イベントレポート

Lenovoがテーブル型PCやフルHD 11.6型着脱式ThinkPadを公開

IdeaCenter Horizon Table PC
1月6日(現地時間)開催

場所: Mandalay Bay

 CES本番前に一部の企業が新製品を報道向けに公開するイベントであるUnveiledにおいて、Lenovoが数々のPC新製品を公開した。

 Unveiledは数百人の報道陣が詰めかける非常に混雑したイベントであるため、ここでは各製品の概要の紹介にとどめるが、Lenovoについては後日説明会が予定されているので、詳細やここで紹介しきれなかったものは別途記事をお届けする。

 そのサイズの大きさも手伝ってLenovoブースでもっとも注目を集めていたのはテーブル型PC「IdeaCentre Horizon Table PC」(以下、Horizon)だ。似たようなフォームファクタのPCとしては、過去MicrosoftやSamsungが投入した「Surface」があるが、そちらが法人向けなのに対し、Horizonは家庭での利用を想定した製品となっている。

 基本的な構造としては、27型の薄い液晶一体型PCだが、オプションで水平にした本体の下にオフィスチェアのようなキャスター付きの台座を接続できるようになっており、この状態でのぱっと見は文字通りちょっとしたサイドテーブルのようになっている。

上から見るとこのような感じ。電源が入っていなければ、PCとは思わないだろう
台座にあるトレイには、キーボード、マウス、後述のジョイスティックなどを置いておける
本体は垂直にもできる

 OSはWindows 8で、10点同時タッチに対応し、複数のユーザーが同時に利用することを想定している。このコンセプトも、同社の27型液晶一体型PC「IdeaCentre A720」などですでに採用されているが、Horizonではそのコンセプトをより具現化するために、「Aura」と呼ばれる独自ユーザーインターフェイスを搭載している。

 メインのランチャーには、音楽や動画、ゲームといったアイコンが円状に配列されており、アイコンをタップすると、その内容が扇形にさっと広がって表示される。写真や動画の場合は、サムネールをタップすると、再生ウインドウが表示されるのだが、このウインドウは動画を再生しながらでも、スワイプ操作などで自由に表示場所や、角度などを調整できるようになっており、映画に出てきそうな近未来的な操作感を実現している。文字で説明するのは難しいが、さまざまなコンテンツを気軽にザッピングするためのしゃれたUIといったところだろうか。

独自UIのAura
中心にある円状のランチャーから、各種コンテンツを呼び出せる
【動画】Auraのデモの様子

 また、標準搭載されるゲームで使う、専用のジョイスティックもユニークだ。ジョイスティックはスティック部分の高さが5cmほどで、背面にある吸盤を利用して、Horizonの液晶上の自由な場所に複数くっつけて方向操作ができ、複数人がジョイスティックを使ってゲームを対戦できる。似たようなアクセサリとして「Striker」と呼ばれるものもある。これはエアホッケーゲームで使うもので、液晶上に表示されるエアホッケーのパックをStrikerで打ち返すことができる。さらにポーカーゲームでは、Android端末をプレーヤーごとの操作に利用できる。ポーカーゲームは4人まで同時プレイができるが、相手のカードが見えてしまったのではゲームにならない。そこで、Android端末を無線接続すると、各プレーヤーは自分のカードをその端末上にだけ表示させられるようになる。PCでゲームというと、おまけという感覚が強いが、本製品は1台のPCでゲームを同時プレイするためにかなり本格的に取り組んでいることが分かる。

専用のジョイスティック
裏は吸盤になっている
このように液晶にくっつけて操作する
【動画】Strikerを使ったゲームのデモ

 本体は垂直まで角度調整可能なほか、台座から取り外すことも可能。27型液晶と大型ではあるがバッテリも内蔵しており、最大2時間駆動できる。台座取り付け時は550~880mmの間で高さ調整ができる。

 液晶の解像度は1,920×1,080ドット(フルHD)。主な仕様としてCore i7、メモリ8GB、HDD 1TB、GeForce GT 620Mなどを搭載可能。米国では今夏初頭より出荷予定で、価格は1,699ドルから。

 「ThinkPad Helix」は液晶着脱型の11.6型ハイブリッドUltrabook。同じカテゴリの製品はすでにいくつか存在するが、本製品は液晶部分を取り外して、裏表逆に取り付ける事ができる。これにより、液晶をひっくり返して畳むと、タブレット状になるという、今までありそうでなかったギミックを採用する。

