トピック

最新ノートが6年前のハイエンドデスクトップを性能で圧倒。本気のクリエイティブノートGIGABYTE「AERO 16」

~大進化した最新世代ノートPCの実力を試してみた!!

古いデスクトップPCから乗り換えても快適な最新高性能ノートPC

GIGABYTE「AERO16」

 ノートPCがすごい勢いで進化している。CPUやGPUの電力効率が大きく進化したことで、かつては考えられなかったような高性能なCPUやGPUを搭載できるようになっている。さらに周辺技術の進化も加速。画面、インターフェース、放熱設計、デザインといった部分にいたるまで、全方位で魅力を増している。

 GIGABYTEから登場した「AERO 16」は、そんな最新の技術を惜しみなく投入されて開発されたプレミアムなノートPCだ。Intelの最新CPUとNVIDIAの最新GPUに加えて、高精細、広色域の有機ELディスプレイ、Thunderbolt 4など先進のインターフェースを搭載。洗練されたデザインの薄型ボディながら、ゲーミングでもクリエイティブ用途でもメインPCとしてバリバリ使えるだけの性能、機能を持つ。

 まさに新しい時代が来たという感じだが、デスクトップPC(タワー型)との比較ではどうだろう? と言うのも、放熱設計ではサイズに余裕があるデスクトップPCのほうがノートPCのほうが有利なので、スペックも高めやすい。そのため、「いくら進化したといっても、何年か前にバリバリのハイエンドパーツで構成したデスクトップPCにはかなわないんじゃないの?」という疑念も湧いてくる。

最新の技術を惜しみなく投入されて開発されたプレミアムなノートPC。Intelの最新CPUとNVIDIAの最新GPUによるパワフルなパフォーマンスに加えて、広色域の有機ELディスプレイ、Thunderbolt 4など先進の装備を持つ

 AERO16のボディは、重量約2.3kg、厚み22.7mmというスリムな設計だ。実際持って見るとガッシリした重厚感はあるのだが、「こんな華奢なPCで、タワー型のデスクトップPCにも性能で余裕で勝てる」という現実はにわかには受け入れ難いほど。というわけで、今回は、AERO16の実機を入手。旧型のハイエンドデスクトップPCとの性能比較も含め、その魅力をじっくりと見ていこう。

CPUは14コア20スレッドの「Alder Lake-H」

 CPUには、Intel最新のCore i7-12700Hを採用している。開発コードネーム「Alder Lake-H」で知られる第12世代Coreプロセッサーの高性能ノートPC向けモデルだ。この世代ではCPUのマイクロアーキテクチャが大きく変わり、パフォーマンス優先のPコアと電力効率優先のEコアを最適に使い分けるハイブリッド構造を採用している。

CPUは「Alder Lake-H」こと第12世代Coreプロセッサーを採用。なかでも高性能ノートPC向けの主力であるCore i7-12700Hを採用する。6コア12スレッドのPコアと8コア8スレッドのEコアで14コア20スレッドというパワフルな仕様となっている

 本製品が搭載するCore i7-12700Hでは、6コア12スレッドのPコアと8コア8スレッドのEコアで14コア20スレッドというパワフルな仕様となっている。

 「14コアといってもPコアは6基だから実質6コア12スレッドでは?」と思う方もいるかもしれないが、高負荷用途でも意外にEコアの戦力は侮れない。これまでのAlder Lakeのテスト結果からすると、従来の構造の10コア20スレッドくらいのパワーは期待してよいだろう。

NVIDIA最新のGeForce RTX 3070 Ti Laptopを搭載

 CPUだけでなくGPUも強力だ。AERO 16では、外部GPUとして、2022年1月に発表されたばかりのNVIDIA GeForce RTX 3070 Ti Laptop(ビデオメモリはGDDR6 8GB)を搭載している。GeForce RTXシリーズは、レイトレーシング専用のRTコア、機械学習に最適化したTensorコアを統合しているため、GeForce GTXシリーズに対するアドバンテージが大きい。

GPUはNVIDIA GeForce RTX 3070 Ti Laptopを搭載。最新のゲームタイトルを高解像度高画質で快適にプレイできる描画性能、AIを活用した超解像処理や特殊効果などクリエイティブでもメリットは大きい。最大グラフィックスパワーは105Wだ

