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安価なIntel N100から最新Ryzen/Core Ultraまで、まだまだアツいミニPC 10選

 多くのPCメーカーから、さまざまなモデルがリリースされている「ミニPC」。今一番アツいジャンルのデスクトップPCと言っても過言ではないだろう。小型PCの偏愛者を自認している筆者としては、非常に喜ばしい状況だ。

 ただしどれも似たようなデザインなのに、搭載しているCPUの種類が多く、何を基準にどういったモデルを選べばよいのかがよく分からない、という声も大きい。そこで今回は、価格帯ごとの特徴と選び方のコツなどを踏まえながら、オススメの10モデルを紹介する。

3万円台までならIntel N100搭載モデルが主流

 まずは一番値頃感のある3万円までのミニPCを見ていこう。この価格帯では「Intel N100」というノートPC向けCPUを搭載するモデルがほとんどだ。これは、Intelの第12世代Coreシリーズで採用されたEfficiencyコア(高効率コア、Eコア)のみで構成される、省電力性に優れるノートPC向けCPUである。

 PCゲームや動画編集など負荷の高い作業には向いていないが、動画/音楽配信サイトの視聴、書類作成などの軽作業なら問題なくこなす。それぞれのミニPC同士で性能の違いはないため、自分が利用したい環境にマッチしたポート類やサイズ感、スタイルを重視して選ぼう。

 基本スペックではメモリが8GBだとちょっとつらいので、12~16GBモデルがオススメ。ストレージはだいたい500GB前後のモデルが主流で、軽作業の範囲であればこの容量でもおおむね問題はない。

2基のM.2 SSDを活用して大容量ファイルを保存
GMKtec「NucBox G3」

GMKtec NucBox G3
製品名GMKtec NucBox G3
CPUIntel N100(4コア/4スレッド)
メモリ16GB(DDR4 SO-DIMM)
ストレージ512GB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI×2、2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、USB 3.0×4
サイズ114×106×42.5mm
実売価格2万6,000円前後

 Intel N100を搭載したスタンダードなスタイルのミニPCだ。ちょっとおもしろいのが、Windows 11用のM.2 SSDが組み込まれた2280サイズのM.2スロットに加え、2242サイズのM.2スロットを装備すること。この増設用M.2スロットに大容量SSDを増設し、軽作業兼ファイルサーバーの低消費電力PCとして使うのもおもしろい。

 また一般的なミニPCとは違ってヘッドセット端子を背面に装備するため、外部スピーカーと接続する場合にケーブルを引き回しやすい。

CPUやメモリなどの状況を前面パネルで確認可能
ACEMAGIC「S1」

ACEMAGIC S1
製品名ACEMAGIC S1
CPUIntel N100(4コア/4スレッド)
メモリ16GB(DDR4 SO-DIMM)
ストレージ512GB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI×2、Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、USB 3.0×2、USB 2.0×2
サイズ40×123×123mm(縦置き時、スタンド含まず)
実売価格3万2,000円前後

 前面に1.9型の液晶モニターを搭載するミニPCだ。ここにはCPUなどデバイスの使用状況や温度などが表示され、Windows上でモニタリングアプリを起動しなくてもPCの状況を一目で確認できる。

 またミニPCの中ではめずらしく縦置きで利用するスタンドが付属しており、書類棚やスピーカーなどと並べてすっきりと設置できる。

7万円までなら世代は古いがコストパフォーマンスは抜群

 予算が7万円までなら、選択肢は一気に増える。このクラスのミニPCでは、AMDのRyzen 5000/6000シリーズやRyzen 7 7735HS(CPUコアとGPUコアの構成はRyzen 6000シリーズと同じ)、Intelの第12/13世代CoreシリーズをCPUとして搭載しており、Intel N100搭載機と比べると基本性能はグッと向上する。ただし製品数も非常に多いため、選び方が一気に難しくなる。

 おおまかな目安としては、性能が高いRyzen 6000シリーズやRyzen 7 7735HSを搭載するモデルが、値引き/割引きクーポン適用時の実売価格で6、7万円前後といったところ。12/13世代Coreシリーズを搭載するモデルが性能面ではそれに続き、ミドルレンジのCore i5搭載モデルなら実売価格は6万円前後だ。Ryzen 5000シリーズは性能では12世代Coreシリーズに近いが、実売価格は4、5万円前後とかなり安い。

 Ryzen 6000シリーズやRyzen 7 7735HSを搭載するモデルなら軽作業だけではなく、タイトルにもよるが軽めのPCゲームがプレイできる場合もあるなど、コストパフォーマンス重視ならオススメの価格帯だ。ただこれらのCPUは最新モデルではないため、いつ売り切れになってもおかしくない。キャンペーン価格のチェックも重要だが、あまり長く待つと在庫がなくなってしまうこともある。

8コア/16スレッドのRyzen 7 5800Hを搭載
TRIGKEY「Speed S5 Pro」

TRIGKEY Speed S5 Pro

 高性能な薄型ノートPCで採用されていたRyzen 7 5800HをCPUとして搭載するミニPCだ。CPUクーラーとは別に、メモリやSSDを冷却するためのファンを搭載しており、メモリやSSDをしっかりと冷却して安全に利用できる。

