした映像を楽しめる。

 HDRは、大作ゲームでのサポートが増えたほか、動画配信サービスでも対応が進展。Windows 11ではHDRを有効にしても極端な色味の変化がなくなって、常時有効にしても使いやすくなり、HDR非対応ゲームでもHDR化できる「自動HDR」も備わった。PC環境においても、HDRの時代は確実にやって来ている。

HDRに対応。Windows 11なら自動HDRも備えている
自動HDRを有効にできるゲームは起動時にポップアップが表示される

 さらにBenQでは、独自の「HDRi」技術によって、HDRコンテンツをより楽しめるにようになっている。HDRiは通常のHDRよりも明瞭さ、ディティール、色の効果を強化するのに加え、周囲の照明環境を感知して自動的に映像コンテンツの明るさを制御し、つねにベストな状態で視聴できるというもの。

 本機では2種類の独自プリセットが用意されており、「ゲーム HDRi」では、色のコントラストを強調しつつも明るくしすぎてディテールがつぶれてしまわないように視認性を重視、「シネマ HDRi」では明暗をよりハッキリさせて映像美を引き出すとコンテンツに合わせたこだわりの調整が行なわれている。HDRiにはエミュレート機能があり、非HDRコンテンツでも明暗の効いた映像が楽しめるのもポイントだ。

 ゲーミングモニターでも、最近はHDR対応製品が増えているが、本機のものよりワンランク下になる「DisplayHDR 400」認証の製品が多い。よりハイレベルな黒の表現力が求められる「DisplayHDR 600」では、明暗を際立たせるHDRコンテンツのよさを引き出してくれるため、その効果は絶大だ。HDRの美しさは写真は映像では伝えきれないので、ぜひとも実機で体験してほしい。夜景の映像などを見ると「これはいい」と思えるハズだ。

HDRiでは「ゲーム HDRi」と「シネマ HDRi」、コンテンツ別の独自プリセットを用意
HDRiの切り換えは、正面右下のボタンで手軽に行なえる

ポイントその3「treVoloスピーカー」。ゲームも動画も良質のサウンドで楽しめる

 ディスプレイに搭載されているスピーカーは「とりあえず鳴る」程度で、音質にこだわっているものは数少ない。しかし、本機は2W×2のステレオスピーカーを正面に、さらに背面に5Wのサブウーファーを備える「treVoloサウンドシステム」を採用。高音の音質を改善するTrue Sound技術と力強い低音を再現する独自構造で良質なサウンドを実現している。

背面に5Wのサブウーファーを備える

 実際に音楽を聴いてみると、音の広がり、ステレオ感がしっかりとあるのに驚かされる。eスポーツ系ゲームのガチ勢は少しの音も逃さないためにゲーミングヘッドセットが当たり前だが、気楽な体勢で楽しみたい、ヘッドセットで耳を塞ぎたくない、という人もいるはず。シングルプレイのゲームや映像コンテンツを、別途スピーカーを用意せずに高音質で楽しめるのは、卓上スペースの整理という点でもうれしいところだ。

 映像同様、サウンド設定もプリセットにこだわっている。「シネマ」、「ライブ/ポップ」、「SPG(スポーツ)」、「RCG(レーシング)」、「FPS」とコンテンツ別に5種類のモードを用意。FPSなら足音や銃声など重要な音を際立たせ、RCGなら重低音を効かせた迫力ある音に、「ライブ/ポップ」なら空間を感じさせつつボーカルを引き立てるなどハッキリとした違いを感じさせてくれる。

コンテンツ別に5つのサウンドプリセットを用意

 また、いくらサウンドやカラーモード、HDRのプリセットが充実しても本体のボタンを使って切り替えるのは面倒というもの。その点、本機はリモコンを付属しているので手元で手軽に設定変更ができる。リモコンがあれば、コンテンツに合わせてこまめに切り換えようと思う人も多いハズだ。

音量調整やプリセットの変更などを手元で手軽に行なえるリモコンを付属
OSDメニューは底面のスティックでも操作可能だ

ポイントその4「高機能スタンド&3系統入力」。PS5のWQHD/120Hz表示も良いぞ!

 本機のサイズはスタンド込みで幅609mm、奥行き194.5mm、高さ442.1~552.1mm、重量は7.6kgだ。27型サイズとしてはやや奥行きが長いが、これはスタンドがドッシリして安定感があるため。マウスやキーボードの操作で揺れてしまう華奢なスタンドよりもはるかに実用的だ。また、高さは100mmの範囲で調整可能、下5度/上15度のチルト、左右15度のスイベルも付いており、調整幅も十分。100×100mmのVESAマウントにも対応しているので、モニターアームへの取り付けも行なえる。

高さは100mmの範囲で調整できる
チルトは上15度、下5度だ
左右15度のスイベルも備える。ピボットには非対応
やや奥行きがある分、安定感の高いスタンド。ケーブルを通すための穴もある

 入力端子はHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4×1の3系統だ。Type-Cはないが、自宅のPC、仕事用PC、PS5やNintendo Switchといった家庭用ゲーム機など複数のデバイスを同時に接続でき、リモコンで入力切り換え可能なのは便利なところ。

 PS5は2022年9月のシステムアップデートでWQHD解像度をサポートと、WQHD液晶との親和性が高くなった。現在のPS5はWQHD設定だとVRRが使えず、完全対応まではもう少しという状況ではあるが、本機との組み合わせで120Hz駆動が可能なことは確認できた。PS5で滑らかな描画を楽しみたい人にとってもよきパートナーだ。

HDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4×1の3系統。USBハブ機能も備えている
電源はACアダプタを使用する
PS5はアップデートでWQHD(1440p)解像度に対応。本機との親和性が高くなった
PS5での120Hz駆動も可能だ

 このほか、バックライトのチラ付きをなくすフリッカーフリー仕様をはじめ、ブルーライト軽減や周辺の光量に合わせて輝度と色温度を自動的に調整する「B.I.+」など目に優しい機能も備えており、エンタメ用途だけではなくテレワークにも向いている。

本体の下部に光量などを検知するセンサーを備える
B.I.+によって目に優しい明るさに自動調整してくれる

ミドルレンジ・ゲーミングPCの満足度を一気に高めてくれるハイレベルなWQHD液晶

 PCゲーマーであれば、4K解像度で超高fpsでゲームをヌルヌル動かして遊ぶのは夢ではある。最新のGeForce 40シリーズを搭載したビデオカードを使えばそんな環境も実現は可能だが、そこにはコストやサイズというハードルもある。しかし、WQHD解像度であれば、ビデオカードの性能というハードルはぐっと低くなり、コスト面の負担も下がる。

 今回紹介したMOBIUZ EX270QMは、WQHDのゲーミングモニターとしてはトップクラスのリフレッシュレート240Hzを実現。この仕様はミドルレンジのビデオカードを搭載したゲーミングPCで十分活かすことが可能なものだ。さらに、BenQならではのこだわりが詰まったカラーモードやHDR、サウンドのプリセット、内蔵スピーカーとは思えない高音質、PS5とPCで共用できる入力端子の数と、“エンタメを存分に楽しむ”ための機能を満載する。

 もちろん、基礎性能が高く解像度もフルHDをはるかに上回るので、テレワークで使う場合にも快適。まさに、遊びから仕事まで、汎用性はバツグンだ。全方位に満足度の高い1台を求めているなら、ぜひとも注目してほしい。