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ビジネスもゲームも身軽にこなせる、は本当だった。インテルEvo薄型2in1の実力を検証
- 提供:
- インテル株式会社
2020年12月25日 09:50
2020年もすっかり年の瀬だが、今年は多くの人が環境の変化に振り回される1年になったことと思う。とくにビジネスシーンにおいてはそれが顕著で、リモートワークやテレワークといったオフィスを利用しないワーキングスタイルが瞬く間に普及したこともあり、“場所を問わず仕事ができる環境づくり”に対するニーズが大きく高まった。勤め先で拙速にテレワークが推進され、慌てて在宅ワーク向けの環境を構築した、という人も多いのではないだろうか。
広くネットワーク環境が整備され、クラウドストレージも普及している昨今では、常にクラウド上のデータの同期を取りつつ、自宅やコワーキングスペースなど、それぞれの場所に備え付けのパソコンで業務を進めることもそれほど難しくない。一方で、作業効率やセキュリティなどの観点から、常に自分のパソコンを持ち歩きたいという人は依然として多いように思える。その場合、やはりモバイルノートパソコンを用意するのがベストの選択、ということになるだろう。
ビジネス用のモバイルノートパソコンに求めるものといえば、本体の小ささや軽さ、長時間のバッテリ駆動、あるいは洗練された外観などをイメージする人が多いだろう。逆に性能に関しては、とりあえずOfficeスイートアプリが動けばいいといった場合も多く、高性能なマシンを必要とするようなシーンはかぎられる。そのため、ビジネス用途では企業が性能面で妥協したパソコンを用意することもある。
しかし、BYOD(Bring Your Own Device)、つまり私物のパソコンを業務でも利用するようなスタイルであれば、動画やゲームといったエンタメコンテンツも楽しめる“これ1台でOK”な製品が欲しい人は少なくないはずだ。
そんななか、2020年末から製品が登場しはじめた「インテルEvoプラットフォーム」準拠の製品は、ビジネス用途とエンタメ用途、そしてクリエイション用途まで、幅広いニーズにも適う製品が揃っており注目度が高い。コンパクト・軽量で長時間駆動が可能なのはもちろん、先に述べたようなOfficeスイートをキビキビと動かせるだけでなく、従来より高いグラフィックス描画性能により、人気のPCゲームタイトルもプレイでき、4K動画編集をこなせるほどの性能を実現しているからだ。
仕事にもプライベートにも自分のノートパソコンを利用するビジネスパーソンやクリエイター、授業にもエンタメにも使える1台目のノートパソコンを探している学生にとっては、とくに魅力的な選択肢と言えるだろう。
この記事では、Evo準拠のハイエンド2in1であるASUS「ZenBook Flip S UX371EA-HL003TS」(以下、ZenBook Flip S)を例に、その魅力や性能を紹介する。
有機ELディスプレイが魅力のプレミアムノート「ZenBook Flip S」
そもそもインテルEvoプラットフォームとは、インテルが策定した一定の機能・性能要件を満たすモダンなパソコンを認定し、条件に合致したパソコンが対応を謳えるプラットフォームブランドのこと。同様の取り組み自体は以前からあり、「Project Athena」(プロジェクト アテナ)のコードネームで呼ばれてきたが、今年9月に発表された第11世代Coreプロセッサ(Tiger Lake)の投入と同時に名前を変え、正式にブランド化されたわけだ。したがって、対応パソコンが市場に投入されたのはつい最近のことになる。
認定の条件は性能面・機能面まで多岐に渡るのが特徴だ。例を挙げれば、最新の第11世代Coreプロセッサや、それに付随する内蔵GPU「Intel Iris Xeグラフィックス」の搭載、メモリ容量8GB以上、256GB以上のPCIe/NVMe SSD搭載、Wi-Fi 6対応といった基本スペックに加え、スピーカーの音圧レベルや周波数、バッテリ駆動時間、高速充電、迅速な起動・スリープ復帰なども要件に含まれている。大雑把に、“ビジネスでもエンタメでも活躍できる、総合性能が高いパソコン”であることを示すお墨付きがEvoプラットフォームである、と言い換えてもいいだろう。ちなみに対応パソコンには、対応済みであることを示すブランドシールが貼られている。
今回取り上げるZenBook Flip Sは、基礎スペックの高さもさることながら、最大解像度3,840×2,160ドット(4K)、タッチ対応の13.3型有機ELディスプレイを搭載。液晶部分の回転によりタブレットスタイルでも利用できるなど、実にEvo対応パソコンらしい充実の仕様を誇る製品だ。
