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モバイルノートだと文字が読みにくい? 27型液晶ならその文字は4倍見やすく!

~iiyamaディスプレイで働き方改革 その1

iiyama「ProLite XUB2792HSU」

 フルHD(1,920×1,080ドット)表示対応液晶ディスプレイの売れ筋は、サイズが24型の製品だ。製品数が非常に多く価格も手ごろなため、パーソナルPCからビジネスPCまで、広く利用されている。

 そういったなか、近年は27型級の大きめのフルHD表示対応液晶ディスプレイの売れ行きが高まっている。27型超だと、WQHD(2,560×1,440ドット)や4K(3,840×2,160ドット)といったフルHD超の高解像度表示に対応する製品が中心と思われがちだが、じっさいにはフルHD表示対応の製品もかなり多く存在している。

 今回紹介するマウスコンピューターのiiyamaブランド液晶ディスプレイ「ProLite XUB2792HSU」は、まさにそのラインに当てはまる製品だ。実際に製品を試す機会を得たので、その使用感を紹介していきたいと思う。

27型フルHD液晶の最大のメリットは文字の見やすさ

 ProLite XUB2792HSUは、冒頭でも紹介したように、フルHD表示に対応する27型液晶ディスプレイだ。なぜフルHD表示の液晶ディスプレイで27型の製品を選択する人が増えているのか? それは文字が見やすいからだ。

 ビジネスユーザーでは、ノートPCをメインPCとして利用している人も多いだろう。ビジネスユーザーが利用するノートPCは、13.3型または15.6型の液晶を搭載する製品が多数を占めており、それらの画面だと小さくて文字が見づらいと感じる人が多いのも事実だ。

 それは、高年齢層のユーザーにかぎったことではない。比較的若年層でも、13.3型や15.6型液晶に表示される小さな文字を見続けることで慢性的な眼精疲労を訴えるユーザーが少なくない。

ProLite XUB2792HSUと15.6型ノートの「MousePro MousePro-NB510C

 そこでおすすめしたいのが27型クラスのフルHD液晶ディスプレイの利用だ。定番の24型でもいいが、27型になると表示される文字がさらに大きくなり、24型以上に文字が見やすくなる。筆者は、普段から13.3型液晶を搭載するノートPCを利用しており、当然ながらProLite XUB2792HSUに表示される文字は大きく、非常に見やすいと感じる。13.3型液晶と比べると、27型液晶は面積が約4倍、表示される文字のサイズも約4倍となるため、見やすいと感じるのは当然だ。また、15.6型液晶と比べても約1.7倍となり、普段15.6型液晶のノートPCを使っている人でも、圧倒的に快適と感じるはずだ。

同じ距離で27型、15.6型、13.3型の文字の大きさを比較したもの。ノートPCで長時間の作業を行なっているなら、27型フルHD液晶ディスプレイを外付けで利用することで、視認性が大きく向上し、快適な環境のもと、作業効率も高まるはずだ
ProLite XUB2792HSUと13.3型の液晶を同じ距離に置き、同じExcel画面を開いて画面部分だけを合成した画像。このように、27型はちょうど13.3型の約4倍のサイズとなる

 加えて、実際に使って感じたのが、比較的長時間利用しても目の疲れを感じにくいというものだった。普段ノートPCを使っていると、2時間ほどの連続作業でかなり目の疲労を感じるが、ProLite XUB2792HSUを2時間ほど使ってみても、ノートPCを使っているときのような目の疲れを感じなかった。このあたりは個人差があるかもしれないが、やはり小さな文字を追い続けるよりも目へのストレスが小さいのだろう。

 もちろん、27型クラスのサイズを選ぶなら、WQHDや4Kといった、より高解像度の製品を選びたいと感じる人も多いだろう。しかし、今回実際に使ってみて、文字の見やすさを優先するなら、27型のフルHD液晶ディスプレイはかなり魅力的な選択肢となると十分に実感できた。

狭額縁仕様で27型液晶ディスプレイとしてトップクラスのコンパクトさ

 ProLite XUB2792HSUは、24型液晶ディスプレイと比べてみると、ひとまわり大きい27型の製品ということもあって、視野のより多くの領域が画面表示部で占められることになるため、より没頭できる印象を受ける。

本体正面。左右および上部が極限までの狭額縁仕様となっており、27型液晶ディスプレイとしてはトップクラスのコンパクトさとなっている
左側面
背面
右側面

 ただ、実際のサイズは612×230×397~527mm(幅×奥行き×高さ)と、27型液晶ディスプレイとしてはかなりコンパクトな部類に入る。その理由は、左右および上部側面のベゼル幅が極限まで狭められているからだ。それぞれの非表示領域はわずか7.1mmしかなく、サイズが大きいこともあってほとんどベゼルの存在が気にならない。

 下部のベゼルは、左右や上部に比べると広いが、それでも一昔前の液晶ディスプレイに比べると圧倒的に狭められており、ディスプレイ部全体に対する表示領域の割合はかなり高い。2台を横に並べてマルチディスプレイ環境で利用する場合でも、ベゼルが狭いためディスプレイの切れ目をほとんど気にせず利用できるのはうれしいところだ。

ベゼルは上と左右の幅がひじょうに狭く、非表示領域はわずか7.1mm

 デザインは、ほかのiiyamaブランドの液晶ディスプレイを踏襲。ブラックを基調とした筐体はシンプルで、ゲーミングディスプレイのような派手な装飾やイルミネーションは一切ない。ビジネスシーンはもちろん自宅での利用でも違和感を感じることはないだろう。

