イベントレポート

Lenovo、Core Mを搭載した新しい「ThinkPad Helix」を発表

~19.5型フルHD液晶一体型の「Horizon 2s」も

Lenovoの「ThinkPad Helix」。Core Mを搭載し、タブレットの厚さが9.6mmと前世代に比べて薄くなっている

 米Lenovoは、9月5日~10日の日程でドイツ・ベルリン市で開催されるIFAの会場内で記者会見を開催し、同社が今後発売する予定の新製品を公開した。

 ノートPC、デスクトップPC、タブレット、スマートフォンと多くの製品が発表されたが、中でも要注目は間もなくIntelが発表すると見られているCore Mプロセッサ(以下Core M)を搭載した「ThinkPad Helix」の新モデルだ。現行のThinkPad Helixは、第3世代Coreプロセッサ(Ivy Bridge)を搭載した2-in-1デバイスだが、新しいThinkPad HelixはCore Mを採用し、より薄型軽量になっている。

 このほか、19.5型フルHD(1,920×1,080ドット)液晶を搭載したテーブルトップPCとなる「Horizon 2s」、21.5型フルHD液晶のテーブルトップPCとなる「Horizon 2e」、300度まで液晶が回転する「Flex 2 Pro」、小型PCを背面に装着できる23型ディスプレイ「ThinkCentre Tiny-in-One 23」などを発表した。

Core Mを搭載してタブレット時795gとなる新型「ThinkPad Helix」

 従来は第3世代Coreプロセッサを搭載していた同社のビジネス向け2-in-1デバイス「ThinkPad Helix」が、Intelから現時点では未発表のCore Mを搭載してリフレッシュした。製品名は従来と同じ「ThinkPad Helix」で特に変更はないようだ。

 従来のThinkPad Helixはビジネス向けということもあり、エンタープライズに必要とされるケンジントンロックと連動したディスプレイ脱着防止機構を備えるなど、ドッキング部分が複雑になっており、それが重量増の原因となっていた。

 また、プロセッサは第4世代Coreプロセッサ(Haswell)ですらなかったため消費電力がやや大きく、熱設計のためにファンを搭載する必要があった。その結果、タブレット自体の厚さが11.6mmになってしまうなど、昨今のトレンドである薄型のタブレットに比べるとやや大きかった。

 新モデルでは、SoCをCore Mへと変更し、消費電力を大幅に削減。本体は9.6mm厚と15%ほど厚みを減らしているほか、ドッキング機構を大幅に簡素化している。また、バッテリ駆動時間も最大12時間と、従来製品がキーボードドックを着けた状態で10時間だったのに対して伸ばした。

 液晶ディスプレイはフルHD対応の11.6型で、400cd/平方mを実現し、10点マルチタッチ、デジタイザペンにも対応。メインメモリは4GBまたは8GB(LPDDR3-1600)で、64bit版のWindows 8.1またはWindows 8.1 Proを搭載する。ストレージはBTO時に128GB/256GBのSATA接続SSD、180/360GBのIntel SSD(SATA接続)、512GBのPCI Express SSDから選択できる。

 インターフェイスは、Micro HDMI出力、USB 3.0、microSDカードスロット、前面200万画素/背面500万画素カメラなどを装備。無線はWi-Fi(IEEE 802.11ac対応または11a/g/n対応)、Bluetooth 4.0。オプションとしてワイヤレスWAN(LTE/3G)にも対応する。

 企業向けにも配慮した機能を備えており、vPro対応のCore Mを選択できるほか、ハードウェアTPMにも対応可能で、BitLockerなどの暗号化ソリューションを利用できる。また、ThinkPad 10でも採用されていた裏側に膨らむ形で搭載できるスマートカードリーダや指紋認識リーダも選択することができる。

 キーボードドックは、「ThinkPad UltraBook Keyboard」、「ThinkPad UltraBook Pro Keyboard」の2製品がオプションで提供される。前者はUSB 2.0ポートのみ、後者はUSB 3.0ポートとMini DisplayPortを備える。本体とドッキングした時の重量は前者が1.4kg、後者が1.7kgとなる。このほか、ThinkPad 8/10と同様の「QuickShotカバー」や純正ケース、ThinkPad 10同様の「ThinkPad Tabletドック」が利用できる。

 本体サイズ/重量は、タブレットのみで301.1×192.5×9.6mm(幅×奥行き×高さ)/785g、ThinkPad UltraBook Keyboardと組み合わせた場合が301×215.7×25.4mm(同)/1.4kg、ThinkPad UltraBook Pro Keyboardと組み合わせた場合が301.1×213.3×20.2mm(同)/1.7kg。

 Lenovoによれば米国での直販価格は999ドルが予定されており、10月から販売が開始される予定だ。Lenovoの日本法人であるレノボ・ジャパンでは、国内販売について現時点で明らかにしていないが、現行製品は日本でも販売されているため、投入の可能性は高い。

ThinkPad UltraBook Keyboardでクラムシェル型PCとして使っているところ、タブレットはドッキングというよりは置くという形になる
ThinkPad UltraBook Pro Keyboardにドッキングしているところ

テーブルトップPC「Horizon」シリーズ新モデル

 「Horizon 2s」、「Horizon 2e」は19.5型、21.5型のディスプレイを採用したテーブルトップPCだ。

 Horizon 2sは第4世代Coreプロセッサを採用しており、メモリは最大8GB、500GBのSSHD、19.5型フルHD液晶ディスプレイを採用し、重量は2.5kg、厚さ15mmで、内蔵バッテリを利用して2.5時間駆動(HDビデオ再生時)が可能など、クラムシェル型ノートPCの代替として家庭内で移動してテーブル上で使う用途が想定されている。スピーカーはDolby Home Theater対応のステレオスピーカーを内蔵する。

