イベントレポート

AMD、低価格のRadeon RX 6500 XTや薄型ノート向け高性能GPU

Radeon RX 6500 XTは1月19日より販売開始(出典:AMD Radeon、AMD)

 AMDは1月3日(現地時間、日本時間は1月4日)より米国ラスベガス市で開幕している世界最大のデジタル家電展示会「CES」に併せて「AMD 2022 Product Premiere」と呼ばれるイベントをオンラインで開催。この中でAMDは、単体GPU「Radeon」ブランドの製品を複数発表した。

Radeon RX 6000シリーズのローエンドとなるRadeon RX 6500 XTとRadeon RX 6400

Radeon RX 6500 XT(出典:AMD Radeon、AMD)

 単体Radeonの最新製品はRDNA 2アーキテクチャを採用した「Radeon RX 6000シリーズ」となるが、今回のCESでその追加モデルとしてRadeon RX 6500 XTとRadeon RX 6400の2製品を発表した。

既に販売されているRadeon RX 6000シリーズのラインナップ(出典:AMD Radeon、AMD)

 Radeon RX 6500 XTとRadeon RX 6400は、Radeon RX 6900 XTを筆頭に、RX 6800 XT、RX 6800、RX 6700 XT、RX 6600 XT、RX 6600というラインナップの最下位に追加される製品。Radeon RX 6000シリーズで最もローエンドに位置づけられ、AAAタイトルで1080pの解像度でゲームをする用途が想定されている。Radeon RX 6500 XTは2.6GHzのゲームクロックになっており、16機のコンピュートユニットを内蔵しており、16MBのインフィニティキャッシュを搭載している。

Radeon RX 6500 XTのベンチマーク結果(出典:AMD Radeon、AMD)

 Radeon RX 6500 XT はASRock、ASUS、BIOSTAR、Gigabyte、MSI、PowerColor、SAPPHIRE、XFX、YestonなどのAIB(Add-in-Board)パートナーから1月19日以降にグローバルに販売が開始される計画で、想定小売価格は199ドル。Radeon RX 6400は組み込み製品やチャネルPC向け限定となっており、今年の前半中には市場投入される計画だ。

AMD Radeon Super Resolution(RSR)(出典:AMD Radeon、AMD)
AMD Software:Adrenalin Edition(出典:AMD Radeon、AMD)

 また、AMDはAMD Software: Adrenalin Editionの次期バージョンを今四半期中(1月~3月期)に投入する計画で、AMD Radeon Super Resolution(RSR)という新しいアップスケーリング機能を投入する。RSRはFidelityFX Super Resolutionと同じアルゴリズムが利用されており、フルスクリーンモードで表示しているゲームの解像度をより高解像度でのネイティブ表示に近いクオリティに引き上げることが可能になっている。さらに2022年の前半中には、AMD Privacy View technologyと呼ばれる新機能が追加される見通しだ。

追加モデルと薄型ゲーミングPC向けのRadeon RX 6000S

Radeon RX 6000Mシリーズの追加モデル(出典:AMD Radeon、AMD)

 AMDはノートPC向けのdGPUに関しても追加モデルを投入した。同社は既にRadeon RX 6000Mシリーズ(Radeon RX 6800M、6700M、6600M)を発表、出荷しているが、今回のCESではそれに加えてRX 6850M、6650M XT、6650M、6500M、6300Mを追加モデルとして発表した。

Radeon RX 6000Mシリーズの現行モデル(出典:AMD Radeon、AMD)
Radeon RX 6000Mシリーズの追加モデルの特長(出典:AMD Radeon、AMD)

 また、Radeon RX 6000SシリーズというノートPC向け新GPUも発表した。Radeon RX 6800S、6700S、6600Sという3つのモデルから構成されるRX 6000Sシリーズは、薄型ノートPC向けと位置づけられる製品で、高い性能を実現しながらも、より薄型のノートPCを設計することを可能になる。20%ほど熱設計に余裕ができ、20mm以下の薄さのゲーミングPCを設計することが可能になり、2kg(4.5ポンド以下)の設計が可能になるとAMDは説明している。

Radeon RX 6000Sシリーズ(出典:AMD Radeon、AMD)
Radeon RX 6000Sシリーズの特長(出典:AMD Radeon、AMD)

 こうしたノートPC向けのRadeonでは、同じくAMDが提供するRyzenのノートPC版と組み合わせると、より性能を発揮することを可能にする新機能が提供される。

AMD Smart Access Memory Technology

 AMDのCPU(Ryzen 6000)が、GPU(Radeon RX 6000Mシリーズ/ Radeon RX 6000Sシリーズ)に接続されているGDDR6に直接アクセスすることを可能にする機能

AMD SmartShift MAX Technology

(出典:AMD Radeon、AMD)
(出典:AMD Radeon、AMD)

 AMDのCPU(Ryzen 6000)とGPU(Radeon RX 6000M/Sシリーズ)が熱設計消費電力の枠を分け合う機能。CPUが性能を必要としている場合にGPUの性能を必要な分まで落とし、その分CPUに枠を譲って、CPUをより高いクロックで動かすなどが可能になる

AMD SmartShift Eco Technology

(出典:AMD Radeon、AMD)

 今年(2022年)の終わりまでにリリースが予定されている新機能で、ゲーミングPCでバッテリ駆動時している時に駆動時間を延ばす技術。CPUに内蔵されているiGPUとdGPUが自動で協調して動作する。

AMD Smart Access Graphics Technology

(出典:AMD Radeon、AMD)

 AMDのiGPU経由ではなくdGPUにディスプレイを直接コントロールすることを許可することで、ゲームプレイ時の性能を15%引き上げる機能。

搭載するOEM製品(出典:AMD Radeon、AMD)

 Radeon RX 6850M XTを搭載したPCは第2四半期の投入が予定されており、ほかの製品は第1四半期中にOEMメーカーのマシンに搭載されて投入される見通し。Radeon RX 6850M XTを搭載したシステムはDellの「Alienware m17 R5」として第2四半期に、Radeon RX 6800Sを搭載したROG Zephyrus G14,は今四半期中に出荷される予定となっている。