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ノートPCのバッテリが減りまくる!そんなときにチェックすべきこと5選。設定を変えるだけでかなり延びるかも

 外出先などでノートPCを使っていると、“バッテリの減り”が気になってくることは多い。それでもし、初期設定のままノートPCを使っているなら、一度設定を見直したほうが良い。実はちょっとした変更でバッテリ駆動時間を延ばすことができるのだ。

 そこでここでは、ノートPCやWindowsの設定、周辺機器、温度といった環境がバッテリにどう影響するのか、テストを実行して1時間後、3時間後のバッテリの消費具合を計測していく。バッテリ駆動時間を延ばすための参考になるはずだ。

 バッテリテストのために用意したのは、ASUSの14型ノートPC「Zenbook 14 OLED」だ。CPUにCore Ultra 7 155Hを搭載する。メモリはLPDDR5X-7467が16GB、ストレージはNVMe SSDが1TBだ。ディスプレイはOLED(有機EL)で解像度は2,880×1,800ドットというスペックになっている。バッテリ駆動時間は公称でJEITA測定法2.0で約21時間、JEITA測定法3.0の動画再生で約11.4時間、アイドルで約20時間とかなり長めと言える。

検証に使用したノートPC
バッテリ駆動のテストにはASUSの「Zenbook 14 OLED」(型番 : UX3405MA-U7161W)を利用した

キーボードのバックライトは影響大!?

 まずは、キーボードのバックライトから試してみたい。Zenbook 14 OLEDのキーボードには白色LEDが内蔵されており、3段階に明るさが調整できるほか、オフにもできる。バックライトは暗い場所でキーボードの視認性を高めるのに役立つが、当然使えば消費電力が増加する。

 ここでは、バックライトの明るさ最大とオフの2パターンでPCMark 10のBatteryテスト内にあるVideoを実行した。シンプルに動画を再生し続けるという動作だ。ディスプレイの輝度は50%(中間)の状態に設定した。

 なお、キーボードのバックライトは一定時間何も操作しないと自動的に消えてしまうため、50秒に1回マウスカーソルを微妙に動かすプログラムを使用し、バックライトが消えないようにしてテストしている。

キーボードバックライトのオン/オフで比較
キーボードのバックライト最大(左)とオフ(右)の状態でテストしている

 バックライトの影響は大きかった。3時間経過した時点で、バックライト最大だとバッテリが27.5%も減ったのに対し、オフだと19%の減少で済んでいる。その差は8.5%だ。外出先などバッテリ駆動で作業するときは、バックライトをなるべくオフにしたほうが良いだろう。

ディスプレイの輝度ではどう変わる?

 次は、ディスプレイの輝度設定を最大と最低にした場合のバッテリ減少についてチェックしていこう。キーボードのバックライトと同じくPCMark 10のBatteryテスト内にあるVideoを実行した。なお、キーボードのバックライトはオフの状態でテストを行なっている。

ディスプレイのオン/オフで比較
ディスプレイの輝度を最大(左)と最低(右)の状態でテスト。最低にするとかなり暗くなるのが分かる

 こちらも影響はそれなりに大きい。輝度最大だと3時間で22%の減少、最低だと14.7%で済んでいる。その差は7.3%だ。作業環境の明るさにもよるが、バッテリを保たせたいなら、輝度は下げたほうが良い。

Windowsの電源モードでの変化をテスト

 続いて、Windows 11の設定にある「電源モード」で、どう変わるのかテストする。ここでは、「バランス」と「トップクラスの電力効率」の2パターンで、ProcyonのBattery Life Benchmark内にあるOffice Productivityを実行した。これは、Microsoft OfficeのWord、Excel、PowerPoint、Outlookでさまざまな処理を連続して行なうというもの。実作業に近い内容だ。ディスプレイの輝度は50%(中間)、キーボードのバックライトはオフにしている。

