パソコン工房新製品レビュー

vPro対応でテレワークにも好適。ユニットコムの法人向けミニPC「SOLUTION-CNTI-i7-UXX」を試す

ユニットコム「SOLUTION-CNTI-i7-UXX」

 ユニットコムは、法人向けミニPC「SOLUTION-CNTI-i7-UXX」を発売した。設置場所に困らない超小型ボディながら、インテルvProテクノロジー対応の第11世代Core i7を搭載することで、法人向けPCで不可欠となる優れたセキュリティ機能や管理機能を利用できる点が大きな特徴となっている。すでに販売中で、パソコン工房での直販価格は17万800円から。

インテルのミニPCベアボーンキット「NUC 11 Pro」を活用

 SOLUTION-CNTI-i7-UXX(以下、CNTI-i7)は、手のひらサイズの法人向け超ミニPCだ。その外観を見るとピンと来る人もいるかもしれないが、Tiegr Lakeこと第11世代Coreプロセッサを採用するインテルの法人向けミニPCベアボーンキット「NUC 11 Pro」をベースとした製品だ。とはいえ、ベアボーンキットではなく、あらかじめメモリやストレージを搭載し、OSやアプリケーションもインストール済みの完成品PCとして提供される。

 外観は、正面にiiyamaロゴが印刷されているものの、基本的にはNUC 11 Proのボディそのままとなっている。サイズは117×112×54mmと、まさに手のひらサイズ。デスク上に設置する場合でも場所を取らず、設置の自由度の高さは非常に優れる。

 ただし、左右側面には大きなメッシュの吸気口が用意されており、こちらから外気を取り込んでCPUなどの発熱を冷却するようになっている。そのため、安定動作を考慮するなら吸気口を塞がないように横置きでの利用を基本と考えたい。

CNTI-i7は、インテルのミニPCベアボーンキット「NUC 11 Pro」を活用した製品。正面にはiiyamaロゴが印刷されている
背面。高さは54mmで、内部に7mm厚の2.5インチドライブを1台搭載可能
左側面。外気を取り入れるメッシュ状の大きな吸気口を備える
右側面にもメッシュ状の吸気口を用意。左右側面に吸気口があるため、基本的に縦置きには対応しない
フットプリントは117×112mmと十分にコンパクトで、省スペース性に優れる
底面

 また標準で100×100mmのVESAマウントキットも付属。こちらを利用してモニター背面のVESAマウント用ネジ穴に装着すれば、デスク上のPC設置場所の確保が不要となるため、さらなる省スペース化を実現できる。本体の重量は試用機の実測で635gだったため、モニターの背面にも問題なく装着できるだろう。

100×100mmのVESAマウントキットが付属し、VESAマウント用ネジ穴を備えるモニターの背面に装着可能
試用機の重量は実測で635gだった

vPro対応CPUを搭載し、デュアル2.5GbE仕様に拡張

 CNTI-i7の主な仕様は、以下の表にまとめた通りだ。

【表1】SOLUTION-CNTI-i7-UXX(試用機)の主なスペック
プロセッサCore i7-1185G7
(4コア/8スレッド、ターボブースト時最大4.80GHz)
メモリDDR4-3200 16GB(8GB×2)
内蔵ストレージ500GB PCIe 3.0 SSD
メモリスロットSO-DIMM×2(空きなし)
M.2スロットType 2280、Type 2230(ともに空きなし)
ドライブベイ2.5インチ(7mm厚)
無線LANWi-Fi 6 2x2
BluetoothBluetooth 5.1
インターフェイスThunderbolt 4、Thunderbolt 3、HDMI×2、2.5Gigabit Ethernet×2、USB 3.1×3、USB 2.0×3
OSWindows 11 Pro
サイズ117×112×54mm

 CPUは、インテルvProテクノロジーに対応するCore i7-1185G7を採用する。vPro対応ということで、「インテル アクティブ・マネジメント・テクノロジー(Intel AMT)」を活用し、システム管理者がリモートでPC電源のオン/オフやBIOS設定画面へのアクセス、OS上で発生したエラーからの復旧など、高度な管理を行なえる。

