【CES 2010】【周辺機器編】Sonyの全方位撮影可能なコンパクト動画カメラ
~Microsoftはスタイリッシュキーボードを展示

Sonyのbloggie

会期:1月7日~10日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center/The Venetian



 本稿では、2010 International CESの展示会場で目にした、おもしろい周辺機器を紹介する。

 1つ目はSonyのコンパクト動画カメラ「bloggie」。直接的にはPC周辺機器ではないものの、USBコネクタを装備し、商品名にも現われている通り、PCを通じて動画サイトやソーシャルサイトにアップロードすることを主用途として想定している。

 本体サイズは54×19×108mm(幅×奥行き×高さ)、重量は130gと、携帯電話大なので、ポケットなどに入れて気軽に持ち運んで、さっと取り出して撮影できる。本体上部にあるレンズは前後270度に回転可能なので、手前に向ければ自分撮りもできる。また、背面の下側には、2.4型の液晶を備える。

 動画は1,980×1,020ドットのフルHDで録画可能。フォーマットはAVC/H.264。静止画は4:3では500万画素、16:9では370万画素で撮影できる。記録媒体は、メモリースティックPROデュオとSD/SDHC。

 ここまでの仕様は、従来製品とさほど変わらないが、特徴的なのは水平360度の全方位映像を撮影するためのアダプタが用意(上位モデルは付属、下位モデルは別売)されている点。

 このアダプタの中には魚眼レンズが入っており、水平360度の映像を撮影できる。撮影された映像は、円形にゆがんでいて、そのままでは内容が分からないが、付属のPicture Motion Browserを使うことで、横長のパノラマ映像に変換できる。

 さらに360 Video Playerを使うと、90度程度の視野でその動画を表示。その下側には、360度分がサムネールで表示され、動画を再生しながら、サムネール内の枠をマウスで左右にドラッグすることで、リアルタイムで左右にパンすることができる。

 この時の解像度はだいぶ下がるものの、おもしろい使い方ができそうだ。米国では1月14日より出荷開始で、アダプタ付きモデルの価格は189.99ドル。

背面に液晶を装備レンズ部は前後270度に回転可能右側面には電源ボタンやズームレバー
左側面には特にボタン類はないUSBコネクタを装備し、PCへのデータ転送や充電が可能360度撮影可能なレンズを装着したところ
撮影した映像はこのように円形になるが専用ソフトで長方形のパノラマ映像に展開できるさらに、その一部だけを表示して再生しながら、リアルタイムでパンもできる

 Microsoftは、CESのタイミングでスタイリッシュキーボード「Arc Keyboard」を発表した。当然、会場には展示機が並べられていることを期待したのだが、どういうわけか、同社ブースの公開部分に展示機はなく、関係者向けの内部ミーティングルームにとてもひっそりと1台だけ置かれていた。

 それはさておき、本製品は独特な形状と折りたたみ式というギミックで話題を呼んだArc Mouseと同じ流れの製品だ。さすがに折りたたみ式は採用されていないが、家具と調和し、コンパクトで簡単に持ち運べるというのがコンセプトだ。

 縦横のサイズは約311×153mm。正確な厚みは不明だが目測で20mmはない程度。重量は約350g。キーは、「逆への字」型に若干奥側がすぼまっており、置いた腕と水平になるよう配置されている。一方で、高さは手前が低く、奥側が高くなっている。このあたり、プレスリリースには明記されていないが、人間工学に基づくデザインになっていると思われる。キーはパンタグラフに近いシザーズ式。

 特徴的なのはカーソルキーで、なんと4方向に押せる1つのキーで実現している。これにより3個分のキーのスペースを削減しているが、発想の転換と言うよりは、荒技に近い気もする。

 もう1つ変わっているのが、上部のファンクションキーで、F1~F6は普通だが、F7~F12は、F1~F6+Shiftキーの組み合わせとなっている。そして、F6より右にはHome、End、PgUp、PgDnなどとボリュームコントロールが並ぶ。日本語で文章を頻繁に入力する者としては、F7やF10などは割と重要なのだが、最近は標準がホットキーで、FキーはすべてShiftキーとの組み合わせというノートPCも出始めているので、一般ユーザーにとってはもしかしたらこの方がありがたいのかも知れない。

