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重量60g、世界最小のノートPC用ACアダプタ

~MITのスピンアウト企業が開発

「Dart」
5月29日(現地時間)発表

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)のスピンアウト企業であるFINsixは29日(現地時間)、世界最小サイズのノートPC向けACアダプタ「Dart」を発表した。

 体積約6.35立方cm、重量約60gの超小型ACアダプタ。プラグと一体型だが、プラグ面の面積が通常のコンセントと同程度に抑えられているため、持ち運びやすいだけでなく、テーブルタップなどに隣り合わせて差し込むことができ、取り回しが楽になる。

 小型化を実現した要因は、電力を小分けにして高速にスイッチングする超高周波電力変換技術にある。スイッチング周波数を高速化すると、インダクタやキャパシタに一時的に蓄えるエネルギーを減らすことができるため、小型化を図れる。イメージとしては、100Lの容器に水を10分間で満たす時に、10分かけて100Lのバケツで1回で汲み入れるのではなく、10Lのバケツで1分に1回ずつ汲み入れていくのに似ている。

 Dartのスイッチング周波数は、従来のノートPC用ACアダプタより1,000倍も速い。もちろん、スイッチサイクル毎に消費されるエネルギーからは熱が発生し、通常のコンバーターで1,000倍高速化すると、1,000倍のエネルギーが浪費される。そこで、Dartでは、エネルギーがインダクタとキャパシタ間で振動するのを調節する共振技術を用いることで、エネルギー損失を最小限に抑えている。

 容量は65W、出力は18~21Vで、AC入力は90~265V、50/60Hz対応となっており、日本での認証を取得しているかは不明だが、仕様上は日本でも利用可能。通常モデルとMacBookモデルがあり、後者は、15/17インチMacBook Proと15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル以外に対応。前者については、詳細な対応表が用意されている。

 Dartは4月よりクラウドファンディングのKickstarterで、事前予約を行なっており、すでに4,500台の受注を集めた。初回限定価格は79ドル。本体色は、ブルー、マゼンタ、シルバー、ガンメタル、オレンジの5色。

 同社では今後、製造コストを下げるとともに、この技術を液晶TV、ゲーム機、電動自転車、エアコン用などにも展開していくとしている。

コンパクトなので、テーブルタップなどに並べて挿せる

(若杉 紀彦)