【Macworld 2011レポート】展示ホールレポート iOS編

会期:1月26日~29日(現地時間)
会場:San Francisco The Moscone Center (モスコーニセンター)



IDG World Expoのサイトで入場事前登録を終えている来場者の待機列。事前登録していれば展示ホールへの入場は無料だ。会場での当日登録も可能。カンファレンス等の聴講は有料となる

 米国サンフランシスコで1月27日(現地時間)、Macworld 2011の展示ホールがオープンした。平日ながらも初日ということもあって客足は好調に見え、午前中から昼過ぎまでは取材のための写真撮影が困難なほどに混雑するブースも少なくなかった。

 なお、年初に行なわれたInternational CESと比べると、同じ展示会ながらもその客層には大きな違いがある。CESで大きな割合を占めているのが商談を目当てとしたバイヤーであるのに対し、Macworldはエンドユーザーが大半を占める。そのため、会場内の各ブースでは自社製品を「Show Special」として割引販売しているところも多い。こうした商品は来場者の目当ての1つでもあり、MacworldがMacユーザーの祭典として認知されている理由の1つでもある。Macworld展示ホールレポートの第一弾は、iOS関連商品を中心に紹介する。

●ユニバーサルリモコンの新顔と三脚座

 CESのiLoungeレポートでも取りあげたiPhone/iPod touch/iPadといったiOSデバイスをリモコン化する装置の新顔「iWaVit」は、iRに対応するユニバーサルリモコンというだけでなく、PCやMacのコントロールにも使えるのが特徴だ。30ピンコネクタに接続するアダプタ、PC/Mac用のUSBレシーバ、そして外付けiRユニットの3点がセットになっていて99.99ドル。会場内ではShow Specialとして84.99ドルで販売されていた。

 ユニバーサルリモコンとしては、定番どおりメーカーやカテゴリを選んで利用する機種を選択できる。プリセットされているリモコンならば、例えば縦に長いリモコンを3分割して3画面に分けスライドで機能を切り替えることができるなど、iOS Appが個々のリモコンに柔軟に対応しているのも面白い。今後発売される製品にも積極的に対応する意向のほか、iRの学習機能が付いていることも安心できる要素となる。

 そして他社のユニバーサルリモコンと差別化されるのは、PC/Macの仮想的なワイヤレスマウス、ワイヤレスキーボードなどとしても機能できる点だ。例えばPowerPointやKeynoteのプレゼンターとしてスライド操作やポインティングをしたりマーキングするなどの機能が用意されている。またApple TVやXbox 360のリモコンなど、一般的なリモコンのコードがiWaVit対応Appとして提供されており、iWaVitを所有していればすべて無料でApp Storeからダウンロードして利用できる。

iOSデバイス向けのユニバーサルリモコンとしてはやや高めとなる99.99ドルという価格だが、PC/Macのコントローラとしても使えるというのは面白い点だ。会場価格として、84.99ドルで販売されていた

 iPhone 4用の三脚座と三脚を紹介する。「grif」はニューヨークで起業したばかりというSTUDIO NEATの製品。iPhone 4を三脚に固定する時の三脚座として利用できる。iPhone 4の厚さにあわせたスリットを持つ製品で、縦向き横向きともに簡単に固定できる。三脚座のほかに、iPhone 4の簡易な縦置き横置きスタンドとしての利用も可能。会場内では18ドルで販売されていた。

 YOUBIQの「Gymbl」は、三軸が稼働するミニ三脚。iPhone 4を周囲で固定するフレームと脚部のセットで、2月にも69ドルで販売開始予定。脚の部分をたたむとハンドグリップとしても利用できる。脚のないフレームと三脚座だけの製品も用意されていて、そちらは49ドルとのこと。

シンプルなSTUDIO NEATの「grif」。iPhone 4の三脚座という主機能のほか、簡易スタンドしても利用可能。会場では1個18ドルで販売されていたYOUBIQのミニ三脚「Gymbl」。脚をたためばカメラグリップとしても利用できる。現在は69ドルで予約を受付中

●まさに百花繚乱のiPadケース、スタンド、バッグ、服

 CESでのレポートでも何点か触れたが、iPadをどこに、いかに置くかというのは米国の人々にとってはかなり気になるポイントのようで、思いついたさまざまなアイディアをとにかく製品化してしまおいという勢いのある製品が多数出展されている。ある意味、アイディアだけでこれだけ商品化できるということは、それだけマーケットが大きいという意識もあるのだろう。会場で目についた主な製品を紹介する。