 ゲームにおいては、DXR(DirectX Raytracing)/リアルタイムレイトレーシングに対応した先進タイトルやAIを活用した高画質化機能「DLSS(Deep Learning Super-Sampling)/DLSS 2.0」に対応したタイトルを高画質で快適にプレイできる。

 クリエイティブでも、RTコアによるレイトレーシング高速化を含むGPUレンダリング、Tensorコアの機械学習性能を活用した超解像技術やリフレーム機能、特殊加工など、GeForce RTX 3070 Ti Laptopを搭載していることの恩恵を得られる場面は数多い。

 なお、AERO 16は、NVIDIAが展開するクリエイター向けロゴプログラム「RTX Studio」認定PCでもある。これは、NVIDIA RTXシリーズGPUを活用した高速で安定したクリエイティブ環境が手に入るPCであることを示すもので、GPUはもちろん、CPU、画面、メモリ、ストレージなどの要件も満たしていることを示す。クリエイターの方にとっては安心感が高まる要素の一つだろう。

CPUとGPUのパフォーマンスを用途別に最適化するモードが用意されており、AIで使用アプリを自動で判断して切り換わる。たとえば、ゲームを起動するとGAMING MODEに、Premiere Proを起動するとCREATOR MODEといったように自動でモードが切り換わる。Control Centerユーティリティから手動で設定することも可能だ
Photoshop Lightroom Classicの環境設定画面でも「完全アクセラレーション」が有効になっていることが確認できる。NVIDIAは開発キットを提供してGPUの有効活用を促しており、アドビなどのクリエイティブツールでは年々GPUを有効活用できる処理が追加されており、RTXシリーズGPUを搭載するメリットが大きくなっている

DDR5メモリを採用、SSDはPCI Express 4.0 x4のデュアル構成

 メモリはPC5-38400(DDR5-4800)を採用しており、標準容量は16GB(8GB×2)だ。ストレージはPCI Express 4.0 x4(NVMe)に対応した1TBの高速SSDを2基、合計で2TB搭載している。

 ストレージ性能は、PCの起動やゲームのロード時間の短縮に貢献し、クリエイティブアプリでもストレージを仮想記憶装置(キャッシュ)として利用するだけに使用感の快適さに直結してくる。作業中は頻繁にアクセスするだけに、このように高速ストレージを2基搭載する構成はとくにクリエイティブではメリットが大きい。

 なお、GIGABYTEのノートPCは、パソコンショップアークが公認カスタマイズショップとなっており、保証が有効なままメモリやストレージをカスタマイズしてのオーダーが可能。メモリは最大64GB(32GB×2)まで、ストレージも最大4TB(2TB×2)まで対応可能。保証を有効にしたままカスタマイズしたい方は、アークでの購入を検討するといだろう。

メモリは最新規格のDDR5を採用している
PCI Express 4.0 x4(NVMe)に対応した高性能SSDを2基搭載している
こちらは2基目のSSDの情報表示。型番は2基とも共通だ
システムドライブで計測したCrystalDiskMark 8(ひよひよ氏・作)のスコア。PCI Express 4.0 x4対応SSDの中でもトップクラスの性能を持っている
Dドライブで計測したCrystalDiskMark 8のスコア。Cドライブとほぼ同じスコアだ

高解像度/広色域の有機ELディスプレイ

 画面には、ノートPCで一般的な液晶ディスプレイではなく有機ELディスプレイ(OLED)を採用。液晶ディスプレイはバックライトのシャッターである液晶分子を制御して明るさなどを調整するのに対し、有機ELディスプレイでは画素を構成している有機EL素子自体が発光し、画素単位で高速かつ緻密に制御できる。そのため、階調表現、とくに黒の表現において原理的な優位がある。

 輝度は最大500nit、コントラスト比100万:1、色域はDCI-P3カバー率100%、応答速度1msなど、公開されているスペックも超一流。さらにブルーライトも一般的な液晶ディスプレイに対して70%も削減していると言う。

3,840×2,400ピクセルに対応した16型の有機ELディスプレイを搭載する。最大500nitと明るく、DCI-P3カバー率100%と色域も広い

 なお、アスペクト比は一般的な4K解像度より縦方向が少し長い16:10を採用。表示解像度は3,840×2,400ピクセルで、フルHD(1,920×1,080ピクセル)の約4.4倍もの情報量を表示できる。画素ピッチ約283ppiのいわゆる“Retinaクオリティ”。近くで見てもドットが視認できない精細な表示、そして大きな表示と広い作業領域を両立している。

