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ローカルAIで攻略も。Arc G3 Extreme搭載の新生ONEXPLAYER

ONEXPLAYER 3

 One-Netbookは6月15日(中国時間)、Intelのハンドヘルドゲーミング機向けの新CPU「Arc G3 Extreme」を搭載したONEXPLAYERシリーズ4機種の海外メディア向け新製品発表会を中国・深センの本社ビルで開催した。

 今回発表されたONEXPLAYERの4機種はいずれも、Intelがハンドヘルドゲーミング機専用に誂えたCPU、Arc G3 Extremeを搭載している。Arcといえばこれまで同社がGPU向けに展開してきたブランドであるのだが、ゲームにおいてCPUではなくGPUが重要であり、そのGPUに重点を置いてチューニングを施しているため、Arcというブランドを冠している。一方でG3のGはゲーミングを指す。

 そんなArc G3 Extremeを搭載したONEXPLAYERは、以下の4機種ラインナップとなっている。なお、具体的な構成(メモリやSSD)、そして価格は現時点では明らかにしていないが、メモリの最小容量は24GBスタートとなる見込みだ。

・「ONEXPLAYER 3」: 8.8型OLED、コントローラ着脱式、バッテリ内蔵、TDP上限35W
・「ONEXPLAYER X2 Mini」: 8.8型OLED、コントローラ着脱式、バッテリ着脱式、TDP上限45W
・「ONEXFLY Apex Air」: 8型液晶、コントローラ一体型、バッテリ着脱式、TDP上限45W
・「ONEXPLAYER X2」: 10.95型液晶、コントローラ着脱式、バッテリ内蔵、TDP上限35W

ONEXPLAYER 3

 ONEXPLAYER 3は、Core i7-1165G7を搭載した初代ONEXPLAYERから進化を続けて第3世代となったいわば「看板モデル」だ。コントローラとキーボードを着脱式として、ピュアなタブレットとしても、ノートPCスタイルでも、ハンドヘルドゲーミングPCとしても使える「3-in-1」をうたうモデルとなる。

 特に、コントローラのグリップについてはこだわっており、競合のようにコンソール向けコントローラをそのまま合体させたようなフォルムではなく、携帯性にも配慮しつつ、手の大小にかかわらず持ちやすいフォルムを追求した。また、Samsung特注のOLEDディスプレイを採用しており、8.8型でネイティブランドスケープ、解像度がWUXGA(1,920×1,200ドット)、色域がDCI-P3 100%対応、HDRピーク輝度が1,100cd/平方mで、VRRもサポートする。

 バッテリは内蔵型で85Whとなっており、他社のポータブルゲーミングPCと比較してもちろんのこと、一般的なノートPCをも凌駕する容量を達成。ゲームプレイ可能なバッテリ駆動時間はTDP 15W設定時が4時間、35W設定時が2時間。そしてオフィス用やローカルビデオ再生では25時間に達する。

3-in-1をうたうONEXPLAYER 3
ディスプレイの特徴
85Whの大容量バッテリ
15Wでは4時間、35Wでは2時間のゲームプレイが可能
動作時の温度テスト
インターフェイス
BIWIN製のMini SSDを採用
静電容量式のジョイスティックを採用し、独自のアルゴリズムも採用
D-padもカスタマイズ可能

 筐体サイズの大型化を避けるために、放熱機構には面積11,203平方mmのベイパーチャンバーを採用。高密度アルミニウムフィンで放熱面積は16,644平方mmとなっており、1基の4,200rpmの静音ファンと組み合わせた。

 これにより、FurMarkというCPU/GPU両方に負荷がかかるベンチマークテスト時でも筐体の温度を最大48℃前後に抑えられ、CPUコア温度も72℃程度だという。一方、実際のゲームプレイ時は43℃前後、CPUコア温度は64℃程度。もちろん、ゲームコントローラ部はまったく熱くならないという。

 もう1つの特徴として、BIWINと共同開発したMini SSD拡張スロットを挙げた。一見microSDカードのようにも見えるが、リード/ライトともに3,500MB/s前後とかなり高速であり、内蔵SSDのようにBIOSで起動ドライブとして設定しておけば、ほかのOSとデュアルブートして使えることなどもメリットだとした。このほか、電源ボタン兼指紋センサー、2基のUSB4、USB Type-Aポートの装備といったインターフェイスの充実、キックスタンドの採用も特徴としている。

 着脱式コントローラは、特許取得済構造のレールを採用し、堅牢性と信頼性を兼ね備えた接続を実現。ジョイスティックは最新の静電容量式を採用し、独自のアルゴリズムによるチューニングを施した。A/B/X/Yボタンは高級感のあるクリアタイプとなり、押下圧は0.6N、耐久性は500万回押下のマイクロボタン構造を採用。応答性も高めた。

コントローラ右
コントローラ左
コネクターを介して無線接続可能。コネクターには新たにタッチパッドもついた
背面のスタンド
分解モデル
マザーボード
ベイパーチャンバー

