山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

新Kindleで味わう、表示30%高速化と140gの軽さ。ただし価格は1万円アップ

「Kindle(2026年発売)」。容量は16GBで、今回紹介しているグラファイトのほかにウベパープルがある。実売価格は2万9,980円

 「Kindle(2026年発売)」は、Amazonが販売する6型E Ink電子ペーパー搭載の電子書籍端末だ。従来モデルに比べて大幅な高速化と小型軽量化が行なわれているほか、電源ボタンの配置の見直し、ベゼルとの段差をなくしたフラットなデザインなど、フルモデルチェンジが図られている。

 かつてはエントリー向けで「安かろう悪かろう」のイメージもあった無印Kindleも、ここ数年で解像度の向上、フロントライトの搭載など上位の「Kindle Paperwhite」と比べても遜色のない機能向上が図られ、そして今回のモデルでは画面サイズを除いてほぼ同等と呼べるほどの進化を遂げ、もはやエントリー向けとは呼べない充実ぶりを見せている。

 その一方、従来モデルの発売時点と比べて実売価格は1万円もアップするなど、価格的にもエントリー向けではなくなりつつあるのも事実。今回は、筆者が購入した16GBモデルについて、2024年発売の従来モデルなどと比較しつつチェックする。

小型軽量化を実現。上位の32GBモデルは別ラインナップ扱い?

 まずは従来の、第11世代モデル(2024年発売)との比較から。なお発売間もない本稿執筆時点では製品ページに記載されている情報が少なく、フロントライトのLED個数など、一部仕様は未確認となっているのでご了承いただきたい。

Kindle (2026年発売)Kindle (第11世代) - 2024年発売
発売月2026年10月2024年10月
サイズ(幅×奥行き×高さ)152.8×108×6.9mm157.8×108.6×8.0mm
重量140g158g
画面サイズ/解像度6型/1,448×1,072ドット(300ppi)6型/1,448×1,072ドット(300ppi)
ディスプレイ6インチAmazonディスプレイ、フォント最適化技術6インチAmazonディスプレイ、16階調グレースケール
通信方式2.4GHz、5.0GHzをサポート2.4GHz、5.0GHzをサポート
内蔵ストレージ16GB16GB
フロントライトありあり(LED4個)
ページめくりタップ、スワイプタップ、スワイプ
防水・防塵機能--
ポートUSB Type-CUSB Type-C
バッテリ持続時間の目安最大6週間最大6週間
明るさ設定13、ワイヤレス接続オフで1日30分使用した場合
発売時価格2万9,980円1万9,980円
備考一部仕様の異なる32GBモデルもラインナップ

 この表からも分かるように、6型/300ppiという基本仕様は従来モデルと変わっていない。またフロントライトは搭載するものの、上位モデルのKindle Paperwhiteと違って明るさの自動調整や色調調整に対応しない点や、防水防塵機能が非搭載なのも従来モデル譲りだ。バッテリ持続時間も最大6週間と、現状維持となっている。

 従来モデルとの大きな違いの1つがボディサイズで、天地サイズが若干短くなり、さらに薄くなっている。これに合わせて重量も約18g軽量化されており、歴代のKindleの中でも最軽量なモデルとなっている。近年はスマホでも150gを切る製品はほぼ皆無であり、本製品がいかに軽いかが分かる。

 ストレージ容量は、今回紹介している16GBのほかに32GBモデルがあるが、32GBモデルはボディがアルミニウム製という相違点があるほか、重量は162gと従来モデル(158g)以上に重くなっており、同社のサポートページには「アルミニウム - 2026年発売」と、半ば別製品として扱われている。

 Kindleの各モデルはかつて「2018年発売のモデルは第8世代」といった具合に発売年の下1桁を世代とする表記ルールだったが、ここ数年で発売年を呼び名に含めるなど例外が散見されるようになり、本製品ではとうとう世代表記が消滅。さらに前述のアルミニウムなど新しい要素まで追加され、ややこしいことこの上ない。

