レビュー
指紋でデータを保護できる高速SSD「Portable SSD T7 Touch」
2020年1月22日 00:00
Samsungより、新作ポータブルSSD「Portable SSD T7 Touch」が登場する。内蔵SSDのNVMe SSD化と指紋認証機能のサポートにより、性能と利便性を高めた新モデルだ。
今回、同SSDの1TBモデルを発売に先立って検証する機会が得られたので、新機能の指紋認証やSSDとしてのパフォーマンスをチェックしてみた。
指紋認証とNVMe SSDを採用したUSB 3.2 Gen 2対応ポータブルSSD
Samsung Portable SSD T7 Touchは、USB 3.2 Gen 2(USB 3.1 10Gbps)対応のポータブルSSDだ。
アルミニウム製筐体のサイズは85×57×8mm(幅×高さ×厚み)で、重量は58g。本体にはUSB Type-C端子(メス)を搭載し、接続用のケーブルとしてUSB Type-C to CとUSB Type-C to Aの2本が同梱している。容量ラインナップは500GB、1TB、2TBの3モデルで、筐体のカラーバリエーションはシルバーとブラックの2色。
Portable SSD T7 Touchでは、内蔵SSDをSATA SSDからNVMe SSDに変更することで最大1,050MB/sのリード性能を実現。さらに、筐体に指紋センサーを搭載することで、従来のPortable SSD T5ではパスワードのみだったセキュリティ機能に指紋認証を追加した。
【表1】Samsung Portable SSD T7 Touchの主なスペック | |
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容量ラインナップ | 500GB/1TB/2TB |
インターフェイス | USB 3.2 Gen2 (10Gbps) |
シーケンシャルリード | 最大 1,050MB/s |
シーケンシャルライト | 最大 1,000MB/s |
暗号化 | AES 256bit ハードウェア暗号化 |
セキュリティ | パスワード/指紋認証 |
セキュリティ機能対応OS | Windows 7以降/Mac OS X 10.10以降/Android 5.0以降 |
動作温度 | 0~60℃ |
本体カラー | ブラック/シルバー |
本体サイズ | 85×57×8mm (幅×高さ×厚み) |
本体重量 | 58g |
保証期間 | 3年間 |
瞬時にセキュリティをアンロックできる指紋認証機能
Portable SSD T7 Touchの目玉機能とも言えるのが指紋認証機能の追加だ。これにより、従来のモデルではパスワード入力が必須だったセキュリティ機能の解除が、より簡単かつ短時間で行なえるようになった。
Portable SSD T7 Touchで、指紋認証やパスワードによる保存データの保護を利用するためには専用ユーティリティ「Samsung Portable SSD Software 1.0」を利用する必要がある。このため、セキュリティ機能を利用できるOSは同アプリ対応OSのみに限られる。対応OSは、Windows 7以降、Mac OS X 10.10以降、Android 5.0以降。
Portable SSD Software 1.0でセキュリティ機能を有効化すると、パスワード保護に追加する形で指紋を4つまで登録することができる。PCなどとの再接続時にはパスワード入力か指紋認証が求められ、いずれかをパスすることで保存データへのアクセスが可能となる。
USB 3.2 Gen2接続で最大1GB/sを達成する内蔵NVMe SSD
先述のとおり、Portable SSD T7 Touchは内蔵SSDにNVMe SSDを採用しており、最大転送速度はリード1,050MB/s、ライト1,000MB/sとなっている。これは、内蔵SSDのインターフェイスがSATAであったPortable SSD T5の最大540MB/sを大きく上回る数値だ。
今回は、ASUS TUF GAMING X570-PLUS (WI-FI)で実際にどれだけのパフォーマンスを発揮できるのかを確かめるべく、旧モデルであるPortable SSD T5の1TBモデルとの比較を行なう。
テスト環境には、Ryzen 9 3950Xを搭載したAMD X570環境を用意。比較を行なうポータブルSSD両製品は、マザーボードのASUS TUF GAMING X570-PLUS (WI-FI)がオンボードで備えているUSB 3.2 Gen 2(USB Type-C)に接続した。
【表2】テスト機材一覧 | |
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CPU | Ryzen 9 3950X |
CPUクーラー | ASUS ROG RYUJIN 240 |
マザーボード | ASUS TUF GAMING X570-PLUS (WI-FI) [UEFI:1405] |
メモリ | DDR4-2666 8GB×2 (2ch、22-22-22-52、1.2V) |
ビデオカード | GeForce GT 1030 2GB |
システム用ストレージ | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) |
電源 | 玄人志向 KRPW-TI700W/94+(700W 80PLUS Titanium) |
OS | Windows 10 Pro 64bit (Ver 1909 / build 18363.535) |
電源プラン | AMD Ryzen Balanced |
室温 | 約26℃ |
まずはディスクベンチマークのCrystalDiskMark 7.0.0の実行結果だ。
Portable SSD T7 Touchは、リード最大1,004.74MB/s、ライト最大841.39MB/sを記録。スペック上の最大値には届いていないものの、Portable SSD T5に対してリードで約77%、ライトでも約58%の高速化を果たしている。
続いて、ポータブルSSDとPC間で実際にファイルの転送を行なったさいの転送時間を比較した。
テストに用いたデータは、それぞれ約50GB分の動画と写真で、ポータブルSSDからPC側にデータを転送する「読み出し」と、PCからポータブルSSDにデータを転送する「書き込み」の2パターンの転送時間を測定した。
読み出しの結果では、Portable SSD T5が動画ファイルで105秒、写真ファイルで117秒を要したのに対し、Portable SSD T7 Touchは、それぞれ66秒と82秒で転送を完了。旧モデルを42~59%上回る転送速度を発揮してみせた。
一方、書き込みにおいては、Portable SSD T5の転送時間が動画で130秒、写真で138秒であったのに対し、Portable SSD T7 Touchは、それぞれ100秒と111秒で書き込みを完了した。リードほどの差ではないものの、24~29%という確実な高速化を果たしている。
指紋認証によるセキュリティモードの利便性向上が魅力のポータブルSSD
Portable SSD T7 Touchは、USB 3.2 Gen 2の帯域幅をほぼ使い切れるピーク性能を備えたポータブルSSDであり、その高速性は大容量データの携帯や受け渡しに役立つものだ。
また、秘匿性の高いデータを扱う場合、新機能である指紋認証によって利便性の向上したセキュリティ機能も魅力的だ。パスワード入力よりも遥かに短時間でセキュリティを解除できる指紋認証なら、煩わしさを大幅に軽減しつつ、セキュリティ機能の恩恵にあずかることができる。
Portable SSD T7 Touchは、単純に高速な外付けストレージとしての利用から、大容量の写真や動画の携帯や受け渡しなどのクリエイティブなシーンでも活躍できるSSDだ。ポータブルストレージに速度やセキュリティを求めるユーザーにとっての有力な選択肢となるだろう。