 カラーマネジメント大手のX-Rite Pantone社のPANTONE認証システムで全品を工場で色校正を行なってから出荷することで、色差(色の微妙な違い)を示す指標である「デルタE」も「1以下」に抑えており、きわめて正確な色再現性を誇る。写真、映像系のプロユースにも向いた仕様と言ってよいだろう。

 さらにVESAが定めるHDR向け有機ELディスプレイの規格である「DisplayHDR 500 True Black」にも対応しており、HDRコンテンツも高レベルの画質で楽しめることが保証されている。

エックスライトのi1 Display Pro/i1 Profilerを用いて作成したICCプロファイルをPhonon氏制作の色度図作成ソフト「Color AC」で表示した。実線が本製品の色域で、点線で示したDCI-P3の色域を大きく上回っている
i1 Display Pro/i1 Profilerの計測結果。黒色輝度は0cd/m。つまりは計測できないほどリアルな「黒」であることを示している

Thunderbolt 4をはじめ、先進の高速インターフェース/高速通信機能を装備

 通信機能はWi-Fi 6E対応無線LAN、Bluetooth 5.2に対応する。Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6を拡張した規格で、ほかの機器で利用されていない6GHz帯を利用することでさらに安定して高速な通信を実現する内容。日本では法整備の関係で現時点では6GHz帯が利用できないが、本年中には利用できるようになる見込みだ。

 インターフェースも先進的な内容。最大40Gbpsのデータ転送、4Kディスプレイ出力などマルチに使えるThunderbolt 4対応のType-Cを2基搭載するほか、USB 3.2 Gen 2対応のType-Cを1基装備している。

左側面。USB Type-C(USB 3.2 Gen 2)とヘッドフォン/マイク兼用端子がある
右側面にThunderbolt 4(Type-C)を2基装備する。一番奥がACアダプタ端子

 すでにノートPCをメインに据えてクリエイティブワークをしているクリエイターも少なくないが、クリエイティブユースでポイントになるのが、Thunderbolt 4の装備だ。クリエイティブユースでは、データの管理用に大容量の内蔵ストレージやリアルタイムプレビュー用のビデオキャプチャカードなどを使っている方も多いだろうが、現在はThunderbolt 3/Thunderbolt 4対応の高速な外付けストレージやビデオキャプチャユニットが普及しており、それらで代用できる。内蔵と違って単に端子に挿すだけなので、より柔軟に、便利な運用ができる。

小型ドック「AERO HUB」。Thunderbolt 4端子に挿して使う
AERO HUBを介して有線LAN、Type-A(USB 3.2 Gen 1)、Mini DisplayPort、HDMIが利用できる

 本機では、Thunderbolt 4に接続して使う「AERO HUB」と呼ばれるドックを同梱しており、これを利用することで有線LAN、Type-A(USB 3.2 Gen 1)、Mini DisplayPort、HDMIなどが利用できるようになる。

AERO HUBはブラックの専用ケースに入っている
ボディに直付けすると片方のThunderbolt 4端子が使えなくなるため、Type-Cの延長ケーブルも同梱している
前面。とくに端子類はない。カメラ部の突起に指がかかりやすく開きやすい
背面。浅いヘアライン加工で仕上げられている
テンキーレスのキーボードを搭載。比較的素直な配置で打鍵感も良好だ。両サイドに2Wのステレオスピーカーを搭載している
キーボードには、白色LEDのバックライトを搭載している
画面の上にWebカメラ、顔認証カメラ、アレイマイクを搭載している。ビデオ会議も快適にできる

洗練されたデザインのスリムなボディ

 ボディは洗練されたデザイン、カッチリとタイトに組まれたビルドクオリティの高さが印象的。アルミニウム合金をCNC切削加工で成形し、AEROの特徴的なロゴをフィーチャーしており、シンプルながらエレガンスを感じる仕上がりだ。

ボディはアルミニウム合金製で非常に剛性感が高い。CNC切削加工で成形され、質感高く仕上げられている
電源ON時は個性的な字体のAEROのロゴが白色LEDで光る

 画面の非表示を極限まで排除した4辺スリムベゼル設計も特徴的だ。16型ながら、従来の15.6型ノートPC並みのフットプリントを実現している。画面以外の要素を極限まで排除しているため、表示されているコンテンツがより一層引き立ち、没入感のある視聴体験ができる。

