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パナソニック、新しい業務分野も狙った5型TOUGHPAD発表会

6月中旬より順次発売

価格:オープンプライス

 パナソニックは、頑丈タブレット「TOUGHPAD」シリーズの新製品として、5型の「FZ-E1」を6月中旬より、「FZ-X1」を8月下旬より発売する。価格はオープンプライス、想定価格は13万円前後となる見込み。スペックなどの詳細は関連記事を参照いただきたい。製造は神戸工場で行なわれる。

 フィールドモバイルとして、小型の端末が適した業務をターゲットにした製品。Windows Embedded 8 HandheldのFZ-E1、Android 4.2.2のFZ-X1ともに筐体はほぼ同じ、堅牢性も同等。タブレットと電話(通話)の2台が必要な場合も想定し、1台にまとめられるように音声通話機能も搭載した。

 顧客のさまざまな要望に応え、過酷な環境でICTを活用したいという業務を支援するという。具体的には、MIL-STD-810G準拠の耐振動性能、独自の3m落下試験、IP65/IP68準拠の防水/防塵性能、ディスプレイ中央への鋼球(400g)の80cm落下試験、-20℃から60℃での環境性能などを実現している。

 落下試験は、3mの試験は高所での作業を想定したもの。ディスプレイ面への400g鋼球80cm落下は、本体が約400gであることも勘案し、ポケットなどから落ちてもディスプレイが割れないように配慮したもの。温度面の環境性能は、本体内にヒーターを内蔵することで寒冷地での作業も可能とした。

 液晶は500cd/平方mの高輝度、かつ反射防止の処理を施し、屋外での視認性を向上。タッチパネルは作業用の手袋をしたまま操作できたり、雨などで水がかかった場合に誤動作しない機能を盛り込んだ。

 モバイルネットワーク回線はLTE/3Gに対応し、音声通話も可能。本体下部には100dBAという大型の2基のスピーカーを備え、騒音が大きな環境でもハンズフリーで通話でき、正面上/下/背面の3カ所にあるマイクについても、周囲の騒音を消す機能を使ってクリアな音声を伝えられるという。本体上部にはバーコードリーダを装備。1次元、2次元の36種類に対応する。

 バッテリは6,200mAhを採用。駆動時間は約14時間、待ち受け時間は約1,000時間となる。ホットスワップにも対応し、電源を入れたままバッテリ交換が可能で業務をストップしない。ホットスワップ時は大容量のキャパシタによって状態を保持している。充電は3Aでの急速充電が可能で、約1時間でバッテリの5割ほどを充電できる。

TOUGHPAD FZ-E1
TOUGHPAD FZ-X1
バーコードリーダを標準搭載
バッテリは6,200mAhの大容量。ホットスワップ対応
Windows Embedded 8 Handheldのスタート画面
製品のコンセプト
TOUGHPADの特徴である頑丈性能
2基の大口径スピーカー、3つのマイクとノイズ低減機能
高輝度、反射防止の液晶、特許出願中のタッチパネル
大容量、急速充電、ホットスワップ対応のバッテリ
ハンディターミナルとして使えるバーコードリーダと各種オプション

新しいビジネスの世界をパナソニックが作る

パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 宮部義幸社長

 同社は24日、都内で発表会を開催した。冒頭、パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 宮部義幸社長が、AVCネットワークス社のモビリティソリューション事業の戦略を紹介した。

 宮部氏は「モビリティ製品として重要な発表」と表現。モバイルネットワークは、通信速度、データトラフィック量、接続機器が増大しており、インターネット接続されたデバイスも加速度的に増えているという。このモバイルネットワークの進化によって、フィールドのICT化が加速し、そのフィールド環境で使われるデバイスを提供していく。「ハードウェアを環境に合わせるのはパナソニックの得意分野」としており、これまで携帯電話事業、TOUGHBOOK事業、ハンディターミナルなど培ってきたものを融合し、新しいビジネスを創造するという。「真のソリューションカンパニーへ向けて、新しいビジネスが無限大に広がっているこの分野で新しい世界をパナソニックが作っていく」と語った。

モバイルネットワークの拡大
フィールドのICT化が加速
パナソニックの培ってきた技術を融合して新ビジネスを創造
パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 原田秀昭事業部長

 続いて、パナソニック株式会社 AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 原田秀昭事業部長が、TOUGHPADの新製品を解説した。

 パナソニックのIT機器の分野は、ターゲットを決めてシェア1位を目指していく事業方針を続けている。原田氏は「お客さまの困りごとを解決していく」とユーザーとのパートナーシップを強調。1996年に世界初の堅牢PCを開発、顧客の意見を聞いていき、WWAN内蔵が1998年、高輝度液晶が2007年、防水防塵が2010年、タブレット形状が2012年と事業を継続し、過去11年間、堅牢PCでの世界シェア1位を続けてきたという。

 近年でも色々な要望が出ており、携帯性の高さ、2台持ちの解消といった新しいニーズが出てきたという。これらの困りごとをパナソニックとして解決する製品が今回の5型TOUGHPADとなる。小型で音声通話に対応したことで、「従来のお客様のセグメントにプラスアルファとして運輸物流、小売り、製造といった分野のニーズにも応える」とし、より幅広く、新しい分野の業界もカバーできるとした。

 分かりやすい例は、ピザ屋の配達業務がある。5型という携帯性を活かして、バイクに取り付けて配達の目的地へのナビゲーション、到着後のポータブルナビ、音声通話での連絡、バーコードリーダによる品物の管理が可能なハンディターミナルといった用途を1台で実現できる。

TOUGHBOOKの進化
モバイル性の向上、2台持ち解消という新しいニーズ
新製品で新しい分野の幅広いニーズに対応
モデルが防塵性能をアピール
こちらは水に浸け防水性能をアピール
水をかけても誤動作しないというデモ
高身長のモデルが頭上から落として落下耐性をアピール
業務の大きな垂れ幕をバックに5型TOUGHPADをお披露目

 発表会には日本マイクロソフトの樋口泰行社長がゲストとして招かれた。樋口氏によると、Windows Embedded 8 Handheld採用は国内初で、世界で5社目だという。OfficeをはじめとしたMicrosoftの各種アプリケーションとも親和性が高いことをアピール。セキュリティについても、OSの企業として責任を持って対応していくとした。パナソニックとはこれまでも、世界市場においてTOUGHPADやTOUGHBOOKで協業してきており、今回も「世界レベルで拡販に尽力することをコミットメントとしてお祝いの言葉に代えさせていただきたい」と祝辞を述べた。

日本マイクロソフト樋口社長(中央)と、宮部氏、原田氏が握手。製品を持って撮影に応える
パナソニックとMicrosoftの協業でFZ-E1が誕生

(山田 幸治)