イベントレポート
Intel、10nm+のTiger LakeとXeアーキテクチャの単体GPU「DG1」を実機デモ
2020年1月8日 09:55
Intelは、米国ラスベガス市で開催されるCES 2020のプレスデーに記者会見を行ない、同社の各種ソリューションなどを公開した。
このなかで、第10世代Coreプロセッサ(Ice Lake)の後継となるTiger Lake(開発コードネーム)を公開した。Tiger Lakeは10nm+という10nmの改良版プロセスノードで生産され、従来世代に比べて2桁パーセントの性能向上が実現されるという。
そのTiger Lakeの内蔵GPUとしても採用されている、次世代GPUアーキテクチャ「Xe」(エックスイー)を採用した単体GPU「DG1」(ディージーワン)に関しても実際に動作する様子をデモした。
Ice Lakeベースの第10世代Coreの後継となるTiger Lake、XeアーキテクチャのGPUを内蔵
Tiger Lakeは、第10世代Coreプロセッサとして提供されているIce Lakeについで2番目の10nmの製品となる。現在薄型ノートPC向けのIntelのプロセッサは以下のような製品がある。
投入時期 | 開発コードネーム | CPU | GPU | 製造プロセスルール | PCH | |
---|---|---|---|---|---|---|
第6世代Coreプロセッサ | 2015年 | Skylake | Skylake | Gen9 | 14nm | Skylake-PCH |
第7世代Coreプロセッサ | 2016年 | Kaby Lake | Kaby Lake | Gen9 | 14nm+ | Skylake-PCH |
第8世代Coreプロセッサ | 2017年 | Kaby Lake-R | Kaby Lake | Gen9 | 14nm+ | Skylake-PCH |
第8世代Coreプロセッサ | 2018年 | Whiskey Lake | Kaby Lake | Gen9 | 14nm++ | Ironlake-PCH |
第10世代Coreプロセッサ | 2019年 | Ice Lake | Sunny Cove | Gen11 | 10nm | Ice Lake-PCH |
第10世代Coreプロセッサ | 2019年 | Comet Lake | Kaby Lake | Gen9 | 14nm++ | Ice Lake-PCH |
? | 2020年 | Tiger Lake | Willow Cove | Xe | 10nm+ | ? |
現行製品となっているのは第10世代Coreプロセッサ、以前の記事(第10世代Coreの複雑怪奇なプロセッサナンバーを理解する)でも説明したとおり、10nmで製造されるIce LakeとComet Lakeの2つがある。前者は10nmで製造され、GPUが大幅に強化されている。後者は14nm++という14nm世代の改良版ノードにとどまるが、CPUコアが6コアなのが特徴となっている。
Tiger LakeはこのうちIce Lakeの後継となる製品だ。順当に行けば、Tiger Lakeのブランド名は第11世代Coreプロセッサとなるはずだが、現時点でIntelはそれについて何も発表していない。Tiger Lakeは10nmでもより進化したノードとなる10nm+となり、CPUはCoveシリーズの第2世代となるWillow Coveとなる。
そしてこの世代ではGPUが大幅に強化され、単体GPU用として計画しているXeのアーキテクチャに代わる。また、IntelがThunderbolt 4と呼んでいる、Thunderbolt 3の後継と見られるコントローラがCPUダイに統合される(Ice LakeではThunderbolt 3のコントローラがCPUダイに統合されている)。なお、Thunderbolt 4がどのようなものであるのかは現時点では不明だ。
Intel 上級副社長 兼 クライアントコンピューティング事業本部 事業本部長 グレゴリー・ブライアント氏によれば、Tiger Lakeを搭載したシステムは2020年中に出荷される見通しということだ。
Xeベースの単体GPUをノートPCに組み込んだかたちでデモを行なう
Intel グラフィックス・ソフトウェア・アーキテクチャ担当副社長 リサ・ピーアス氏は、Xe GPUのデモを行なった。Xeは、クラウドでの機械学習/深層学習といったHPCのエリアから、CPUに内蔵するGPUまでスケーラブルに対応するGPUアーキテクチャ。Tiger Lakeにも、Xeアーキテクチャに基づいた内蔵GPUが内蔵されることになる。
今回ピーアス氏がデモしたのは、DG1と呼ばれる、IntelのクライアントPC向けの単体型GPUで、ノートPCに搭載されたかたちでデモされた。こうしたことから、PCI Expressのアドオンカードのかたちだけでなく、ノートPCの基板上に搭載するノートPC向けも計画していることが明らかになった。
現在ノートPCの単体GPUの市場は、NVIDIAのGeForceとAMDのRadeonしか選択肢がないが、今後はXeベースのDG1も新しい選択肢として加わることになる。