Apple製品をターゲットにデザイン性の高いさまざまなスタンド等を発売しているRainのiPad向けスタンド「iRest」。写真のような使い方を想定しているらしいZooGueのiPadケース「Smart Kase」。写真のとおり多彩な角度設定が可能なハンディケース。価格は39.99ドル
スタンドにもなり、また膝上に載せるためのツールになるというのが「PadPivot」。机上、膝上、持ち運び時には折り畳んでポケットにも入るというROCKFORMのメカニカルなスタンド「ROKSTAND」。アルミニウム製で169ドルとなかなかの価格だが、そのメカメカしいスタイルが好きというユーザーもいそうだ。同社は「ROKBED」というiPhone 4用のアルミニウム製ケースも79ドルで販売中
SMK-LINKの「PadDock10」。いわゆるDock機能はもちろん、ステレオスピーカーを搭載して360度回転可能なスタンド。同社以外の展示ブースでも利用されているのを見かけたので人気商品の1つかも知れない。一般販売価格は99ドルだが、会場内では89ドルで購入できたAsseroの「DEFENDER」。iPadをはじめケーブルなどを収納可能なバックパックであるとともに、ストラップを調整することで正面で開いてそのままiPadが利用できるのがポイントこちらは着るiPadケース。Alphynの「The PADX-1 LEDGE Wearcom」。高機能化学繊維や高機能メッシュなどを使っているとのことで、同社通販価格は285ドル

●多彩化するiOS対応機器群

 Macworld 2011自体には出展していないものの、SRS Labsはその開催にタイミングをあわせてサンフランシスコ市内で新製品の発表を行なっている。iPhone/iPod touch/iPadに対応するDAC製品(音質補正アダプタ)で、名称は「iWOW 3D」。形状の問題からiPhone 4やiPadなどの新しいiOSデバイスへの接続が難しかった現行製品に対し、より柔軟な接続が可能な形になっている第3世代製品となる。アダプタのみのスタンダード版は69.99ドルの予価で、北米地域では1月末から2月上旬にかけて出荷を開始する。また、2フランジタイプのイヤフォンとアダプタのフェイスを変えるプラス五色のカラーチップのついたプレミアム版も99.99ドルで同時に出荷を開始。同時期に専用のiOS Appが、App Storeから無料でダウンロード可能になる見通し。日本市場向けには、今春の出荷を予定している。

SRS Labsの「iWow 3D」。iOSデバイスに対応するDAC製品(音質補正アダプタ)の最新モデル。69.99ドルで近日出荷開始予定。写真はサンプルのスタンダード版。プレミアム版はさらにイヤフォンが付属するほか、カラーチップを使ってイメージが変えられる接続イメージ。写真のとおり、Apple純正のBumperを付けたiPhone 4でもそのまま利用できるのは嬉しい。実はプレミアム版に付属するカラーチップは純正Bumperと同系統の色になっており、全6色からBumper色にあわせてコーディネートができる仕組みだ

トラディショナルなハンドセットとiPhoneの融合がもたらしたiPhone置き場「iFusion」

 AltiGen Communicationsが展示していた、自宅におけるiPhoneの意外な置き場が「iFusion」だ。伝統的な形状をしているハンドセットはiPhoneとBluetoothによって接続される。専用アプリケーションはApp Storeから無料でダウンロードが可能で、アドレスブックと連携する電話番号簿、ダイヤルパッド、ボイスメモなどを画面表示できる。発信/着信は画面へのタッチだけで行なえる仕組みだ。

 本体ユニット側はスピーカーホンの機能に加え、PC/MacとのiTunes同期や充電を行なうUSBポートも背面に備えている。単純にミュージックプレーヤーとして、BGMなどを流し続けることも可能。価格は149ドルで近日発売予定とのこと。個人的にはもう数十ドル上乗せしても、ハンドセットがコードレスのモデルがでるなら十分に購買意欲がわいてくるアイディア商品。

