Macworld 2011が、米国サンフランシスコで1月26日(現地時間)に開幕した。米Appleが2009年を最後にMacworldへの出展をとりやめてから、2度目のAppleなきMacworldになる。26日は事前のカンファレンスのみが行なわれ、展示ホールは27日からオープンする。
2011年の会場となるのは、モスコーニセンターのWestホール。夏にはAppleによるWWDCもこのWestホールを使って開催されている |
「今回が最後かも知れないから……」、これまで10年以上にわたってMacworldに日本から訪れ、集った知人の数人から現地でこうした言葉を聞いた。公式サイトで見られる展示ホールのマップなどから、昨年に増して縮小傾向であることを感じ取っての言葉である。会場は変わらずサンフランシスコのThe Moscone Center(モスコーニセンター)。昨年は展示にNorthホールを使い、カンファレンスがWestホールで行なわれていたが、2011年はWestホール1階がすべて展示ホールとなり、2階と3階でカンファレンスが行なわれるようになった。来場者にとってはホール間の移動がなくなって、すっきりコンパクトにおさまった印象がある。
2012年の開催日程も早々にアナウンスされた。iOSをはじめ今夏に登場する予定のMac OS X Lionなど、プラットフォーム自体は追い風、出展社の獲得や来場者の支持を得られるかどうかが存続のカギを握る |
だが、必ずしも今回が最後とは言えないようだ。主催者であるIDG World Expoは早々に来年の開催予定を2012年1月28日~30日と発表している。ただ、カレンダーを見るとこの日程は土曜から月曜にわたる3日間であることがわかる。Appleが参加していた時期は同社の基調講演を火曜日に設定して、火曜から金曜が主な開催期間だった。そしてここ2年は週末にかかる木曜から土曜までの3日間を主な開催期間としていた。さらに2012年はまた異なる開催期間になる。いかなる理由かはわからないが、存続へ向けた試行錯誤が行なわれているのだろう。また、Macworldという言葉自体は、IDGがMobile World Asia(MWA)、Mobile World Congress(MWC)に、それぞれ1日のカンファレンストラックを設けたことで、もうしばらく存続するものと思われる。
もちろん日程が発表されたからといって、次回の開催が確約されたわけではない。過去においてCOMDEXや東海岸のMacworldのように、当初は開催を目指していても結果としてフェードアウトしてしまった例も少なくないからだ。展示会ビジネスの衰退は時折話題にのぼるものの、2011年のInternational CESは前年比で来場者を伸ばしたと思われる。COMDEXがなくなった際も、決してPC業界全体が斜陽だったわけではない。Macworldにいたっては、プラットフォームとしてiOSはもちろんのこと、Mac OS Xもシェアを伸ばし続けており、米Appleが出展しないという一点を除いては、十分に追い風と言える状況だ。あとは来場者の動向次第だろう。明日の展示ホールオープン以降も、PC Watchでは随時Macworld 2011のレポートをお伝えする。
最後に、Macworldで利用されているiOS Appについて触れておこう。CESでも同コンセプトのアプリケーションが用意されているイベント用のiOS Appだ。CESと同じ2010年から「iMacworld」として登場している。CESは開催年ごとに独立したアプリケーションだったが、iMacworldは、昨年(2010年)版がそのままバージョンアップして2011年の内容に対応した。出展社を一覧したり、展示ホールのマップを見たりすることができるのが特徴。チェックしたいところにはピンをドロップ。地図上のチェックと同時に連絡先やURLなども出展者一覧からリンクしてマーキングされる。カンファレンスのスケジューラとしての利用も可能。数年前までは紙のマップを手に、1つ1つ付き合わせてマーキングしていたりしたのだが、かなり楽になったものである。こうしたアプリケーションは、今後ある程度以上の規模を持つ展示会では、必須となるジャンルと言えよう。
(2011年 1月 27日)
[Reported by 矢作 晃]