電源モードの違いで比較
Windows 11の電源モードから「バランス」と「トップクラスの電力効率」でテストを実行した

 3時間の連続実行時で、バランスだと22.2%、トップクラスの電力効率で19.5%の減少となった。2.7%とそれほど大きな差にならなかったのは、Microsoft Officeの負荷が小さいためだろう。CPUやGPUをガンガン使わない限りは、電源モードによる差は大きく開かないと見られる。バッテリ消費を少しでも抑えたいなら、トップクラスの電力効率への変更を行なおう。

USB機器の接続でもバッテリ消費は増える

 ここでは、無線マウスのUSBレシーバと外付けSSDを接続するとバッテリ消費に変化があるのかテストする。USB機器のあり、なしの2パターンで電源モードと同じくProcyonのBatteryテスト内にあるOfficeを実行した。ディスプレイの輝度は50%(中間)、キーボードのバックライトはオフだ。

USBデバイスの接続/非接続で比較
無線マウス(Microsoft Sculpt Ergonomic Mouse)のUSBレシーバと外付けSSD(Crucial X10 Pro)を接続した状態でテストを実行した

 3時間のテストで差はわずか1.9%だった。しかし、確実にバッテリ消費は大きくなっており、使わないUSBデバイスは取り外しておいたほうが良いだろう。

NPUの使用有無はどこまで影響するのか

 今回のテストに使用している「Zenbook 14 OLED」に搭載されているCPUのCore Ultra 7 155Hは、AI処理に特化した「NPU」(Neural Processing Unit)を内蔵している。AI系の処理を高速かつ省電力に実行できるのが特徴だ。

 ここでは、NPU使用の有無でバッテリ消費がどう変化するのかテストする。NPUは、Zenbook 14 OLEDのWebカメラで設定できる「Windows スタジオ エフェクト」を使用する。これは、NPUを活用してWebカメラの映像に対して、背景にぼかしを入れたり、自分が中央に映るようにフォーカスを合わせる自動フレーミングといった処理を加えられる。

 テストはWindows スタジオ エフェクトの設定をすべて有効にした状態と無効にした状態でそれぞれZoomのWeb会議を実行した。また、比較用としてZoomのバーチャル背景にある「ぼかし」機能を利用した際の結果も加えている。ディスプレイの輝度は50%(中間)、キーボードのバックライトはオフだ。

Windows スタジオ エフェクトの有効/無効で比較
Windows スタジオ エフェクトの設定を有効化するとNPUの使用率が上昇。NPUを使って処理しているのが分かる

 NPU使用時は3時間で39.8%、NPU不使用で34.2%のバッテリ消費となった。ZoomのWeb会議はかなりバッテリを使うのが分かる。なお、Zoomのぼかし機能を使った場合はバッテリ消費量がわずか(1.2%)に増加した。Windows スタジオ エフェクトは便利だが、背景だけぼかしたい場合はZoomの機能を使ったほうがバッテリには優しいと言える。

暑い夏こそ注目! 室温の違いでテスト

 最後はエアコンを使って室温を30℃と25℃にしたときの2パターンでテストしたい。室温が高いと冷却のためにCPUファンがよく回るため、消費電力は上がると思われる。電源モードの検証のときと同じく、ProcyonのBattery Life Benchmark内にあるOffice Productivityを実行している。ディスプレイの輝度は50%(中間)、キーボードのバックライトはオフとした。

 3時間の実行で差はわずか0.9%と誤差レベルだ。30℃と25℃ならばバッテリにほとんど影響なく使える言って良い。ただし、高温で使用を続けるとバッテリの消費ではなく、劣化が進んでしまう可能性はある。30℃ぐらいなら心配はいらないが、真夏の屋外は35℃を越えることも。暑すぎる場所での使用は避けたほうが良いだろう(Zenbook 14 OLEDのマニュアルにも5~35℃の周辺温度で使用してくださいという注意書きがある)。


 ここまで複数の条件でバッテリ消費量をチェックしてきた。中でもキーボードのバックライトやディスプレイ輝度の調整は、簡単で効果が大きい。バッテリ駆動を長持ちさせたいと思っているなら、ぜひとも試してほしい。