 ちなみに本製品の呼び名も、製品ページやパッケージは「Kindle (2026年発売)」、本体やサポートページでは「Kindle (2026年リリース)」、プレスリリースでは「Kindle(16GB)」とすべて違っており、カオス状態だ。俯瞰してコントロールできる人材が同社内に不在なのか、余計なお世話だろうが外野から見ていて心配になる。

 なお実売価格は2万9,980円。従来モデルも本稿執筆時点では2万9,980円というプライスが付けられており、価格は維持されているように見えるが、実は従来モデルはこの9月にそれまでの1万9,980円から新価格の2万9,980円へと値上げされたばかりで、つまり8月以前と比べると1万円も値上がりしていることになる。

製品外観。ベゼルと画面の間の段差がなくなりフラットになっている
背面。素材は従来モデルと同じく樹脂だが、手の脂やキズは従来よりつきにくい印象
底面にあるのはUSB Type-CポートおよびLEDのみ
従来は底面にあった電源ボタンは右側面へと移された
重量は実測140g。従来モデルよりも18g軽く、歴代最軽量となる
製品パッケージ。従来のクラフト調から一新されている
同梱品一覧。USBケーブルとセットアップ手順書が付属する。従来通りアダプタは含まれない
端末情報では「Kindle(2026年リリース)」という名称だが、製品ページやパッケージ、プレスリリースそれぞれで呼び名はバラバラだ

UI以下は従来モデルと変わりなし。電源ボタンは側面に移動

 セットアップの手順は従来通り。今回はスマホのKindleアプリを使ってセットアップしたが、AmazonアカウントやWi-Fi情報の入力も不要で手軽だ。スマホにKindleアプリが入っているようならば、迷わずそれを利用すべきだろう。

 ホーム画面以下のデザインは、特に従来モデルとの違いは見られない。ホーム画面は複数のトピックを縦スクロールで表示する方式になっており、下段のタブで切り替えが可能なライブラリ画面で、所有しているコンテンツを呼び出す仕組みだ。明るさの調整や同期などの操作は、画面上から下へのスワイプで表示されるクイック操作パネルで行なう。

まずはセットアップ。言語選択ののち、Kindle上で設定するか、あるいはスマホを使って設定するかを選ぶ。今回は後者を選択
スマホのKindleアプリでセットアップを実行する。スマホ側で設定してあるAmazonアカウントおよびWi-Fi情報がそのまま使われる
基本設定はこれで完了。問題なければ「次へ」をタップして進む
アップデートがダウンロードされるのでしばらく待つ。このあと子ども向けプロフィールを作成するかを尋ねられたのち、セットアップが完了する
ホーム画面。最下段でホームとライブラリを切り替える。従来と特にUIの違いは見受けられない
画面の上から下にスワイプすると「クイック操作」パネルが表示される。上位のKindle Paperwhiteと違って明るさの自動調整および色調調整の機能はない

 手に取ってまず感じるのはボディの軽さ、さらに画面がフラットになっていることだ。一般的にKindleシリーズといえば防水対応モデルは画面がフラット、非対応モデルは画面とベゼルの間に段差があったが、本製品は防水非対応ながら段差がないフラットな仕様になっている。本製品のボディが従来モデルよりも薄いのは、この削られたベゼルの高さがそのまま差し引かれていると考えてよい。

 その一方、画面をうつぶせにしたときに画面が直接接地しないようにするためか、縁の部分には若干の段差が設けられている。これは従来モデルにはなかったものだ。

2024年発売の従来モデル(右)との比較。天地サイズが若干短くなっていることが分かる。またボディカラーはグラファイトということで若干グレーがかっている
背面の比較。長らく採用されてきたAmazonのA→Zロゴが廃止され「Kindle」のモールドに差し替えられている
厚みの比較。本製品(左)の方が若干薄い
本製品は画面とベゼルの間に段差がないのが特徴だが、その代わりにベゼルと縁の間にはわずかな段差が設けられている

