PC短評

原稿もPhotoshopもスト6も。Zenbook 14で6時間使って電池45%残り

Snapdragon Xを搭載する14型ノートPC「ASUS Zenbook 14 UX3480QA」。仕事と息抜きを含む6時間の普段使いで実用性を確かめた

 Armネイティブではないストリートファイター6も低画質設定ならほぼ60fpsで動作し、ゲームを含む6時間の実使用でバッテリは45%残った。ASUSからSnapdragon X X1-26-100を搭載する14型ノートPC「Zenbook 14 UX3480QA」が10月7日より順次発売される。価格は18万9,800円で、Microsoft 365 Personal(24カ月版)/Office Home & Business 2024付きモデルは20万9,800円。

 Zenbook 14 UX3480QAはArm系CPUらしく、公称バッテリ駆動時間が約30時間と非常に長い。とはいえ、これだけでは自分の使い方でどこまで持つのかは分かりにくい。動画を連続再生するテストと、アプリを行き来しながら仕事をするのでは負荷が異なる。さらにArm版Windowsとなれば、普段使っているアプリが動くかどうかも気になるところだ。

 そこで今回は、筆者が普段行なっている作業を6時間こなしてみた。原稿執筆とExcelでのベンチマークデータの集計、Photoshopでの写真補正が中心だが、YouTubeの動画視聴やストリートファイター6の練習も含めている。仕事も息抜きもいつも通りに行ない、アプリの互換性とバッテリの持ちを一緒に確かめてみた。

約30時間駆動の公称値を、普段の使い方で確かめる

 まずは基本仕様を押さえておこう。CPUは8コアの「Snapdragon X X1-26-100」で、最大動作クロックは2.97GHz。GPUはCPU内蔵のQualcomm Adrenoを利用し、AI処理用には45TOPSのQualcomm Hexagon NPUを備える。OSはArm版のWindows 11 Homeだ。

 メモリは16GBのLPDDR5X-8448で、オンボードのため増設はできない。SSDは256GB、PCI Express 3.0 x4接続のNVMeタイプとなる。ディスプレイは14型のOLED(有機EL)で、解像度は1,920×1,200ドット、リフレッシュレートは60Hz。高いスペックを追求するというより、日常的な作業を持ち歩ける構成だ。

 この約30時間という公称値は、メーカーが特定の構成でフルHD動画を連続再生した結果だ。測定時は無線LANを有効にしながらもネットワークには接続せず、画面輝度は150cd/平方m、Windowsの電源モードは「バランス」に設定している。Wi-Fiで通信しながら仕事をする今回のテストとは条件が異なる。

 筆者のテストはバッテリ残量100%からスタート。電源モードは「バランス」、MyASUSのファンモードは「スタンダードモード」、画面輝度は60%に設定した。ネットワークはWi-Fi接続で、途中にスリープは挟まず、画面を点灯したまま6時間使い続けた。

 内訳は次の通り。原稿執筆とExcelでの作業、SlackとDiscordでのチャット中には、Spotifyアプリで音楽をストリーミング再生し、Bluetooth接続の骨伝導ヘッドセットで聴いている。音楽を流しながら作業するのも、筆者のいつもの使い方だ。

作業内容の表
作業使用アプリ時間
原稿執筆、ベンチマークデータの集計・グラフ作成秀丸エディタ、ATOK、Excel3時間30分
撮影したJPEG写真の補正とWeb向けのサイズ変更Photoshop 202630分
動画視聴Google ChromeでYouTubeを再生1時間
トレーニングモードでの練習ストリートファイター630分
仕事とプライベートのチャットSlack、Discord30分
合計6時間
【表】ASUS Zenbook 14 UX3480QAの仕様
CPUSnapdragon X X1-26-100(8コア8スレッド)
メモリLPDDR5X-8448 16GB
ストレージ256GB SSD
ディスプレイ1,920×1,200ドット表示対応14型有機EL
OSArm版Windows 11 Home
インターフェイスUSB 3.2 Gen 2 Type-C 2基、USB 3.2 Gen 1、HDMI、Webカメラ、ステレオスピーカー、音声入出力端子
無線Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3
本体サイズ311.1×215.8×13.9~16.9mm
重量約1.1kg
価格18万9,800円(Office付きモデルは20万9,800円)
発売日10月7日(コモドコーラルのOffice付きモデルは10月21日)

