レビュー
写真で見る、7,000円台のBIOSTAR製AMD A520マザー
2020年8月25日 06:50
BIOSTARの「A520MH」は、実売価格が7,678円前後の低価格なAMD A520チップセット搭載マザーボードだ。今回BIOSTARよりサンプルが送られてきたので、簡単に写真を中心にご紹介したい。
AMDのプラットフォームは、これまでCPU単体では競合を圧倒するコストパフォーマンスを実現してきたが、マザーボードを含めたプラットフォーム全体で見ると、そのメリットが若干薄れてしまっていた。
これは、Intelは当初より下位向けのチップセット「H410」を用意していたのだが、AMDにはなかったためだ。10万円以上のミドルレンジ〜ハイエンドにおいて、数千円差は大したことがないのだが、コストにシビアな場合、数千円差は致命的だ。
しかもAMDの場合、現在バルクとして販売されている「Ryzen PRO 4000」シリーズを除き、ディスクリートGPUが別途必要になるので、それも含めた差額だと圧倒的にIntelが有利になってしまう。さらに、Intelには最新世代でもCeleronやPentiumというさらに下の選択肢があるが、AMDの最新世代には用意がないため、差がさらに広がる。
プラットフォーム | AMD | Intel | AMD | |
---|---|---|---|---|
CPU | Ryzen 3100(約13,200円) | Core i3-10100(約15,800円) | Ryzen 3100(約13,200円) | |
チップセット | B550(約11,000円〜) | H410(約8,000円〜) | A520(約8,000円〜) | |
合計 | 24,200円 | 23,800円 | 21,200円 | |
備考 | Ryzen PRO 4000を除いて別途GPUが必要 | Pentium/Celeronというさらに安価なものが存在 | Ryzen PRO 4000を除いて別途GPUが必要 |
たとえPentiumやCeleronを考慮せず、ディスクリートGPUを利用するエントリーゲーマーに絞った場合でも、これまでIntelより(わずかだが)高価だったのは否めない。A520チップセットはこの捻じれを解消するものとして投入されるものだと考えていい。
上記の表をみればわかるとおり、チップセットをB550をA520に変えるだけで約3,000円安くなる。同じ予算なら安くなった分、上位のRyzen 3300Xにお金を回せばいい、というのがAMDとしてのメッセージだろう。実際、Ryzen 3100をCore i3-10100とゲーム性能で比べると不利である。
ただ、A520はB550から相当機能を削っている。たとえばPCI Express 4.0への対応はないため、最新ビデオカードやSSDの性能はフルに発揮できないし、10GbpsのUSB 3.1対応も1ポート少ない。SATAも4基までとなる。とはいえ、想定しているユーザー層には十分なスペックだろう。
さてBIOSTARのA520MHだが、A520チップセット搭載マザーボードのなかでもひときわ安いモデルで、実売価格は8,000円を切る。コストダウンのために、本製品では上位の「RACING B550GTQ」で採用されているDriverMOSFETではなく、Sinopower製の2つのNチャネルMOSFET「SM4364NAKP」から構成された電源を採用されている。とはいえPWMコントローラはルネサスの「RAA229004」で、これは上位と同等のものだ。
また、MOSFET用のヒートスプレッダやM.2ヒートスプレッダが省かれ、メモリスロットも2基まで。さらに、PCI Express x16スロットも金属で強化されたタイプではなく通常のもので、イルミネーション制御用のコントローラやピンも省略しているなど、RACING B550GTQとはかなりの差がある印象だ。
背面インターフェイスはUSB 3.0×4、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet(Realtek RTL8111H)、音声入出力(Realtek ALC887)、ミニD-Sub15ピン、HDMI出力、PS/2×2と控えめだが、いずれも実用では困ることはほとんどないだろう。
本製品の最大の武器はコストパフォーマンスよりも絶対価格の低さだ。Ryzen 3100や品薄のRyzen 3300X、Ryzen 3 PRO 4350Gと組み合わせることはもとより、将来的に安価なAthlonなどが登場したさいに組み合わせて使いたい。また、A520チップセットは次世代Ryzenもサポートが謳われているので、今は安く組んでおいて、将来的にアップグレードするといったときも安心だ。