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カメラマンも働き方改革。4K液晶なら写真が見やすく、編集しやすく

~iiyamaディスプレイで働き方改革 その3

iiyama「ProLite XB3288UHSU」

 高画質カメラを搭載したスマートフォンの普及により、写真撮影の機会が飛躍的に増えている。また、ここぞというときには高級コンパクトデジタルカメラやミラーレスカメラを使って、気合いを入れて写真撮影を楽しんでいる方も多いことだろう。

 いざ写真を編集したり、RAW画像を現像するさいに、作業効率を大きく左右するのがディスプレイの解像度とサイズ。11~15型前後のモバイルノートPCのフルHDディスプレイでは、解像度もサイズも不足しており、写真の細かな部分を確認するのは難しい。

 そこで今回紹介するのがマウスコンピューター「iiyama」ブランドの31.5型4Kディスプレイ「ProLite XB3288UHSU」。NTSC比95%という広い色域を確保しつつ直販価格77,300円と比較的購入しやすい価格に設定されている。まずは、プロカメラマン・若林直樹氏のコメントをご覧いただいたのちに、製品の詳細レビューをチェックしてほしい。

カメラマン若林氏から見たProLite XB3288UHSUの魅力

カメラマンの若林直樹氏に、本製品の品質や使い勝手を見てもらった

 まず、若林氏に参考画像で色の表現について見てもらった。若林氏の最初の一言が「色の階調がとてもよく出ている」だった。写真からも赤、緑、青、黒ともスムーズな階調が表現されているのがわかるだろう。加えて、明るい部分も暗い部分もしっかり表示されている。マッハバンドのような乱れはほとんど見られない。

 本レビューの後半で、カラーキャリブレーションデバイスで計測しているが、色域は広い。また、出荷時の状態とキャリブレーション後の色の差がほとんどないのも特徴。キャリブレーション前後で画像を見比べてみたが、肉眼ではほとんど差はわからず、カメラのヒストグラム表示を見て、少しだけ色が変わっているのがわかる程度。これなら、キャリブレーションしなくても実用に耐え得るだろうとのことだ。

検証に使う参考画像で色味をチェック。階調がきれいに表現されている

 また、若林氏は、普段はWQHD(2,560×1,440ドット)のディスプレイ2台を使って作業している。そこで今回、若林氏の環境を4K解像度を持つProLite XB3288UHSU 1台で再現してもらった。横解像度についてはWQHD 2台のほうが広いが、画面写真を見てもらうとわかるとおり、横が3,840ドットあれば、Photoshopのツール類を縦に並べつつ、横に氏がプレビュー用で利用しているAdobe Bridgeを開いても画面が狭くならない。縦方向はまだ余裕があるので、Photoshopのほかのツールを加えても1列で間に合う。

 これを1,920×1,080ドットにすると、一気に手狭になり、写真の表示用と、ツール類の表示用にもう1台ディスプレイが欲しくなるところだろう。

4K解像度、スケーリング100%でPhotoshopとBridgeによる作業環境を再現したところ。作業領域には余裕がある
一方、フルHD解像度にすると、かなり手狭になってしまう

 なお、この4K解像度はスケーリング100%で表示している。これだと文字が小さすぎるという場合は、150%程度にスケーリングすれば見やすくなる。一方、スケーリングを行なっても、Photoshopのなかで表示される画像についてはドットバイドットで表示されるので、精細さは保たれる。

フォトグラファーの写真編集から映像コンテンツの視聴まで幅広い用途をカバー

 それでは、製品の詳細について見ていく。本製品はフルHDの4倍の表示領域となる4K解像度(3,840×2,160ドット)に対応し、上下/左右178度の広視野角を実現したVAパネルを採用。表示色は約10.7億色、色域はNTSC比95%が謳われており、UHD BDや動画配信サービスなどで採用されている「HDR10」もサポートされている。フォトグラファーの写真編集から、映像コンテンツの視聴まで幅広い用途に活用できるモデルだ。

本体前面
本体背面
本体右側面
本体左側面
【ProLite XB3288UHSUのおもな仕様】
液晶サイズ31.5型
パネル方式VA方式
駆動方式a-Si TFT アクティブマトリックス
表示解像度3,840×2,160ドット
画素ピッチ0.181×0.181mm
表面処理非光沢
バックライト方式フリッカーフリーLEDバックライト
応答速度3ms(GTG)
コントラスト比3,000:1(標準)、8千万:1(ACR機能時)
視野角上下/左右178度
輝度300cd/平方m
表示色約10.7億色
チルト角度下3度、上22度
高さ調節120mm
スイベル90度
入力端子DisplayPort×1、HDMI×2、USB 3.0アップストリームポート×1
出力端子USB 3.0ダウンストリームポート×2、3.5mmステレオミニジャック×1
スピーカー3.0W×2
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力標準47W、最大75W、パワーマネージメントモード時0.5W
本体サイズ730×230×458.5~578.5mm(幅×奥行き×高さ)
重量約8.9kg(スタンド含む)、6.2kg(本体のみ)

実用性を重視した質実剛健路線のデザイン

 本製品のデザインは実用性を重視した質実剛健路線というのが率直な感想。ディスプレイのベゼル自体は比較的細めだが、パネル表面はベゼル面より奥に配置されているので、組み立て時にパネル側を下に向けて置いても、傷がつく心配は少ない。本体、スタンド、アームすべてが非光沢処理となっているのも、手脂などの付着を避けるための実用的な仕様だ。