いつもの仕事道具で、Armを意識せずに作業できた

 筆者の原稿執筆は「秀丸エディタ」と「ATOK」の組み合わせだ。使い慣れたエディタと日本語入力環境は、仕事用のPCを選ぶうえで外せない。今回もこの組み合わせを使い、普段と同じように原稿を書けた。特に大きいのが、ATOK for Windowsが2026年2月にArm64へネイティブ対応したことだ。

Arm版ATOK
使用したATOKはバージョン36.0.4。「システム: Arm」と表示されるArm対応版で、秀丸エディタとの組み合わせも普段通り使えた

 一方、秀丸エディタはArmネイティブのアプリではない。既存のWindows向けアプリを、OSのエミュレーション機能を通して動かしている。それでも今回の原稿執筆では普段との操作感の違いを感じなかった。「Armネイティブではないから使えない」というわけではない。この橋渡しを担うのが、Windows 11の「Prism」だ。IntelやAMDのCPUで使われるx86/x64向けのアプリを、ArmのCPU上で実行できるようにする仕組みで、Windows 11 24H2から導入された。

 WordやExcel、PowerPointなどMicrosoft Officeの主要なアプリはもちろん、画像処理に使ったPhotoshop 2026、連絡用のSlackとDiscord、BGM用のSpotify、YouTube視聴に使ったGoogle ChromeもArmネイティブ対応版が用意されている。Armであることを意識する必要がない環境がかなり整っているといえるだろう。

Photoshopのシステム情報にも「arm64」の表示。撮影したJPEGの明るさやコントラストの調整、Web向けの画像サイズ変更を行なった
Arm版アプリ
Slack、Discord、SpotifyもArmネイティブ版を使用。各アプリのバージョン情報で確認できる
YouTube視聴にはArm64版Chromeを使用。動画はウィンドウ内で、画質「自動」、720pで再生した

スト6の練習もできたが、撮影用アプリには壁があった

 息抜きには、筆者が普段遊んでいるストリートファイター6のトレーニングモードを30分プレイした。

 こちらはArmネイティブのゲームではないが、今回の環境では動作した。出力解像度は1,920×1,080ドット、クオリティは「LOW」。グラフィック基本設定の内部解像度を「1」、MaxFrameRateを60に設定し、フレームレートを優先すると、ほぼ60fpsで安定し、練習に支障はなかった。内部解像度を「3」に上げると、SA3などの派手な演出では40fps台まで落ち、「2」でも50fps台になることを確認した。画質を抑えてでも60fpsを優先し、移動先でコンボなどを練習する使い方が、本機には合っていそうだ。

スト6も動いた
ストリートファイター6は問題なく動作し、低画質設定なら60fpsでほぼ安定した

 ゲームパッドと組み合わせれば、外出先でスト6の練習をする使い方も考えられる

 ここまで読むと、筆者の普段の作業を全部置き換えられそうに見えるが、1つ困ったアプリもあった。ソニーの「Imaging Edge Desktop」だ。筆者は撮影が必要な仕事では、α6000とPCをUSBケーブルで接続し、同アプリの「Remote」を使ってテザー撮影を行なっている。PCからカメラを操作しながら撮影するための環境だ。

 今回、Imaging Edge Desktop自体はインストールできた。しかし、その後に導入するRemote、Viewer、Editの機能をインストールできなかった。追加機能のインストーラーを実行しても何も起きず、いつもの撮影環境を構築できなかったのだ。ソニーの公式サイトにも、Armプロセッサ搭載PCでは動作しないと明記されている。

 筆者が今回試した範囲では、普段の環境を再現できなかったのはこれだけだった。それでも、撮影を伴う仕事では無視できない。Prismがあるからすべて解決するわけではなく、特に専用機器と組み合わせるアプリは対応状況を確かめたい。

ゲームを含む6時間の使用で、バッテリは45%残った

 さて、肝心のバッテリはどうなったか。6時間を終えた時点で残量は45%。執筆やデータ集計だけでなく、Wi-Fiでの動画視聴、音楽のストリーミング再生、Bluetoothヘッドセットの利用、さらに30分のゲームプレイまで含めた結果だ。画面を消している時間で駆動時間を延ばしたわけでもない。スリープを挟まず6時間使って、まだ半分近く残っている。筆者の普段の使い方を持ち出しても、仕事の途中で電源を探す場面はかなり減らせそうだ。

