レビュー

小型デスクトップでリアルタイムレイトレーシングの夢を叶える! ASUSの「DUAL-RTX2070-O8G-MINI」を試す【PR】

DUAL-RTX2070-O8G-MINI

 ASUSよりGeForce RTX 2070搭載ビデオカードの新モデル「DUAL-RTX2070-O8G-MINI」が登場した。独自のショート基板を採用することで全長を197mmに抑えた、Intelの新型NUC「Intel NUC 9 Extreme Kit」および「Intel NUC 9 Pro Kit」への搭載が可能なコンパクト設計のビデオカードだ。

 今回は、小型筐体に組み込める高性能ビデオカードを求めるユーザー注目の新製品であるDUAL-RTX2070-O8G-MINIの分解とベンチマークテストを通して、その出来栄えと性能をチェックしてみよう。

コンパクトなハイエンドビデオカード「ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI」

 ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINIは、SUPERではない無印版のGeForce RTX 2070を搭載するビデオカード。ASUSオリジナルのショート基板とデュアルファンGPUクーラーを採用しており、カードサイズは197×121×39mm (幅×奥行き×高さ)で、占有スロットは2スロット。

 DUAL-RTX2070-O8G-MINIはオーバークロック仕様のビデオカードであり、GPUのGeForce RTX 2070は、ブーストクロックを標準の1,620MHzから1,650MHzにオーバークロックして搭載されている。一方、VRAMについては標準仕様どおりとなっており、14Gtps動作のGDDR6メモリを8GB搭載している。

 画面出力端子には、DVI-D、HDMI、DisplayPortを各1ポートずつ搭載。動作に必要な補助電源コネクタはPCIe 8ピン×1系統。

【表1】ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINIの製品スペック
搭載GPUGeForce RTX 2070
CUDAコア2,304基
ベースクロック1,410MHz (Gaming Mode)
ブーストクロック1,650MHz (Gaming Mode)
メモリ容量6GB (GDDR6)
メモリスピード14.0Gtps
メモリインターフェイス256bit
メモリ帯域448GB/s
補助電源PCIe 8ピン ×1基
カードサイズ197×121×39mm (幅×奥行き×高さ)
占有スロット2スロット
画面出力DVI-D ×1基/HDMI ×1基/DisplayPort ×1基
バスインターフェイスPCIe 3.0 x4
ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINI
基板裏面。バックプレートは非搭載
GPUクーラーを含めた占有スロットは2スロット
GPUクーラー上部にLEDを搭載。LED制御には非対応
画面出力端子はDVI-D、HDMI、DisplayPortの3系統
補助電源コネクタはPCIe 8ピン1系統

セミファンレス動作対応のデュアルファンGPUクーラー

 DUAL-RTX2070-O8G-MINIが搭載するGPUクーラーは、2スロットに収まるように設計されたASUSオリジナルのGPUクーラーで、2基の冷却ファンを備えている。

 GPUクーラーが備える冷却ファンは、ファン下方への空気圧を高めて冷却性能を改善した「Axial-techファン」で、GPUコア温度が55℃を下回ったさいに回転を停止するセミファンレス機能「0dB テクノロジー」に対応。また、冷却ファンはIP5X準拠の防塵性能も備えており、内部へのホコリの侵入を防ぎ、長期に渡って性能を維持できる。

 放熱ユニットには、3本のヒートパイプを搭載した大型ヒートシンクを搭載。GPUとメモリ、VRMをまとめて放熱するこのヒートシンクは基板よりも大型であり、かぎられたスペースのなかで最大限に放熱面積を確保できるよう設計されている。

デュアルファン設計のオリジナルGPUクーラー。セミファンレス機能の0dB テクノロジーに対応している
ファン下方への空気圧を高めて冷却性能を改善したAxial-techファンを搭載。IP5X準拠の防塵性も備えている
基板より大きなサイズのヒートシンクを採用。ヒートシンクはGPU、メモリ、VRMをまとめて冷却する
GPU接地面。ベースプレートで受け取った熱を3本のヒートパイプでヒートシンク全体に拡散する

自動製造プロセス「Auto-Extremeテクノロジー」製のオリジナルショート基板

 カード長197mmのDUAL-RTX2070-O8G-MINIが採用する基板は、カード長よりもさらに短い170mm長のショートサイズ基板だ。

 VRMは5+2フェーズ。基板はASUSの自動製造プロセス「Auto-Extremeテクノロジー」で製造されており、均一で高い実装品質によって信頼性を高めている。

基板表面。約170mm長の基板上にGPU、メモリ、VRMなどが実装されている
基板裏面。表面実装が基本のAuto-Extremeテクノロジーで製造されているため、スルーホール実装の突起はごく一部にかぎられている
VRMは5+2フェーズ設計
GPUのGeForce RTX 2070
GDDR6メモリ。動作スピードは14Gtpsで、1枚1GBのチップを8枚搭載している