 また、4方向か8方向かにカスタマイズ可能な十字キー(D-pad)、ホールエフェクト採用でストロークを長短の2つに切り替え可能なトリガーボタン、カスタマイズ可能なバックキーなども備える。また、強大なGPU演算能力を活かし、ソフトウェアとして新たに「ONEXPLAYER AI」を搭載し、ワンクリックでLLMが利用できるようになるという。

ONEXPLAYER X2 Mini

ONEXPLAYER X2 Mini

 ONEXPLAYER X2 Miniは、ONEXPLAYER 3と同様の8.8型OLEDを備えるが、バッテリが着脱式となり、その空いたスペースにファンをもう1基追加することでTDPを45Wまで引き上げたモデル。搭載するファンは5,400rpm回転で6.7CFMの風量を実現したもの。ヒートパイプは4本で、放熱フィンの面積は47,200平方mm。

 着脱式バッテリの採用により、外した状態で729gという軽量性を実現。また、バッテリをケーブルで接続することもでき、手にする重量を最小限に抑えられる。バッテリにはスタンドを内蔵し、本体の自立が可能。

 このほかネイティブランドスケープの8.8型OLEDの採用、85Whのバッテリ、Mini SSDスロットの用意といった特徴はONEXPLAYER 3と共通だ。

着脱式バッテリ
TDPは45Wに
本体背面
キーボードを取り付けたところ

ONEXFLY Apex Air

ONEXFLY Apex Air

 ONEXFLY Apex Airはコントローラ一体型のモデル。コントローラは取り外せないもののバッテリは着脱式となっており、ONEXPLAYER X2 Miniと同様に最大45WのTDPを達成できる。

 ディスプレイは1,920×1,200ドット表示対応の8型液晶となる。解像度はWUXGA、リフレッシュレートは120HzでVRR対応、色域はsRGB 100%、最大輝度は500cd/平方m、DC調光を採用する。

 このほか、静電容量式のジョイスティック、背面のマクロボタン、2段階調整可能なトリガーボタンなどを備える。

ONEXFLY Apex Airのコントローラの特徴
ディスプレイの特徴
バッテリ容量と最大TDP
ゲームプレイ時間
デュアルファンを採用

 インターフェイスは、USB4、USB 3.2 Type-C(Gen不明)、USB 3.2 Type-A(Gen不明)、microSDカードスロット、Mini SSDスロットなどを備える。

バッテリは着脱式

ONEXPLAYER X2

ONEXPLAYER X2

 ONEXPLAYER X2は10.95型の大型画面を備えた“3-in-1”として位置づけられる。6000系アルミニウムにCNC加工を施した背面カバーが特徴。

 冷却は5,400rpmのデュアルファンで、最大TDPは35W。また、173度まで開くキックスタンド、着脱式のコントローラ、ホールエフェクトを採用したジョイスティックなどを搭載。インターフェイスはUSB4 2基、USB 3.2 Type-A(Gen不明)、3.5mm音声入出力、microSDカードスロットなどを搭載する。

本体背面
CNC削り出し筐体
10.95型の大型ディスプレイ
デュアルファン冷却

ついにNPUを活用したローカルAIがやってくる

 今回製品と同時に発表されたのは、Intelの「Yingtao」と呼ばれるAIボイスアシスタントプラットフォームを駆使したゲームアシスタントソフト「AI Gaming Assistant」で、Arc G3 Extremeを採用したONEXPLAYERシリーズで製品とともにプリインストールして出荷する予定だ。

 それで具体的に何ができるのか?といえば「攻略」である。たとえばゲームプレイ中にマップで迷ってしまった、もしくはボスの攻略で行き詰まってしまった際に、これまではWebブラウザに切り替える、もしくは別のPCに切り替える、もしくはスマートフォンを使って、攻略情報を調べる必要があった。

 このAI Gaming Assistantを使えば、プレイ中に音声でAIアシスタントを呼び出し、攻略を教えてほしいと伝えれば、自動的にプレイ中のゲーム画面からキャプチャを取得し、それをダウンロード済みの攻略情報と照らし合わせて、攻略情報を引き出すことができる。

IntelのYingtao
AI Gaming Assistant
実装方法。なお、スライドを見る限り、Arrow Lakeでも動作するようだ
ゲーム内の攻略表示
攻略を自分で作成することもでき、作成してすぐにシーンから検出できるようになる

 AI Gaming AssistantのベースとなっているYingtaoが特徴的なのは、多言語対応の音声認識モデル「Qwen3-ASR 0.6B」およびテキストトゥスピーチ(TTS)の「SAPI」をCPUで走らせて、ユーザーからの音声入力による操作をサポート。そして汎用のLLMとして「Qwen3-4B-INT4-OV」(INT4量子化済みで、なおかつOpenVINOに最適化したモデル)を搭載し、それをNPU上で走らせている点。もっと平たく言えば、ゲームの性能に大きく影響するGPUに負荷をかけずにAI機能が使えるため、ゲームプレイ中でもスムーズに呼び出すことができるというわけである。CPU/GPU/NPUが緊密に連携して動作する仕組みにより、300ms以下でシーンを認識できるのが特徴だ。