CESのiLoungeレポートでも紹介済みの「iGrill」。温度センサーユニットをBluetooth接続したiOSデバイスと連携させてBBQ時の適温化や調理時間の設定を行える。前回、一発ネタのつもりで紹介したが、ふたたび載せてしまったのは、CES出展時に比べて、具材がグレードアップしていたためこちらもiLoungeでのレポートに続いて2度目の紹介となるTen One Designの「Fling」。ゲームごとに微妙に異なる十字キーやアナログスティックの位置に合わせて吸盤で貼り付けて使用するコントローラー。スプリングを使ったフィードバック感が手頃韓国のDigitalZoneが出展したデジタルTVサーバー。無線LAN機能を持つルーターにサーバー機能とデジタルチューナを搭載。TV番組を録画して、その映像をPC/Mac、iOSデバイス、Aodroidなどにストリーミングできるという。ただしTV視聴に関しては米国での規格に沿ったものとなっているので、日本での利用はできない
CESにも出展されていたステージ用のスタンド「iKlip」と、ボーカルマイクインターフェイス「iRig Mic」。いずれもギター用エフェクターアダプタの「iRig」でブレイクしたIK Multimedia社の音楽関連製品ギター、ベースにiPhone等をセットできるCASTIV社の「Guitar Sidekick」。前述した製品等も含め、ミュージシャンがiPadやiPhoneを演奏のサポート機器として、あるいは楽器そのものとしてステージに持ち込むスタイルは驚くほど増えてきているのが現実Deximのワイヤレスチャージャー「Frixbee」。同時に2台まで無接点充電が可能。スターターセットはiPhone 4対応の専用ケースと充電台。ほかにiPhone 3G/3GS、BlackBerry用の専用ケースが別売で用意されている。CESのようなオープンな場ではないためか、無接点充電に関するコンソーシアム「qi」については特に触れられていない。反面、今手にすることができる手軽なソリューションとも言える
同じくDeximによるiPhone/iPodの30ピンコネクタ専用チャージャー「Visible Green Charger」。写真ではちょっと分かりにくいが、充電中はケーブルが青色に点滅して充電中であることを視覚的に知らせる仕組み。満充電になると自動的に充電を停止、イルミネーションも消える。同社によればこのシャットオフ機能により、待機電力を最大85%減らせるとのことDigital Video Playerだが、製品そのものはアナログかつバカっぽい(失礼)「TV HAT」。サンバイザーやキャップの先にiPhoneやiPod、DroidなどのPlayerを取り付けて、ひさしで遮光しつつ、プラスチックの拡大鏡を通して映像に浸るというシステム。レンズとプレーヤー間の焦点距離とサイズ感のためか、帽子のつばがかなり長い。つまりバランス的に前方がかなり重くなるため、モデルさんのように優雅に鑑賞するにはちょっときつめに帽子をかぶる必要がある。実際に試させてもらったが適当な調整では容易に前へずり落ちてしまった。価格は29.95ドル、その場でも買えた

●活気溢れるMobile Apps Showcase

 フロア内にはスタンド形式の「Mobile Apps Showcase」が設けられている。Appleからのリリースによれば、1月23日付けでApp Storeからのダウンロード数は、100億本を突破している。うち70億本が、2010年内のダウンロード。開始からは2年半あまりが経過しているが、その急激な成長には目を見張るべきものがある。もちろん背景には、有料、無料を問わずiOS Appに参入するデベロッパの増加がある。この「Mobile Apps Showcase」では、わずか数人という規模の開発会社から、企業の1部門という形態まで、さまざまなスタイルで意欲的なiOS関連のデベロッパが自社Appの紹介を行なっている。

活気溢れるMobile Apps Showcase。最小の展示スペースはスタンドの1/4からで、古参、新規参入を問わず、自社のiOSアプリケーションをアピールしているドイツから出展している「apps-and-more.com」。100%ドイツ製だという同社のクラフトグッズにiOSデバイスを組み合わせると、ちょっとしたインテリアになるという時計アプリケーションを出展。また、昨年200周年を迎えたオクトーバーフェスト(※ビールの祭典)の乾杯の際に歌われる「Beer Songs」というAppもある今回、現地法人のない日本企業としては唯一の出展企業と思われるモーションポートレート。2D→3D変換や3Dアニメーション技術などを軸に、多彩なiOS AppをApp Storeで販売している。米国での人気は、顔写真を元にゾンビ化したインタラクティブ3Dアニメーションを作る「ZombieBooth」や、加齢による顔の変化を表現する「HourFace」など

(2011年 1月 31日)

[Reported by 矢作 晃]