動作モードの切り替えやセミファンレスの有無を選べるユーティリティ「ASUS GPU Tweak II」

 DUAL-RTX2070-O8G-MINIは、ASUSのGPUユーティリティ「GPU Tweak II」に対応しており、このユーティリティを利用することで、標準動作モードである「Gaming Mode」に加え、性能重視の「OC Mode」と、静粛性重視の「Silent Mode」という、2つの動作モードが選択可能となる。

 各動作モードは異なるGPUクロックが設定されているほか、Silent Modeに関しては電力リミットであるパワーターゲットが標準よりも10%低い値に設定されている。各モードの動作仕様の違いについては以下の表を参照してもらいたい。

GPU Tweak II。画面上部にある各動作モードのアイコンをクリックすると、そのモードの動作設定が反映される
【表2】各モードの動作仕様
動作モードGaming Mode (デフォルト)OC ModeSilent Mode
ベースクロック1,410MHz1,440MHz1,380MHz
ブーストクロック1,650MHz1,680MHz1,620MHz
メモリスピード14.0Gtps
パワーターゲット(標準値)175W
パワーターゲット設定値100% (=175W)100% (=175W)90% (=157.5W)

 GPU Tweak IIでは、動作モードの切り替えの他にも、セミファンレスモードの無効化や、OSをゲーム向けに最適化するGaming Booster、ビデオカードの動作を個別に手動設定するProfessional Modeなどが用意されている。

ゲーム向けにOSを最適化する「Gaming Booster」。不要な機能の無効化やメモリのデフラグをワンクリックで自動実行する
Professional Mode。GPUクロックやパワーターゲット、冷却ファンの動作などを手動でチューニングできる

Core i9-9900K環境で3つの動作モードの性能をチェック

 DUAL-RTX2070-O8G-MINIのハードウェア部分のチェックに続いて、性能面をチェックしていこう。

 今回、DUAL-RTX2070-O8G-MINIをテストするにあたって、Core i9-9900Kを搭載したIntel Z390環境を用意した。これを使って、DUAL-RTX2070-O8G-MINIに用意された3つの動作モード(Gaming Mode、OC Mode、Silent Mode)でそれぞれベンチマークテストを実行。各モード毎に性能をチェックする。

【表3】テスト機材一覧
CPUCore i9-9900K
CPUクーラーASUS ROG RYUJIN 240
マザーボードASUS TUF Z390-PLUS GAMING (UEFI: 2606)
メモリDDR4-2666 16GB×2 (2ch、19-19-19-43、1.2V)
システム用ストレージIntel SSD 760p (256GB SSD/M.2-PCIe 3.0 x4)
アプリケーション用ストレージCORSAIR MP600 (1TB SSD/M.2-PCIe 3.0 x4)
電源CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 441.87 DCH (26.21.14.4187)
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 1909 / build 18363.592)
電源設定高パフォーマンス
室温約26℃

ベンチマーク結果

 それでは、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。

 今回実施したベンチマークテストは、「バトルフィールド V 」、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.2」、「F1 2019」、「フォートナイト」。

GeForce RTXならではの「リアルタイムレイトレーシング」や「DLSS」が利用可能

 バトルフィールドVは、GeForce RTX 20シリーズの目玉機能である「DXRによるリアルタイムレイトレーシング」と「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」にいち早く対応したゲームであり、GeForce RTX 2070を搭載するDUAL-RTX2070-O8G-MINIなら、これらの機能を利用できる。

DXRとDLSS無効時。水面への映り込むのは画面内に描画されたオブジェクトのみ
DXRによるレイトレーシング有効時。水面には画面外のオブジェクトも映り込む
DXRとDLSS有効時。水面への映り込みなどはレイトレーシングで描かれ、DLSSが視覚的な品質保ちつつフレームレートを引き上げる

 実際にフルHD解像度(1,920×1,080ドット)の最高画質設定でこれらの機能を利用してみたところ、両機能無効時は120fps前後だったフレームレートが、DXRを有効化したリアルタイムレイトレーシング時は60fps前後、DXRとDLSSを両方有効化した場合は70~73fpsでの動作となった。

 さすがに最高画質設定なだけあってフレームレートへの影響も大きいリアルタイムレイトレーシングだが、DUAL-RTX2070-O8G-MINIであれば、DLSSの利用や多少の画質調整で十分にプレイアブルなフレームレートを実現できるようだ。

バトルフィールド V (v1.0.80.22617)

 DUAL-RTX2070-O8G-MINIは、3DMarkのDXRテスト「Port Royal」でも5,000前後のスコアを記録。GeForce RTX 2070搭載ビデオカードとしては平均的なスコアであり、コンパクト設計の代償として性能が犠牲になっているというようなことはないようだ。