 ProLite XUB2792HSUでは、スタンドの自由度が高い点も特徴の1つ。チルト角度は下5度~上22度の範囲で、高さは130mmの範囲でそれぞれ調節できる。また、ディスプレイ部の向きを左右それぞれ45度まで変えられ、自分の利用スタイルに合わせて最適な設置位置および角度を細かく調整できる。縦画面での利用にも対応可能なピボット機能(画面向かって右側に90度回転可能)も装備しており、幅広い用途に柔軟に対応できる。

スタンドは高機能で使いやすい
チルト角度調節は下5度~上22度の範囲で調節可能
高さは130mmの範囲で調節可能
ディスプレイ部の向きを左右それぞれ45度まで変えられるスイベル機能を装備
縦画面での利用に対応するピボット機能
スタンド下部にはケーブルをまとめて整理できる穴(ケーブルホール)が設けてある
100×100mmのVESAマウントに対応

映像入力端子は3系統、ミニD-Sub15ピンも用意

 映像入力端子は、DisplayPort×1、HDMI×1、ミニD-Sub15ピン×1の3系統を用意。現在ではミニD-Sub15ピンを利用する場面はほとんどなくなっているため、実質2系統と考えていいかもしれないが、PC2台やPCとゲーム機というように、複数の機器を接続して利用できる。映像以外の端子としては、音声入力およびヘッドフォン出力端子、アップストリーム×1+ダウンストリーム×2のUSB 2.0 Hub機能を備える。

映像入力端子は、DisplayPort×1、HDMI×1、ミニD-Sub15ピン×1の3系統を用意。USB 2.0×2のUSB Hub機能も備える

 DisplayPortとHDMI入力経由、または音声入力端子から入力された音声は、ヘッドフォンに加えて、内蔵のステレオスピーカーでの再生も可能だ。内蔵スピーカーは2W+2Wと、このクラスの液晶ディスプレイ内蔵スピーカーとして標準的な出力だ。

オーディオ入力ジャックとヘッドフォン出力も用意

 付属品は、DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、D-Subミニ15ピンケーブル、電源ケーブル、オーディオケーブル、USB 2.0ケーブルを用意。個々の映像入力端子に対応する映像ケーブルがすべて付属する点はかなりうれしい。

付属品。個々の映像入力端子に対応する映像ケーブルがすべて付属する点はうれしい特徴だ

OSDはシンプルな構成

 各種設定を行なうOSDは、比較的シンプルな構成となっている。輝度調節やR/G/Bのカラー調節、色温度の変更などが用意されている。

 OSD操作用などのボタンは、ディスプレイ下部に横並びで配置している。左から入力切り替え、「i-Style Color」と呼ばれるテキスト入力やゲーム、映像などの用途に応じた発色モードの切り替え、消費電力を低減できるエコモードの切り替えボタン、内蔵スピーカーのボリューム調節ボタン、OSD呼び出しボタン、電源が並び、OSD呼び出しボタンを押すことでOSDを呼び出し、各種設定を行なう。

操作ボタンはディスプレイ下部に横並びで配置
OSDは比較的シンプルな構成。プロ向けの製品のような高度な設定項目はないが、輝度やR/G/Bのカラー調節、色温度の設定など基本的な項目は網羅している

広視野角IPS方式パネルは申し分ない表示品質を確保

 液晶パネルはIPS方式(※)のものを採用。サイズの大きい液晶ディスプレイでは、中央部と周辺部で視野角が異なることによる影響が気になるかもしれないが、広視野角のIPS方式パネルを採用することで、本製品では視野角の違いによる色合いや輝度の変化はほとんど感じない。パネル表面は非光沢処理となっており、外光の映り込みもほとんどない。バックライト輝度は250cd/平方mと十分な明るさを確保しており、明るい部屋でも快適に利用できる。

※IPS方式パネル: IPS方式パネルは、IPS(In Plane Switching)パネルが持つ、In Planeで液晶分子を回転させる方式と同等の技術を使用した液晶パネル。これまでの駆動原理に液晶分子を回転させる方式が加わったことにより、視野角による明るさや色の変化が少なく透過率が高いことで、省電力にも優れていることが特徴

 発色については、このクラスの製品として標準的と感じる。広色域表示に対応する上位の製品と比べると、鮮やかさなどはややおとなしめと感じるが、文字入力や写真、動画の簡単な編集作業、動画の視聴といった用途で気になることはほぼないだろう。

 応答速度は4ms(中間色)と十分高速で、動画などでブレを感じることもほぼなかった。コントラスト比は最大8,000万:1(ARC利用時)と、かなり優れている。明るい場所から暗い場所まで、滑らかな階調で表示できている。もともと広色域表示など品質重視の製品ではないが、全体的には十分満足できる表示品質を備えていると感じる。

IPS方式パネルを採用しており、発色や明るさのムラはほとんど感じない。発色の鮮やかさはややおとなしめという印象もあるが、このクラスの製品として不満はない

 以上見てきたようにProLite XUB2792HSUは、実際の表示品質から機能面まで充実した製品に仕上がっている。27型ながらフルHD表示対応という点は、実際に使ってみると非常に文字が見やすく、オフィス用途にとても適していると感じた。

 多くのウィンドウを同時に開いて作業を行なう場合などは、高解像度表示が有利かもしれない。しかし、今回実際に使ってみると、見やすい大きさの文字で視認性を確保した上で快適に作業できるほうが、逆に効率が上がる場合もある。比較的長時間の作業を行なったさいに目が疲れにくかった点も、新たな気づきとして大きな魅力と感じた。

 WordやPowerPoint、Excelなどのドキュメント製作、文字入力をメインとしているなら、ProLite XUB2792HSUのような27型フルHD液晶ディスプレイは大きなメリットのある製品と言える。