底部には吸気口がある
ボディサイズは356×250×20mm。試用機の実測重量は約2.3kgだった
ACアダプタは230W仕様。実測835gとかなり重いので、持ち出すには少し覚悟がいる

CINEBENCH R23でデスクトップPC並みの馬力を実証

 ベンチマークテストの結果を見よう。比較対象として、Skylake世代、2015~2016年当時のハイエンドデスクトップPCを再現した自作PCを用意した。CPUはCore i7-6700Kで、4コア8スレッドだ。それぞれの主なスペックは下記の表にまとめている。

【比較用PC(旧世代デスクトップ型)の主な仕様】
CPUCore i7-6700K(4コア8スレッド)
メモリDDR4 SDRAM 16GB(PC4-25600 8GB×2)
ストレージ256GB SSD(M.2、PCI Express 3.0 x4接続)
グラフィックス機能NVIDIA GeForce GTX 970搭載カード
OSWindows 10 Pro 64bit

 マルチスレッド性能の目安になるCINEBENCH R23のCPUスコアは14,320ptsで、比較対象の2.5倍のスコア。前述した推測どおり、10コア20スレッド相当と言える性能がしっかり発揮できている。より近い世代のデスクトップPCで言えば、第11世代のRocket Lake世代のCore i7(8コア16スレッド)に匹敵するくらいのスコアであり、CPUの馬力ではもはやノートPCである不利をまったく感じさせないことが分かる。

 また、シングルスレッド性能の目安であるCPU(シングルコア)のスコアも比較対象を大きく上回っている。こちらはOSの起動や基本操作に効いてくるほか、ビジネスやゲームなどにも影響が出るところだ。

CINEBENCH R23のテスト結果

日常操作から高負荷処理まで圧倒的なパフォーマンス

 総合性能のテストとして、実際のPCの使用感に近い性能評価が可能な「PCMark 10」を実行した。総合スコア(グラフ中の“PCMark 10”)のほかに、Webブラウズ、オンラインショッピング、ビデオ会議などを行なう内容の“Essentials”、表計算やワープロなどのオフィスアプリを使った作業をシミュレートする“Productivity”、写真編集、ビデオエンコード、CGレンダリングなどを含むクリエイティブ系処理を行なう“Digital Content Creation”の項目をグラフに記載しているが、すべての項目で比較対象を上回っている。

PCMark 10のテスト結果

 とくに、CPUやGPUの性能向上による恩恵の大きいDigital Content Creationでは、2倍近いスコアの差が付いており、高負荷な作業でむしろアドバンテージが大きいことを示している。かつてのハイエンドデスクトップPCでも、Windows 11のインストールにも対応できない世代のものとあっては、性能面での差の大きさは歴然だ。

 なお、画面の輝度50%にして実行したPCMark 10のバッテリベンチ「Modern Office Battery Life」によるバッテリ駆動時間は、残量2%までで5時間50分。基本的にはACアダプタを接続して使う製品だが、いざというときでもこれだけ持てば十分だろう。

クリエイティブパフォーマンスも一流

 クリエイティブ系のテストとしては、UL Procyon Benchmark Suiteの“Video Editing”を実行した。このテストはAdobeのPremiere Proを実際に動かし、編集した2種類のプロジェクトをH.264とH.265でそれぞれエンコードを行なうという内容なのだが、スコアは比較対象の1.76倍。こちらも圧倒的だ。

UL Procyon Benchmark Suite/Video Editingのテスト結果

 今回の環境では、同ベンチのLightroom/Photoshopを使用したテスト“Photo Editing”が正常実行できなかったため、写真編集のテストについては、Lightroom Classicを利用して現像したRAWデータの出力時間を計測した。内容は、100枚のRAWデータ(4240万画素)にプリセットの現像パラメータを適用し、長辺3,000ピクセルのJPEG(品質80)に出力する内容だ。こちらも比較対象の約半分の時間で終了しており、クリエイティブ用途でも、旧世代のデスクトップPCを圧倒するパフォーマンスを実証している。