デザインは従来の「Zenbook」シリーズを踏襲しており、天板の同心円状に広がるヘアライン加工、エッジ部分のダイヤモンドカットに加え、重厚感のあるブラックとレッドカッパーの塗装もあってスタイリッシュ。高級感があるため、持ち運びで人目に触れる機会が多いビジネスユースでもおすすめしやすい。
本体色はジェードブラックの1色展開だ。先述のとおり、ディスプレイ部分を360度回転させることで、クラムシェルスタイルやタブレットスタイルのほか、デスク上に立てるテントスタイル、スタンドスタイルでも利用可能。さまざまなスタイルで利用できることから、動画の視聴やゲームなどのエンタメ適正も高い。
本体サイズはおよそ305×211×13.9mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は公称約1.22kg。筐体が大きくなりやすい液晶回転タイプの2in1でありながらコンパクト・薄型で、その可搬性は一般的なクラムシェルタイプの製品と比べても良好にまとまっている。高級ノートパソコンではしばしば採用される狭額縁設計、軽量で剛性にも優れるアルミニウム合金などの採用により、こうしたサイズを実現しているわけだ。
プロセッサは4コア/8スレッドのCore i7-1165G7。CPUもビジネス~エンタメ向けに十分な能力を備えるが、プロセッサ内蔵GPUとしてIntel Iris Xeグラフィックスを採用しているのがポイントとなる。従来に比べ電力あたりの性能がアップし、EU(実行ユニット)数や帯域幅も増したため、CPU内蔵GPUとしては高水準な性能を発揮可能だ。おおむねローエンドのディスクリートGPUに近い性能が見込めるため、ゲーミングPCではないものの、ある程度のゲーム性能が確保されている。このあたりはベンチマーク結果と合わせ、後述する。
メモリは容量16GB(LPDDR4X-4266)搭載し、ストレージは容量1TBのPCIe NVMe SSDを搭載する。Evoプラットフォームの認定要件には最低限のメモリ容量やストレージ容量も規定されているが、本製品はどちらもその要件をしっかりと上回っている。とくにストレージ容量の大きさはメリットで、パソコン1台である程度のデータ保存をまかないたいBYOD向け製品としてはおすすめしやすい。
また、本製品の大きな強みと言えるのが有機ELディスプレイだ。4K解像度、10点マルチタッチ対応で、光沢処理もあり発色性は極めて良好。DisplayHDR 500認証を取得し、10万:1の高コントラスト表示にも対応するなど、画像であれ映像であれ、実際にコンテンツを視聴したときの鮮やかな表示性能には驚かされる人も多いはずだ。
色再現性に関しても、DCI-P3のカバー率が100%で、クリエイター向け製品でしばしば見られるPANTONEカラー認証を取得している。近年流行する動画視聴用途ではこの強みを最大限生かすことができるが、液晶回転によりタブレット代わりにもなるといった汎用性の高さも評価すべきポイントだろう。
また、このディスプレイの色再現性の高さから、本製品はクリエイターにもお勧めできる。ビジネスで動画や写真編集を行なう人は、通常かなりハイスペックなマシンで作業するだろう。しかし、動画や写真の撮影現場に赴いて作業することも多い。そういった場合に、本製品の可搬性と性能の高さは、デスクトップでは真似できない。もちろん、性能面でもモバイル製品ながら、クリエイターを満足させられるだけのものを提供する。
本稿では詳しく掘り下げていないが、たとえば動画について、直近に行なった別の検証において、第11世代Coreプロセッサは、そのハードウェアエンコーダを使った場合、8K動画でCPU処理より5.5倍高速で、7年前のPCに比較すると約26倍高速という結果も出ている。
無線ネットワークはWi-Fi 6に対応し、今後拡大していくであろうWi-Fi 6対応のフリーWi-Fiスポットなども問題なく使用できる。なお、本体には有線LANコネクタを採用していないが、付属のUSBアダプタを活用することで有線LAN接続も可能となっている。自宅やオフィスで大きなデータを扱うような場合も対応しやすいだろう。
インターフェイス類は、右側面にUSB 3.1、左側面にHDMI 1.4出力、Thunderbolt 4端子×2を用意。オーディオ端子はないものの、Type-C形状のオーディオジャックアダプタが付属している。薄型ということもありシンプルな実装だが、マウスと一緒に持ち運ぶような最低限の周辺機器利用であればさほど問題にはならないと思われる。
ディスプレイ上部にはWindows Hello対応の顔認証IRカメラを搭載しており、ログイン時の顔認証のほか、Webカメラ(92万画素)としても利用できる。リモート会議が増えている昨今、カメラの重要性は高まっているため、この点は地味ながら嬉しい。
持ち運びで重要となる本体内蔵バッテリは容量67Whで、公称の最大駆動時間は約13.4時間。使用方法によりバッテリの消費速度に差は出るものの、おおむね丸1日の外出でも問題ないだけの駆動時間は確保されている。総じて手堅いスペック・機能を備えており、プレミアムクラスのノートパソコンのお手本のような製品だ。