 ただ、LLMが動作している際はGPUのリソースは消費しないもののメモリバンド幅を消費するので、ゲーム性能がスポイルしないわけではない。もっとも、GPUリソースを食い合うよりはマシだし、AIアシスタントがシーン認識する間はゲームを操作しないので、あまり意識する必要はないだろう。

 なお、サラッと「攻略情報をダウンロードする」と書いたが、これは中国国内のフリー攻略サイトから行なわれる。そのため、必然的に攻略情報も中国語となってしまうし、UIも現時点では中国語となるわけだが、現時点では英語版の開発を進めているとのことだった。

Panther LakeをベースにGPUに特化したArc G3 Extreme

 6月15日に開かれた発表会の冒頭で、同社CEOのJack Wang氏による簡単な挨拶と製品ラインナップ紹介があった後、Intel CCG Technical ExpertのFang Sun氏がArc G3 Extremeについて詳細に解説を行なった。

Jack Wang氏
製品ラインナップ
Intel CCG Technical ExpertのFang Sun氏

 Sun氏によれば、Arc G3 ExtremeはIntel最新鋭のPanther Lakeをベースとしつつ、よりスムーズで没入感のあるゲームを実現するための高性能、コンパクトでかつ電力効率に優れた整合性、長時間バッテリ駆動を実現するための効率性、そしてソフトウェアの互換性を追求したプロセッサであるといい、ハンドヘルドゲーミング機専用のチューニングを施したという。

 その核心にあるのがXe3アーキテクチャのGPUコアで、ハンドヘルドゲーミング機において、AAAゲームタイトルを現実的な性能でプレイできることに成功。具体的には、TDP 35W条件下において、TDP 30WのCore Ultra 7 258Vと比較して、ゲーム性能は平均で44%高速化。また、消費電力を同じ17Wに揃えた場合、性能が同じく平均24%向上するとしている。

 一方、競合となるRyzen Z2 Extremeと同じTDP 35Wの条件下では平均で42%も高速。そしてTDPを17Wに制限しても、35WのRyzen Z2 Extremeと同等の性能が実現できるとし、消費電力が2分の1になるとした。

 ゲームをより快適にプレイするための機能としては、低解像度の画面を超解像化して性能を引き上げるXeSS、少ない演算リソースでフレームを補完するXeSS Multi-frame Generation(XeSS FG)、そして応答性を強化するXeSS Low Latencyを用意。特に、XeSS FGで4x Multi-Frame Generationを使えば、競合のRyzen Z2 Extremeで使えるFSRを大きく上回る性能を達成できるとした。

 ちなみに余談だが、4x Frame Generation利用時も、適用しない場合と比較して純粋にフレームレートが4倍とならず2倍強程度となるのは、フレーム生成にGPUリソースを消費するためだ。

GPU性能を最優先にした設計

 Arc G3 Extremeでもう1つ重要な実装が、「Intelligent Bias Control v3.5」(以下IBC v3.5)と呼ばれる機能だ。通常のプロセッサではCPUの動作が優先されているため、バッテリ駆動時間を延長したいときに電力制限をかけると、同じ電力枠内でCPUのほうが電力を消費してしまい、ゲームで重要になるGPUに割り当てられる電力が少なくなり、性能低下する原因となっていた。

 IBC v3.5では、特に電力制限が厳しい14W以下の設定のとき、Pコアパーキングを利用し、Eコアしか動作させないようにしている。これによりGPUに割り当てられる電力を増やし、ゲーム性能を向上させる。ちなみにあえてEコアを使っているのは、最新のEコアでも(内蔵GPUにとって)十分なゲーム性能を提供できるためだ。

 Intelのテストによれば、12Wの電力制限下においてIBCをオンにした場合、平均で13%のゲーム性能向上を実現できたという。また、同じ制限下でRyzen Z2 Extremeと比較して平均37%も高速だとした。

 このIBC v3.5に加えて、電力制限をさらに下げた場合、Pコアに加えてEコア4基(1クラスタ)、それに付随するリングバスを1本オフにし、ゲームのフレームレート上限を制限する「Endurance Gaming」機能も搭載。これにより、さらに電力消費を抑えてバッテリ駆動時間を延長させることが可能だ。他社製品の動作結果ではあるが、Endurance Gamingでは5時間から最長11時間ものゲームプレイが可能になる。

 また、ゲーム内で使われるシェーダーをコンパイル済みのものとしてIntelからクラウド配信し、初回ゲーム起動時のコンパイル時間を削減できる「Precompiled Shader Distribution」機能を提供しているとした。

 さらに、XeSS対応タイトルも増えており、超解像対応は400タイトル以上、XeSS FGは100タイトル以上で対応済みなどとし、ソフトウェアエコシステムも充実を図っているとアピールした。