 最新世代のCPUを搭載するミニPCと比べれば性能は落ちるが、日常的な軽作業はもちろん、軽めの動画編集くらいなら問題なくこなすだけのポテンシャルはある。

製品名TRIGKEY Speed S5 Pro
CPUAMD Ryzen 7 5800H(8コア/16スレッド)
メモリ16GB(DDR4 SO-DIMM)
ストレージ500GB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI×2、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、USB Type-C(DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.1×3、USB 2.0
サイズ126×113×42mm
実売価格5万4,000円前後

ハデなLEDやデザインだけではない安心感と高い性能
AOOSTAR「GOD77」

AOOSTAR GOD77

 ゲーミングPCのようにLEDファンを搭載し、サイバーパンクなイメージの筐体デザインが印象的な1台。この価格帯ではもっとも性能が高いRyzen 7 7735HSを搭載し、設定次第では軽めのPCゲームも楽しめるなど、汎用性の高い1台である。

 また、メモリやSSDを組み込むエリアに小型のファンを搭載するため冷却性能にも優れており、長時間利用しても各パーツの温度が上がりにくい。

製品名AOOSTAR GOD77
CPUAMD Ryzen 7 7735HS(8コア/16スレッド)
メモリ32GB(DDR5 SO-DIMM)
ストレージ1TB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI、DisplayPort、2.5Gigabit Ethernet、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、USB4、USB 3.1×2、USB 2.0×2
サイズ130×130×54mm
実売価格7万円前後

Core i5搭載のミニPC、2.5G有線LANポートを2基装備
MINISFORUM「Venus NAB6 Lite」

MINISFORUM Venus NAB6 Lite

 Pコアを4基、Eコアを8基装備し、合計で12コア/16スレッドに対応するCore i5-12600Hを搭載したモデル。2.5Gbps対応の有線LANポートを2基備えており、複数のネットワークに接続して高速にファイルなどをやり取りできる。

 付属のSSDには小さなファン付きのヒートシンクが組み込まれており、温度が上がりやすいM.2 SSDをしっかり冷却できる。

製品名MINISFORUM Venus NAB6 Lite
CPUIntel Core i5-12600H(12コア/16スレッド)
メモリ16GB(DDR4 SO-DIMM)
ストレージ512GB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI×2、USB Type-C(DisplayPort Alt Modeのみ対応)×1、2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、USB 3.1 Type-C(DisplayPort Alt Mode/PD対応)×1、USB 3.1×4、USB 3.0 Type-C
サイズ127×127×54.7mm
実売価格6万9,000円前後

10万円前後なら最新CPUを搭載したパワフルなモデルが揃う

 高性能なミニPCが欲しいユーザーの主戦場となる価格帯だ。AMDやIntelの最新CPUを搭載するミニPCがずらりとラインナップされることもあり、ここも選び方は難しい。最も性能が高いのはAMDのRyzen 7040シリーズやRyzen 8000シリーズを搭載するモデルで、クーポン適用時の実売価格は9、10万円前後のものが存在する。

 微差ながらこれらに次ぐのがIntelのCore Ultraシリーズを搭載するモデルで、実売価格は近しく10~11万円前後といったところ。全体的な性能ではIntel N100やRyzen 5000シリーズ搭載モデルとは一線を画しており、特に内蔵GPUの性能が非常に高い。フルHD解像度(1,920×1,080ドット)なら、設定次第だがPCゲームもそれなりに遊べるレベルだ。

 なおRyzen 7040シリーズとRyzen 8000シリーズのCPUコアはZen 4世代、GPUコアはRDNA3世代で同じだが、Ryzen 8000シリーズではAI演算用のNeural Processing Unit(NPU)を新しく搭載する。Core Ultraシリーズでも同様にNPUを搭載しており、今後増えてくることが予想されるAI関連の機能やアプリに期待したいなら、NPU搭載モデルを選ぼう。

OCuLinkを使えばグラフィックス性能は爆上がり
MINISFORUM「EliteMini UM780XTX」

MINISFORUM EliteMini UM780XTX

 CPUにRyzen 7 7840HSを搭載したミニPCだ。スタンドを利用して斜め方向で設置するスタイルや、トラのイラストがLED照明で正面パネルに浮き上がる独特のデザインが目を引く。

 ミニPCの中では非常にめずらしく、OCuLinkというポートを装備する。対応の外付けGPUドックを用意し、自作PC向けの大型ビデオカードを接続すればグラフィックス描画性能を大きく改善でき、最新PCゲームを快適に楽しめるようになる。

製品名MINISFORUM EliteMini UM780XTX
CPUAMD Ryzen 7840HS(8コア/16スレッド)
メモリ64GB(DDR5 SO-DIMM)
ストレージ1TB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI、DisplayPort、2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、USB4×2、USB 3.1×4、OCuLink
サイズ182×159×120mm
実売価格10万5,000円前後

