イベントレポート

Intel、Project Athenaに準拠した製品を判別できるロゴを策定

IntelがProject AthenaのIDとして採用したロゴマーク、化粧箱などにこのロゴをつけたり、店頭のポップなどで利用でき、一目でProject Athena対応PCだと判別できるようになる

 Intelは、9月6日(現地時間)よりドイツ共和国ベルリン市で開催される予定のIFA 2019に先だって、9月3日に記者会見を開催。同社副社長兼モビリティクライアントプラットフォーム事業部事業部長のクリス・ウォーカー氏は「人々がどのようにPCを使っているのかを研究し、現代のユーザーニーズに合わせたモダンなPCデザインがProject Athena。これから登場するProject AthenaにもとづいたデザインのPCをユーザーが簡単に判別できるようにアイコンを策定した」と発表した。

OEMメーカーがユーザーに説明しやすいようにProject AthenaのIDを策定

Intel 副社長 兼 モビリティクライアントプラットフォーム事業部 事業部長 クリス・ウォーカー氏

 Intelは6月のCOMPUTEX TAIPEIのタイミングで「Project Athena」と呼ばれる、ノートPCのモダン化の取り組みの構想を発表した。Project Athenaの概要については、記事『次世代ノートPCでは1秒復帰/薄型狭額縁/AI機能/Core i5以上が標準に~Intelのモダン化規格「Project Athena 1.0」を公表』が詳しいためここでは深追いしないが、一言で言えば、ノートPCのスマート化、モダン化を業界全体で実現する取り組みと言って良い。

Project Athenaの概要
多くの業界のプレーヤーが参加

 こうした取り組みは、過去にも何度か行なってきている。有名なところでは「Ultrabook」や「Centrino」がよく知られている。Project Athenaがそれらと大きく違うのは、UltrabookやCentrinoが「薄型化」というフォームファクターレベルでの取り組みだったのに対して、Project Athenaでは「用途」を変革するという取り組みであることだ。

 Project Athenaの要件には、CPUにCore i5/i7、8GB以上のメモリ、256GBのNVM Express以上のストレージ、モダンスタンバイ対応、150cd/平方mの輝度で16時間以上のビデオ再生および、250cd/平方mの輝度で9時間以上のWebブラウジングというバッテリ駆動時間の実現、Thunderbolt 3とWi-Fi 6 Gig(セルラーモデムはオプション)、AIへの対応などが規定されており、いずれも薄型化を実現するというよりは、新しいユースケースを実現するためのスペックだと言える。

Project Athenaに対応したPC

 クリス・ウォーカー氏は「人々がどのようにPCを使っているのかを研究し、現代のユーザーニーズに合わせたモダンなPCデザインがProject Athenaだ。Project Athenaに対応したPCではAIを活用できるし、バッテリ駆動でのビデオ再生は16時間以上を実現し、2020年には20時間を越えるようにしたい。また、OfficeやWebブラウジングでも9時間駆動を実現する」と述べ、Project Athenaで実現するのはユーザーの新しいノートPC使い方だと強調した。

Project Athenaのアイコン

 その上で、エンドユーザーがノートPCを購入するときに、Project Athenaに対応した製品であるのか、そうではないのかを判別するためのマーケティング上の施策として「Engineered for MOBILE PERFORMANCE」と書かれたロゴを用意し、Project AthenaにもとづいたノートPCにはそうしたシールなどを貼ることができるようにしたことを明らかにした。

 Intelは、Project Athenaを業界的な取り組みと説明し、Ultrabookのようなブランド名は少なくとも今年(2019年)は用意しない(来年(2020年)以降に関しては否定していない)方針だが、OEMメーカーなどからProject Athenaに対応することのマーケティング上のメリットがないという不満の声が出ていたことに対し、ロゴで応えたかたちになる。

第10世代Coreプロセッサ
Ice Lake
Comet Lake

 ウォーカー氏は、8月に発表したIce LakeとComet Lakeという2つの第10世代Coreに関しての概要を説明し、搭載製品は、すでにXPS 13 2-in-1のように販売を開始した製品もあるが、多くの搭載製品はOEMメーカーの製品に搭載され年末商戦に市場に投入される見通しだと説明した。

新しい使い方を提案することがユーザーをPCに呼び戻すには重要になる

Lenovoの第10世代Core搭載ノートPCを手に持つクリス・ウォーカー氏

 そうしたOEMメーカーのパートナーとして、Lenovo上席副社長兼一般消費者向けインテリジェントデバイス事業本部事業本部長のジョンソン・ジャー氏を壇上に呼び、両者がProject Athenaの実現に向けて密接に協力してきたことをアピールした。

Lenovo 上席副社長 兼 一般消費者向けインテリジェントデバイス事業本部 事業本部長 ジョンソン・ジャー氏

 ジャー氏は「PC市場は5年ほど前に急速に成長が止まってしまった。その理由の1つはユーザーのニーズにマッチしていなくなってきていることがあったと思う。そのニーズとは2つある。1つは従来からのPCのニーズである性能や品質といった点。そしてもう1つがAI、クラウド、音声認識といったいわゆるスマート機能だ。それらをPCに追加する取り組みがProject Athenaで、これまでのように従来のPCをアップグレードするだけでなく、PCに新しい機能を付加する取り組みだ。それにより、ユーザーがPCに帰って来てくれるとわれわれは確信している」と述べ、Project Athenaの取り組みにより、PCのモダン化が実現され、それによりユーザーが再びPCを購入したいという意欲につながっていくだろうという期待感を表明した。

 なお、Lenovoは9月5日 20時30分(中央ヨーロッパ時間)から「Lenovo Tech Life'19」というイベントを行なう予定であることを明らかにしており、そのイベントの中で何らかの新製品などの発表が行なわれる可能性が高い。

Intel クライアントコンピューティング事業本部 主任エンジニア 兼 主任科学者 メリッサ・グレッグ氏

 続いて、Intelクライアントコンピューティング事業本部主任エンジニア兼主任科学者のメリッサ・グレッグ氏がProject Athenaのスペック策定などをどのように行なったのかを説明。「ユーザーの企業やコ・ワーキングスペースなどを訪問して、ユーザーがPCをどのように使っているかを徹底的に研究した。その上でProject Athenaで必要になる機能の重み付けなどを行なっていった」とし、Project Athenaはユーザーの実際のユースケースにもとづいた取り組みなのだと強調した。

Project Athenaの研究ではユーザーがどのようにPCを使っているかが徹底的に研究された
世界の3カ所に研究ラボを設置
研究してわかったこと

 そして「そうした使い方は現在PCユーザーだけを調査したわけではない。新しい世代がどのようにデバイスを使っているのかなども参考にした」と述べ、AI、長時間バッテリ駆動などの新しいユーセージモデルは若い世代の使い方、つまり将来の使い方を想定しながら策定したと説明した。