やじうまミニレビュー
Apple Watchの心電図機能なんて飾りだと思ってました。ゴメンナサイ
2024年10月31日 06:17
PC Watchに入った時は20代だった筆者も、もう40代である。若さが取り柄だったが、そうでもなくなった。そして体のあっちこっちで問題が発生する年齢だなあ、というのは近頃よく実感する。
そして2024年10月28日、胸の周りがおかしいと気づく。動悸が止まらないのだ。筆者は「Apple Watch Series 7」を持っていて、心拍数が計測できるのだが、計測してみると60~100前後で乱高下している。最初は天候などによる一過性のものだろうと思っていたが、さすがに昼寝をしても動悸が止まらないのはおかしいだろうと思い、近くの病院へ通った。内科を受診し、心電図とレントゲンを撮る。10月2日に健康診断で同じことをやったばかりなのに、歳を取るというのはこういうことか。
その後の内科の問診で告げられたのは「不整脈」で、その原因は「心房細動」とのこと。心臓は4つの“部屋”があるのだが、上の部屋=心房が痙攣(けいれん)している状態で、うまく血液が送れていないとのことだ。ただ、この日は遅い時間であり、翌日に心臓/血管を診る内循環器の専門医に診てもらったほうがいいということで、いったん帰宅した。
一晩寝れば治るかも~と思ったが、残念ながら翌日(29日)の朝になっても動悸が収まらなかった。朝に病院に向かう前に、「そういえばApple Watch Series 7にはECGを使った心電図機能なるものがあるんだっけ」と思い出し、出かける前に試してみることにした。
Apple Watchの心電図機能はiPhoneの「ヘルスケア」アプリと連動していて、筆者は初めての利用だったので、iPhone側でまずいくつかの利用規約に同意する必要があった。ただ基本的に「はい」を押して行けばいいのでそのまま進む。すると、Apple Watchで心電図を計測することができるようになった。
心電図の利用方法はいたって簡単。起動したら、クラウンに指を当てて30秒間安静にするだけである。病院にある心電図計測のように手足にクリップを挟んだり胸に電極をつけたりする必要はない。
そしてこの「本当にこんなもんで大丈夫か~?」と疑いたくなる方法で計測した結果だが、めっぽうに正しかった。一発で筆者の心房細動を検出できたのである。複数回計測したがどれも同じ結果なので間違いない。結果は自動的にiPhoneのヘルスケアアプリに転送され、この結果に対してなんらか追加の症状がある場合は、数タップで記録しておくことも可能だ(何かあった時に医者が見られる)。
Apple Watchで色々計測したあと、朝9時に朝に病院へ向かい、追加の心電図検査と血液検査をした。そして昼休みを挟んだあと午後3時に再度結果を聞きに行った。医者によれば、心房細動の頻度が多いと血栓が発生し、脳卒中につながるとのこと。侮れない病気&症状の1つということで、この日は血液をサラサラにするという薬などを処方してもらった。
この問診の際に、医者に「Apple Watchを使っているんですね?」と尋ねられたのだ。「その心電図機能は使ってください」とのこと。また症状が現れた際はApple Watchで計測して、怪しいと思ったらまた病院に行けばいい。医者としても、Apple Watchの心電図機能は認知されているということだろう。
ただ……実は、午後3時に病院に着いたタイミングで、胸の辺りのつっかえがスッと取れた感じがしたのだ。「これはっ!?」と思い、速攻その場でApple Watchで心電図を計測したところ、「洞調律」ーーつまり正常と出たのだ。問診を終えた際にもう1回計測してみたが、やはり洞調律と表示された。薬を飲む前に治ってしまったのだ(そして今この記事を書いている)。
薬も飲むしちゃんと病院へ通おうと思うけども。
今回の経験で「Apple Watchの心電図機能は有能である」ことが分かった。先述の通り、心房細動が続けば脳卒中などのリスクが高くなるので、決して無視はできない症状だ。ちょっと怪しいかも~?と自覚症状が出たタイミングでサッとApple Watchで計測し、適切なアドバイスがもらえるだけでも、安心感は大きい。
ちなみに心房細動の症状追加のところで息切れを追加したところ、緊急通報しますかという選択肢が現れたので、マジでヤバイ時は躊躇することなく押すといいかも。緊急時にそのウィザードに回答する気力があればの話だが……。
近年、深夜に行なわれるAppleのiPhoneの新製品発表会のストリーミングを観たことがある読者なら知っているだろうが、目玉のiPhoneではなくApple Watchからスタートすることが多い。そしてその冒頭で流れるのが「Apple Watchのおかげで命が救われました」的なストーリーのムービーである。製品紹介のところでもヘルスケア関連が満載だ。
申し訳ないのだが、筆者はこれまで「健康である自分には関係ないな~」的な気持ちでこの発表会を観ていた。しかし、いざ心臓に関連する病気が自分の身に降りかかってみると、ありがたい機能なんだな~と、認識を改めたのであった。