 接続はワイヤレスで、超小型USBレシーバが付属。レシーバは使わないとき、本体の底面に収納できる。価格は59.95ドル。

Arc KeyboardとArc Mouse薄さを追求したデザインキーの配置や全体的なカーブは人間工学に基づくものと思われる
なんとカーソルキーは1つのキーで実現F7~F12キーはShiftキーとの組み合わせによる裏面。くぼみにはUSBレシーバを収納できる

 フルHD映像を無線で送受信できるWireless HDは、どちらかというと家電に向けた規格だが、ASUSTeKは自社ブランドのWireless HDデバイス「WiCast EW2000」を展示していた。

 Wireless HDは、最大100フィート(30.48m)の距離まで、Deep Color対応の1080p/60Hz映像を非圧縮で無線伝送できる規格。送信機の映像入力はHDMIとなっているので、HDMI出力さえあれば、送信元はPCでも家電機器でも構わないが、電源端子としてAC以外に、USBもあるところがASUSTeK製品らしい。

 ただ、PCによる無線の映像伝送技術としては、今CESでIntelが発表した「Wireless Display」の方が、既存の無線LANを使うためPC側には機器を繋ぐ必要がないため、使い勝手は勝るだろう。とはいえ、Wireless Displayは、Intel CPU(かつCore i3以上)が必要で、画質(非圧縮なのかどうか)も不明なので、今後どちらが主流になるかはまだ分からない。

 もう1つ、ASUSTeKのブースには、USB 3.0を標準搭載したノートと一緒にUSB 3.0対応のWebカメラも展示/デモされていた。これは、ASUSTeK製ではなく、Point Grey Research製なので、詳しい仕様は分からないが、フルHDでの録画可能な点がウリとなっている。

EW2000の送信機受信機。こちらにはEeeのロゴがある
送信機の背面。USBバスパワー動作に対応Point Grey ResearchのUSB 3.0/フルHD対応Webカメラ

 最後に紹介するのは、PCに繋ぐものではないが、会場で注目を集めていたNovelQuestのPCチェア「Emperor」だ。

 これを果たしてPCチェアと呼んで良いものか分からないほど特異で際立っているが、PC用であり、椅子がついていることは確かだ。

 ただし、椅子の背後からは半円状のパイプが前面に向かって伸びており、その先端には3台の液晶を横に並べて取り付けられる。左の肘置きには操作パネルと、キーボード用の台、右側にはマウス用の台があり、足下にはレッグレストがある。そして、操作パネルからはディスプレイのアームを電動で開閉できるようになっている。この椅子に乗り込んで、アームを操作する姿は、モビルスーツのパイロットさながらといったところで、ゲームプレイ時の没入感は格段に高い。ちなみにシートはRECARO製。

 とにかく全てが無駄に格好いい。値段も5千ドルからと格別だ。

 会場にあったのは下位モデルのEmperor 1510だが、Emperor 200という上位モデルもある。こちらでは、5.1chオーディオ(液晶上部に3ch、頭の背後に2ch、椅子の下に0.1ch)、ヘッドレストからフッドレストまでの角度調整機能、本体全体の角度調整、自然光に近いライティング、HEPAフィルターによる空気清浄機能、3時間分のバッテリ、Webカメラ、iPodドック、USB/eSATA/IEEE 1394ポート、カードリーダ、TV入力などの贅の極みを尽くした仕様となっている。価格は不明。

Emperorに「乗り降り」するところ左手にあるボタンで操作するとディスプレイのアームが閉じられ、目の前に液晶が来る
違う角度から背面の構造本体正面は、ディスプレイの背面になるが、極力ケーブル類が見えないよう配慮されている
左手にキーボード、右手にマウスの台座椅子は自動車や航空機用をてがけるRECARO製

(2010年 1月 13日)

[Reported by 若杉 紀彦]