2月9日から順次発売
価格:オープンプライス
今回発表された製品の発売日と想定価格 |
エプソンは、ビジネス用インクジェットプリンタ4機種と、写真印刷に特化したA3ノビ対応プリンタ1機種を発表した。価格はすべてオープンプライス。
ここではビジネス用インクジェットプリンタを中心に紹介する。A3ノビ対応プリンタ「PX-5V」については、僚誌「デジカメWatch」の記事をご参照いただきたい。
PX-K100 |
PX-K100は、エプソンとしては15年ぶりとなるモノクロ専用のインクジェットプリンタだ。4月発売予定で、エプソンダイレクトの予定直販価格は14,980円。
レーザープリンタでは、モノクロとカラーの機種が両立しているが、インクジェットプリンタは比較的低価格にカラー化できたこともあって、モノクロの製品発表が途絶えていた。エプソンではPX-K100を「国内唯一のモノクロA4インクジェットプリンタ」としている。
PX-K100は顔料系のブラックインクを2本搭載し、印刷速度は最速で約37枚/分と高速で、A4用紙約2,000枚の印刷が可能となっている。片方のインクが切れた場合でも、最長5日間は使用できる。また、ランニングコストがA4用紙1枚当たりで約2.85円と安く、一般的なカラーインクジェットプリンタの1/10程度に収まっている。
エプソンでは、PX-K100の低価格/低ランニングコストを生かし、モノクロレーザープリンタのユーザーや、カラー出力を行なわないインクジェットプリンタユーザーをターゲットとする。
用紙ハンドリングなどの構造は、上位機種のPX-203Aを踏襲しており、自動両面印刷ができる。また、用紙のセットもフロントから行なえるようになっており、最大250枚のA4用紙が入るトレイを標準装備する。
一般的なカラーインクジェットプリンタでは、モノクロモードを指定しても、ノズル掃除などでブラック以外のインクを多少消費する。PX-K100ではブラックのインクだけが搭載されているため、インクカートリッジの管理面でも手間が省けるという利点がある。
インターフェイスはUSB 2.0とEthernet。収納時の本体サイズは445×330×154mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約4.6kg。
PX-K100の側面。自動両面印刷機構内蔵だが、奥行きは浅い | PX-K100はモノクロカートリッジを2本搭載し、高速印刷を行なう | ランニングコスト約2.85円/枚は驚異的 |
インクジェットはカラーのみだが、レーザーはモノクロユーザーの方が多い | しかも、モノクロレーザープリンタのユーザーは増加しつつある | オフィスではモノクロですむ用途も多い |
●実勢で1万円を切る複合機「PX-403A」
PX-403A |
PX-403Aは、顔料系4色インクを使用した複合機。発売は2月9日、予想直販価格は9,980円。
普及クラスのインクジェット複合機の店頭価格が、セールや価格競争などによって1万円を切るところまで下がる例はあるが、新製品の発売直後にメーカー直販サイトで1万円を切る価格が設定されるのは珍しい。
基本的な仕様は前モデルのPX-402Aを踏襲しているが、インクの改良や、スキャンデータのPDF化など機能が強化された。
インターフェイスはUSBのみ。本体サイズは434×327×185mm(同)、重量は約4.6kg。
スキャナ部を開けた状態 | 顔料系の「つよインク200X」は、水濡れやマーカーに強い | スキャンデータのPDF化などの機能が強化された |
●2段カセットに500枚の用紙が入るFAX複合機
FAX機能も備えた複合機「PX-673F」と「PX-603F」は2月9日発売。予定直販価格は29,980円と39,980円。
プリント/コピー/スキャンに、FAX送受信機能を加えた複合機。とくにPX-673Fは、A4用紙250枚が入るカセットを2段装備し、最大500枚まで用紙をセットできる。SOHOなどの用途にも応えられるとしている。
インクは4色顔料系で、つよインク200Xを搭載する。インターフェイスはUSB 2.0およびIEEE 802.11b/g/n無線LAN、Ethernetを装備する。
PX-673Fの本体サイズは446×360×300mm(同)、重量は約9.8kg。
PX-673Fは、前面に用紙カセットを2段備える | PX-673Fは、用紙枚数以外にも、タッチパネル採用やカラー印刷の高速化など機能が強化されている | ランニングコストはPX-673Fの方が低い |
自動両面印刷や自動両面スキャンは両機種で共通 | 意外なことにFAX複合機の市場は拡大している | 個人でも環境の変化でFAXが必要となる場合があるという |
●買いやすい、使いやすいを訴求
エプソンではビジネスインクジェットプリンタの特徴を「買いやすい」「使いやすい」に凝縮し、米倉涼子さんを起用してプロモーションを行なう。
店頭でも6機種を並べた展示イメージで、買い換えポイントや機種間の相違点などを訴求する。
ビジネス用プリンタの市場は約236万台とみており、インクジェットは45%に留まっている | インクジェットとレーザーの選択理由。インクジェットが劣ると見られている印刷速度や耐久性などの訴求が重要となる | インクジェットの特徴を「買いやすい」と「使いやすい」という言葉で代表させる |
プロモーションには米倉涼子さんを起用する | 量販店における店頭展示のイメージ |
●年末商戦はシェア1位を確保
中野修義 取締役 販売推進本部長 |
なお、発表会場ではエプソン販売株式会社 取締役 販売推進本部長の中野修義氏が、年末商戦の総括を行なった。
年末商戦にあたる2010年10月~12月の台数シェアは46%で1位、売上金額も49%で1位となった。ただし、通年では「6~7月にライバルの低価格攻勢により、台数面で差を付けられた」とし、台数ベースでは46%で2位、金額ベースでは48%で1位となった。
年末商戦の機種別シェアでは同社の「EP-803A」が20%で首位となった。また、トピックとして、年賀状作成に向いたキーボード付きコンパクトプリンタの市場が拡大しており14万台に達したという。この分野ではエプソンは2位となっている。1位は古くから製品を投入しているカシオ計算機が確保したとみられる。年末商戦の市場規模は188万台で対前年4%増、通年では505万台で同じく4%増となった。
市場は復調し、規模は昨年より拡大した | 年間通算のシェアは2位。1位はキヤノンと思われる | EP-803Aが台数シェアで1位となった。単純計算で37万台強売れた計算になる |
(2011年 2月 4日)
[Reported by 伊達 浩二]