 同時に、ハードウェアレベルのセキュリティ機能「インテル ハードウェア・シールド」も搭載。ソフトウェアやOSレベルでは検出が難しい脅威にも対応できる優れたセキュリティ性も備えている。つまりCNTI-i7では、企業が求める高度な管理機能やセキュリティ機能に問題なく対応できるわけだ。

 vPro対応には、CPUだけでなく、マザーボードやLANなどのパーツも全てvPro対応製品で揃える必要がある。CNTI-i7であれば、当初よりパッケージとしてvPro対応を実現しているため、手間をかけずvPro対応を実現できる点も企業にとって魅力的な部分だ。

 メモリは標準でDDR4-3200を16GB(8GB×2)搭載。内蔵ストレージは容量500GBのPCIe 3.0/NVMe準拠SSDを標準搭載。基本スペックは標準仕様でも法人向けPCとして申し分ないものとなっているが、BTOメニューで購入時にカスタマイズも可能だ。たとえばメモリは最大64GBまで搭載でき、内蔵ストレージも最大2TBのSSDに変更したり、セカンドストレージとして2.5インチSSD/HDDも追加できる。

 無線機能は、Wi-Fi 6(2x2)準拠の無線LANとBluetooth 5.1(インテル Wi-Fi 6 AX201)を標準搭載する。

正面にUSB 3.2 Gen2 Type-A×2を配置
背面に、電源コネクタ、Thunderbolt 4(1と書かれたポート)、Thunderbolt 3(2と書かれたポート)、HDMI×2、2.5GbE×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、USB 2.0×3を配置
2.5GbEを標準で2ポート備える点は大きな特徴で、ネットワークまわりの自由度に優れる

 ポート類の多さも特筆すべき部分。CNTI-i7では、前面にUSB 3.1×2を、背面にThunderbolt 4、Thunderbolt 3、HDMI×2、2.5Gigabit Ethernet(GbE)×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、USB 2.0×3を標準で用意する。

 この中で特徴的なのが、2.5GbEを標準で2ポート用意する点だ。NUC 11 Proの標準仕様では2.5GbEは1ポートのみだが、CNTI-i7では標準で2ポートに拡張している。

 これによって、たとえばネットワークアクセスとネットワークストレージアクセスにそれぞれ独立して割り当てることで、双方とも2.5GbEのフル帯域を確保できる。ネットワークストレージに大容量ファイルを転送しつつ、高速なネットワークアクセス速度を確保できるため、業務の快適性を高められることになる。これはあくまでも例だが、2.5GbEが2ポートあることで、企業が求めるさまざまな用途へ柔軟に対応できるはずだ。

 また、HDMI×2に加えて、Thunderbolt 4とThunderbolt 3を標準で用意しており、最大で4K/60Hz×4のマルチモニター出力に対応。この小型ボディで4K×4のマルチモニター環境を構築できる点も大きな魅力と言える。

 OSは、Windows 11 ProのDSP版を利用。そのため、標準でOSのインストールメディアが付属するという。

 ところで、付属のACアダプタはかなり大型のものとなっている。120Wと高出力ということもあるが、本体と並べてみるとその大きさに少々驚かされる。もちろん持ち運ぶわけではないため、このサイズでも設置してしまえば気にならないとは思うが、どうせならもう少し小型のACアダプタでもよかったのではないかと感じる。

ACアダプタは出力120Wの大型のものが付属する
ACアダプタを本体と並べてみると、その大きさがよく分かる

本体内部をチェック

 では、CNTI-i7の内部を見てみよう。

 本体内部にアクセスするには、底面ゴム足内のネジを4本外し、底面カバーを取り外す必要がある。なお、底面カバーには2.5インチストレージ用のSATAケーブルが接続されているため、外す際には注意が必要だ。

本体内部にアクセスするには、底面のゴム足のネジを4本外す
ネジを4本外すと底面カバーが取り外せる
底面カバーには2.5インチドライブベイ用のSATAケーブルが接続されているので注意が必要だ

