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最新iPhoneかPixelか迷ってるアナタに。ハードウェア面で徹底比較
2023年10月27日 06:14
Appleから「iPhone 15」シリーズ、Googleから「Pixel 8」シリーズがそれぞれ発表された。毎年この時期、両者の新しいスマホが激突するのは、すっかりおなじみとなった感がある。
今回は、それぞれの最上位モデル、すなわち「iPhone 15 Pro Max(以下iPhone)」と「Pixel 8 Pro(以下Pixel)」について、両者に共通する機能および特徴をピックアップして比較してみた。iPhoneのアクションボタン、Pixelの音声消しゴムマジックといった一方の製品にしかない独自機能については、個別の製品レビューを参照いただきたい。
望遠撮影:倍率はほぼ同じ、画作りに違いあり
両製品ともに最大の売りはカメラ、特に望遠機能だ。両者とも光学5倍ズームを搭載しており、デジタルズームの組み合わせでiPhoneは最大25倍、Pixelは最大30倍の撮影が可能だ。ただし実際に撮影した写真を比べる限り、倍率にはほとんど差はなく、遠景をズームアップするという目的においては、どちらを使ってもそう違いはない。
ただしディティールは細かいものの全体的にザラつきが見られるiPhoneと、見た目は美しいが全体的にディティールが省かれがちなPixelと、画作りの方向は異なっており、好みの差は出そうだ。またPixelは従来モデル(Pixel 7 Pro)と比べて、デジタルズーム時の画質はむしろ低下しているように見えるのが気になるところ。
またPixelはデジタルズーム時、画面全体がユラユラと揺れてフレーミングが定まらない症状が以前からあり、これは本モデルでも解消されていない。ピタッと止まって撮影できるiPhoneのほうが、デジタルズーム時の使い勝手は明らかに上だ。
USB Type-Cによる充電:両者とも「最大30W」の充電器を選ぶべし
iPhoneがUSB Type-Cを搭載したことにより、両製品は同じ充電器、同じケーブルを使っての急速充電が行なえるようになった。今回、最大出力が異なる4つのUSB PD充電器(20W/30W/45W/65W)を用意してテストを行なったところ、両者ともに30W以上の充電器を利用した場合に、ピークとなる25W前後での充電が行なえた。
これらの充電においては、最大20WのUSB PD充電器が勧められることがしばしばあるが、最大20Wだと最高速度での充電には今一歩足りないので、これら両製品のために新しくUSB PD充電器やモバイルバッテリを買い求めるのであれば、最大20Wのモデルではなく、最大30W以上のモデルをチョイスしたほうが望ましいだろう。
外部デバイスへの映像出力:有線無線に対応するiPhoneが有利
TVや外部モニターへの映像出力については、両製品の違いが出るところだ。まずワイヤレスでは、iPhoneの場合は「Apple TV 4K」、Pixelの場合は「Chromecast with Google TV」などのデバイスを用意することで、TVへの出力が行なえる。これらは従来のモデルと変わっていない。
一方、有線での出力については、USB Type-Cを搭載したモニターに対してiPhoneはケーブル1本で出力できるものの、PixelはDP Alt Modeに対応していないため、出力が行なえない。ワイヤレスと有線、どちらの方法にも対応できるiPhoneのほうが、ケースバイケースで使い分けられて便利だ。
ただしiPhoneの場合、本体に付属するUSB Type-Cケーブルは映像出力には使用できず、Thunderbolt 4ケーブルなどUSB 3.1 以上に対応するケーブルを別途用意する必要がある。また「Apple TV 4K」は「Chromecast with Google TV」に比べると高価で、導入にはコストがかかることは注意したい。
バッテリの持続時間:どちらも長寿命だがiPhone有利か
バッテリの持ちはどうだろうか。今回は輝度100%固定、音量オフで「Abema TV」アプリをストリーミング再生し、どれだけの時間バッテリが持つかをチェックしてみた。両製品ともに新規にセットアップを行なっており、必要最小限のアプリしか入っていない。