バッテリは45%残っていた
満充電から6時間使用して、残量は45%。画面輝度60%、Wi-Fi接続、スリープなしで、ゲームプレイも含む結果だ

 持ち歩くPCでは、バッテリ駆動時の処理性能も大事だ。電源につないでいるときだけ速く、外すと作業が遅くなるようでは、せっかくの長時間駆動を生かしにくい。そこで、AC接続時とバッテリ駆動時でベンチマークも実行した。MyASUSのファンモードは、どちらもスタンダードモードとしている。

 CPUのレンダリング性能を測るCinebench 2026では、複数スレッド、単一スレッドともにほぼ同じスコアだった。一方、実際にOfficeアプリを動かすProcyon Office Productivityでは、バッテリ駆動時に総合スコアが約8%低下。Wordは約1%、Excelは約6%の低下で、PowerPointは約17%と差が大きかった。

 すべての処理で性能が変わらないとまではいえないが、CPUの処理性能はバッテリ駆動でもよく維持されている。実際、今回の執筆やExcel、写真補正でも普段との操作感の違いは感じなかった。長く動くだけでなく、その時間をいつもの作業に使えることが、本機の実用的な強みだ。

使いやすい配列と端子を、約1.1kgの本体にまとめた

 最後に、本体の使い勝手も見ておこう。サイズは幅311.1×奥行き215.8×高さ13.9~16.9mm、公称重量は約1.1kg。筆者の実測では1,143gだった。14型の画面を備えながら、持ち歩く仕事用PCとして扱いやすい重さに収まっている。OLEDディスプレイはアスペクト比16:10で、フルHDより縦に広い1,920×1,200ドット。表面は光沢で、タッチ操作には対応しない。上部には207万画素の赤外線カメラを備え、Windows Helloの顔認証に対応する。

16:10の有機ELディスプレイ
14型OLEDは1,920×1,200ドットでリフレッシュレート60Hz。縦に少し広い16:10の画面で、文章や表を扱いやすい
ディスプレイ上部には207万画素の赤外線カメラを搭載。Windows Helloの顔認証に対応する

 キーボードは84キーの日本語配列で、バックライトを備える。配列にクセがなく、ほとんどのキーが正方形に近い形状なので文字入力は快適だった。キーピッチも実測で約19mmと、文字を打つための余裕がある。ただし、矢印キーが4つとも小さいのは少し残念だ。原稿や表の中を移動する機会は多いので、せめて左右キーだけでも大きくしてほしかった。

キーボードとタッチパッド
クセの少ない日本語配列で、文字入力は快適。ただし、矢印キーがすべて小さい点は惜しい
キーピッチは実測で約19mm。主要キーのサイズが確保されている
タッチパッドは実測で幅127×奥行き79mm。広い操作面を備える

 インターフェイスは、右側面にUSB 3.2 Gen 1を1基、左側面にHDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-Cを2基、ヘッドセット端子を用意する。Type-Cは2基とも映像出力とUSB Power Deliveryによる給電に対応。Type-Aもあるので、手持ちのUSB機器を接続しやすい。

 カードスロットと有線LAN端子は非搭載。無線機能はWi-Fi 6EとBluetooth 5.3を備えており、今回のWi-Fi通信とBluetoothヘッドセットの組み合わせでも利用できた。

インターフェイス
右側面にはUSB 3.2 Gen 1を1基備える
左側面にはHDMI、USB 3.2 Gen 2 Type-Cを2基、ヘッドセット端子。Type-Cは映像出力と給電に対応する

 付属ACアダプタはUSB Type-C接続で、最大68W出力。持ち運びやすい小型タイプだ。今回のように6時間使っても残量45%なら、短い外出では充電器を持たない選択もできそうだが、長い出張などではコンパクトな付属アダプタを一緒に持っていくと安心だ。

ACアダプタと重量
付属ACアダプタは最大68W出力。USB Type-C接続で、本体へ給電する
本体の重量は実測1,143g。公称値は約1.1kgとなる

 Zenbook 14 UX3480QAで過ごした6時間では、原稿執筆、ベンチマークデータの集計、写真補正、動画視聴、チャットに加え、スト6の練習までできた。筆者の一般的な作業では、Arm版Windowsを意識せずに使えるところまで来ている。一方、Imaging Edge Desktopのように使えないアプリも残っており、乗り換え前の確認は必要だ。

 自分の使うアプリが対応していれば、ゲームを含む普段使いでも6時間後に45%残るスタミナは魅力的。軽い本体、文字入力しやすいキーボード、OLEDの見やすい画面も合わせ、外出先で普段の仕事を続けるための1台として、十分に検討する価値がある。