 底面カバーを取ると、内部のSO-DIMMスロットやM.2スロットなどにアクセス可能となる。マザーボードには、メインメモリ用のSO-DIMMスロットが2本と、PCIe 4.0 x4/Type 2280対応のM.2スロットが1本、PCIe 3.0 x1/Type 2230対応のM.2スロットが1本用意されている。ただ、SO-DIMMスロットには標準で容量8GBのSO-DIMMが1枚ずつ、M.2スロットにはSSDと2.5GbE拡張カードがそれぞれ装着されているため、空きスロットはない。

 2.5インチドライブベイは底面カバー側に用意されている。装着可能なドライブは厚さ7mmの2.5インチSATAドライブで、HDD/SSDいずれも装着可能。装着時には底面のドライブ固定用ネジ穴を埋めているラバーアタッチメントを外した上で、ドライブを装着してネジ止めする必要がある。

 また、2.5インチドライブベイアタッチメントには、M.2 SSDや2.5GbE拡張カード用の冷却シートを装着。それらの発熱をボディに逃がしつつ冷却することで、安定動作できるよう配慮されている点はうれしい部分だ。

マザーボードには、メインメモリ用のSO-DIMMスロットが2本と、PCIe 4.0 x4/Type 2280対応のM.2スロットが1本、PCIe 3.0 x1/Type 2230対応のM.2スロットが1本用意されているが、空きはない
底面カバーに2.5インチドライブベイを配置。7mm厚の2.5インチドライブを装着可能
2.5インチドライブ装着時には、底面のドライブ固定用ネジ穴を埋めているラバーアタッチメントを外す必要がある
ドライブベイに2.5インチドライブを装着
底面のネジ穴を利用してドライブを固定する
2.5インチドライブベイアタッチメントには、M.2 SSDや2.5GbE拡張カード用の冷却シートを装着し、それらを冷却できるよう配慮されている

法人向けPCとして申し分ない性能

 では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2574」、「3DMark Professional Edition v2.25.8043」、Maxonの「Cinebench R23.200」の3種類だ。

PCMark 10 v2.1.2574の結果
3DMark Professional Edition v2.25.8043の結果
Cinebench R23.200

 結果を見ると、いずれのテストも申し分ないスコアが得られている。もちろん、搭載CPUが第11世代CoreプロセッサのCore i7-1185G7ということで、第12世代Coreプロセッサ搭載PCに比べると性能はやや控えめではある。

 とはいえ、CNTI-i7はクリエイティブ用途ではなく、一般ビジネス用途をメインターゲットとしていることを考えると、これだけの性能なら全く問題なく活用できる。メモリも標準で16GB、最大64GBまで搭載できるため、Office系アプリはもちろん、2枚以上のディスプレイを利用してWeb会議アプリやOffice系アプリなどの複数アプリを同時利用する場合でも、十分快適に動作するはずだ。

 空冷ファンの動作音は、通常時は本体に耳を近づけると風切り音などが聞こえるものの、デスク上に設置して利用している状態では、ほとんど気にならないレベルだ。それに対しベンチマークテスト実行中など高負荷時には、さすがにファンの動作音や風切り音が大きくなる。それでも、同等クラスのミニPCと比べても比較的静かな印象だ。

 設置場所によっては動作音が気になる場面があるかもしれないが、通常のオフィスであれば周りの音にかき消されてほとんど気にならないレベルで、静音性も申し分ないと言っていいだろう。

オフィスワークだけでなくテレワーク用のPCとしても魅力

 CNTI-i7は、仕様的には法人向けのミニPCとして標準的な製品だ。とはいえ、個人向けPCをベースとした製品と異なり、vPro対応を実現している点は企業にとって大きな魅力となるだろう。近年は、企業におけるPCの管理やセキュリティ性の確保が重要視され、従業員が利用するPCにおけるvPro対応は欠かせない要素となっている。そういった意味でもCNTI-i7は、企業が安心して導入できる製品に仕上がっていると言える。

 また、テレワーク用のPCとして活用する場合でも、vPro対応によりネットワーク経由で遠隔管理できる点が大きなポイントとなる。従業員が自宅に設置したテレワーク用のPCでトラブルが発生した場合でも、企業のシステム管理者がネットワーク経由でトラブルシューティングが行なえるため、問題を素早く解決できる。設置場所を取らない小型ボディという部分とあわせ、テレワーク用に従業員が自宅で利用するPCとしても魅力のある製品と言っていいだろう。