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【PC Watch25周年】EIZOの歴代製品を振り返る
2021年8月27日 06:50
EIZOの歴史は、1967年12月に設立した七尾電機(石川県七尾市)と、1968年3月に設立した羽咋電機(石川県羽咋市)の2社がルーツだ。また、1973年から2013年までの社名はナナオであり、PCWatchの古くからの読者は、ナナオの社名にも馴染みがあるだろう。
創業当初は、14型の白黒テレビの下請け生産からスタート。1978年には、大ヒットしたアーケードゲーム「インベーダーゲーム」のOEM生産を行なったことでも知られており、当初は白黒だったインベーダーゲームの画面を初めてカラー化したのは同社だった。
1981年からコンピュータ用CRTディスプレイのOEM生産を開始したのに続き、オリジナルのEIZOブランドの商品を販売したのが1985年5月。欧州市場向けに12型CRTディスプレイ「7030」を世の中に送り出したのが自社ブランド展開の最初だ。
ドイツを皮切りに、スイス、オランダ、デンマーク、オーストリア、スウェーデン、ギリシャなどに展開し、欧州市場での地盤を固めていった。さらに、同年には米国市場にも展開。高解像度表示を行なえる自社開発のグラフィックスボードとディスプレイを一緒に販売する手法が功を奏したという。
CRTディスプレイの最大サイズが14型だった時代に、グラフィックボードにより高解像度化して16型の表示範囲を実現。これが大ヒットしたのだ。
ちなみに、ブランド名の「EIZO」は、日本語の「映像」に由来。同社が培ってきた映像技術をベースに、優れた映像製品を生み出す決意を示したものだという。また、現在使用しているEIZOのロゴで使用される色は、3原色を構成するRGB(Red、Green、Blue)を表している。
そして、1991年7月には、NANAOブランドで、日本国内向けにコンピュータ用CRTディスプレイの販売を開始した。1996年4月には、国内外ともに、ブランドをEIZOに統一。1997年3月には、コンピュータ用液晶ディスプレイの開発、生産、販売を開始した。
第1号となった液晶ディスプレイ「FA-1020」の価格は100万円。ビジネスとしては失敗したが、最新技術にも積極果敢に取り組むEIZOのDNAを証明する取り組みの1つと言えるものだった。
2007年3月には、石川県白山市の本社内に6階建ての新たな研究開発棟を、25億円を投資して完成。開発力強化と開発の機動性、効率性、設計品質の向上を図っている。
ナナオ、25億円をかけた新しい研究開発棟が完成
EIZOに社名を変更したのは2013年4月のことだ。2016年7月には、本社内に新工場棟を稼働。現在も、EIZO製品の8割以上は石川県で生産しており、独自の生産体制、検査体制によって、高い品質を維持している。
ナナオ、4月1日より「EIZO株式会社」に社名変更
今やEIZOブランドのディスプレイは、一般ユーザーが利用するコンピュータ用ディスプレイだけでなく、クリエイティブワーク向けディスプレイや医療用画像表示用液晶ディスプレイ、手術用3Dディスプレイ、航空管制室用ディスプレイ、鉄道およびホーム向けディスプレイ、船舶搭載ディスプレイなど、専門領域を含む幅広い分野で利用され、ディスプレイ専業メーカーとしての品質の高さが全世界で評価されている。
EIZOのディスプレイの変遷
PCWatchで初めて紹介したEIZO製品が、1996年6月に発表した17型CRTディスプレイ。Windows 95が発売された翌年であり、企業へのパソコン一括導入の動きが顕在化していることを捉え、オフィスに最適化した大画面省電力ディスプレイとして発売された。
ナナオ、通常消費電力100ワットの17インチモニタを発売
液晶ディスプレイへの本格参入を図ったのが1997年3月に発売した13.8型の「FlexScan E141L」。価格は39万8,000円。また、同年11月には15型の「FlexScan E151L」を発売した。設置スペースと消費電力の削減効果が高いことが受け、1人で複数台のディスプレイを使用する金融機関のディーリングルームなどでの採用が進んだという。
その後、EIZOは、液晶ディスプレイの積極的なラインナップ強化に取り組んでいった。2001年1月にはD4端子2系統を備えたAV対応液晶ディスプレイ「EIZO GAWIN M-10」(ガウィン エム・テン)を発表。
ナナオ、D4入力も可能なAV対応液晶ディスプレイ
2002年には、液晶ディスプレイの本格投入から5周年を記念して、世界限定3,000台の17型ディスプレイ「FlexScan PLACEO」を発売。筐体全体をアルミニウムとし、その表面処理にヘアライン加工やショットブラスト加工、ダイヤカット加工を採用。これも新たな素材を用いたデザインへの挑戦だったという。
2003年2月には、グラフィックス業務向けにキャリブレーションソフトを標準添付した液晶ディスプレイ「ColorEdge CG21」および「ColorEdge CG18」を発表。
ナナオ、キャリブレーションソフト付きの液晶ディスプレイ
2005年6月には同社初のワイドフォーマット対応製品である21.1型液晶ディスプレイ「FlexScan S2110W」を発表している。
ナナオ、WSXGA+対応の21.1型液晶ディスプレイ
2004年には、国内向け家庭用液晶TVの開発、生産、販売を開始。これを「FORIS.TV」のブランドで展開した。AVとPCの融合を目指すことをコンセプトとした液晶TVで、「自然な映像」「自然な音」「存在感のある機能的なデザイン」にこだわる一方、PCディスプレイとして利用する時には、TV放送やAV入力をウィンドウ表示するPinP(ピクチャーインピクチャー)に対応するなどの機能も搭載していた。この後もエンタメ向けディスプレイとして、FORISシリーズが展開されている。
ナナオ、DVI入力装備のWUXGA対応24/27型液晶TV
この間に、ベゼル幅を狭める努力も積み重ねている。2001年に、当時の世界最狭となる19mmを達成したのちも進化を続け、2004年には11mm、2006年には6.9mm、2015年には1mmを達成。複数台のディスプレイを並べた際にベゼルがあっても違和感がない設置環境を実現している。
EIZO、全辺のベゼルが狭額化されたフルフラットの24.1型WUXGA
同社コンシューマ市場向けで初の4Kディスプレイとなったのが、2014年7月に発表した31.5型4K IPS液晶ディスプレイ「FlexScan EV3237」である。
EIZO、同社初のコンシューマ向け31.5型4K IPS液晶
その後、4K液晶ディスプレイのラインナップを強化する一方、2019年10月には、同社初の有機ELディスプレイ「FORIS NOVA」を発表。高精細な映像コンテンツや動画配信サービスを個人で最大限楽しめる高性能なディスプレイとして市場投入した。
2020年9月には、同社初となるウルトラワイド曲面ディスプレイ「FlexScan EV3895」を発売。新たな提案に積極的な姿勢は今でも変わらない。
EIZO、同社初の37.5型ウルトラワイド曲面液晶
