イベントレポート

NVIDIA、Vera Rubinを量産開始。AIファクトリーの設計もまるっと提供

Vera Rubinの量産開始を発表するNVIDIA CEOジェンスン・フアン氏

 NVIDIAは6月1日(台湾時間)より、台湾・台北市で開幕するCOMPUTEX 2026に合わせて、同社のAIソリューションなどを紹介する「GTC Taipei」を開催している。その基調講演として、台北音楽中心(Taipei Music Center)において、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏が講演を行なった。

 この中でNVIDIAは、同社が1月のCESで発表したAIファクトリー(AIデータセンターのこと)向けの新CPU+GPUとなる「Vera Rubin」のフル生産が開始されたことを発表した。

 また、そうしたAIファクトリー向けのリファレンスデザインとして「NVIDIA DSX AI Factory Platform」を発表した。ラックの標準デザインとしてGB200/300 NVL72やVera Rubin NVL72のようにリファレンスデザインを作りOEMメーカーに供給したように、AIファクトリーそのものの設計要素をパッケージ化して、顧客がより容易にAIファクトリーを建設できるようにする狙いがある。

Veraはx86プロセッサに比べて3~6倍高速とアピール

使えるAIがついに登場したとNVIDIAのフアン氏

 NVIDIAは、ここ数年COMPUTEXでデータセンター向けAIに関する重要な発表を行なうことが多く、昨年のCOMPUTEX/GTC Taipeiの基調講演では、NVLink Fusionを発表している。

 こうしたNVIDIAのNVLink Fusionに関する発表は、その後Intelとの歴史的な提携発表につながったことはよく知られている。

 今回COMPUTEX/GTC Taipeiの会見でもフアン氏はデータセンター関連の話題から講演を始め、AIエージェント、その中でもエージェント型AIやフロンティア・エージェントなどと呼ばれる自律性の高い動作をするAIエージェントの話から入り、「AIエージェントの登場により、AIは使えるAIへと進化した」と述べ、OpenClaw/NemoClawなどのエージェント型AIの登場により、AIは「使えるAI」へと進化したのだと強調した。

NVIDIA Veraの特徴

 その上で、そうしたエージェント型AIの実現には、CPUやGPUを効率よく使える環境が必要だと強調し、それに最適なのは自社CPUのVeraとGPUのRubinだとし、特にVeraに関して時間を割いて説明が行なわれた。

 「従来のCPUは、コア数を増やす設計に特化してきた。しかし、Veraは低遅延に特化した設計になっており、従来のCPUよりもAI推論で高い性能を発揮する」と述べ、自社設計した「Olympus Core」ベースのVeraはAI推論に最適だと強調した。

SQLの処理でx86と比較して3倍
リアルタイムストリーミングの処理でx86と比較して6倍

 その具体的な例として、SQLデータの処理は3倍高速で、リアルタイムのストリーミングデータの処理では6倍高速だとして、AI推論におけるVeraの優位性をアピールした。

 そして、Vera Rubinが量産開始したことを明らかにし、予定通りに出荷に向けて準備が進んでいることを示した。

サーバー機のDGX、ラックのNVL72に続いて、データセンター自体の設計となるDSXを提供するNVIDIA

NVIDIA DSX AI Factory Platform

 同時に、NVIDIA DSX AI Factory Platformを発表した。

 現在、世界の各地に「AIファクトリー」と呼ばれるAIデータセンターの構築が進んでいる。このAIファクトリーは、従来のデータセンターとは区別される新しい形のデータセンターで、AI学習やAI推論に特化した形となる。

 しかし、AIファクトリーでは、規模によってはギガワット級の電力を必要としている。そのため、800V DCなどの高電圧を供給し、バッテリやキャパシタによる電力の安定供給を確保しなければならない。また、液冷が前提の熱設計のため、水回りの設計が必要になる。つまり、従来のデータセンターとは異なる設計が必要になっているわけだ。

 そうしたAIファクトリー向けの設計手法や必要な素材の手配方法など、“さまざまなAIファクトリー設計のノウハウをパッケージ化”して提供するのが、NVIDIA DSX AI Factory Platformだ。

 当初はDGXのようなサーバー機器だけを提供していたが、続いてGB200/300 NVL72のようなラックレベルでの設計を提供するようになった。今回はその延長線として、AIファクトリーそのもののデザインも提供することになる。

 NVIDIAによれば、Dell Technologies、HPE、Lenovo、Supermicro、ASUS、Foxconn、GIGABYTE、Pegatron、Quanta Cloud Technology (QCT)、Wistron、WiwynnなどがNVIDIA DSXとVera Rubinを採用してAIファクトリーを顧客に提供する計画だとされている。