 本体サイズは730×230×458.5~578.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量はスタンドを含めて約8.9kg、本体のみで約6.2kg。スクエア形状の新デザインのスタンドベース(300×230mm(幅×奥行き))が採用されているので、スペースに余裕のないデスクなどでも設置しやすい。シンプルながら使いやすいのがスタンドネックに設けられているケーブルホール。電源、映像、USBケーブルなどをまとめられるので、スマートにデスク下のコンセント、PCとケーブルを接続可能だ。

 チルト角度は下3度、上22度、高さ調節は120mm、スイベルは90度。これらは片手の軽い力で調節できる。椅子の高さや角度を変更したとき、ほかの人と作業を変わったときなどに、素早く見やすい高さと角度に調節可能だ。

高さ調節は120mm
チルト角度は下3度、上22度
スイベルは90度
電源、映像、USBケーブルなどをケーブルホールでまとめられる

 電源兼OSDボタンは背面左下に配置されている。4方向に入力可能なコントローラボタン仕様で、上で入力選択、右で音量調整、左でエコモードへダイレクトに切り替えられる。大きなくぼみの中心にコントローラボタンが配置されているので、直接見なくても手探りでストレスなく操作できるはずだ。

背面の電源兼OSDボタン。上下左右4方向にも操作可能

VA方式ながら水平、垂直ともに視野角178度を確保

 液晶パネルは31.5型の4K解像度(3,840×2,160ドット)のVA方式。10.7億色の表示色、NTSC比95%の色域が謳われている。本来VA方式は視野角の点で不利だが、補正技術を採用することで上下/左右ともに178度が確保されている。実際に斜めから見てみると輝度や色度はある程度低下するが、スペックどおりの一定の視認性を確認できた。

 表面処理は非光沢で、バックライトはフリッカーフリーLEDを採用。輝度は室内利用であれば十分な300cd/平方mが確保されている。表面処理に非光沢を採用したのは、オフィス内などでの照明の映り込みを避ける配慮と思われる。

 ProLite XB3288UHSUには、このほかにもブルーライトを軽減する「Blue Light Reducer」、ゲームでテアリングを抑える「AMD Radeon FreeSyncテクノロジー」、8千万:1のハイコントラストを実現する「ACR(Advanced Contrast Ratio)」などの機能も搭載されている。

映像入力端子は3つ用意、PBP、PIP機能に対応

ProLite XB3288UHSUと、15.6型4K OLEDディスプレイ搭載の「DAIV 5N-OLED

 インターフェイスは、入力端子としてDisplayPort×1、HDMI×2、USB 3.0アップストリームポート×1、出力端子としてUSB 3.0ダウンストリームポート×2、3.5mmステレオミニジャック×1が搭載されている。

 つまり映像入力端子は3つ用意されているわけだが、DisplayPortとHDMIにそれぞれ映像機器を接続することで、2つの画面を横に並べて表示する「Picture By Picture」、画面上4隅のどこかに子画面を表示する「Picture in Picture」機能を利用できる。複数のPCやゲーム機などを接続する際に便利な機能だ。

 USB 3.0アップストリームポートとPCを接続しておけば、ProLite XB3288UHSUをUSB Hubとして利用できる。デスクトップPCを机の下に設置している場合などに、アクセスしやすいポートとして重宝するはずだ。

ディスプレイ下側にはDisplayPort×1、HDMI×2、3.5mmステレオミニジャック×1が用意されている
ディスプレイ左側にはUSB 3.0アップストリームポート×1、USB 3.0ダウンストリームポート×2が配置されている。
DisplayPortとHDMIにそれぞれ映像機器を接続することで「Picture By Picture」、「Picture in Picture」機能を利用できる

各機能が1画面にレイアウトされていて見通しのいいOSD

 OSD機能は、ピクチャー、カラー設定、PiP、入力選択、オーディオ、言語、OSD設定、設定メニューに分類されて実装している。設定項目自体は豊富だが、スクロールしなくても済むように各機能が1画面にレイアウトされているので見通しがよく感じた。

 輝度、コントラスト、黒レベル調整、赤(R)、緑(G)、青(B)はそれぞれ100段階できめ細かく調節可能。欲を言えばガンマや6色相環での調整機能もほしいところだが、このレベルで色調整したいのであれば素直にカラーキャリブレーション機器を使ったほうがいいと思う。

ピクチャー
カラー設定
PiP、PbP
入力選択
オーディオ
言語
OSD設定
設定メニュー

sRGBカバー率100%、Adobe RGBカバー率90.6%と広い色域を確認

 ProLite XB3288UHSUはNTSC以外の色域がスペック表に記載されていないので、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で計測を実施したところ、sRGBカバー率は100%、sRGB比は137.1%、Adobe RGBカバー率は90.6%、Adobe RGB比は101.7%、NTSCカバー率は87.8%、NTSC比は97.1%という値が出た。

 31.5型という大画面、4Kという高解像度、非光沢の表面処理、そして直販で77,300円という価格を考慮すれば、広い色域が確保されていると言えるだろう。

 もう1つ特筆しておきたいのがカラーキャリブレーションを実施したさいに、その前後でほとんど色味が変わらなかったこと。もちろん製品ごとに個体差がある可能性はあるが、ProLite XB3288UHSUは鮮やかさ重視ではなく、正しい色を発色するようにセッティングされているようだ。

実測したsRGBカバー率は100%、sRGB比は137.1%
実測したAdobe RGBカバー率は90.6%、Adobe RGB比は101.7%
実測したNTSCカバー率は87.8%、NTSC比は97.1%

クリエイティブな作業を快適に、楽しくこなせる4Kディスプレイ

 27型では物足りないけど、40型は大きすぎる……と悩んでいる方にとって、ProLite XB3288UHSUの31.5型はまさにジャストサイズ。写真編集というクリエイティブな作業を快適に、楽しくこなせる4Kディスプレイを探している方に、ぜひ試してみてほしい1台だ。