イベントレポート
Intel、初のQLC NAND採用により399ドルで容量2TBを実現する「Intel SSD 660P」
2018年8月20日 12:19
フラッシュメモリ業界における最大のイベント「Flash Memory Summit(FMS)」(今年(2018年)の会場は米国カリフォルニア州サンタクララのサンタクララコンベンションセンター、会期は8月7日~9日の3日間)は、講演会と展示会で構成されている。今年のFMS展示会で大きな注目を集めていたのが、Intelが開発したコンシューマ向けSSD「Intel SSD 660P」である。
「Intel SSD 660P」は、Intelとしては初めて、4bit/セル方式(QLC方式)の多値記憶を導入した3D NANDフラッシュメモリを搭載したコンシューマ向けSSDである。フラッシュメモリはMicron Technologyと共同開発した第2世代の64層シリコンダイで、シリコンダイ当たりで1Tbit(128GB)ときわめて大きな記憶容量を備える。
Intel SSD 660Pはまた、「ダイナミックSLCキャッシュ」と呼ぶ、ユーザーの使用容量の変化に応じて動的にキャッシュ領域を変化させるアーキテクチャを開発し、導入している。このアーキテクチャは、QLC方式の3D NANDフラッシュダイの一部をSLC方式のNANDフラッシュとして使うことで、データ読み書きの性能を高めるもの。QLC方式のNANDフラッシュは、従来の主流であるTLC方式のNANDフラッシュに比べると、データの読み書きが遅いという弱点を抱える。この弱点を補う技術として、ダイナミックSLCキャッシュを開発した。
SLCキャッシュの領域には、「スタティックSLCスパン」と呼ぶ固定領域と、「QLCマップドアズSLCスパン(QLC領域をSLC領域としてマッピングした領域)」と呼ぶ変動領域がある。スタティックSLCスパンのキャッシュ容量は、固定である。QLCマップドアズSLCスパンのキャッシュ容量は、ユーザーがデータを書き込んだ容量に依存して変化する。新品の状態では、QLCマップドアズSLCスパンのキャッシュ容量は最大値となる。このとき、SSDの性能は最高性能を発揮する。
ユーザーがデータを書き込んでいくと、QLCマップドアズSLCスパンのキャッシュ容量は減少していく。つまり、SSDの性能が低下する。逆にユーザーが書き込んだデータを消去すると、QLCマップドアズSLCスパンのキャッシュ容量は増加する。したがってSSDの性能が向上する。
Intel SSD 660PのインターフェイスはNVMe 1.3/PCIe 3.0×4、フォームファクタはM.2の22×80mmである。記憶容量が2TBのモデルと1TBのモデル、512GBのモデルが用意されている。価格(米国における推奨価格)は順に399ドル、199ドル、99ドルと、NVM Express対応SSDとしてはかなり安い。
シーケンシャルリード/ライト速度、およびランダムリード/ライトIOPSは順に、2TBモデルが1,800MB/s、1,800MB/s、22万IOPS、22万IOPS。1TBモデルが1,800MB/s、1,800MB/s、15万IOPS、22万IOPS。512GBモデルが1,500MB/s、1,000MB/s、9万IOPS、22万IOPS。