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巨大ブラックホールを取り巻く降着円盤の撮影に初成功。国立天文台などの国際研究チーム
2023年4月29日 06:42
国立天文台などの研究者が参加する国際研究チームは、超巨大ブラックホールを観測し、ブラックホールを取り巻く降着円盤およびジェットの同時撮影に初成功した。本成果はブラックホールに落ち込むガスから膨大な重力エネルギーが解放される瞬間を初めて捉えたものとなる。
降着円盤およびジェットは、いずれもブラックホールの周囲にある構造で、前者はブラックホール付近で重力によって光の軌道がねじ曲げられた領域(光子リング)の周囲に広がっていると予想されていた領域で、後者はブラックホールから高速で噴出するガス流を指す。
観測したブラックホールは、楕円銀河M87の中心に存在し質量が太陽の65億個分に相当するもの。2019年にイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)を用いて初めて撮影されたが、EHTでの画像ではブラックホール周囲の構造がはっきりと分からなかったため、天文学者にとって、巨大ブラックホール、降着円盤、ジェットの3つの関係性を明らかにすることはこれまで課題となっていた。
本研究では、グローバルミリ波VLBI観測網(GMVA)と呼ばれる、地球規模の国際電波望遠鏡ネットワークを用いてM87の中心部の観測を実施。GMVAは波長3.5mm帯で観測するもので、波長1.3mm帯のEHTと比較すると視力は半分以下だが高感度で広視野であるという特徴を持つ。
観測の結果、ブラックホールと周囲の構造を1枚の画像に収めることに成功。コンピュータシミュレーションなどを通じて、撮影された大きなリングが降着円盤であると結論づけた。また、ジェットが降着円盤につながっている様子を初めて捉えることに成功した。本成果により、ジェットの構造形成に降着円盤ガスの存在が不可欠であることが明らかとなった。
同研究チームでは、ジェットの駆動メカニズムやブラックホールのさらなる解明につながるとしており、今後は観測を一層進めるとともに、ブラックホール、降着円盤、ジェットの動画撮影にも挑戦していきたいとしている。