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スマホとWindows間のファイル転送を簡単にやる方法があった!しかもワイヤレスで!
2024年11月6日 06:06
Windows 11の「モバイルデバイス管理」に、新機能となるエクスプローラーとの統合機能が追加された。これにより、 エクスプローラーからワイヤレスでAndroidスマホのファイルを簡単に参照できるようになった。 その概要と使い方を解説していこう。
(1) ワイヤレスでスマホのデータを参照できる
(2) モバイルデバイスで提供される新機能
(3) エクスプローラー連携を利用可能にする
(4) OneDriveと似た操作性
(5) 実用性は高いが完成度が上がるのを待つのも手
ワイヤレスでスマホのデータを参照できる
モバイルデバイスのエクスプローラー連携機能は、文字通りエクスプローラーからAndroidスマホのファイルを操作できる機能だ。
機能を有効にすると、エクスプローラーの左側にある[ナビゲーションウィンドウ(フォルダの一覧が表示される画面)]に、[Pixel 6]などのスマホのアイコンが表示され、そこから[storage]-[Documents]などとフォルダを辿ることによって、スマホ上に保存されているファイルにアクセスできる。
これにより、エクスプローラー上での操作で、スマホで撮影した写真を取り出したり、外出先で見たいPDFファイルをPCからスマホにコピーしたりできる。
スマホをUSBケーブルで接続した場合も、同様にエクスプローラーからスマホのファイルを参照できたが、[モバイルデバイス]を利用した連携の特徴は、スマホを物理的にPCに接続しなくて済む点だ。
家庭やオフィスのWi-Fiなど、スマホとPCがインターネット接続されていれば、データの同期が可能(オプションでモバイルデータ通信でも利用可能)なため、スマホを鞄やポケットに入れていても、手軽にPCからスマホ上のファイルを操作できる。
モバイルデバイスで提供される新機能
この機能は、Windowsの[設定]の[Bluetoothとデバイス]にある[モバイルデバイス]で提供されている。
Windowsには、スマホと連携する[スマートフォン連携]というアプリが用意されているが、これはモバイルデバイス向けに提供される複数の連携機能の1つとなる(スマートフォン連携はオフでもエクスプローラー連携は利用可能)。
[モバイルデバイス]では、このほかにスマホのカメラをWindows上で利用する機能なども提供されており、スマホのハードウェアをWindowsから活用可能だ。今回のエクスプローラー連携も、同様にスマホのストレージをWindowsから活用する機能と考えると分かりやすい。
なお、この機能がいつ、どのタイミングで正式リリースされたのかは不明だ。24H2がリリースされたタイミング(2024年10月1日)では表示されなかったので、24H2のリリース移行に追加された機能と考えられる。
エクスプローラー連携を利用可能にする
この機能を利用するには、関係する各アプリを最新版にアップデートする必要がある。WindowsでWindows UpdateやMicrosoft Storeでのアプリの更新を一通り実行することに加え、接続するAndroidデバイスでもOSや[Windowsにリンク]アプリを最新版にアップデートしておく。
海外サイトの記事では、[クロスデバイスエクスペリエンスホスト]の更新が必要と書いているところがあったが、筆者の環境では、特にアップデート操作をしなくても有効化された(自動的にアップデートされた可能性が高い)。以下が、最終的に機能が有効になった際の各ソフトウェアのバージョンとなる。
- Windows 11 24H2 26100.2033
- [スマートフォン連携]アプリ : 1.24101.61.0
- クロスデバイスエクスペリエンスホスト : 1.24101.35.0
- [Windowsにリンク]アプリ : 1.24092.116.0
- Pixel 6 : Android 15
準備ができたら、[設定]の[Bluetoothとデバイス]にある[モバイルデバイス]で[デバイスの管理]をクリックし、[デバイスの追加]からスマホをリンクする。画面の指示にしたがって、スマホでQRコードを読み取り、スマホにインストールした[Windowsリンク]アプリで連携設定すればリンク完了だ。
モバイルデバイス連携で利用可能な機能の一覧に、[エクスプローラーにモバイルデバイスを表示する]という選択肢が表示されるので、これをオンにし、スマホ側でも[すべてのファイルへのアクセス]の権限を許可すれば、エクスプローラー上にスマホのアイコンが表示され、ファイルにアクセス可能になる。
なお、前述したように、[スマートフォン連携]はモバイルデバイス機能の一部に過ぎないため、[スマートフォン連携]はオフの状態でも、エクスプローラーとの連携機能は利用可能だ。
OneDriveと似た操作性
ファイルの操作感は、OneDriveと非常に似ている。
エクスプローラー上に表示されたスマホのリンクは、「C:¥Users¥ユーザー名¥CrossDevice¥Pixel 6¥storage」となっており、実際はPCのローカルストレージ上のフォルダとなっており、スマホのストレージを直接操作しているわけではない。
エクスプローラー上に表示されるスマホのファイルは、OneDriveで言うところの[ファイルオンデマンド]と同様に、リンクとなっており、ダブルクリックして開いたり、コピーしたりするときに、はじめて同期処理が実行され、スマホからダウンロードされるようになっている。
同様に、PCからスマホにファイルをコピーする場合も、いったん、PC上のフォルダ(上記のCrossDeviceフォルダ傘下)にファイルがコピーされ、その後、同期処理が実行されてスマホに転送されるようになっている。
このように、ネットワークのファイル共有のようにリアルタイムにファイルを扱っているわけではなく、スマホ上のファイルをPCと同期する仕組みとなっている。
このため、スマホがオフラインでも、エクスプローラーからスマホのストレージを参照することはできる。
ただし、オフラインの場合、すでにローカルにキャッシュされているファイル(過去にダウンロードしたファイル)はアクセスできるが、それ以外のファイルを開くことはできない。オフライン時にPC上のファイルをスマホにコピーすることはできるが、次回オンラインになるまで同期されない仕組みになっている。
なお、オフライン時に同期されていないファイルを開こうとすると、モバイルデータ通信を有効にするか、Wi-Fiに接続することを推奨するメッセージが表示される。同期はクラウド経由で実行されるため、何らかの方法でインターネット接続されている必要がある。
このほか、以下の記事のように、登録したスマホを削除できないという現象(仕様?)があるが、今回の機能でも状況は同じだ。[モバイルデバイス]の[デバイスの管理]から特定のスマホを[オフ]にすることでエクスプローラー上に非表示にすることはできるが、[モバイルデバイス]側の一覧から削除するにはサインアウトして、すべての登録を解除してやり直す必要がある。
筆者の環境では、エクスプローラー連携をオンにしたままサインアウトしたところ、エクスプローラー上にデバイス名が残ったままになってしまったので、まだ完成度が高いとは言えない状況だ。もう少し様子を見てから使ったほうがいいかもしれない。
実用性は高いが完成度が上がるのを待つのも手
とはいえ、実用性はなかなか高く、スマホを手に取る必要なく、普段使っているエクスプローラーで、メモとして撮影した写真を取り出したり、PCから音楽ファイルをスマホに転送したり、PDFなどのドキュメントを相互にやり取りできるのは、なかなか便利だ。
従来の[スマートフォン連携]は、アプリを起動するのが面倒でハードルが高かったが、これは普段使っているエクスプローラーを使えるので、ハードルが下がっている。
OneDriveの同期でいいのでは?という意見もありそうだが、サブスクなしで、エクスプローラーからスマホ上の複数のフォルダをまるごと参照できるメリットはある。アプリ改善されるのを待ってからでもいいと思うが、試してみる価値はある機能と言えそうだ。