イベントレポート
【ASUSブース編】4K表示対応IGZO液晶採用の31.5型ディスプレイを展示
~バッテリ搭載デスクトップや1,900Mbps対応11acルーターなど
(2013/6/7 12:53)
- 会期:6月4日~8日(現地時間)
- 会場:
- Taipei World Trade Center NANGANG Exhibition Hall
- Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1
- Taipei World Trade Center Exhibition Hall 3
- Taipei International Convention Center
ASUSブースは、中央にノートPCやタブレットなどのスペースを大きく取り、マザーボードなどのPC自作向けパーツやデスクトップPC、各種周辺機器といった製品は、ブースの隅に追いやられていた。そのような中でも、液晶ディスプレイなどの周辺機器に注目すべき製品がいくつか存在したので、それらを紹介しよう。
4K表示対応のIGZO液晶採用31.5型ディスプレイと、39型4K液晶ディスプレイのプロトタイプ
5月30日に発表された、3,840×2,160ドット(4K)表示に対応したIGZO液晶を採用するディスプレイ「PQ321」が、ブースに展示されていた。IGZOパネルを採用する4Kディスプレイはシャープから32型の「PN-K321」が発売されているが、それに続く4K IGZOディスプレイとなる。
製品はシンプルなデザインだが、やはり31.5型という大きなサイズのため、存在感はかなりのものだ。また、4K表示対応ということもあり、表示される画像の精細感は非常に高い。ドットピッチは0.182mm(140ppi)となる。また、10bitカラー表示に対応し、発色も非常に鮮やか。1mほど離れると、表示されている実物を見ているかのような臨場感が感じられる。
視野角は上下/左右とも176度、輝度は350cd/平方m、パネルの応答速度は8ms(GTG)。入力端子は左側面に配置され、HDMI 1.4×2、DisplayPort 1.2×1の3系統を用意。オーディオ入力端子とヘッドフォン出力もある。また、右側面には電源ボタンやOSD操作用のボタン、内蔵ステレオスピーカのボリュームボタンを備える。
スタンドには、液晶面の角度は下5度から上25度の範囲での角度調節機構と、150mmの範囲内での高さ調節機構、左右に45度ずつのスイベル機構を備える。
北米で6月中の販売開始を予定。日本での販売は未定だが、日本での大型ディスプレイの需要を検討した上で考えるとしている。
ASUSブースには、4K表示対応ディスプレイがもう1製品展示されていた。まだ製品名のないプロトタイプだったが、39型とPQ321よりもさらに大きな液晶パネルを採用する製品。パネルはIGZOではなくVA方式の液晶パネルを採用。パネルサイズが大きいため、ドットピッチは0.2223mm(113ppi)と、PQ321に比べると粗くなるが、それでも表示される映像は非常に高精細かつ発色も鮮やかで、圧倒的なクオリティを実現している。
カラーは8bit対応だが、FRC (Frame Rate Control)を組み合わせることにより、擬似的に10億7,374万色表示に対応。コントラストは5,000:1、視野角は上下/左右とも176度、輝度は350cd/平方m。映像入力端子は、HDMIとDisplayPortを備えるそうだが、展示機には端子は存在しなかった。こちらは、2013年後半から2014年にかけて発売を予定しているそうだ。
プロ向けWQHDディスプレイや16型フルHDポータブル液晶ディスプレイなど
4K対応製品以外にも、多くのディスプレイが展示されていた。
まず、2,560×1,440ドット表示対応の27型液晶ディスプレイ「PA279Q」。ASUS製液晶ディスプレイの中で、表示品質に優れるプロ向けのラインナップ「ProArt」シリーズに属する製品だ。採用する液晶はAH-IPS方式。
10bitカラーをサポートしており、10億7,374万色表示に対応。Adobe RGB 99%、sRGB 100%、NTSC 120%をカバーするとしており、出荷時にパネルのキャリブレーションも施される。また、ASUS Smart Contrast Ratioにより100,000,000:1と高コントラストも実現している。視野角は上下/左右とも176度、輝度は350cd/平方m。
スタンド部は、チルト、高さ調節、スイベル、ピボットの各機構を備える。映像入力は、DisplayPort、HDMI、Dual Link DVIの3系統を備え、デイジーチェーン用のDisplayPort出力端子も用意。また、USB 3.0の6ポートHub機能も備え、うち1つは急速充電機能に対応。他にも、ピクチャ・イン・ピクチャやピクチャ・バイ・ピクチャなどの複数入力の同時表示機能や、画面上にグリッド線を表示する「ASUS QuickFit」など、機能もかなり優れている。北米市場では6月に発売予定で、日本でも発売を予定している。