想定される利用シーンで高い性能を発揮
ここからはベンチマークを交えつつ、実際に想定される利用シーンでの性能を確認していく。
まずは、定番の「PCMark 10 v2.1.2506」で基本性能を確認する。出荷状態からとくに設定を変更せず、電源接続時とバッテリ駆動時の2パターンで「PCMark 10 Extended」テストを実行し、スコアを計測した。
PCMark 10 v2.1.2506 | ||
---|---|---|
電源接続時 | バッテリ駆動時 | |
PCMark 10 Score | 4,343 | 4,018 |
Essentials | 9,308 | 8,431 |
App Start-up Score | 11,112 | 9,507 |
Video Conferencing Score | 7,812 | 7,962 |
Web Browsing Score | 9,292 | 7,919 |
Productivity | 6,646 | 6,388 |
Spreadsheets Score | 6,009 | 5,433 |
Writing Score | 7,352 | 7,513 |
Digital Content Creation | 4,249 | 3,791 |
Photo Editing Score | 6,902 | 6,911 |
Rendering and Visualization Score | 2,593 | 1,928 |
Video Editting Score | 4,288 | 4,089 |
Gaming | 3,657 | 3,452 |
Graphics score | 5,051 | 4,930 |
physics score | 10,421 | 9,279 |
Combined score | 1,536 | 1,366 |
当然ながら電源接続時のほうが総合性能は高くなるが、総合スコアにおける差は7%程度。どちらもモバイル2in1として優秀な結果で、とくにグラフィックス性能が影響するDigital Content Creation、Photo Editing Scoreなどのスコア、ゲーム系のスコアはおおむね高い水準となっている。バッテリ駆動時はじゃっかんのCPU処理能力の低下の傾向が見えるものの、ビジネス用途で考えられるようなOffice系業務では大きな影響は出ないと思われる。
加えて、バッテリ駆動時間も計測してみた。計測には「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を使用し、Windows側の省電力設定は「バランス」、ディスプレイのバックライト輝度50%、無線LAN有効といった条件を採用している。結果は9時間1分で、公称の駆動時間よりは短いが、1日外に持ち出して使用するのであれば十分な結果と言える。
とくに、4Kの有機ELディスプレイを採用しながら、しっかりと駆動時間を確保できているあたりはおおいに評価すべきだ。性能・駆動時間ともに、電源接続時はもちろん、外出先でも十分な性能を発揮できることがわかるだろう。
続いて注目したいのがゲーミング性能だ。今どきの3Dグラフィックスを採用したPCゲームをプレイする場合、本来なら高度なグラフィックス処理性能を持つディスクリートGPUを搭載したゲーミングPCを用意するのが望ましい。
ただし、ここまでに何度か言及しているとおり、Evo準拠の製品はIris Xeグラフィックス採用により映像処理能力が高く、“薄型モバイルノートパソコンでも、本来ならディスクリートGPUを必要とするようなPCゲームがプレイできる”ことが謳われている。一口に“プレイできる”と言っても当然その快適さには程度の差があるわけだが、実際にゲームプレイがどれほど現実的なのかを検証してみた。
用意したのは、いずれも世界的に人気の「Counter-Strike: Global Offensive」、「VALORANT」、「ストリートファイターV」、「ロケットリーグ」、「Dota 2」の計5タイトル。負荷が極端に高いタイトルではないものの、これだけの作品を問題なくプレイできるとすれば、“ゲームをプレイできる”と言っても問題ないはずだ。
それぞれのタイトルのフレームレートは以下のとおり。解像度はいずれもフルHDで、画質設定は「ストリートファイターV」が「中」、「ロケットリーグ」が「クオリティ」、「Dota 2」では「Best Looking」の1段階下の設定を採用。プリセットがない「Counter-Strike: Global Offensive」では、グローバルシャドウクオリティやモデル/テクスチャの詳細など、初期状態で「自動:高」になっている項目を「普通」に変更、それ以外はデフォルトのままとした。