Lightroom Classicのテスト結果

重量級タイトルも高画質でプレイできる3D描画性能

 本機の真骨頂はクリエイティブ用途だが、これだけのスペックのPCであれば、ゲームだってもちろんイケる。ゲーム/3D描画系のテストとしては、まず3DMarkを実行した。結果はご覧のとおりで、DirectX 11ベースのFire Strike、DirectX 12ベースのTime Spyともに比較対象を圧倒。レイトレーシングを活用したDXR(DirectX Raytracing)ベースのPort Royalのスコアも現行のゲーミングデスクトップPCと比べても遜色ない。

3DMark―Fire Strikeのテスト結果
3DMark―Time Spyのテスト結果

 FINAL FANTASY XIV:暁のフィナーレベンチマークでは、フルHDの最高画質で最高評価、Far Cry 6のゲーム内ベンチマークテストでもフルHDの最高画質で最小フレームレート71fps。重量級タイトルもストレスなくプレイできるパフォーマンスを持つことを実証している。

FINAL FANTASY XIV:暁のフィナーレベンチマークのテスト結果
ファークライ6のテスト結果。旧世代環境には過酷過ぎるテストなので、画質設定を大幅に落として実施した

動作音はマイルド、発熱はやや高め

 動作音については、アイドル時は低負荷時は静音動作、クリエイティブワークやゲームなどで高負荷がかかったときにははっきりファンの動作音が大きくなるが、空調などで日常的に存在する程度の動作音にとどまり、驚くような大きな音がするわけではない。

 高負荷な状況が続くとボディは放熱口があるボディ奥側を中心に発熱してくる。手がよく触れるパームレスト部は比較的低い温度ではあるが、じわじわ熱さは伝わってくる。大柄な製品に比べると発熱は大きめで、室温が高い環境で高負荷をかけて作業する場合には、ファンの動作をカスタマイズしたり、ノートPCクーラーなどを利用したりしたほうがよいかもしれない。フラットなデザインなのでノートPCクーラーへの収まりはよいだろう。

FINAL FANTASY XIV:暁のフィナーレベンチマーク(3,840×2,400/最高品質)の最終盤にFLIR ONEで撮影したサーモグラフィ(室温23℃)。厚みのある大柄なノートPCに比べると発熱は大きめだ

生活の質を大きく向上させ、可能性を広げる万能なプレミアムPC

 ベンチマークテストで検証したように、AERO 16のパフォーマンスは超一流。ビジネス、ゲーム、クリエイティブまで、幅広い分野で死角なく、さまざまな用途で快適に活用できる。美しく色再現性に優れた有機ELディスプレイ、Thunderbolt 4、Webカメラ、顔認証カメラの装備など、機能的にも幅広い分野に対応できる万能性を持つ。

 そして、そのパフォーマンス、機能性ともに旧世代のハイエンドデスクトップPCをはるかに上回る。プロユースのクリエイティブで気になる周辺機器の接続などもThunderbolt 4を軸に環境を構築することで、デスクトップPCと遜色ない、むしろより便利に運用できる。これまでハイエンドデスクトップPCを使ってきた方がリプレースする場合でも、パフォーマンス、機能の両面で大きなメリットが得られることだろう。

 コロナ禍であらゆるサービスのデジタル化、オンライン化が進行する中、PCの重要性がますます高まっており、このようなPCがあれば、生活の質が大きく向上することは間違いないだろう。一流のゲーム体験やエンタテイメント体験が与えてくれるインスピレーションがその後の人生を左右するといったようなことも決しておおげさなことではない。

写真編集、動画制作、余暇のゲームまで、幅広い用途をハイレベルにこなす。拡張性も高いので「長く使える」ノートPCと言える

 今回レビューした評価機(XE5-73JP938HP)の実売価格は41万2,500円。カスタマイズオーダーが可能なPCショップ・アークでこの価格で販売されている。さすがに高価ではあるが、内容を考えれば決して高過ぎるということはない。

 実際に本稿のために撮影した写真の処理にも評価機を使ってみたが、ベンチマークテストの結果のとおり、その動作は快適そのものだ。ただ、評価機はメモリが16GB構成だったので、本気でクリエイティブワークにフル活用するならこれを64GBにしてオーダーしたい。こうすれば性能的には向こう5年は戦えるパートナーになり得るだけに、検討する価値は十分にあるだろう。