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Facebook、Appleに続き自前プロセッサ開発か

Qualcommはモバイル向けだけでなくSoCを供給していく姿勢だ

 FacebookがSoCの自前化を考えているかもしれない。そんな動きを示唆する求人が同社の公式サイトに掲載されている。

 本稿執筆現在、同社Webサイトの採用セクションにはカスタムASICやSoCエンジニア、マネージャーの求人などがある。業務範囲にはAI/ML(機械学習)の処理を高速に行なうカスタムASICの開発や、マイクロアーキテクチャの策定、多部門をまたいだSoC開発プロジェクトの管理といったものが提示されている。

 FacebookといえばSNSがあまりにも有名だが、AI技術に注力していることや、同社は傘下にVRヘッドセットのパイオニアOculusを抱え、ドローンや通信機器といったハードウェア開発にも取り組んでいる(過去記事も参照 "Facebook、「空飛ぶ基地局」全幅36m巨大ドローンの2度めの飛行実験に成功")。

 「自前化」といえば、近日ではAppleが記憶に新しい。Appleは2017年4月に長らくにわたって供給を受けてきたPowerVRなどのグラフィックプロセッサについて契約停止を表明。順次独自グラフィックプロセッサに切り替えるとしていた。

 さらにAppleは、Mac向けに独自SoCを開発し、Intel製プロセッサを置き換える「脱Intel」計画の存在も過去に報じられている("Apple、Macで「脱Intel」を計画か。海外報道")。

 Facebookがどれほどの規模で、どれほど野心的に自社製SoCの開発に取り組んでいるかは定かでない。ただし、自社製SoCが同社の強みとなるシーンは多く存在する。

 VRという視点からすれば、すでにOculusを擁しており、360度撮影したコンテンツを視聴するアプリ「Facebook 360」やソーシャルVRアプリ「Spaces」を持つなど、VR/ARにおいては十分布石を打っていると言えるだろう。

「セカンドライフ」がVRになったような感覚のSpaces

 さらに、AIというアプローチも考えられる。スマートスピーカーに代表されるスマートホーム製品は、音声や映像といった大量の情報をいかにさばくかが課題でもあり、クラウドに限らず、端末側である程度処理を行なう「エッジコンピューティング」はSoCの開発を正当化する一因となり得る。

 世界最大級のSNSを運営する同社は、質・量ともに世界最大規模の画像データベースを持っているとも言え、同時に交友関係などの密度の高い情報を有している。この優位を持続させるため、競合よりも効率よく情報を収集するためにエッジコンピューティングデバイスを導入するというのは自然な発想だろう。