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中央大、イヌ用人工血液の合成に成功

ウシ赤血球から精製したヘモグロビンを遺伝子組換えイヌ血清アルブミンで包み込んだ構造のヘモアクト-C

 中央大学の小松晃之教授と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の木平清人研究開発員の研究グループは11日、イヌ用人工血液の合成と構造解析に成功したと発表した。

 動物用製剤の場合、ヘモグロビンは、犬や猫などの動物の血清アルブミンで覆われている必要があるが、製造に必要なイヌ血清アルブミンを十分な量、安定確保することはできない。そこで小松教授らは、遺伝子組み換え技術を利用し、イヌ血清アルブミンを人工的に作り出すし、立体構造を明らかにした。結果、その物性が血液由来のイヌ血清アルブミンと同一であることが明らかになった。

 続いて、ウシヘモグロビンを遺伝子組み換えイヌ血清アルブミンで包み込んだクラスター「ヘモアクト-C」を合成し、その構造と酸素結合能を確認できた。ヘモアクト-Cは、血液型がなく、長期保存が可能なイヌ用人工酸素運搬体で、臨床利用可能な赤血球代替物となる。また、遺伝子組み換えイヌ血清アルブミンは、それだけでも人工血漿増量剤として使用でき、多くの適用が期待される。

 人工イヌ血清アルブミンの解析には、JAXAが国際宇宙ステーションの実験で培った高品質タンパク質結晶生成技術とKEKフォトンファクトリー(NW-12A)が利用された。

 今後、本製剤の実用化に向けた展開を共立製薬と協力して進め、動物医療における輸血駅確保の問題を解決する。