次に、アスペクト比21:9、2,560×1,080ドット表示対応の29型液晶ディスプレイ「PB298Q」。超ワイドディスプレイが最大の特徴だが、スタンド部は角度調節、高さ調節、スイベル機構に加えてピボット機構も備え、縦位置でも利用可能。ブースでは、PB298Qを縦画面で3台並べての展示も行なわれていた。パネルはAH-IPS方式で、視野角は上下/左右とも176度。映像入力は、DisplayPort、HDMI、Dual Link DVIの3系統を備える。こちらも北米市場で6月中に発売予定だが、日本での発売は未定。
USB 3.0ケーブル1本で接続し利用できるポータブルディスプレイの新モデル「MB168B+」も展示。1,920×1,080ドット表示対応の15.6型液晶を搭載しつつ、厚さ8mm、重量約800gの薄型軽量ボディを実現。また、折りたたんでスタンドとしても利用できるケースも付属する。パネルの種類は非公開だが、視野角はあまり広くなく、TNパネルと思われる。液晶にはセンサーを内蔵し、横位置と縦位置を判別して自動的に表示向きの切り替えが可能。パネル表面は非光沢処理。コントラスト比は600:1、輝度は250cd/平方m。接続はUSB 3.0で、USB 3.0対応のPCで利用可能。北米市場では6月に発売予定で、日本でも2カ月後を目途に発売する予定という。価格は未定。
タッチパネル搭載液晶も展示していた。こちらは、1,600×900ドット表示対応の19.5型液晶を搭載するモデルと、1,920×1,080ドット表示対応の23.6型液晶を搭載するモデルを用意しているが、製品名はまだ付いておらず、双方ともプロトタイプとなっている。採用する液晶パネルは双方ともTNパネルで、やや視野角が狭い。タッチパネルは静電容量方式で、双方とも10点マルチタッチに対応する。
着脱式バッテリや無接点充電機能を搭載するデスクトップPC
ASUSは、R.O.Gブランドだけでなく、ASUSブランドでもデスクトップPCを販売しており、ブースでもデスクトップPCがいくつか展示されていた。その中に特徴的な仕様を備える製品が存在したので紹介したい。
まず、第4世代Coreプロセッサを搭載する「G10」という製品。本体は、前面が斜めになっている点が特徴的だが、R.O.GブランドデスクトップPCのような派手さはなく、落ち着いた印象だ。ただ、本体前面のスライドパネルを下げると、中から光学式ドライブや前面ポート、カードリーダなどと合わせ、なにやら着脱式のデバイスが現れる。このデバイスは一見するとポータブルHDDのように見えるが、実はこれは着脱式のバッテリだ。容量は14.6V、19,900mAhで、ハードウェア構成によって変化はするものの、標準スペックでは停電などPCへの給電が途絶えても30分ほどの駆動が可能という。無停電電源装置(UPS)をPCに取り込んだようなものと考えるとわかりやすいだろう。ASUSはG10を、世界初のUPS内蔵デスクトップPCとしている。
ただ、このバッテリは単にUPS同等に利用するだけではない。バッテリを外せば、単体でモバイルバッテリとして利用でき、前方に用意されているUSBポートからスマートフォンやタブレットの充電が行なえるのだ。USBからの出力は双方とも5V/2.1Aとなっているので、タブレットの充電も問題ない。ただし、さすがに大容量なため、重量はかなり重く感じる。それでも、大容量バッテリ搭載スマートフォンを3回以上フル充電可能で、非常に優れたモバイルバッテリとして活用できそうだ。
PCのスペックは、CPUがCore i7-4770、メインメモリは8GB(DDR3-1600)、ビデオカードがGeForce GTX 650、1TBのHDDと128GBのSSD、DVD-RWドライブなどとなっている。
こちらは「M51」。見た目はG10よりもさらに普通のタワー型デスクトップPCのように見えるが、ケース上部のトレイに「Qi」準拠の無接点充電機能を内蔵する点が大きな特徴となっている。実際にブースでは、Qiアダプタを取り付けた空冷ファンが置かれ、ファンが動いていることが確認できた。また、G10と同じように前面に着脱式バッテリが搭載される。
PCのスペックは、CPUがCore i7-4770、メインメモリは16GB(DDR3-1600)、ビデオカードがGeForce GTX 650、2TBのHDD、トレイタイプのBDドライブとなっている。
最大1,900Mbps対応のIEEE 802.11acルーター
無線LANルーターの新モデル「RT-AC68U」も展示していた。この無線LANルーターは、IEEE 802.11acに対応するとともに、通信速度が最大1,900Mbpsと、2Gbpsに近いスピードを実現する点が特徴。ASUSは、世界最速の無線LANルータとしている。
アンテナの指向性を制御して無線の干渉を抑え通信品質を高めるビームフォーミング技術「AirRader」の搭載で、従来より無線到達範囲が150%向上。また、デュアルコアCPUと大容量メモリの搭載で、ネットワークのパフォーマンスも優れるという。本体にはUSB 2.0およびUSB 3.0ポートを備えており、接続したプリンタの共有や、HDDなどを接続してネットワークストレージ機能を実現したり、3G/4Gデータ通信アダプタを接続することで3G/4G通信のシェアも行なえるなど、非常に高機能となっている。
日本への投入については、現時点では未定。日本への参入意欲はあるものの、強い競合が存在するために難しいということのようだ。