3DMark v2.11.6857「Port Royal」

OC Modeは1%程度の性能アップ、Silent Modeは4%程度の性能ダウン

 リアルタイムレイトレーシングやDLSSを利用しないベンチマークテストとゲームでの性能は以下のとおり。

 DUAL-RTX2070-O8G-MINIは、フルHD解像度であれば最高画質設定でも60fpsを余裕で上回る性能を備えており、WQHD解像度(2,560×1,440ドット)でも高画質設定で快適にゲームを楽しめる実力を示している。本格的なゲーミングPCを構築したいユーザーの要求に応えられる性能を持ったビデオカードであると言えよう。

 動作モード毎の性能に関しては、OC Modeは1%程度のわずかな差で標準のGaming Modeを上回り、Silent ModeはGaming Modeより4%ほど低いスコアとなっている。パワーターゲット据え置きのOC Modeでは電力制限により性能が微増にとどまる一方、Silent Modeでは許容電力が10%引き下げられたために性能もしっかり低下したようだ。

3DMark v2.11.6857「Time Spy」
3DMark v2.11.6857「Time Spy Extreme」
3DMark v2.11.6857「Fire Strike」
3DMark v2.11.6857「Fire Strike Ultra」
VRMark v1.3.2020「スコア」
VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.2
F1 2019 (v1.18.2)
フォートナイト (v11.40/DirectX 11)

消費電力とGPUモニタリングデータ

 続いて、アイドル時とベンチマーク実行中に測定した消費電力の測定結果を見てみよう。

 アイドル時消費電力は動作モードにかかわらず38Wで横並びだが、ベンチマーク中のピーク消費電力に関してはSilent ModeがGamig Mode比で1割近く低い消費電力を記録している。

 いずれのテストでも、Silent Modeの消費電力削減率は性能低下率よりも大きなものとなっており、Silent Modeの選択はDUAL-RTX2070-O8G-MINI電力効率を向上させていることがわかる。この消費電力削減はGPUの発熱削減にも直結するため、小型筐体との組み合わせでSilent Modeを使うメリットは大きい。

 一方、OC ModeとGaming Modeの消費電力差は誤差レベルで、ほぼ同等と言っても良い結果だ。OC Modeの性能向上はそれほど大きなものではなかったが、消費電力的な増加がほぼないと言える結果から、少しでも性能を求めるのであればOC Modeを積極的に利用すべきだろう。

システムの消費電力

 各モードごとに、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを4K解像度(3,840×2,160ドット)で実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフである。

 GPUのピーク温度は、Gaming ModeとOC Modeが68℃で、Silent Modeは66℃。DUAL-RTX2070-O8G-MINIの温度ターゲットは81℃なので、いずれのモードも温度面には相当な余裕を確保できている。

 ファンスピードのピーク値は、Gaming ModeとOC Modeは約2,050rpmであるのに対し、Silent Modeは約1,870rpmだった。ほかの2モードに比べ1割近く消費電力の少ないSilent Modeは発熱自体も1割近く少なくなっているわけであり、より低いファンスピードでも低いGPU温度を実現できている。

 GPUクロックに関しては、ピークだけを見るとGaming Modeの1,920MHzに対して、OC Modeは1,950MHz、Silent Modeは1,890MHzとなっている。ただ、グラフを見比べてみると、OC ModeがGaming Modeよりやや高いクロックで推移しているのに対し、Silent Modeは明らかにほかの2モードより低いクロックで推移している。これがベンチマークテストにおける4%程度の性能差につながったのだろう。

Gaming Modeのモニタリングデータ
OC Modeのモニタリングデータ
Silent Modeのモニタリングデータ

コンパクトであることを感じさせない性能と静粛性。2スロットに収まるハイエンドカードを探しているなら要チェック

 ASUS DUAL-RTX2070-O8G-MINIは、ハイエンドGPUであるGeForce RTX 2070の性能を損なうことなく小型化に成功している。それでいて動作音もそれほど大きくはならないため、良い意味でコンパクトサイズのビデオカードを使っているように感じない。

 Intel NUC 9 Extreme KitとIntel NUC 9 Pro Kit向けに設計されたDUAL-RTX2070-O8G-MINIだが、使用するケースが小型であるか否かを問わず、2スロットに収まるハイエンドビデオカードを探しているユーザーに広くすすめられるだけの実力を備えたビデオカードだ。

 1月18日の発売時点での販売価格は税込み56,800円。新型NUCの購入を検討しているユーザーはもちろん、完成度の高いコンパクトサイズのビデオカードを探しているのなら、DUAL-RTX2070-O8G-MINIはぜひとも検討すべき1枚である。