エルピーダ、今期営業赤字は前年6倍の1,474億円に

5月12日 発表



 エルピーダメモリ株式会社は、12日夕方に記者会見を東京で開催し、2008年度(2009年3月期)の業績(連結)を発表した。同社代表取締役社長兼CEOの坂本幸雄氏と同社執行役員CFOの福田岳弘氏が説明にあたった(写真撮影が禁止されていたため、両氏の近影は掲載できなかった)。

 2008年度売上高は前年比18.4%減の3,310億円。営業損益は1,474億円の赤字である。ビット換算のDRAM出荷は前年比90%増と大きく伸びたものの、平均単価が前年比52%減と大幅に減少したほか、円ドル換算比率が10%ほど円高に推移したことが業績の悪化を招いた。経常損益は1,688億円の赤字、当期純損益は1,789億円の赤字である。なお前年(2007年度)の営業損益は249億円の赤字、経常損益は396億円の赤字、当期純損益は235億円の赤字だった。

 四半期ごとの売上高と営業損益の推移をみていくと、2007年度第3四半期から2008年度第4四半期まで、6四半期連続で営業損失を計上している。特に直近の2四半期は売上高が急速に落ち込むとともに、営業損失が拡大した。

 製品別売上高では、プレミアDRAM(デジタル家電用DRAMやモバイル機器用DRAMなど)が前年比37%減の1,410億円。家電製品の需要急落に伴う在庫調整により、DRAM需要も急激に落ち込んだことが大きい。一方、コンピューティングDRAM(サーバー用DRAMおよびPC用DRAM)は同4.6%増の1,900億円と踏ん張った。上半期はDRAM価格が低水準で推移し、下半期はPC用DRAM需要の減退でDRAM価格が下落したものの、エルピーダは65nmプロセスへの微細化を進めて製造コストの削減と量産規模の拡大を進め、出荷数量を増やした。

売上高と営業損益の推移DRAMの平均価格(容量1Gbit当たり)の推移製品別売上高と構成比。

 地域別(所在地別)の売上高は日本が前年比31%減の1,527億円、アジア(日本を除く)が同18%増の998億円、欧州が同31%減の210億円、北米が同18%減の576億円である。売上高比率は日本が46%、アジア(日本を除く)が30%、欧州が6.3%、北米が17%。営業損益は日本が1,569億円の赤字、アジア(日本を除く)が29億円の黒字、欧州が3億6,000万円の赤字、北米が69億円の黒字となった。

 DRAMは価格変動が大きいため、同社は2009年度(2010年3月期)の業績見通しを公表していない。その代わりにDRAM出荷の成長率(bit換算値)を実績と予測で示している。これによると、2008年度(2009年3月期)の成長率は80~90%と異常に高かったが、2009年度(2010年3月期)の成長率は約20%と大きく低下する見込み。

 DRAMスポット価格は2008年後半に大きく下がったものの、2008年12月には底を打ち、2009年4月以降は上昇に転じている。5月11日時点のスポット価格は1GbitのDDR2 800Mbps品が1ドル30セント、1GbitのDDR2 667Mbps品が1ドル26セントである(調査会社DRAM eXchangeのデータを引用)。今後は1ドル50セント~2ドルの範囲で推移するとエルピーダは予測する。3ドルに上昇することは考えにくいという。同社としては1.5ドルでDRAM事業収支がトントンとなり、2ドル近くになると企業全体の収支が均衡するとしている。

2009年度(2010年3月期)業績の参考指標DRAMスポット価格の推移DRAM市場のベンダー別シェア(bit換算)

(2009年 5月 13日)

[Reported by 福田 昭]