同じく「VALORANT」では、マテリアルやテクスチャを「中」に設定し、アンチエイリアスは「FXAA」、異方性フィルタリングは「x16」、「明瞭度を上げる」以下の設定をすべてオンにしている。なお、すべての計測は電源接続状態で実施した。
ゲームタイトルごとのフレームレート | ||
---|---|---|
平均 | 最小(Min 1%) | |
Counter-Strike: Global Offensive | 57.9 | 18.3 |
VALORANT | 66.4 | 43.0 |
ストリートファイターV | 57.8 | 30.8 |
ロケットリーグ | 80.1 | 68.0 |
Dota 2 | 58.7 | 30.4 |
今回はどのタイトルでも画質を極端に下げず、だいたい中程度の設定を適用しているが、いずれも快適さの指標と言える平均60fps前後、あるいはそれ以上のフレームレートを記録できたのには驚いた。とくに「ロケットリーグ」のフレームレートは最小でも60fpsを超えており、非常に快適にゲームを堪能できる。また、今回は計測していないが、2D系のグラフィックスの作品であればほぼ動作に問題はないと思われる。
ゲーミングPCがあるならそれに越したことはないわけだが、出張先や旅行先でちょっとした暇つぶしにゲームを遊びたい人、学校で利用するパソコンが必要で、可能ならゲームもプレイしたい学生など、考えられる利用シーンはそれなりにあるだろう。もちろん、より負荷の高いタイトルでは画質を下げるなど調整は必要だが、ことゲームプレイに関しては、本来モバイルノートパソコンに求められる以上の水準で可能であることは間違いない。
エンタメ用途で重要なファクターとなる動画鑑賞も実際に試してみた。YouTubeやNetflixで映画・ドラマなどの動画コンテンツをいくつか視聴したが、ディスプレイの発色の良さや輝度・コントラストの高さ、有機ELパネルらしい暗部の締まりの良さは、やはりこのサイズのモバイルノートパソコンとしては驚異的だ。さらに4K解像度の映像であれば、映像の精細さを最大限活かすこともできる。
また、内蔵ステレオスピーカー(1W×2)の特性が優れており、クリアな音質による再生が可能な点も満足度の高さに一役買っている。Evoではスピーカーの品質が認定要件となることもあり、このあたりはさすがの一言。視聴スタイルに関しても、いつでもキーボードを折りたたみ、タブレットモードやテントモードを利用できるのは極めて楽だ。タブレットモード時は自動でキーボード入力が無効化されるため、縦表示や手元に抱えての動画鑑賞なども手軽に楽しめる。個人的には、純粋にコンテンツ鑑賞用のデバイスとして購入してもいいほどの好印象を受けた。
最後にペン入力について触れておこう。本製品には専用スタイラスペン「ASUS PEN SA201H」が付属しており、ディスプレイ上でのペン入力が可能だ。ペン自体は4,096段階の筆圧検知およびMicrosoft Pen protocol(MPP) 2.0に対応しており、入力時にはパームリダクションも効くため、ディスプレイに手を乗せてつつ文字やイラストを描くような作業ができる。
筆者はイラストの心得はないが、少なくとも手書き文字に関しては、追従性や書き味は悪くないと感じた。手書きを好む人の場合、メモや板書の写し、PDFの赤入れといった作業に使えるだろう。ペンは本体上部にマグネットで装着しておけるため、常にセットで持ち歩くのも容易だ。
また、イラスト以外で、Photoshopでの写真編集においても、ペンを使って作業するプロも多い。ペンタブレットと違って、画面に直接書き込めるため、よりダイレクトに操作できるのも利点だ。
“ワンランク上の2in1”の文句に偽りなし
ここまでEvoプラットフォーム準拠の2in1を試してみたが、実際に幅広い用途で安定した利便性の高さ、性能の良さが感じられ、その使用感は極めて良好だった。BYODなど、ビジネスでもプライベートでも使用するパソコンを探しているユーザーにとって、何よりも重要なのは“用途を選ばず使える”ことだ。その点においてEvo製品は、“ワンランク上の2in1/ノートパソコン”としての性能を遺憾なく発揮し、心強い相棒となってくれることだろう。
また、プロのクリエイターにとっても、本製品のモビリティ、性能、ディスプレイの品質の高さなど、オフィス以外で使う第2のメインマシンとして、その活躍の場は広いはずだ。
今回レビューに使用した「ZenBook Flip S UX371EA-HL003TS」に関して言えば、直販サイトでの税別価格は21万8,000円と、ハイエンド製品としては決して高価ではない。この価格で有機ELディスプレイを採用し、スペック的にも充実していることを考えれば、むしろコストパフォーマンスは高いと言えるだろう。他の認定製品と比較した場合、エンタメ寄りのバランスの製品ではあるので、とくに動画コンテンツなどの視聴にも重きを置くユーザーに強くお勧めしたい。