ニュース
PC国内出荷額は過去最高も、値上げと先食いで4月以降の懸念広がる
2026年4月21日 11:23
2026年3月の国内PC市場は、想定以上の活況ぶりをみせた。
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した国内PC出荷実績によると、2026年3月の出荷台数は、前年同月比12.7%増の138万8,000台となり、3月の出荷台数としては、2007年度に現在の調査方法に変更して以来、過去2番目の実績となった。
また、出荷金額は同10.9%増の1,436億円となり、こちらは過去最高を更新した。JEITAでは、「2026年3月は、個人向け、企業向けともに好調で、台数、金額とも前年を上回っている」としている。
市場活況の背景にある2つの要因
想定以上の活況ぶりとなった理由は2つある。
1つ目は、教育現場で使用するPCをリプレースするGIGAスクール構想第二期の導入が、年度末を迎えて集中したという点だ。
これまでの出荷統計でも、四半期末となる2025年3月、6月、9月、12月は、PCの出荷台数が増加。一方で、端末整備のための補助金が5万5,000円となっているため、その影響を受けて、3カ月ごとに平均単価が大きく減少するという傾向が見られていた。
2026年3月は、GIGAスクール構想第二期の整備が最終段階に入り、それが出荷台数の増加に貢献したといえる。
だが、2026年3月の場合、平均単価は10万3,458円となり、10万円を超える水準となっている。上期末となる2025年9月は、GIGAスクール端末の調達が集中したことから、8万9,757円にまで平均単価が下落していたのに比べると、極めて高い水準にある。
つまり、GIGAスクール構想第二期による平均単価の下落を歯止めする要素があったといえる。それが、2つ目の要因となる。
2026年3月に見られたのが、4月以降のPC価格の上昇や、部材不足によるPC本体の品薄を見越した駆け込み需要だ。
NECレノボ・ジャパングループでは、「今後のコスト上昇を見据え、調達時期を前倒しするお客様やビジネスパートナーがいる一方で、慎重に判断し、購入を見送っているケースもあり、対応はお客様ごとに異なっている」と前置きしながらも、「全体として、4月以降の値上げを見越し、前倒しでの購入や在庫を確保する動きが一部で見られたと認識している」と語る。
また、VAIOでは、「法人向けPCは大手企業を中心に既存顧客および新規顧客ともに好調。市場動向の不安感から予定を前倒しした購入が増加している。VAIOは、供給体制が安定していることが強みとなっている。個人向けPCでは新生活需要が旺盛で、3月末まではモバイル系が売れている。4月に入っても、現時点までは値上げ前の駆け込み需要があり、販売量は下がっていない」と好調ぶりを示す。
実際、あるIT系企業の社長は、「4月以降の値上げを視野に入れ、3月末までに、2026年度に必要となるPCを事前に調達した」と明かす。2026年度の需要を先食いする形で、3月の出荷台数が増加したというわけだ。
しかも、一部製品は、2026年1月から値上げが行なわれ、2月や3月に発売した新製品も値上げの対象となった機種が少なくない。こうした動きが出荷金額の上昇にも影響を与えている。
ノート/デスクトップ共に価格高騰
では、価格上昇幅は、どの程度なのだろうか。
JEITAのデータでは、GIGAスクール構想による低価格PCの影響があるため、ここでは、大手家電量販店など、約2,300店舗のPOSデータを集計しているBCNのデータをもとに動きを見てみる。
これによると、2026年3月の-平均単価は、過去12カ月間で最も高い水準となっている。
2026年3月のPC全体の平均単価は14万500円となり、2026年1月の13万300円から、約1万円上昇している。また、ノートPCは、13万9,500円となり、1月の12万8,800円から1万円以上の上昇。デスクトップPCは、16万4,900円となり、1月の14万9,800円からは約1万5,000円の上昇となっている。わずか2カ月で価格が大きく上昇していることが分かる。
2026年4月には、各社のPCの値上げがさらに進展しており、VAIOでは4月23日から値上げすることを明らかにするなど、平均単価はさらに上昇することになりそうだ。
一方、JEITAの出荷統計によると、2025年度(2025年4月~2026年3月)の出荷台数は、前年比31.4%増の1,091万3,000台となり、過去5番目の実績。そのうちノートPCは同34.4%増の964万台、デスクトップPCは同12.2%増の127万3,000台となった。ノートPCの出荷台数は過去2番目の水準となった。
また、2025年度の出荷金額は、前年比20.7%増の1兆1,684億円となり、過去最高を更新。そのうちノートPCは同20.9%増の9,986億円、デスクトップPCは19.3%増の1,699億円となった。
JEITAでは、「2025年度は、個人向け、企業向けともに前年を大きく上回り、出荷台数は2020年度以来、1,000万台を超えた。Windows 10サービス終了にともなう需要増加が主な要因である」と分析している。
なお、2025年度第4四半期(2025年4月~12月)の出荷台数は、前年同期比1.5%減の257万2,000台。そのうちノートPCは前年同期並の227万2,000台、デスクトップPCは同11.5%減の30万台となった。
Windows 10特需後の厳しい市場予測
PC業界の懸念材料は、今後の需要低迷だ。
2026年度(2026年4月~2027年3月)の国内PC市場は、2025年10月のWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要の反動があること、GIGAスクール構想第二期に関しても大型案件の8~9割が完了する段階へと入り、今後の需要が大きく減少することから、大幅な前年割れが見込まれている。
これに加えて、2025年12月以降、今後の価格上昇や品薄を懸念した個人ユーザーが購入を急ぎ、一部PCメーカーでは過去最大の受注量を記録するなど、需要の前倒しが見られており、その反動も懸念されていたが、2026年3月には、さらに需要が集中したことで、2026年度の落ち込み幅が、より大きくなるとの見方が広がっている。
2026年4月以降は、厳しい市場動向になるのは明らかだ。果たして落ち込み幅は、どの程度になるのか。今後の動きが注目される。



















