Microsoft、Windows Embedded 8シリーズを2013年3月に提供開始

ジョン・ボラディアン氏

11月13日(現地時間) 発表



 米Microsoftは13日(現地時間)、Windows Embedded 8シリーズのラインナップ、および各々の提供時期を公開した。

 Windows Embeddedシリーズは、PC向けのWindows 8をベースにした組み込み向けのOS。機能をモジュールで提供し、提供された顧客が実際に製品に組み込む際に選択し実装することで、Windows 8が提供するマルチタッチや新しいUIなどの機能を実現しつつシステムの簡素化ができる。また、チャームなどWindows 8で提供される標準機能の一部を自由にカスタマイズできるのも特徴。ラインナップは3つとなる。

 これまで「Windows Embedded 7 Standard」と呼ばれていたバージョンは「Windows Embedded 8 Standard」となる。機能はモジュール化されており、特定のジェスチャーを無効にしたり、より安全で差別化したユーザー体験を提供するため、デバイスの機能を制限できる。現在リリースプレビューが利用可能で、2013年3月に一般提供を開始する。

 「Windows 7 for Embedded Systems」は新たに「Windows Embedded 8 Pro」にリブランドされる。従来と同様、Windows OSのフル機能とユーザー体験を提供する。2013年3月に一般提供を開始する。

 そして「Windows Embedded POSReady」は、新たに「Windows Embedded 8 Industry」となる。これまでは小売業のPOSソリューションをターゲットにしてきたが、新たに製造業やヘルスケア企業も対象に取り込む。コミュニティテクノロジープレビュー(CTP)版、および出荷時期の詳細は2013年1月に提供する予定としている。

 また、新たにWindows Phone 8ベースの「Windows Embedded 8 Handheld」を用意。郵便などの運送業者が使うハンディ端末への組み込みを想定しているという。さらに、自動車向けの「Windows Embedded 8 Automotive」も用意する。いずれも出荷時期などの詳細は2013年初めに公開する予定。

 一方、Windows CEベースの次期OSは「Windows Embedded Compact 2013」となる。タッチやジェスチャーベースの入力、厳密なリアルタイム処理を必要とする小型デバイスをサポートする。2013年代2四半期に提供開始する予定。

 開発ツールはいずれも「Visual Studio 2012」で対応する。また、Windows Embedded 8シリーズはWin32や新UI向けのアプリをサポートするが、Windows Embedded Compact 2013はWindows CEベースのためコンパイル方法などが異なる。

Windows Embedded 8のラインナップと位置づけWindows Embedded 8シリーズのロードマップVisual Studio 2012で開発可能
デモを行なうジョン・ボラディアン氏

 15日に都内で開かれた記者会見では、米国から来日したWindows Embedded担当 APACマーケティング ディレクターのジョン・ボラディアン氏がWindows Embedded 8シリーズの特徴について解説した。

 同氏は、「データ量が爆発的に増えた“ビッグデータ”時代が到来しているが、データそのものに価値はない。データを分析して意味のあるものに変え、そこから行動を起こし、洞察に変えていくことで、初めてデータとしての価値が生まれる。大量のデータが存在する組み込みシステムだからこそ、そのデータを自動的にクラウドに転送して分析し、わかりやすい形で人間に伝える必要がある。それこそが我々が目指す“インテリジェントシステムズ”と呼ばれる組み込み機器である」と述べ、Azureや.NETも提供しているMicrosoftだからこそ容易にその環境が実現でき、さらに親和性も高いのがWindows Embedded 8の特徴であるとアピールした。

 デモの一例として、自動車製造における製造/品質管理のソリューションを挙げ、Windows 8搭載タブレット端末で、Bing地図による表示で、世界中のどこのラインの製造にどういった問題があるかを具体的に探り、すぐに対処指示が出せる様子を示した。

 市場の規模についても触れ、「2012年に830万台のサーバー、9,000万台のタブレット、3億5,000万台のPC、6億台のスマートフォンが出荷されたが、組み込みのインテリジェントシステムズは実に11億万台にのぼる市場である。2016年にはさらにこの2倍の市場が見込まれる」という。それだけ将来はデータが肥大化することでもあり、Windows Embeddedシリーズのような、データをクラウドと連動して処理できるインテリジェントなOSが必要不可欠であると述べた。


データの価値Microsoftが提唱するインテリジェントシステムズWindows Embedded8の特徴を集結
Windows EmbeddedのパートナーWindows Embedded 8 Standardの特徴クラウドサービスによってビッグデータが活きる
自動車製造におけるビッグデータとクラウドを活用した問題解決の例

(2012年 11月 15日)

[Reported by 劉 尭]