 また歴代モデルでは底面にあった電源ボタンは側面へと移動している。スマホなどでなじみのある配置ゆえ感覚的に把握しやすくなったほか、歴代モデルで「あるある」だった、底面を下につけて置いたときに不意に電源をオン・オフしてしまう恐れがなくなった。

 ボタンの位置が変わったことで、これまで十年以上にわたって電源を入れるときには本体の底面をまさぐってきたユーザーは違和感を覚える日々が続きそうだが、配置そのものは側面の方がベターで、ユーザーの側が慣れるべきだろう。ちなみに同時発表のKindle PaperwhiteおよびKindle Colorsoftも、同様の配置変更が行なわれている。

 なお電源ボタンと底面のUSB Type-Cポート以外にボタンやポート類がまったくないのは、従来モデルと変わらない。メモリカードももちろん非対応だ。

両者を重ねたところ。幅は変わっていないことが分かる。本製品(下)は電源ボタンが側面に移動したためこの底面にはない

レスポンスがKindle Paperwhite並に爆速化

 では電子書籍ユースについて見ていこう。サンプルには、コミックはうめ著「東京トイボクシーズ 1巻」、テキストは夏目漱石著「坊っちゃん」を使用している。

 解像度は300ppiと、表示性能はE Inkとしては最上級。かつては上位のKindle Paperwhiteは300ppi、無印のKindleは200ppiを切る低解像度という違いが設けられていたが、現在はE Inkのカラー/モノクロという新たな判断基準が加わったこともあり、解像度による差別化は、Kindle以外のE Inkデバイスも含めて減りつつある。

 それゆえこのKindleも、表示性能においては上位モデルと比べて遜色はない。画面のフラット化によってパネルと表面の厚みに差ができたのか、従来モデルとじっくり見比べるとわずかにシャープさに欠けるが、単体で分かるレベルではない。6型ゆえ表示サイズは小さいものの、アスペクト比は4:3であることから、単ページ表示であればコミックについても十分なサイズで表示できる。

コミックを表示したところ。7型のKindle Paperwhiteに比べると小さいがアスペクト比4:3ゆえ単ページ表示であれば十分なサイズで表示可能
従来モデル(右)との比較。表示サイズに違いは見られない
表示クオリティの比較。解像度は同じだが、本製品(左)の方が若干シャープさに欠ける印象だ
テキストを表示したところ。画面サイズのコンパクトさゆえどちらかというとコミックよりはテキスト向けだろう
従来モデル(右)との比較。同一設定だと行数および一行の文字数もまったく同じだ
表示クオリティの比較。こちらもやはりシャープさに欠けるきらいがある

 そんな本製品でもっとも注目すべきなのが、レスポンスの向上だ。これまで無印Kindleといえば、上位のKindle Paperwhiteに比べてレスポンスはいまひとつで、タッチしてから反応するまでに間を感じることもしばしばだった。Kindle Paperwhiteとの最大の違いは、画面サイズよりも、むしろこのレスポンスの差にあったといってよい。

 しかし今回のモデルではこのレスポンスが大幅に向上し、ページめくりのみならず、ライブラリにある本をタップして表示されるまでの速度も、明らかに従来モデルより高速化されている。従来の無印Kindleを使ってきた人であれば、わざわざ両者を並べて比較しなくとも、少し操作するだけですぐ差が分かるレベルだ。リリースでは「書籍の表示速度が約30%向上」とあるが、決して誇張ではなさそうだ。以下の動画も参考にしてほしい。

従来モデル(右)との速度比較。ライブラリから本を開き、スワイプおよびタップでページめくりを行なっているが、タップしてから反応するまでのレスポンスは本製品の方が明らかに高速で、なおかつタップの空振りも発生していない

 また従来のKindle Paperwhite(第12世代)との比較でも、レスポンスはほぼ同等、もしくは若干高速に感じられるまでになった。本製品と同時発表のKindle Paperwhiteの新モデルは11月の発売とあってまだ比較できる状態にないが、おそらくそちらとの比較でも、レスポンスの差はかなり縮まっていると見てよいだろう。

従来のKindle Paperwhite(右)との速度比較。こちらも同じくライブラリから本を開き、スワイプおよびタップでの連続ページめくりまでを比較しているが、レスポンスはほぼ同等、操作によっては本製品の方が高速に感じられるほどだ

現時点でのライバルはKindle Paperwhiteの従来モデル?

