【CES 2010】【ASUSTeKカンファレンス編】
ゲーミングからデザイナーズまで多数のノートPCを公開

プレスカンファレンス会場。好調な業績を反映してか、昨年よりも大きめな会場が使用された

会期:1月7日~10日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center
   Sands Expo and Convention Center/The Venetian



 台湾ASUSTeK Computer(以下ASUS)は、CES前々日となる1月5日にラスベガス市内のホテルにおいて記者会見を開催し、今後同社がリリースする予定の製品を発表した。

 同社のジョニー・シー会長は「昨年のASUSは厳しい経済状況の中、市場の平均の倍の成長を果たした。これからも我々は従来のPCにはなかったようなデザインの製品を投入し、市場のニーズに応えていきたい」と述べ、鏡面仕上げのアルミ天板を採用した18.4型液晶採用ノートPCや、未発表のAMD Mobility Radeon HD 5870を搭載したゲーミングノートPCなどを公開した。

●デザイン重視で、さらなる成長を目指す

 ASUS会長のジョニー・シー氏はまず昨年来の厳しい経済状況に触れ、「昨年は誰にとっても厳しい年だった。それでもPC市場は成長をした。例えば第3四半期(7~9月期)では市場での平均成長率は25%だったが、ASUSの成長率は56%とその倍以上の結果を残した」とし、引き続きASUSが他の企業を上回る勢いで成長しているのだと強調した。そして、2011年までに実現したい目標として、ノートPCのベンダーとしてトップ3に入ることを目指していることを明らかにし「我々はこれを必ず実現するだろう」とその達成に自信を示した。

ASUS会長のジョニー・シー氏。手に持つのはカリム・ラジット氏とコラボレーションして開発されたEee PC第3四半期の成長率は市場の平均が25%だった
ASUSは56%を達成したとアピール2011年にはノートPCでトップ3になると宣言

●Mobility Radeon HD 5870を搭載したゲーミングノート

 次にシー氏は、4つの製品を紹介した。

 最初に紹介されたのがステルス戦闘機をモチーフとしたゲーミングノートPCの「G73Jh」だ。G73Jhは黒をベースしたボディが採用されており、17.3型(1,920×1,080ドット)の液晶を搭載している。プロセッサにはCore i7および未発表のCore i5、チップセットにはPM55を搭載する。また、GPUも未発表のMobility Radeon HD 5870(1GB GDDR5)が採用されているという。シー氏は、「現時点ではゲーミングPCとしては最強の製品と言って良く、まさにモンスターだ」と、スペックが強力であることをアピールした。

G73Jhのデザインコンセプトはステルス戦闘機G73Jhを手にするシー氏キーボードにもLEDが用意されており、暗い場所でもゲームがプレイできる
本体右側面。USBポートやカードリーダーなどが用意されている本体左側面。光学ドライブやUSBポートなどが用意されている。キーボードに傾斜がつけられていることがわかる

 2つ目に紹介されたのがニューヨークのファッションデザイナーのカリム・ラジット(Karim Rashid)氏とコラボレーションして開発された特別外装のEee PC「Eee PC Seashell Karim Rashid Collection」だ。プラットフォームはPine Trailベース(CPUはAtom N450)となっており、1GBメモリ、250GB HDD、10.1型(1,024×600ドット)液晶、OSはWindows 7 Starterで、現時点ではまだ発売されていないEee PC 1008Pという製品の特別版という位置づけだ。サイズなどは不明だが、重量は1.12kgとのことで、現在の売れ筋のEee PCの10インチモデルのPine Trail版だと考えていいだろう。デザインはワニ皮のバッグのような格子状の天板が採用されており、色はピンクとゴールドが用意されているという。若い女性などを意識したデザインだと考えられるだろう。

Eee PC Seashell Karim Rashid Collection。10.1型液晶を搭載するスタンダードなEee PCがベース天板は、まるで女性用バッグのようなデザイン

 3つ目に紹介されたのは、同社がBamboo(竹)シリーズと呼ぶ、外装に竹の素材を利用した製品だ。ASUSは昨年来Bambooシリーズと呼ばれるボディの素材に竹を利用している。金属やプラスチックとは異なり自然に還る素材を利用しているため、環境に優しい製品としてASUSが取り組んでいるカテゴリーの製品だ。今回紹介された「U53」はその最新製品の1つで天板のデザインなども竹を意識したデザインになっている。なお、CPUはCore i5としているが、詳細は発表会場では公表されなかった。

U53はBambooシリーズの最新製品天板の素材に竹を使用している

●Bang & Olufsenのデザイナーによる鏡面仕上げのノート

 最後にシー氏がもっとも力を入れて紹介したのが、「NX90」と呼ばれる18.4型(1,920×1,080ドット)の大型液晶を搭載したノートPCだ。NX90は非常にユニークなデザインを採用しており、液晶部分の方が、下の本体とキーボードの横幅よりも大きくなっている。閉じた時に持つのは液晶部分だ。横にはみ出した部分はスピーカーになっており、「従来のノートPCにはなかったような大型のスピーカーを採用することで、従来の製品に比べて圧倒的に良い音で楽しむことができる」(シー氏)と、オーディオにこだわった製品になっている。

 ユニークなのはそれだけではない。天板とパームレストの部分は鏡面仕上げのアルミ素材になっており、高級感を醸し出すことに成功している。ただ、持っているとそれだけですぐに傷がつきそうだ。実際にデモに利用された製品にも保護材がつけられたままで、ステージ上であわててそれをはがすというハプニングもあった。このデザインは、デンマークのオーディオメーカーBang & OlufsenのデザイナーであるDavid Lewis氏によるものだ。

 もう1つユニークなのは、ポインティングデバイスとして、キーボードの左右に2つタッチパッドが用意されていることだ。ユーザーはどちらを利用しても操作でき、利き手を選ばないというメリットがある。

 主な仕様は、CPUがCore i7(820QMないしは720QM)またはCore i5(2.53/2.4/2.26GHz)、チップセットはHM55、GPUはGeForce GT 335M(1GB DDR3)、メモリは最大12GB(DDR3)、HDDは2台内蔵可能で最大1.28TB、スロットインのBlu-Ray Discドライブだ。OSはWindows 7 Ultimate/Professional/Home Premiumから選択することが可能になっている。いずれもCTOベースになっており、価格などは現時点ではわからないとのことだった。

ASUS NX90は鏡面仕上げのアルミ天板とパームレストを採用した。Bang & Olufsenのデザイナーが協力している鏡面仕上げは傷つきやすいので、保護シートが貼られたままだった
ポインティングデバイスはキーボードの左右に用意されている天板は本当に鏡のようだ

●曲がるディスプレイをベースにしたコンセプトイメージも公開

 最後にシー氏は、ASUSの記者会見では恒例行事になりつつある、将来の製品のイメージ映像を見せた。今回特に強調されたのが、折り曲げるタイプの液晶を利用した製品で、それが現実的になったらこんな製品ができますよという映像が表示された。ただ、質疑応答でもいつ頃実際の製品として登場するのかという質問がでたが、具体的な答えはなく可能になりしだい製品化したいという抽象的な答えで、具体的な製品の開発が進んでいるというよりは、コンセプト段階だと考えて良いだろう。

ASUSが公開した「Waveface」と呼ばれるコンセプトデザイン「Lightweight Personal Tablet」というノートPCのようなデザイン

(2010年 1月 7日)

[Reported by 笠原 一輝]