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「Windows 95 20周年同窓会」レポート

 2015年11月21日、東京・渋谷のモンスーンカフェ代官山で、「Windows 95 20周年同窓会」が開催された。

 当時、マイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に在籍し、Windows 95に携わった開発や営業、マーケティング、広報部門の関係者など約100人が集い、当時を振り返りながら親睦を深めた。

 Windows 95は、1995年11月23日に国内で発売され、PCの普及を加速させた記念碑的製品だ。米国では1995年8月24日に発売。日本では、それから3カ月後の発売となったが、深夜0時の発売に合わせて、多くのユーザーが秋葉原電気街を訪れ、その数は2万人を超えたとも言われるほどの盛り上がりを見せた。まさに社会的現象とも言える状況だった。

 当時は、Windows 95の登場に合わせて、個人へのPCの普及はもとより、企業においても1人1台の時代が到来すると予測され、ニュース報道などでは、「PCが使えなければ会社の窓際族になる」との指摘もあったほどだ。

 Windows 95では、GUIの採用やインターネットへの接続といった新たな機能を搭載するなど、現在、主流となっている基本機能を搭載。PCを身近なものにしたエポックメイキングなOSであったことは誰もが認めるところだろう。

 午後7時から始まった懇親会は、発起人である御代茂樹氏(現セールスフォース・ドットコム プロダクトマーケティング シニアディレクター)の「今日から2日後の11月23日に、いよいよWindows95が発売されます!」とのジョークを交えた掛け声で幕を開けた。御代氏は、当時、プロダクトマネージャーとしてWindows 95のデモストレーションや製品説明などを一手に引き受けていた人物。今年9月に、米国シアトルで有志によって開催された20周年記念パーティーに自らも参加した経緯もあり、それを受けて、日本でも同様の懇親会を企画することにしたという。

 会場には、Windows 95が動作するPCが用意され、御代氏が当時を彷彿とさせる語り口調でWindows 95をデモストレーション。ところが最初にパスワードを求める画面が出てきて、いきなり戸惑う場面も。「Windows 95にパスワードはない!」、「キャンセルボタンを押せばいい!」という会場からの声に、キャンセルボタンを押すとそのまま起動。すかさず御代氏は、「Windows 95にパスワードなんていりません!」とアドリブで語ると、会場からは大きな笑い声が起こった。

 続いて、「Windows 95は、Windows 3.1を凌駕する、使いやすい新たなユーザーインターフェイスを採用しました。Windows 95の全ての機能は、スタートボタンから始まります」というWindows 95のデモストレーションにおける決め台詞が発せられると、会場からは大きな拍手。また、「今回から、ファイル名には256文字が使用できるようになりました」との声には笑いが起きた。

 そして、「Windows 95ではとてつもない機能が追加されました。それがプラグ&プレイです」と説明。大きな歓声と拍手の中、「ディスプレイやモデムなどの機器をPCに挿すだけで瞬時にデバイスドライバをインストールし、すぐに使えるようになる。初めて見る人もいると思いますが、これを実際にご覧いただきたい」と語り、PCMCIAカードを用意。これが認識されると笑い声と拍手が沸いた。

 ノリ始めた会場からは、「Windows 95はマルチタスクを実現しています」というと「エーッ」とわざとらしい驚きの反応。続いて「Windows 95は、これまでの16bit OSから進化した32bit OSです」というと、また「エーッ」という反応。「タスクバーからアプリケーションを切り替えることができます」というと、「オオーッ」という声があがる盛り上がりをみせた。

 スペシャルゲストとして乾杯の音頭をとった元日本マイクロソフト社長の阿多親市氏(現ソフトバンクテクノロジー社長兼CEO)が、「Windows、Windows、Windows」と叫ぶと、会場からは大きな拍手。Windows 95発売時には、マイクロソフトで営業部門を統括していた阿多氏は、「当時社長の成毛さんは40歳。私は、午後7時までに都内の販売店にリゲインを届け、今晩よろしくお願いします、と言って店を出ると、午後8時には大雨。これは絶対駄目だと思っていたら、午後10時頃から雨が上がり、その後、あの大きな盛り上がりにつながった。あれから20年経っても、ここにいる人たちは変わらない。若くて美しい女性は相変わらず若くて美しい、元気な坊やも元気な坊やのまま。そして先輩も、厳しい大先輩のまま」などと語り、会場の笑いを誘った。

 会場内では、Windows 95のテレビCMなどに採用されたザ・ローリングストーンズの「スタート・ミー・アップ」が流れていたほか、Windows 95発売当時に制作されたポスターや販促グッズ、そして未開封のWindows 95パッケージなどが並べられていた。また、発売時の様子をまとめたビデオも放映された。

 午後9時過ぎまで行なわれた同窓会の最後は、当時、デスクトップ製品事業部のトップとして、マーケティング部門を統括していた佐藤一志氏が中締めを行ない、「これだけ多くの人が関わってWindows 95を発売し、日本のPC業界を大きく変えることができた」と振り返り、「古川さん(古川享氏=元マイクロソフト会長)が得意としていた5本締めをやると時間がかるかので、1本締めで行きたい」とすると、「会場から5本締めでやろうよ」との声。それを受けて、佐藤氏も「では、時間がかかりますがやりましょう」として5本締めをやることに。5本締めは、最初は小指だけ、続いて小指と薬指というように叩く指の数を増やしていき、最後は手のひらで叩くというもの。徐々に音が大きくなるという点が特徴だ。佐藤氏の音頭のもと、参加者全員で、かつてマイクロソフトで恒例となっていた5本締めで同窓会を締めくくった。

Windows 95 20周年同窓会は御代氏の宣言で始まった
乾杯の音頭をとった阿多親市氏
Windows95の起動画面
全ての機能はスタートボタンからはじまる
PCMCIAカードを挿入し、プラグ&プレイを実演
ハードウェアは認識したが、ドライバはインストールされず
ピンボールゲームも無事に動作
阿多親市元社長(右)と、発起人となった御代茂樹氏
当時の開発チームが揃って記念撮影するシーンも
中締めの挨拶をする佐藤一志氏
マイクロソフト恒例の5本締め。まずは小指から
最後に参加者全員で記念撮影。約100人が参加した
Windows95のパッケージ。まだ未開封のものだ
Windows 95のインストール用とアップグレード用ディスクも展示
Windows 95対応のExcelのパッケージ
当時の社内報も展示されていた
当時の駅貼用ポスターも用意。現在とは違い日本独自のキャッチフレーズが採用されている
当時作られた名刺に貼付するために作られたシールも配布された
この日初めて袖が通されたWindows 95ロゴ入りポロシャツも披露
ロゴマークをネイルして参加する女性の姿も
最後には記念ケーキが披露された
参加者にケーキがふるまわれた

(大河原 克行)