 以上のように、かつての無印Kindleの「安かろう悪かろう」のイメージがもはやどこにも見られないほどの高い完成度を誇る本製品だが、実は本製品にはこれとは別に、製品ページに一切記述のない、重要な新機能が1つ追加されている。それはバッテリの交換が可能になっていることだ。

 これは2027年から施行される欧州連合(EU)のバッテリ規則に則ったものとみられ、サポートページを見ると、従来モデルとの見分け方の欄に、バッテリが交換可能(User-replaceable battery)という一文がある。

 さらに設定画面の「端末オプション」にも、従来なかった「バッテリー」という項目が追加され、バッテリの詳細を確認するためのQRコードが表示できるようになっている。現時点ではまだアクセスは不可能だが、EU圏においてはこのQRコード経由でバッテリの交換キットを注文できるようになるとの噂もある。

Kindle端末の見分け方のページより。本製品および32GBモデルである「Kindle(アルミニウム - 2026年発売)」、キッズモデルにはバッテリが交換可能であることを示唆する一文がある。ちなみにEBRは欧州電池規則(EU Battery Regulation)の略と見られる
設定画面の「端末オプション」にも、従来の「バッテリーセーバー」に代えて「バッテリー」という項目が新設されている
「バッテリー」を開くと、バッテリの詳細を確認するためのQRコードが表示されている。ただし本稿執筆時点ではデッドリンクとなっており利用できない

 この機能、日本はもちろんEU圏のAmazonのページでも具体的なアナウンスは行なわれておらず、現時点で全貌は不明なままだが、今回のKindleシリーズの全面リニューアルがこの機能ありきだったことは間違いない。こうした背景事情を知っておけば、新モデルの表向きの変更点が、高速化および小型軽量化という、比較的地味に見える内容だったのも、ナルホドと理解できる。

 もっとも日本では、このバッテリ交換サービスが提供される可能性は現実的に低く、現時点でユーザーが考慮に入れる必要はないだろう。従来モデルと比べた場合の強みはあくまでも高速化および小型軽量化であり、価格的にそれを許容できるかという、極めてシンプルな論点になるだろう。

 そうした観点で、現時点で本製品の強力なライバルとなるのは、Kindle Paperwhiteの従来モデルかもしれない。本製品と同時発表されたKindle Paperwhiteの新モデルは実売3万9,980円と、本製品と比べると価格差がありすぎるが、本稿執筆時点ではまだ併売されているKindle Paperwhiteの従来モデル(第12世代)は、10月中旬のプライム感謝祭で、2万2,980円という、本製品よりも圧倒的に安いセール価格での投入が予告されている。

 前述のように、Kindle Paperwhiteの従来モデルは、本製品とレスポンスはほぼ肩を並べており、それに加えて防水機能や色調および明るさ自動調整が可能なフロントライトも搭載する。このKindle Paperwhiteが本製品よりも安価に入手できるのならば、どうしても6型でなくてはならない場合を除き、わざわざ本製品を選ぶ必然性は低い。買い替えを考えているユーザーにとっては、こうした見極めも必要になりそうだ。

右がKindle Paperwhiteの従来モデル(第12世代)。本稿執筆時点では新モデルと併売されており、10月中旬の「プライム感謝祭」では本製品を下回る2万2,980円というセール価格での投入が予告されている
Kindle Paperwhiteの画面サイズは7型と本製品よりひとまわり大きいほか、本製品にはない色調調整、および明るさの自動調整機能を備える
余談だが本製品は天地サイズが短くなっているため、ボディの上下に引っ掛けて使うサードパーティ製のバンドの長さが余りがち。対策品の登場を期待したいところだ