 そして液晶は、これまでどちらかというと低解像度に留まっていた同社のモバイルノートとして初めてフルHDに対応した。また、10点マルチタッチに加え、本体に収納可能なデジタイザーペンによる操作にも対応する。表面はGorilla Glassを採用している。

「ThinkPad Helix」
タブレット部はこのように取り外し可能
裏表逆にして取り付けられるのが新しい

 ThinkPadらしい点としてインターフェイスが豊富で、タブレット部にUSB 3.0×2、Mini HDMI、Mini DisplayPort、Ethernet、WAN(LTE)、NFCを搭載する。

 キーボードは、もちろんトラックポイントを搭載。キーボード部の基本機能はキーボードと、追加のバッテリおよびUSB 3.0×2、DisplayPortだが、ヒンジ部分にファンを内蔵しており、液晶内部へと空気を送り込む仕組みになっている。本製品はCore i7を搭載可能だが、実はタブレット単体で利用している時はクロックを落としており、キーボード部と合体させた時にフルパワーで駆動するようになっている。

 こういったギミックや高いスペックを実現しながら、厚さは20.4mmに抑えた。重量は約1.67kgで、タブレット部とキーボード部がほぼ半分半分。バッテリは合体時で最大10時間駆動する。

 米国では第1四半期に出荷予定で、価格は1,499ドルより。

合体時の背面に、USB 3.0×2とMini DisplayPort
タブレットの下面には、さらにWAN用SIMスロットなどがある
ペン操作にも対応

 「IdeaPad Yoga 11S」は、現行の「IdeaPad Yoga 13」を11.6型サイズに縮小した形のUltrabook。米国では「IdeaPad Yoga 11」として、国内ではNECパーソナルコンピュータが「LaVie Y LY750/JW」として発売している製品は、Tegra 3を搭載するWindows RT機だが、IdeaPad Yoga 11Sは、Core i7まで搭載可能なWindows 8機となる。

 こちらも従来のYogaシリーズ同様、液晶をキーボードの裏まで360度回転でき、クラムシェルやタブレットスタイルで利用できる。液晶解像度は1,366×768ドット。

 本体サイズは298×204×17.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1.4kg。

 このほか、同社初のゲーミングデスクトップ「Erazer X700」や、米国ではすでに発表されているAtom搭載の着脱式ノート「IdeaTab Lynx」や、タッチ対応になった「ThinkPad X1 Carbon Touch」などが展示されていた。

IdeaPad Yoga 11S
液晶はこのように360度回転可能
Razer X700
カバーを開けたところ。上にある逆三角形のボタンは電源とオーバークロックのボタン
CPUは水冷
IdeaTab Lynx
ThinkPad X1 Carbon Touch

 周辺機器では、液晶ディスプレイ「ThinkVision LT1423p」、「ThinkPad OneLink Dock」、「ThinkPad Bluetooth Keyboard with Trackpoint」などが展示された。

 ThinkVision LT1423pは、13.3型で1,600×900ドット表示対応AH-IPSパネル採用のモバイル液晶。バッテリを内蔵し、最大4時間の駆動が可能。こちらも表面はGorilla Glassを採用し、10点マルチタッチのほか、電磁誘導スタイラスによる操作にも対応する。

 PCとの接続はUSB 3.0に加え、上位モデルはWi-Fi Directによる無線接続に対応。米国での発売は第2四半期の予定で、価格はUSB 3.0モデルが349ドル、Wi-Fi対応モデルが449ドル。

 ThinkPad OneLink Dockは、ケーブル1本で接続できるポートリプリケータ。インターフェイスは、USB 3.0×4、ヘッドフォン、HDMI、Gigabit Ethernet、電源を搭載。本製品は、今後発売される「ThinkPad Edge E431」などで採用される専用コネクタとケーブル1本で接続。このコネクタは、電源と独自の信号線を組み合わせたもので、信号線はUSB 3.0、音声、HDMIを直接出力しており、Gigabit EthernetのみUSB接続のコントローラを内蔵している。米国での発売は5月の予定で、価格は99ドル。

ThinkVision LT1423p。これはUSB 3.0接続だが、上位モデルはWi-Fi Directでも接続できる
ThinkPad OneLink Dock
背面
接続ケーブルのコネクタは新型で、ThinkPad Edge E431などから採用される
ThinkPad Bluetooth Keyboard with Trackpoint

(若杉 紀彦)