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阪大、表面の傷がほぼ100%完治する自己修復材料を開発

材料設計の概念図。ポリロタキサンのひも状分子に沿った輪分子の動きを利用した「物理的自己修復(へこみ傷が元に戻る)」の概念と、分子レベルで切れても繋がる可逆的結合を利用した「化学的自己修復」の概念、それらを組み合わせた自己修復材料

 大阪大学らの研究グループは11日、傷を修復できるこれまでにない新しい設計原理の自己修復材料を開発したと発表した。

 従来の自己修復材料は、へこんでも元に戻るという材料自体の特性を利用したものや切れても繋がる結合を用いたものが主流だったが、硬いものが傷ついた場合に修復しにくいという課題があった。

 同研究グループは「ポリロタキサン」という特殊な構造の高分子をベースに、切れても繋がる可逆的な結合を導入した設計の自己修復材料を開発。溶媒を含んだ状態では、切断・再接触させても10分以内に修復率が元の80%以上まで回復し、溶媒を含まないフィルム状態では、表面に付けた傷が30分以内にほぼ100%まで回復するという、高速かつ高効率の自己修復性を示した。

 本材料はさまざまな可逆的結合に適用可能で、設計の自由度が大きいため、広範な応用の可能性が考えらる。今後は自己修復コーティング材料のような化成品、止血シートのような医療用材料まで、幅広い分野で製品化に向けた検討を進めていく予定としている。

 本研究は、内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の研究開発プログラムの一環として進められている。

開発した材料の自己修復性。ゲル状態の材料を2つに切断し、切断面を再接触させると数秒後には他方を持ち上げられるほどまで自己修復する。溶媒を除いたフィルム状の材料では、表面にカッターナイフで付けた傷がほとんど見えなくなるまで修復する
自己修復性の比較。フィルム状態の材料について、修復機構を持たないもの、物理的自己修復機構のみを持つもの、化学的自己修復機構のみを持つもの、および今回の開発品について、カッターナイフで付けた傷の修復率を修復時間に対してプロットしたグラフ。これらの材料は同程度の硬さであるにも関わらず、今回の開発品はもっとも短い時間(30分以内)でほぼ完璧(~100%)に修復する