イベントレポート
【Lenovo追加情報編】
ThinkPad HelixはTDPが3段階に変化
~IdeaPad Y500は光学ドライブベイにGPU追加でSLI化が可能
(2013/1/11 00:00)
Lenovoは、CES会場にはブースを設けていないが、毎年、The Venetian内のレストランを会期中貸し切り、顧客や報道陣に新製品を紹介している。今回同社が発表した新製品の主立ったものは関連記事で紹介しているが、追加取材で新しい情報を入手し、写真撮影もできたので、ここにレポートする。
ThinkPad Helix
まずは液晶部分が取り外し可能で、単体タブレットとして利用可能な「ThinkPad Helix」。関連記事では、タブレット単体で利用する時は、CPUのクロックが落ち、キーボードドックと合体時はドック内蔵ファンによりフルスピードで動作すると書いたが、正確には、本体の状態によってTDPが変わる仕組みとなっていた。
Ivy Bridgeでは、Configurable TDP(再構成可能なTDP)という仕組みが新たに設けられており、状況によってTDPを変更できる。ThinkPad Helixが搭載するCPUの標準TDPは17Wだが、タブレット時はこれが9Wになる(その分クロックも下がる)。
そして、液晶を裏表逆に取り付けて畳んだ場合のTDPは13Wになるのだという。なぜ、合体していてもこの状態でTDPが下げられるのかというと、クラムシェルモードとタブレットモードでヒンジ部の状態が変化するからだ。
ThinkPad Helixのファンはヒンジ部に内蔵されているのだが、クラムシェル状態では、ヒンジ部を覆うカバーが若干開く仕組みになっている。これにより、17WのCPUをまかなうのに十分な空量を取り込むことができる。しかし、タブレットモードでは、ヒンジ部と液晶表面の高低差をなくすため、このカバーが完全に閉まってしまう。この時もファンは稼働しているが、吸気量が減ってしまうため、TDPも13Wへと下げているのだ。
このような細かい設計になっているのは、これまでのハイブリッドUltrabookは、クラムシェルあるいはタブレットモードのいずれかにおいて、何らかの妥協をしていたが、本製品ではどちらのモードでも最良の使い勝手を目指したためという。
また、関連記事では言及しなかったが、タッチパッドは新設計の物になっている。従来のThinkPadのタッチパッドは、トラックポイント利用時にもクリックできるよう、タッチパッドの上部にもボタンが付いている。これに対し、本製品のタッチパッドは1枚板になっているが、4隅プラス1カ所の5カ所をクリックできるようになっている。Windows 8用にジェスチャーにも対応しており、2本指のスワイプでスクロールしたり、右端から内側にスワイプしてチャームを呼び出したりできる。
また、関連記事では、Ethernet対応と書いたが、これは本体にRJ-45があるのではなく、USB変換アダプタによる対応であった。
IdeaCentre Horizon Table PC
オプションの台座により、移動式のテーブルのようになる独特のフォームファクタの「IdeaCentre Horizon Table PC」に関しては、ユーザーインターフェイス「Aura」の追加情報をお届けしよう。
本製品は、背面に折りたたみ式のスタンドを備えており、単体でも垂直に近い角度から、完全な水平にまで傾けて利用できる。水平にすると、内蔵センサーがそれを検知し、自動的にAuraが起動する。
Auraのメインランチャーは円形をしているが、それはユーザーが本体にどの角度から接しても違和感なく見ることができるようにするためだ。ちなみにこのランチャーは、中心部分をドラッグすると位置を移動でき、周辺部分を円状にドラッグすると、くるくると回転する。
また、動画や写真などをウインドウ表示している時、そのウインドウを左右に素早く振るようにドラッグすると、それ以外のウインドウが画面は時に消え去り、5本の指でタッチして、指を広げるジェスチャーをすると、全ウインドウが画面は時に消え去り、逆に5本の指をすぼませるようなジェスチャーにすると、全ウインドウが元の位置に戻るといったギミックもある。
前回のレポートで紹介できなかったのが、ゲーム用電子サイコロの存在だ。本製品には、吸盤で画面にくっかせて操作するジョイスティックと、画面上を滑らせて操作するStrikerという付属品があるが、それに加えて、3cm四方程度の6面サイコロも付属する。このサイコロは、振るとどの目が出たかを内蔵センサーで検知できるようになっており、その結果は本体にBluetoothで送信される。バッテリを内蔵し、専用アダプタを使ってUSBで充電する。サイコロくらい、ゲーム内のインターフェイスで済ませればいいと思うかもしれないが、ThinkPadからは連想できないこういった遊び心こそ、現在のコンシューマPCに必要なのかもしれない。
なお、これらジョイスティックなどの利用について同社ではSDKを無料で提供し、対応ソフトの拡充を図る。
このほか、会場ではまだ製品化は未定というHorizonのテーブル部分を大きくしてカフェなどでの利用を想定したモデルと、37型液晶のモデルを参考展示していた。
IdeaPad Y500
IdeaPad Y500は、同社初のゲーミングノートで国内でも2012年12月に発表された。その時は特に情報がなかったのだが、本製品は光学ドライブを取り外し、別のパーツと入れ替えることができる。こういった仕様は、Lenovo製品はもとより他社製品でも一部取り入れられ、ただのフレームを入れて重量を軽くしたり、セカンダリHDDを取り付けたり、変わったところでは小型プロジェクタを取り付けられるものもある。
IdeaPad Y500では、通常の光学ドライブ以外に、セカンダリHDDや、オーバークロック時に活躍する増設ファン、そしてGPUというオプションが存在していることが分かった。
本製品は標準でGeForce GT 650Mを搭載するが、オプションで光学ドライブベイ用のGeForce GT 650Mを取り付けることで、SLI構成となるのだ。ただし、このオプションは発売が先のようで、米国でもまだBTOオプションに入っていない。
そのほかの主な仕様として、クアッドコアのCore i7、1,920×1,080ドット表示対応の15.6型ワイド液晶ディスプレイ、明るさを2段階調節可能な赤く光るバックライト付きキーボード、JBLブランドのスピーカーと「Dolby Home Theater V4」技術などを搭載する。
ThinkPad Twist
ThinkPad Twistは、液晶が横方向に180度回転し、折りたたんでタブレットになる12.5型のハイブリッドUltrabookだ。日本では未発表だが、米国では2012年10月に発売となっている。
同社のYogaシリーズなどのように、液晶がキーボードの裏面に回り込むタイプと比べ、横方向に回転するヒンジは、重量の面で不利となると思われるが、タブレットモード時にキーボードが露出しないという利点がある。実際、重量は1.58kgと12.5型にしては重い。それでも、313×236×20mm(幅×奥行き×高さ)と、Ultrabookに準拠する薄さを実現している。
米国では、Core i3-3217U(1.8GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ4GB、HDD 320GB、1,366×768ドット表示対応12.5型タッチ液晶、Windows 8という構成で829ドル。CPUをCore i7-3517U(1.9GHz、同)、メモリを8GB、ストレージをSSD 128GBに変更すると、1,129ドル。