イベントレポート

Intel、10nm+のTiger LakeとXeアーキテクチャの単体GPU「DG1」を実機デモ

「Intel初のクライアント向けの単体GPU」と表現されるDG1。Intel 740のことはなかったことになっているのか、GPU以前のグラフィックスコントローラという扱いになっているのかは気になるところ

 Intelは、米国ラスベガス市で開催されるCES 2020のプレスデーに記者会見を行ない、同社の各種ソリューションなどを公開した。

 このなかで、第10世代Coreプロセッサ(Ice Lake)の後継となるTiger Lake(開発コードネーム)を公開した。Tiger Lakeは10nm+という10nmの改良版プロセスノードで生産され、従来世代に比べて2桁パーセントの性能向上が実現されるという。

 そのTiger Lakeの内蔵GPUとしても採用されている、次世代GPUアーキテクチャ「Xe」(エックスイー)を採用した単体GPU「DG1」(ディージーワン)に関しても実際に動作する様子をデモした。

Ice Lakeベースの第10世代Coreの後継となるTiger Lake、XeアーキテクチャのGPUを内蔵

Tiger Lake

 Tiger Lakeは、第10世代Coreプロセッサとして提供されているIce Lakeについで2番目の10nmの製品となる。現在薄型ノートPC向けのIntelのプロセッサは以下のような製品がある。

【表1】Intelの薄型ノートPC向けのプロセッサ
投入時期開発コードネームCPUGPU製造プロセスルールPCH
第6世代Coreプロセッサ2015年SkylakeSkylakeGen914nmSkylake-PCH
第7世代Coreプロセッサ2016年Kaby LakeKaby LakeGen914nm+Skylake-PCH
第8世代Coreプロセッサ2017年Kaby Lake-RKaby LakeGen914nm+Skylake-PCH
第8世代Coreプロセッサ2018年Whiskey LakeKaby LakeGen914nm++Ironlake-PCH
第10世代Coreプロセッサ2019年Ice LakeSunny CoveGen1110nmIce Lake-PCH
第10世代Coreプロセッサ2019年Comet LakeKaby LakeGen914nm++Ice Lake-PCH
?2020年Tiger LakeWillow CoveXe10nm+?

 現行製品となっているのは第10世代Coreプロセッサ、以前の記事(第10世代Coreの複雑怪奇なプロセッサナンバーを理解する)でも説明したとおり、10nmで製造されるIce LakeとComet Lakeの2つがある。前者は10nmで製造され、GPUが大幅に強化されている。後者は14nm++という14nm世代の改良版ノードにとどまるが、CPUコアが6コアなのが特徴となっている。

Tiger Lakeのチップ
Tiger Lakeのチップを左手に、Tiger Lakeが搭載された基板を手に持つIntel 上級副社長 兼 クライアントコンピューティング事業本部 事業本部長 グレゴリー・ブライアント氏

 Tiger LakeはこのうちIce Lakeの後継となる製品だ。順当に行けば、Tiger Lakeのブランド名は第11世代Coreプロセッサとなるはずだが、現時点でIntelはそれについて何も発表していない。Tiger Lakeは10nmでもより進化したノードとなる10nm+となり、CPUはCoveシリーズの第2世代となるWillow Coveとなる。

Tiger Lakeの特徴

 そしてこの世代ではGPUが大幅に強化され、単体GPU用として計画しているXeのアーキテクチャに代わる。また、IntelがThunderbolt 4と呼んでいる、Thunderbolt 3の後継と見られるコントローラがCPUダイに統合される(Ice LakeではThunderbolt 3のコントローラがCPUダイに統合されている)。なお、Thunderbolt 4がどのようなものであるのかは現時点では不明だ。

Tiger Lakeが搭載されたノートPC
Tiger Lakeが搭載されたノートPCでの3Dゲーム
Tiger LakeでのAIによる画像のアップスケーリング処理

 Intel 上級副社長 兼 クライアントコンピューティング事業本部 事業本部長 グレゴリー・ブライアント氏によれば、Tiger Lakeを搭載したシステムは2020年中に出荷される見通しということだ。

Xeベースの単体GPUをノートPCに組み込んだかたちでデモを行なう

DG1の特徴

 Intel グラフィックス・ソフトウェア・アーキテクチャ担当副社長 リサ・ピーアス氏は、Xe GPUのデモを行なった。Xeは、クラウドでの機械学習/深層学習といったHPCのエリアから、CPUに内蔵するGPUまでスケーラブルに対応するGPUアーキテクチャ。Tiger Lakeにも、Xeアーキテクチャに基づいた内蔵GPUが内蔵されることになる。

Intel グラフィックス・ソフトウェア・アーキテクチャ担当副社長 リサ・ピーアス氏
DG1を搭載したノートPC
DG1上で3Dゲームを実行しているところ

 今回ピーアス氏がデモしたのは、DG1と呼ばれる、IntelのクライアントPC向けの単体型GPUで、ノートPCに搭載されたかたちでデモされた。こうしたことから、PCI Expressのアドオンカードのかたちだけでなく、ノートPCの基板上に搭載するノートPC向けも計画していることが明らかになった。

 現在ノートPCの単体GPUの市場は、NVIDIAのGeForceとAMDのRadeonしか選択肢がないが、今後はXeベースのDG1も新しい選択肢として加わることになる。