結論としては、iPhoneの「23時間12分」に対して、Pixelは「15時間44分」と、約1.5倍もの大差がついた。かつて同様のテストをiPhone 14 Pro MaxとPixel 7 Proで行なった時は、両者ともに12時間前後だったので、かなり極端な差がついた格好だ。
とはいえ駆動時間自体は両者ともに伸びていることから、Pixelの駆動時間が短いわけでは決してなく、iPhoneのバッテリの持ちがよすぎるという評価が適切と言えそうだ。
画面の明るさ:実用レベルでの差はない
画面の明るさは、iPhoneは最大輝度1,000cd/平方m、ピーク輝度1,600cd/平方m(HDR)、2,000cd/平方m(屋外)とされている。一方のPixelは最大輝度1,600cd/平方m(HDR)、ピーク輝度2,400cd/平方mと、スペックだけならばiPhoneを圧倒しており、「史上最も明るい画面」をアピールしている。
では実際に比べてみるとどうだろうか。屋外の直射日光下で試した限り、PixelはiPhoneと並べても同等か、むしろ若干暗く感じてしまう。従来モデルが最大輝度1,000cd/平方m(HDR)、ピーク輝度1,500cd/平方mだったので、スペックは大幅に向上しているのだが、売りになるほどではないというのが率直な印象だ。
生体認証:歩みを止めたiPhone、進化を続けるPixel
生体認証は、iPhoneは顔認証(Face ID)のみ、Pixelは顔認証と指紋認証の両方に対応している。Face IDはマスク着用時にも利用できるよう改良が施されたとはいえ、生体認証はそもそも向き不向きもあることから、昨今は顔認証と指紋認証のどちらにも対応するのがトレンドで、iPhoneはこの点で不利だ。
一方のPixelの生体認証は、Pixel 6の頃に比べると大幅に進化しているとはいえ、やや安定性に欠ける面はなくはない。ただし従来のPixel 7 Proでは、アプリ内での本人確認に使える生体認証は指紋認証だけだったのが、今回のモデルでは顔認証と指紋認証の両方に対応するなど、着実に進化しつつあるのは好印象だ。
持ちやすさと質感:両者ともに進化が見られる
手に持った時の質感や重さについても連れておこう。iPhoneは、これまで垂直にカットされていた側面がやや丸みを帯びたフォルムになり、手への収まりはよくなった。持ち上げる時に側面を掴みにくくなったので一長一短なのだが、指紋がつきにくくなったことも含めて、トータルでは進化したと言っていいだろう。
一方のPixelは、画面が側面まで回り込むデザインを廃止したことで、うっかりタッチに反応するミスが減った。保護シート類が貼りやすくなったことも踏まえて、こちらも総合的にはプラスだろう。ただし公称値ではわずかに薄くなっているにも関わらず、ボディ形状のせいか、実際に手に持つと逆に厚みが増したように感じられる。
また両製品ともに、カメラのレンズを収める背面上部に厚みがあるが、iPhoneはこのカメラのブロック部が左に寄っているのに対し、Pixelは横1列に配置されているため、本体をデスク上に置いた時の安定感はPixelのほうが上だ。保護ケースをつければ緩和できる場合もあるが、ケースなしで持つ場合はiPhoneのガタつきは気になる。
ベンチマーク:iPhoneが圧勝
OSが違うので正確な比較というわけではないが、ベンチマークについても見ておこう。結論から言うとスコアではiPhoneがPixelを圧倒しており、特にGPUまわりのスコアは、Pixelに大差をつけている。
従来モデルからメモリを増量するなど、iPhoneが本格的なプロ向けを志向しているのに対して、Pixelはミドルクラスからハイエンドに一歩足を踏み出したにすぎず、このあたりの性能差はどうしても目立ってしまう。またPixelは高性能化によって、かつて目立っていたコスパのよさが失われつつあり、今後の方向性は気になるところだ。
バリエーション:小型モデルにもフラグシップがほしい
最後に両製品のサイズ違いモデルにも言及しておこう。どちらの製品も、画面サイズの一回り小さい6.1型モデルが用意されており、価格がネックならばこちらを選ぶ手もある。ただしこれらは機能がまったく同じというわけではなく、iPhoneであれば光学5倍レンズが、Pixelであれば望遠カメラそのものが省かれているなど、全部入りというわけではない。
iPhoneにせよPixelにせよ、フラグシップの機能を使おうとすると、今回紹介した6.7型のモデルを選ばざるを得ないのは、製品選びの上では弱点となる。物理的なサイズが大きく影響するバッテリ容量などは別にして、6.1型モデルへの同等機能の搭載を望みたいところだ。