 Horizon 2eは、液晶がフルHD対応21.5型となり、第4世代Coreプロセッサ、メモリは最大8GB、1TBのHDDまたはSSHD、GPUにNVIDIAのGeForce GT 820Aを採用。重量は4.6kg、厚さ28mmで、気軽に持ち運んでというよりは基本は据え置きで時々移動して使うという使い方が想定されている。内蔵バッテリによる駆動時間(同)は3時間。Dolby Home Theater対応の3W+3Wスピーカーを内蔵する。

 このほか、共通で、200万画素(1080p)カメラ、IEEE 802.11ac対応または11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0、NFCを搭載する。

 Horizon 2sは9月から米国に投入される予定で米国での価格は849ドルから、Horizon 2eも9月から米国に投入される予定で、価格は749ドルからが予定されている。

LenovoのHorizon 2sは小型軽量のテーブルトップPC
Horizon 2eは21.5型のディスプレイを採用したテーブルトップPC

 「Flex 2 Pro」は、2013年のIFAで発表された低価格向け2-in-1デバイス「Flex」シリーズの新モデル。Yogaシリーズが360度回転するヒンジであるのに対して、Flexは300度と回転範囲が狭いヒンジとなる。Flex 2 Proも液晶ディスプレイが300度の角度まで回転し、クラムシェル以外に「テントモード」、「ビューアモード」などで利用できる。

 主な仕様は、15.6型フルHD IPSパネルを採用し、第4世代Coreプロセッサ、GeForce 840M、最大16GBメモリ、最大1TBのHDDまたはSSHD、Windows 8.1という構成。IEEE 802.11ac対応または11b/g/n対応無線LAN、100万画素(720p)対応カメラ、Dolby Home Theater対応ステレオスピーカーなどを搭載する。

 バッテリ駆動は8時間。サイズは282×276×19.9mm(同)、重量は2.4kg。9月から米国に投入される予定で、米国での価格は699ドルから。

Flex 2 Proは300度まで液晶が回転する2-in-1デバイスで、テントモードやビューアモードなどに設定してクラムシェル型以外の使い方ができる
ThinkCentre Tiny-in-One 23は背面にThinkCentre Tiny PCを合体して液晶一体型PCとして利用することができる

 「ThinkCentre Tiny-in-One 23」は23型のフルHD対応液晶ディスプレイ。その特徴は、裏側に「ThinkCentre Tiny PC」(別売り)を合体し、液晶一体型デスクトップとして利用できることだ。

 将来、より高速なCPUに対応したThinkCentre Tiny PCが登場すれば、PC部分だけを交換することでアップグレードが可能になる。液晶一体型PCで起きがちな、ディスプレイに寿命は来ていないが、PC性能の限界が来てしまう問題を回避できる。

 ThinkCentre Tiny-in-One 23は米国で10月から出荷開始される予定で、価格は279ドルが予定されている。

 なお、Horizon 2s/2e、Flex 2 Pro、ThinkCentre Tiny-in-One 23のいずれの製品も日本での発表時期、出荷時期などは未定だ。

Lenovoスマートフォンの最新版となるVIBE X2/Z2が発表される

 中国や新興国を中心にスマートフォンを展開しているLenovoは、グローバル市場におけるシェアはSamsung Electronics、Apple、Huaweiに次いで第4位に位置しており、大手スマートフォンメーカーの一角を占めている。IFAにおいては、最新製品となる「VIBE Z2」(ヴァイブゼットツー)、「VIBE X2」(ヴァイブエックスツー)という2製品を発表した。

 VIBE Z2は、SoCに64bitに対応したQualcommのSnapdragon 410(MSM8916、1.2GHzクアッドコア)を搭載しており、将来的に64bit命令に対応した「Android L」がリリースされた時にはアップデートできるとされている(発売時は32bitのAndroid 4.4)。液晶は5.5型で、解像度は720p(1,280×720ドット)。輝度は600cd/平方mと明るめだ。

 無線は、LTE(デュアルSIM対応)、Wi-Fi、Bluetooth 4.0に対応し、前面に800万画素、背面に1,300万画素のカメラを内蔵している。バッテリは3,000mAh、重量は165g、サイズは148.5×76.4×7.8mmとなっている。

 VIBE X2はMediaTekの「MT6595m」というオクタコア(8コア)のSoCを採用している。LenovoはMT6595mのグローバルローンチパートナーで、MT6595mを搭載した製品を最初に出荷するメーカーになる見通しだと言う。

 MT6595mは、ARMのbig.LITTLEに対応しており、Big側とLITTLE側それぞれにクアッドコアが用意され、オクタコアとして動作させることも可能になっている。メモリは2GBで、内部ストレージは32GB。

 そのほかのスペックとしては5型のフルHD/IPS液晶、1,300万画素の背面カメラ、500万画素の前面カメラ、無線はLTE(バンド1/3/7/20)、Wi-Fi、Bluetooth 4.0を備える。重量は120gで、サイズは140.2×68.6×7.27mmとなっている。

 いずれの製品も10月にまず中国で投入され、その後ほかの新興国市場などで展開される予定。価格はVIBE Z2が429ドルからで、VIBE X2が399ドルからと設定されている。いずれの製品も日本で展開されるかは不明だ(現在までのところレノボ・ジャパンはスマートフォンを日本では販売していない)。

VIBE Z2は64bitのAndroid Lを意識したモデル。SoCはCortex-A53を搭載したSnapdragon 410を採用している
VIBE X2はMediaTekのbig.LITTLE対応オクタコアSoC「MT6595m」を搭載したスマートフォン

(笠原 一輝)