9万円を切ることもあるシンプルな最新RyzenミニPC
GMKtec「NucBox K8」

GMKtec NucBox K8

 8コア/16スレッド対応のRyzen 7 8845HSを搭載しながらも、配布される割引きクーポンの内容によっては9万円を切ることもある買い得感の高いミニPCだ。フルスペックのUSB4ポートや2基の2.5Gigabit Ethernetポートなど、上位CPU搭載機らしい装備はきちんと押さえた上でこの価格はかなり安い。

 メモリやSSDを組み込んだエリアを冷却するための小さなファンも装備しており、長時間の利用でも各パーツの温度を低く保てる。

製品名GMKtec NucBox K8
CPUAMD Ryzen 7 8845HS(8コア/16スレッド)
メモリ32GB(DDR5 SO-DIMM)
ストレージ1TB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI、DisplayPort、2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、USB 4、USB 3.1×2、USB 3.0、USB 2.0
サイズ130×127×53mm
実売価格10万円前後

すっきりしたデザインのミニPC、最新Core Ultra 5を搭載
Beelink「SEi14」

Beelink SEi14

 Mac miniにも似た全体的にフラットですっきりとしたデザインを採用したミニPCだ。搭載CPUは14コア/18スレッドに対応するCore Ultra 5 125Hで、進化した内蔵GPUやNPUを搭載していることもあり、基本性能はかなり高い。

 熱伝導性の高いベイパーチャンバーと低騒音ファンを組み合わせて冷却性能を高めたCPUクーラーを搭載しており、非常に静かに利用できると言う。

製品名Beelink SEi14
CPUIntel Core Ultra 5 125H(14コア/18スレッド)
メモリ32GB(DDR5 SO-DIMM)
ストレージ1TB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI、DisplayPort、2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、Thunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.1×2、USB 2.0×2
サイズ135×135×44.7mm
実売価格13万円前後

GPUを搭載したゲーミングモデルやサーバーPCなど、個性派も登場

 今まで紹介してきたようなスタンダードなスタイルのミニPCのほかにも、グラフィックス性能を高めるGPUを別途搭載してゲーミング性能を向上したモデル、コンパクトなのにサーバーPCクラスのインターフェイスを搭載するモデル、複数台のM.2 SSDを増設してファイル容量を増やせるモデルなど、いわゆるミニPCの枠にとどまらない活躍が期待できるモデルも登場している。ここではそうした個性派ミニPCの中から2モデル紹介しよう。

AMD Advantageに準拠、PCゲームをガンガン楽しめる!
MINISFORUM「AtomMan G7 Pt」

MINISFORUM AtomMan G7 Pt

 CPUは16コア/32スレッド対応のRyzen 9 7945HX、外部GPUとしてRadeon RX 7600M XTを搭載することで、グラフィックス性能を強化したミニPCだ。こうした高いスペックを生かし、PCゲームに適した3D描画性能やゲームプレイ時の静音性などを総合的に評価するAMDの「AMD Advantage」の認定を受けている。実際の検証でもフルHDやWQHD解像度(2,560×1,440ドット)なら快適に各種ゲームをプレイできるほか、動作音はかなり静かだった。

 またCPUとGPUの動作モードを、性能重視の「パフォーマンス」と通常利用向けの「バランスモード」で簡単に切り換えて利用する機能も備える。

製品名MINISFORUM AtomMan G7 Pt
CPUAMD Ryzen 9 7945HX(16コア/32スレッド)
メモリ32GB(DDR5 SO-DIMM)
ストレージ1TB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI、DisplayPort、2.5Gigabit Ethernet、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、USB 3.1 Type-C(DisplayPort Alt Mode/PD対応)、USB 3.1 Type-C、USB 3.1×4
サイズ61×153.5×268mm
実売価格26万円前後

コンパクトながらサーバーPC並みのネットワーク機能を装備
MINISFORUM「MS-01」

MINISFORUM MS-01

 ブックサイズPCに近いデザインで一般的なミニPCよりはちょっと大きめだが、10Gigabit対応のSFP+(光伝送)ポートを2基、さらには2.5Gigabit Ethernetも2基搭載するというサーバーPC顔負けのインターフェイスを装備する。また3基のM.2スロットを搭載しており、大容量のM.2 SSDを組み込めば高速なファイルサーバーPCとしても利用できる。

 そのほかにも筐体内部にPCI Express 4.0 x16スロットを搭載するなど、従来のミニPCの枠には収まらない強烈な個性と拡張性を備えることが最大の特徴となる。

製品名MINISFORUM MS-01
CPUIntel Core i9-13900H(14コア/20スレッド)
メモリ32GB(DDR5 SO-DIMM)
ストレージ1TB(M.2 NVMe)
OSWindows 11
主なインターフェイスHDMI、10Gbps SFP+×2、2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、USB4×2、USB 3.1×2、USB 3.0×1、USB 2.0×2、PCI Express 4.0 x8(x16形状)
サイズ189×196×48mm
実売価格16万5,000円前後